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行政書士業務根拠先例・法令等紹介

 

 

 

【(1)〜(10)】【(11)〜(20)【(21)〜(30)】

 

■このページは【(1)〜(10)】の紹介です。(11)以降については上の該当部分をクリックしてお読みください。

 

 行政書士法

 行政書士法施行規則

 私の行政法学の師である兼子仁先生(東京都立大学名誉教授・東大法学博士)が一週間後の2004年7月20日、「行政書士法コンメンタール」を北樹出版から出版(定価2,400円・219頁)される予定です。楽しみです。兼子先生も「これまでの官製コンメンタールとは違い、業務実態を十分にふまえたリアリティーのある研究コンメンタールにできるように思っています」と述べておられました。

 

(1)帰化許可申請書類・告訴状・告発状

 帰化許可申請書の作成については、行政書士・司法書士双方の業務範囲と解されている(昭和37年5月10日、自治省行政課長回答)

 警察署に提出告訴状・告発状の作成は、行政書士の業務に入り(行政書士法1条の2)、司法書士は検察庁に提出する告訴状・告発状について作成することができる(司法書士法2条1項2号)。

 ★Kさんからの質問

 質問1 

 行政書士は、検察庁への告訴状の作成が業としてできる、という見解を聞いたことがあるんですが、どうでしょうか?


 回答 

 司法書士法2条1項2号及び行政書士法1条の2第2項によって検察庁へ提出するための告訴状の作成は行政書士には認められていないものと考えます。 

 ところで、検察官が書いて裁判所に公訴提起する起訴状と告訴状を混同している方が希にいますので、念のために概略、簡単に説明しておきます。

 告訴状というのは、警察官等の司法警察職員が行う捜査の端緒となるものの一つで、被害者の申告書ですね。捜査依頼書のようなものですから、一種の「お願い」なわけです。ケースによっては、実際に捜査してくれない場合もあるわけです。

 そういう意味で一種の「お願い」というような性格もあるわけで、この書類作成は紛争解決行為・事件解決行為ではないわけです。いわゆる「事件性・紛争性のある法律事務」ではないと理解されているわけです。どちらかというと事実証明書作成行為に近いものかもしれません。そのように理解することができます。

 警察での捜査が終了したら送検し、こんどは検察官の方で法律的に検証しなおし、場合によっては再捜査し、起訴するか不起訴にするのか決定するわけです。

 不起訴処分となって、被害者がその通知を受けた場合、その不起訴処分に不服があるとはは、検察審査会に対して審査申立書を提出することができることになっているわけです。

 行政書士は、警察署に提出する告訴状・告発状と検察審査会に提出する審査申立書の作成ができるわけです(昭和53年2月3日自治省行政課決定)。

 ☆なお、さらに詳しい解説が欲しい場合は、このホームページの「情報源」に登録されている「法務省」のホームページから「法務省紹介」に移り、その中の「刑事事件フローチャート」を開いてお読みください。大変わかりやすく解説されています。

 質問2

 司法書士法によると、法務局に提出する書類は、司法書士の業務となっています(司法書士法2条1項2号)。帰化許可申請は法務局で行うのに、なぜ行政書士が書類を作成できるようになったのでしょうか?

 回答

 難しい質問です。一応、ぼくなりの理解を示しておきます。間違っていたらごめんなさい。

 日本の入管法と国籍法は、米国の移民法・国籍法をアレンジして導入したもので、似た部分が多々あります。

 米国での管轄は、移民帰化局にあるわけですから、日本でも出入国管理局で帰化を取り扱ってもよかったわけですが、日本と米国の差異は戸籍法の有無にあります。

 ここで管轄に差異が出てきたものと推察されます。

 すなわち、戸籍法3条は、「戸籍事務は、市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長が、これを監督する」となっており、自治体での戸籍業務に関与する行政書士も、司法書士とともに法務局長の監督下にあることも事実であるわけです。

 また、戸籍法102条以下の国籍の得喪にも行政書士や司法書士はともに関わっているということも原因になっていると思われます。
 このように国籍関係を含む戸籍法上の手続は、元来、行政書士と司法書士の共管だったわけで、戦後、米国の移民法・国籍法を導入した時、国籍法の管轄は、戸籍法との関係で法務局に分離して管轄させたと思われます。

 したがって、戸籍法が原因であったというのがぼくの見解です。


(2)「官公署」の概念

「官公署」とは、国又は地方公共団体の諸機関の事務所を意味し、形式上は行政機関のみならず広く立法機関及び司法機関のすべてを含む(「詳解行政書士法」地方自治制度研究会編、ぎょうせい。国会答弁もある)

「住宅金融公庫は、行政書士法1条の2に定める官公署には該当しない」(昭和52年7月12日自治省行政課長回答)

問題は、行政書士が裁判所や検察庁に提出する書類のすべてが業務として作成しえるか、という点にあるが、行政書士法1条の2第2項に行政書士の業務制限規定があり、弁護士法、司法書士法、税理士法、弁理士法等の法律に反して業務を行うことはゆるされていない。

例えば、検察庁への告訴状・告発状や法務局への登記申請書裁判所に提出する書類作成は司法書士法2条1項1号2号または弁護士法72条によって禁止されている。

しかし、警察署への告訴状・告発状は禁止されておらず、行政書士法1条の2の業務として認められている。

また、業務根拠先例・法令紹介(1)で紹介したように先例(有権解釈)で法務局に提出する帰化許可申請書類の作成は例外的に認められている。

ポイントは行政書士法1条の2第2項の解釈であり、先例もこの点についてのものが多い。

行政書士法1条の2第2項の規定を度外視すれば、行政書士は確かに訴訟代理業務以外の法律事務をすべてこなせる事務弁護士といえるのだが、実質的には他士業法が多数存在しており、事務弁護士業務は多元化細分化しているのが現状である。

なお、裁判所に提出する書類は、弁護士は訴訟代理人として作成することができ、司法書士でも代書することは認められているが、行政書士は業として代書することは認められていないことも確認しておきたい。

なお、司法書士法改正により、2003年4月1日から司法書士でも簡易裁判所においては訴訟代理人としての活動がみとめられるようになった。しかし、家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所に提出する書類については従来通り代書業務として作成する。

 

(3)「権利義務に関する文書」の概念


 「権利義務に関する文書とは、権利義務の発生・存続・変更・消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする文書である」(大判昭和8.5.23)

 「権利義務は私法上のものであると公法上のものであるとを問わない。それゆえ、たとえば、売買、賃貸、贈与、交換などの財産関係に関する証書であっても、婚姻、養子縁組の届出書のような身分関係に関するものであっても、また、民事・刑事の訴訟に関する文書であってもよい。
 その文書は、当該権利義務の成立要件となっているものであると、単に権利義務の存否を証明する性質のものであるとにかかわらない。
 なお、法律的に直接ある権利義務を発生・変更・消滅させる効力をもたなくても、事実上権利義務に変動を与える可能性を有する文書であれば足りると解する」(団藤重光、刑評2巻21ページ)

 行政書士法1条の2の「権利義務に関する書類」の概念は、以上のように、「官公署」の概念同様、形式的には広範なものであるが、1条の2第2項の行政書士業務制限規定があるところから、当然、行政書士が業として作成できる権利義務関係文書の範囲は限定的とならざるを得ない。

 具体的には、訴状・支払命令申立書・限定承認申立書・自己破産申立書・答弁書といった書類は行政書士が行政書士の名称を使用して業として作成することはできない。

 特許出願書類や税務書類(決算書は含まれない)、登記申請書など他士業法で専権業務の対象となっている文書についても同様である。

 売買契約書等の典型契約書類や非典型契約書類の作成は行政書士が行政書士の名称を使用して業として作成でき、弁護士との共管業務となっている。
 
 著作権等知的所有権のライセンス契約書の作成や譲渡契約書の作成については、年内にも弁護士、行政書士、弁理士の三者共管業務となる見込みである。

(4)「事実証明に関する文書」の概念

「事実証明に関する文書」とは、実社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書と解する」
(大判明治44.10.13)

『判例の示す定義は、ややひろきに失するきらいがあり、事実証明に関する文書は、われわれの社会生活上重要な利害に関係がある事実を証明しうる文書の意味に解するべきである。ちなみに改正刑法準備草案247条が、この点を明示して、「権利義務又は法律上もしくは社会生活上の事実の証明に関する他人の文書又は図画」と定めているのも同じ趣旨であろう』(注釈刑法4.各則2.148p〜198p、大塚仁、有斐閣コンメンタールより一部抜粋)

行政書士法1条の2は19条とあいまって刑法と同様の犯罪構成要件及び刑罰規定となっている点に注意を要する。


(5)「提出代行業務」の範囲について

 提出代行業務とは、当該書類の提出手続代行行為と解され、その業務形態は、

(1)提出書類の内容の概要について説明、もしくは内容の調整協議等必要な打ち合わせ行為

(2)提出書類についての質問を受け、回答または説明する行為

(3)提出書類の補正並びに行政庁よりの指示伝達に関する行為

(4)免許証、許可証、認可証等の受領確認行為等であり、この解釈により、業務を遂行されたい。

(昭和56年9月16日、日行連会長回答)

(6)外国人の在留資格の変更・更新許可申請に行政手続法の適用があるか。

行政手続法3条1項10号は、「外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導」については、行政手続法2章から4章までの規定は適用しない旨、3条1項本文で規定している。

この規定から、少なくとも行政手続法1章の規定については適用があることがあきらかなのだが、在留資格の変更・更新許可申請が「外国人の出入国に関する処分」に含まれるかどうかは不明確であった。

なお、行政手続法は制定施行後6年であり、先例の蓄積がないので、同様の適用除外規定を持つ行政不服審査法の先例及び学説を調べてみた。

 「外国人の出入国・・・に関する処分とは、外国人の本邦に出入国できる資格の得喪に直接関係がある処分に限定して解釈するべきであって、すでに本邦に在留を許可された外国人に対する処分については、行政不服審査法の適用がある」(回答例集53ページ)
 
 学説では、田中真次神奈川大学教授と加藤泰守元内閣法制局参事の学説があり、先例と同趣旨のものであった(「行政不服審査法解説」田中・加藤共著、日本評論社)。

(7)「行政書士の相談業務について」(その1)


行政書士の相談業務の対象範囲は、行政書士法1条2に規定する行政書士が作成することができる権利義務又は事実証明に関する書類の作成についてである。

例えば、

@会計記帳における計算書類(決算書を含む)も事実証明に関する書類に該当し、その作成についても相談業務の対象範囲となる。

 もちろん、集計作業、計算業務、記帳代行業務は自由業務である。ここでいう決算書及び計算書類というのは、許認可申請書類等の一部として官公署に提出する目的で作成する事実証明書としての計算書類のことである。具体例としては、建設業許可申請書類の一部として作成する財務諸表がある。財務諸表には各種様々なものがあり、許認可申請用のものと税務申告用のものとでは違うし、許認可申請用のものでも様々である。収支見積もり型財務諸表もあるし、税務申告をしない公益法人用の財務諸表もある。

 A権利義務に関する書類の典型例は「契約書類」であるが、これを作成するにあたっての相談業務も当然行政書士において行い得る。
 当事者が未成年者であったり、法人である場合もあろう。また、一方が法定代理人であったり、任意代理人であったりする場合も予想される。その場合には、契約書以外の書類の添付も必要となってくるであろう。
 当事者の合致した意思表示であっても、その内容において公序良俗や利息制限法、借地借家法等諸法令に反する場合もあろう。
 いわゆる民法総則の項目等をチェックリストに双方契約であれば双方に質問して確認を取らねばならない。定款作成のような合同行為にあっても同様である。

 「相談業務とは、以上のような行政書士法1条の2で規定されている書類の作成に当たり、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するべきか、または文書の内容にどのような事項を記述するべきかなどの質疑応答・指導・意見表明・法令、法制度、判例等の先例説明・手続の説明などの行為をいう」(福原忠男著「弁護士法」第一法規参照)


 問題となるのは、弁護士法74条2項「弁護士でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない」及び弁護士法72条「・・・その他の法律事務を取り扱い、・・・」との関係である。

 いわゆる「法律相談業務」は上の弁護士法72条で規定されている「その他の法律事務」の一種であり報酬を得る目的をもって法律相談業務をすれば弁護士法72条に該当すると日弁連は解している。

 行政書士の場合には、法律相談抜きに権利義務に関する書類を作成することは事実上不可能なので、例外的限定的にではあるが一定の範囲内での法律相談が事実上認められているわけである。ただし、有料の場合は、「法律相談」を標示または記載することは許されていない(弁護士法74条2項)。

 要するに、「行政書士には、例外的かつ限定的(行政書士法1条の2第2項)ではあるが一定の範囲内において事実上の法律相談は認められている。しかし、法律相談という名称使用・標榜権は弁護士が独占しており(いわゆる「法律相談」の名称使用独占)行政書士は「法律相談」の名称は使えない、ということなのである。

 ただし、「無料法律相談」の記載は非名称独占である。

 報酬を得る目的がなくする相談業務の場合については、

 「一般的に弁護士法72条の取締の対象となるには報酬を得る目的があることが要件となる。
 したがって、無料奉仕するような場合は、この制限を受けないことになる。法科大学等で教授や学生が法律問題の無料相談所を開設することなどは禁止されていない。
 また、個人が全く報酬をとらずに依頼を受けて法律上の助言をすることも禁じていない」
(福原忠男著「弁護士法」第一法規から引用)という解釈が一般的である。

 したがって、行政書士会や行政書士の任意団体が「無料法律相談会」と標示して特設の相談所を一時的に開設し、無料で法律相談を行うことは問題ないわけである。


(8)「行政書士の相談業務」 (その2)

 上記の福原説(日弁連の見解でもある)によれば、報酬を得なければ法律相談は誰でもできるということになる。

 この趣旨は、弁護士法72条の立法趣旨でもあり、法律相談や法律事務を名目にして行われる三百代言(現代用語としては、示談屋、事件屋、詐欺師等)の取締がその目的であることを示している。

 したがって、無料法律相談であるならば、彼らの資金源となることはなく、法律弱者を食い物にする者の発生を防止することにもなるわけである。

無料法律相談の対象は限定されていない。

 したがって、行政書士会や行政書士の任意団体が一時的な無料法律相談会の相談所を開設して、相談に応ずることは禁止されていないのである。

 私の出身大学である明治大学においても、弁護士ではない学生や教員による無料法律相談会は毎週1回、開催されていた。

 ところで、前にも述べたが行政書士の有料の相談業務は、行政書士の書類作成業務と一体不可分に行われているのであるが、行政書士法の規定では、なぜか書類作成と相談業務が分離され規定されている。
 この分離規定がおかれた昭和55年行政書士法改正の経緯については後に研究したいと思っているのだが、ひどくまずい法改正をしたものであると考えている。

 今回の行政書士法改正の混乱の根が実はこの昭和55年の改正にあるのではないかとも推察している。

 書類作成業務と相談業務が一体不可分のものである、ということを前提にさらに、福原論文や判例を調べてみよう。

 「行政書士については、官公署に提出する文書の作成を通じて、法律事件等に関する法律事務に関与する程度は税理士、公認会計士よりさらに大幅なものがある。その内容は法律事務に関する必要書類の作成であって、弁護士の業務の一部と全く同一であり、その間、質的に境界を設けることは不可能に近い。事案の内容について判断し、鑑定に属する処置をすれば、代書事務から逸脱するといえようが、それも書類作成の依頼の趣旨を十分に果たして依頼者の便益に資するという見方からすれば、その業務に内包されるものと解される」(福原忠男著「弁護士法」第一法規)

(9)「宗判決・松山地裁西条支部判決」(昭和52.1.18.判例タイムズ351号210p)

 この判決は、昭和54年6月11日高松高裁判決の原審判決である。

 この事件の概要は、司法書士が交通事故による損害賠償請求訴訟の提起と訴訟維持の指導方を
依頼され、これを引き受け、訴状を起案・作成し提起した事実について、弁護士法72条違反の疑いで公訴提起された事件である。

 司法書士は裁判所に提出する書類の作成権限を持っており(司法書士法2条1項2号)、司法書士の訴状作成についてはなんら問題はないのであるが、高松高裁判決では、当該司法書士が行った訴状等の作成の態様が司法書士のいわゆる代書業務を逸脱したものであって弁護士の独占業務である「争訟性のある法律事務」(=法律事件事務)に及ぶものであったと認定している(法律事務には2種類ある。一つは「争訟性のある法律事務」ひとつは「争訟性のない法律事務」である。公法学会では前者を「法律事件事務」と呼び、後者を単に「法律事務」と呼んでいる)。

 問題は、司法書士の裁判書類作成権限の範囲(態様と程度)、という点にあった(訴状等の作成の是非が争われたわけではない点注意を要する)。

 この問題は、行政書士の書類作成権限の範囲(態様及び程度)の問題とも共通しているのでここで取り上げた。

 まず、前回紹介した福原論文の論旨に近いと思われる松山地裁西条支部判決いわゆる「宗判決」から紹介する。

 「司法書士は書類作成業務にその職務があるのであるが、他人の委嘱があった場合に、唯単にその口述に従って機械的に書類作成にあたるのではなく、その嘱託人の目的が奈辺にあるのか、書類作成を依頼することが如何なる目的を達するためであるかを嘱託人から聴取したところに従い、その真意を把握し究極の趣旨に合致するように法律判断を加えて、当該の法律事件を法律的に整理し完備した書類を作成するところにその業務の意義があるのであり、そこに法的知識の滋養と品位を上させ、適正迅速な業務の執行ができるように努力すべく、よって以て国民の身近な相談役的法律家として成長してゆくことが期待されているところである・・・・・・」(宗判決引用は以上)

 現在の司法書士・行政書士の書類作成業務の範囲(態様と程度)はこの宗判決の趣旨にそったものとなっているのが現実である。

 次回紹介する高松高裁判決の趣旨は現在ではやや現実離れしたものとなっている。それは、現に、司法書士に簡易裁判所での訴訟維持の役割をも補佐人としてではあっても担わせる方向で制度改革が進められていることからもいえる。

 この事件に関しては司法書士・行政書士の間においても誤解の多いものであり、宗判決と高松高裁判決の両者の差異、及び現実の制度運用実態が宗判決の趣旨に近いものである点、また福原論文の趣旨も宗判決の趣旨により近いものであることなどの点で誤解されている傾向がある。

 また、上位概念としての法律事務には「法律事件事務」と単なる「法律事務」(下位概念としての法律事務)があるという概念分類や司法書士・行政書士の権限内の書類作成であっても書類作成自体が弁護士法違反となると勘違いしているものなど、さまざまである。

 士業法関連判例の理解の難しさが現れている。

【参考】

 Hさん、清宮です。

 法律事務には、「争訟性のある法律事務」と「争訟性のない法律事務」とがあり、業務根拠先例・法令紹介(9)で紹介した「司法書士の弁護士法違反事件」(昭和54.6.11.高松高裁判決)では、弁護士法72条の取締対象は「争訟性のある法律事務」に限る旨述べております。

 また、今回、Hさんがご紹介くださった、の3月30日付日行連会長の各単位会会長あて緊急報告でも、衆議院法制局、法務省、総務省との協議で同様のことが確認されとあります。

 つまり、「争訟性のある法律事務」(いわゆる法律事件事務)についてはやはり非弁活動となってしまいます。

 問題は「争訟性のある法律事務」の概念ですが、弁護士法72条を文言解釈すれば、紛争当事者間において鑑定、仲裁、代理、和解等の紛争解決活動を行う、ということになると思います。

 この中の代理には裁判での訴訟代理や行政機関における審査請求申立代理、民間当事者間で行われる示談交渉代理等が含まれてくると思います。

 もちろん、福原忠男著「弁護士法」289P.には、訴訟行為の他「将来訴訟となりうる蓋然性が具体的事情から認定できるものに限るべきである」との論説が示されていますので、「将来訴訟となりうる蓋然性が具体的事情から認定できないような場合」には、争訟性のない法律事務として非弁活動からはずれることになります。

 判例では「法的紛争事件とは、権利義務や事実関係に関して関係当事者間に法的主張の対立があり、実務処理として法的な紛争解決を必要とする事件のことである」(東京地裁平成5.4.22判例タイムズ829号227P)

 「『事件』というにふさわしい程度に争いが成熟したものであることを要する」(札幌地裁昭和45.4.24)

 以上を念頭に行政書士は契約作成業務を行う必要があります。

 改正行政書士法でも「契約書の作成の代理」という表現にとどまっており、改正弁理士法4条3項のように「契約の締結のための代理・・・」とはなっていないことから、行政書士の場合には契約書作成に至る過程の契約締結のための代理まではみとめられていないと解さざるを得ないのが現状です。

 それゆえ、私はこの点に関する有権解釈を国会審議過程において求めたいと考えているわけです。

 ただし、仮に「契約締結のための代理」が国会答弁によって有権解釈によって獲得できたとしても、上記判例の趣旨の制約は生き続けており、福原忠男説にみられるように、将来訴訟となる蓋然性が客観的に認められるような契約の締結のための代理まではできないと考えます。具体的には、示談・和解の締結のための示談交渉代理について、示談契約の締結が成立せず訴訟に移行する蓋然性が客観的に認められるようなケースでは、示談交渉代理もできないということになると思います。

(10)「宗判決『その2』と高松高判」

★「昭和52.1.18.松山地裁西条支部・宗判決・その2」

 「司法書士(行政書士とよみかえてもよい)の所為が弁護士法72条に違反するかどうかは、そのしたことが書類作成委託の究極の趣旨を外れ、職制上与えられた権限の範囲をゆ越し、自らの意思決定により自己の判断をもって法律事件の紛議の解決を図ろうとしたものであるかどうかによって判断すべきもの、すなわち右の権限ゆ越か否かが区別の本質的基準とする・・・・」(カッコ書きは筆者)

★「昭和54.6.11高松高判・判例タイムズ388号」

 「弁護士法72条が禁止するのは『争訟性のある法律事務に限られる』こと、したがって、弁護士法3条1項の弁護士の業務範囲と弁護士法72条で禁止する法律事務(条文例示その他一般の事件事務)とは同一でないことを判示し、司法書士業務(訴状作成等の裁判事務)は弁護士業務の一部であり、弁護士法72条の法律事務に該当するが、司法書士の行為が司法書士としての業務範囲を超ないかぎり、いわゆる正当な業務行為として適法である」「司法書士は司法書士法で定められた限度で業務として他人間の事件、権利義務関係に関与するのであるから・・・(中略)、業務範囲を逸脱した行為が弁護士法72条の構成要件を充足するときは、もはや正当な業務として違法性が阻却される理由はなくなり・・・・(中略)、法律常識的な知識に基づく判断の範囲内での行為であれば弁護士法72条に該当しない」(カッコ書きは筆者)

★「法律事務サービス市場における職域地図概要」

 まず、士業者以外の者ができる業務範囲は、弁護士法で禁止している行為以外の行為であっても、行政書士法、司法書士法、税理士法社会保険労務士法で禁止している行為以外の行為にまで範囲は縮小されることになる。

 行政書士は、弁護士法で禁止されている行為他士業法で禁止している行為以外の行為についてすることができるということになる。

 司法書士以下の士業者も同様の構造で職域が限定されているというわけである。

 

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