構造改革について。

 
産業再生機構や銀行への公的資金投入の問題は、納税者として、官僚の体質をあらためて考えさせられるケースだったと思います。
 政府・官僚の自由市場介入が顕著に加速化・レベルアップしはじめたのは、株式市場の大暴落・バブル崩壊直後からでした。
 1990年3月に大蔵省が事務次官通達で行った「総量規制」からはじまり、株式市場における、いわゆるP.K.O、異常な公定歩合操作、国債の右肩上がりの増発、消費税率の引き上げ、長銀への約4兆5、000億円もの公的資金投入(結果的には、国有化して整理し、10億円でシティー・バンク・グループに売却。現在は外資系銀行・新生銀行として600円規模の収益をあげている)等々日本経済はまるで政府主導による統制経済のようです。
 現在の竹中大臣も橋本路線そのもののようで、最近のインフレターゲット・金融緩和策やあらたな公的資金導入計画、不良債権加速政策・産業再生機構、個人向け国債の発行決定等々、政府の自由市場介入の度合いがますます強くなってきています。
 産業再生機構での審査基準とて結局は金融庁が決定するわけです。
 自由市場原理からどんどん遠ざかる日本経済システム、というところでしょうか。
 これで本当に経済は再生するのでしょうか。まるで、資本主義経済体制から社会主義経済体制への構造改革をしているような錯覚に陥ります。
 私は、そういう観点からしても、不良債権処理加速には反対ですし、産業再生機構設置にも、金融緩和にも反対です。
 良くも悪くも、バブル崩壊後のこの12年間、市場は市場にまかせ、自然淘汰を待つべきだったと思います。
 政府は、ほかにやるべきことが山積していたはずです。
 小さな政府への体質改善、行政改革、財政改革、公的サービス事業の大幅民営化、規制緩和ないし規制撤廃促進、分権改革推進、抜本的教育改革等々……

 この10年間、GDPは約500兆円のまま推移しているのに中小企業労働者の所得や就職口が減っている。これはまか不思議なことですが、公務員や準公務員(特殊法人や公益法人、第三セクター、外郭団体系列のファミリー企業)が増大し、かれらの給与水準が高くなったせいではないでしょうか。
 元自民党幹事長だった加藤紘一氏が、「小泉首相が『民間にできるものは出来るだけ民間にまかせよう』と言ったのは見事に本質をついた問題提起でありました。また、力強い表現でした」と、コメントされています。

 これが構造改革のピンポイント、まさに本質的な問題点であったと私も思っています。
 官の民業圧迫は社会主義的国家の特徴です。現在のように、官僚主導の改革では、微調整型改革で本質的な構造改革、国民が期待しているような抜本的改革は期待できそうにありません。

 道路関連四公団民営化問題は、構造改革の象徴的案件であり、これからの構造改革の進展を占うパイロットケースでもありました。結局は官僚的微調整型改革でおわってしまったわけで、確かに「一歩前進」であったかもしれませんが、期待する民営化政策とはほど遠いものとなっています。

 さらに、日本には独特の雇用慣行があり、人件費は政府や自治体のみならず、企業でも固定費になっています。それで財政も企業収益も悪化したままで、なかなか改善されません。
 景気回復のためには、1970年代から1980年代前期のように科学技術開発関係の投資を拡大しつつ、企業の経営革新をして新商品開発に全力投球する必要があります。

 そして、同時に固定費化している人件費をなんとか欧米並に流動費化させ、人件費の勝ち組となっている公務員・準公務員・銀行員の年間所得を中小零細企業サラリーマンの所得に近づけてゆかないといけません。

 そのためには、国民の生活感、人生観、価値観の転換も必要です。
 いまや伝統的雇用慣行を維持したままでは日本経済はとてももたないと思います。経営革新のためにも、公的部門を含めての労働市場を本格的に自由化(年俸制や短時間制職員制度の導入、公務労働市場のグローバル化など)させ、公平な実力主義、競争機会を導入してゆき、徹底的にリストラするべきです。民間企業ではこの10年間、そうやって多くの痛みに耐えてきているわけです。公務員だけがぬるま湯につかって暢気に、国民の血税で高給取り生活をエンジョイしていてすまされるわけがありません。

 国家公務員法や地方公務員法の抜本的改革、人事院制度の見直しも構造改革の重要課題であると思います。


 2003122()