アジア通貨基金設立を目指して……

 円高時代を迎えてこの10年間、日本企業はASEAN諸国への投資を加速させてきました。その結果、ASEAN諸国では日本の企業や日本企業が現地で推進する産業連関構造がモデルとなり、現地資本も日本システムにあわせるものですから、どの国でも似た産業構造ができあがってしまいました。
 それは一見しますとASEAN諸国の日本化で産業の近代化にはそれなりに好影響を与えたのですが、同時に日本の欠点も多分にコピーしてしまったように思われます。
 たとえば第一に、比較優位説に立脚する高度な国際分業体制確立のビジョンや計画がないこと。第二に、加藤先生の言葉でいうところの社会主義的国家による経済運営の弊害、すなわち官僚主導の経済政策。第三に、独立した外交政策がなしえない国際的枠組みに安住していること、などです。
 SEAN諸国域内での産業が横並びになっており、比較優位説に立脚した国際分業体制が確立されていないので、日本と同様のチャイナ・プロブレムを潜在的に持ち続ける結果となりました。
 現在のASEAN諸国内では日本国内と同様にチャイナ・プロブレムの影響で域内産業はつぶしあいの状況に陥っており、アジア通貨危機がいつ再来してもおかしくない、という状況が継続しています。
 日本もASEAN諸国も同じ課題に直面しているといえます。まず一日も早く産業・社会構造の改革を断行し、比較優位説に立脚した高度な国際分業体制を域内で確立することです。その上で、IMFから独立したアジア通貨基金AMFを設立するべきです。
 私は、円高基調が続く以上、そしてアメリカがドル安政策を続ける以上、日本としては、アジア通貨基金(アジア独自の監視機能と政策芽決定機能を持つ)設立とあわせて円基軸通貨経済圏も確立するべきであると考えています。アジア通貨危機への危機管理体制確立とともに、円の基軸通貨化によって、せめて日本の為替リスクを大幅に減らしておく必要があります。
 アメリカ財務省証券を売りに出すという伝家の宝刀を抑止力にして円基軸通貨経済圏構想を是非推進してほしいと思います。

 

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