自衛隊のイラク派遣について

(12月11日 清宮)

 12月7日の小論文で紹介しました国連安保決議1511と独仏ロ共同声明の趣旨にそって、米国主導の暫定占領当局から国連主導の暫定戦後処理統治機構に権限を移行することを日本は米国の民主党とともにブッシュ大統領を説得してゆくべきだと思います。

 そして、新イラク政府樹立を一刻も早く実現し、その上で自衛隊派遣を含むイラクの復興支援のあり方を検討するべきだと思います。それが本来の国際協調主義の政策だろうと考えます。

 仮に自衛隊を派遣するにしても条件付きで派遣するぐらいの交渉はするべきで、たとえば、イラク新政府樹立前に派遣する場合でも、国連主導の暫定統治機構が設置されてから派遣する、などの条件付き派遣もありえたと思います。

 また、実際に人的貢献をする場合、自衛隊が直接、現地の公共工事をするのではなく、イラク人技術者や労働者を雇用して公共工事をするべきで、この場合の事務管理の要員として、たとえば「イラク復興支援事務官」を1年限定で創設(時限立法で)し、防衛庁・自衛隊・国土交通省・警察・建設会社等広く全国から公募し、イラク復興支援事務官を選抜して派遣すればよいのではないでしょうか。公募すれば多くの方が手をあげると思います。

 私は自衛隊派遣には反対ですが、もし、イラク復興支援事務官の公募があれば、応募したいと思います。 

 一方、日米同盟も重要ですが、それゆえ、日本は過去、現在と米国の軍や政府に対しては多額の財政支援を実施しており、多額の米国公債も購入しています。自衛隊の装備もアメリカからの輸入品(ライセンス生産も含めて)がほとんどです。来年からはじまるミサイル防衛構想にも多額の予算をつけねばなりません。

 要するに、日本は日本国民の血税でブッシュ政権のみならず米国の国家財政破綻をも救ってきている、という側面を軽視してはいけないと思います。日米同盟が破綻すると日米双方が困りますが、実は日本よりも米国の方が困ると思いますので、日米同盟関係の解消は当分の間考えられません。

 今回、日本がブッシュ大統領に対して、米国の民主党とともに共同して方針転換を迫ったとしても、日米同盟関係に亀裂が入るわけがありません。私は、かえって日本が米国に対して単独主義から国際協調主義への提言をすることにより、日米同盟関係はより一段と成熟すると考えていますし、国際社会においても、米国との対等同盟を印象づけ、その独自外交路線は高く評価されると思います。

 特に、「イスラム教とキリスト教」「欧州と米国」といった新たな対立軸が国際的に表面化してきていますし、テロが世界中で頻発しています。こういう中で、日本は平和的な独自外交で、国際社会にとって有意義な役割を果たし得ると期待していま
す。

 対テロ防衛戦略にしても同様です。9.11にみるように米国でさえも自国のテロを未然には防ぐことはできなかったわけです。ましてや極東の日本で勃発するテロ(細菌テロを含む)を米国が未然に阻止してくれるという保証はどこにもありません。日本が国際協調主義(国連の役割強化政策、国連中心主義、アジア重視政策)で、独自の外交戦略を打ち出すことの重要性はここにもあると思います。