不良債権加速策について。

 不良債権処理は大切なことで不良債権の減少に反対する人はいないはずです。
 ただ、現在の金融機関が抱えている不良債権の残高はあまりにも大きく、また、資産デフレという状況や円高、バランスシート調整に追われる企業が多く、企業の投資意欲が低迷している経済環境と政府の緊縮財政傾向からみて、短期処理加速策は危険が大きすぎる、景気の底割れを招きかねないと思いますので、不良債権処理加速策には反対したいと思います。
 この12年で不良債権処理を加速して、企業バランスシート調整を早急に終わらせたい、という竹中大臣の気持ちもわかります。
しかし、8月2日の日経新聞の記事によれば、民間金融機関の不良債権残高が3月末で52兆円あり、不良債権予備軍、要注意先の額も100兆円あるということもわかりました。
 そうしますと、この12年間での短期処理は不可能ということです。やれば、不良債権額はさらに増え、資産デフレもさらに続くことになってしまい、地価も株もさらに下落する危険性があります。
 竹中大臣は、1989年のRTC(日本のRCCのモデル)によるS&L(貯蓄貸付組合という金融機関)・不良債権処理の成功を今回は日本にも応用しよう、としているようで、今回、RCCの他にも、産業再生機構を設置し不良債権処理を加速させようとしています。
しかし、不良債権残高の規模が大きすぎるのと、不良債権予備軍が100兆円もあり、かつ、S&Lの破綻の場合と違って、日本の場合には、企業全体、金融機関も全体がバランスシート調整に四苦八苦している状況にあり、当時のアメリカと今の日本での状況に、まだまだ、差がありすぎます。まだ、時期尚早だろうと判断します。上場企業の70%程度がバランスシート調整を終え、民間金融機関だけの不良債権残高が10兆円規模になれば、短期処理、加速処理は効果的だと思います。
 いま国会で補正予算の審議をしていますが、景気回復のための補正予算編成ではなく、大恐慌阻止、マイナス成長阻止のための補正予算編成という危機意識で、少なくとも企業投資が激減している部分は、政府投資でバックアップし、波及効果も見込んで、公共投資だけでも、真水ベースでGDP1%5兆円は必要だったと思います。
 もちろん、財政出動の投資先のスクラップ・アンド・ビルドや公共事業のプラス・マイナスの選別、入札手続の公正さや透明性の確保も必要ですが。

 

2003123()