アスカの背を追い、必死に走るシンジ。
斜め前のアスカの背中をみていた為、交差点に差し掛かった時逆方向から出てきた何かに気が付かない。
一瞬視界がブラックアウトし、次に見えたものは・・・・
「白?」
顔のわずか20cm前方の白い物体だった。
それがなにか認識する前に、彼の頬に痛みが走った。
「急いでるからこれで許してあげる。」
そう言って少女はシンジの視界から遠ざかっていった。
「白・・・」
目に入った物体も白ければ、今の女の子も肌が透き通るような白であった。
顔を赤くしたかわいい少女だった・・・のだがそれよりもシンジは
「白・・・」
こちらに気がいってしまっていたようである。
後に残されたシンジはアスカに張り倒されるまで呆然としていた。
当然ながら二人は遅刻した。
 
 
ねるふ商店街のみなさん
      第2話 ふたごのてんこうせい
 
 
二人が学校についた頃には朝のホームルームが始まっていた。
かと思っていたのだが教室からはそんな雰囲気は感じ取れない。
クラスメートの雑談が聞こえてくるだけだ。
ミサトも遅刻しているのだろうと、ほっと胸を撫で下ろす二人。
教師としての自覚の足りないミサトは始業のチャイムに遅れることも多々ある。
たまに飲みすぎて遅れてくることもあるほどなのだ。
そんな担任の《葛城ミサト》は自分もしょっちゅう遅刻するからなのか、
怒るとか責めるということはしない。
その上美人でスタイルも抜群とあって、男子生徒からの人気はかなり高い。
気さくなものいいと、それでいながら生徒の事を真剣に考えてくれるミサトには
女子生徒もよく相談にいくことがある。
つまりは生徒からの人気はかなり高い教師なのだ。
ただし日ごろの素行から教頭の覚えはあまりよくないのだが・・・。
滅多なことでは生徒を烈火のごとく怒ることのないミサトだが、
生徒をからかうのが大好きで遅刻をすると
「あらぁ〜、寝坊したの?二人で夜遅くまでなにかしてかわけ?」
などなど、特にシンジをからかうのが好きなようでいつも標的にされている。
いや、訂正しておく。
9割方こういう類の標的はシンジなのだ。
といったものの、彼女に悪意があるわけではなくむしろ彼女はシンジに対して
好意を抱いていると言ってもいい。
同じようにシンジもミサトのことは好きであった。
シンジだけではない。アスカもミサトのことは好きだ。
シンジが小さかった頃、アパートから第3新東京市にある大学に通うミサトはよく食堂へ来ていた。
ゲンドウが大学に在学中そこで助教授をしていたミサトの父と知りあったことから
葛城家と碇家の親交はあったのだ。
よくミサトに遊んでもらったシンジとアスカ。
特にシンジはミサトによく懐いており、
「ミサおねえちゃん」
と呼んでミサトが来るといつもべったりだったほどだ。
ミサトも一人っ子ということもあって弟と妹ができたようで好んで二人と遊んでいた。
・・・そういうこともあって、ミサトの標的として二人は格好の的なわけなのだ。
「よっ、遅かったなセンセ。おはようさん。」
教室の戸をゆっくりと開けて入るとシンジの親友《鈴原トウジ》が声をかけてきた。
年中ジャージで過ごす彼はある意味1中の名物男でもある。
基本は黒のジャージだが、折々には白になったり青になったりもする。
噂では赤いジャージを着ると本気モードで、3倍の速さで動くとか動かないとか。
「おはよう、シンジ。今日はラッキーだったな」
トウジの傍の椅子に座っていたメガネをかけた少年《相田ケンスケ》が軽く敬礼しながら挨拶をする。
彼もいわゆる1中の名物男の一人なのだが、その知名度は表よりも裏の知名度の方が高い。
ケンスケの趣味はミリタリー関係と写真である。
『基本』は先日横須賀へ空母の写真をとりにいったようにミリタリー関係の写真をとることが主な趣味なのだが、
趣味が転じて商売にまでなっている『美男美女写真販売』が今では彼の趣味の時間のほとんどを占めている。
最初はクラスメートに好きな子の写真を頼まれて隠し撮りをしたのがきっかけだった。
写真にこだわりを持っていたケンスケはできるだけいい『絵』になるタイミングを狙って
自身会心のできともいえる写真をクラスメートに渡した。
その時の報酬は昼食(パンとジュース))3日分であったが、そんなことよりも自分が撮った写真をみて
ケンスケは思った。
『こいつってこんなにかわいかったけ?』
頼んできた奴には悪いがケンスケにはそんなにかわいい子だと思えていなかった。
だが、自分がとった写真の中の彼女はどうだろう。
部活動中に友人と笑顔で話している姿が実に『絵』になっていた。
俺の腕も結構なもんじゃないか。
これで被写体を選んでとったらもっといい写真がとれるんじゃないか?
そう思って狙いを定めたのが誰でもないアスカだった。
結果はいうまでもない。
そしてそのタイミングで以前に写真を頼まれたクラスメートから話を聞いたその友人から
アスカの写真を欲しいと頼まれた。
確かにかなりいい出来で正直他人に渡すのはちょっと心が引けたが撮った写真を渡した。
そこからだ。
ケンスケの元に写真の注文が来るようになったのは。
大抵自分の好きな子の写真を頼みにくるが、アスカの写真の注文が圧倒的に多かった。
最初の1枚の効果だともいえるだろう。
そうして気が付いたら最新のカメラが買えていた。
味をしめたケンスケはあらかじめ目ぼしい、売れそうな写真をとっておいて手広く販売を始めたのである。
ついにはどこからか話を仕入れたのか女子にまで写真を頼まれるようになった。
この場合諸刃の剣となりそうであったが、販売ルートの拡大の為にケンスケは女子向けの写真もさばきだした。
こうして『裏の名物男』ができあがったのである。
なんというか最初の頃の気持ちが今ではほとんどなくなってしまっているのが悲しいところだ。
余談だが、ケンスケが始めて売ったアスカの写真はシンジが作った料理を幸せそうに食べる写真であった。
「ミサト先生はまだなんだね」
「ああ、今日もきっちり職員会議遅刻したみたいだしな」
「ワイが校門くぐった時、もの凄い勢いで走っていきよったからな」
「そっか。こんなに遅いなんて教頭先生に怒られてるのかな?」
「いや、多分違うよ」
ケンスケのメガネが怪しく光る。
「俺の情報網によると今日このクラスに2人転校生が来るらしいからな。その関係で遅くなってるんじゃないか。」
「ほぉ、転校生かいな。で・・・どっちや?」
トウジがケンスケに顔を近づける。何故か真剣な表情だ。
「ご期待通り女の子だよ。二人ともね」
「ほぉか。かわええ子やったらええなぁ・・・な、センセ!」
「う、うん。そうだね」
何を想像したのかシンジが少し顔を赤くして答える。
その顔をみてケンスケが自分の頬を指差した。
「シンジ、また惣流に殴られたのか? それも今日は両方」
シンジの左と右頬には真っ赤な手の跡があった。
片方は朝、アスカに思いっきりひっぱたかれた時のもの。
もう一方は、交差点でぶつかった女の子にひっぱたかれたものだ。
「ほんま綺麗に跡ついとるわ。相変わらず惣流は凶暴やなぁ」」
「うん、片方はアスカに、ね」
「往復ビンタやなかったんか。
そうするともう一方はどうしたんや? 朝からおとんと男の語り合いをしたんか」
「トウジ、それだったらグーだろ。手の大きさからして女の子だよこれは」
「女子か。惣流以外に誰がシンジにこないなことするんや?」
「うん・・・実は」
シンジは家を出てから交差点でぶつかった事を二人に話した。
「し、白って! お前みたんか!?」
「・・・はっきりと・・・」
「で、その後ピシャリか。まぁでも十二分に得したんじゃないのか」
「ほんま朝からシンジはついとんなぁ。かぁ〜っ、うらやましいわ」
「そうだね、痛かったけどちょっとだけ得したかも」
にやけたシンジが親指と人差し指でちょっとだけというジェスチャーをした途端、衝撃が彼を襲った。
「朝っぱらから3バカは何の話してんよっ」
シンジを背後から殴ったアスカは腰に手をあてて3人も睨む。
「何の話て、そりゃ男のロマンの話やないけ」
「男のロマンが聞いてあきれるわね。『バカの戯言』の間違いじゃない?」
「なんやと!」
「何よ!」
トウジとアスカの視線が激しく交差する。
一見一触即発だが、実際には日常茶飯事のようなことなのでクラスの誰も気にはしない。
「ちょっと、二人とも今は朝のホームルームの時間なのよ。席について先生を待たなきゃダメでしょ」
1名だけ気にする人物がいた。
《洞木ヒカリ》
2年A組の委員長を務める女の子である。
メガネをかけていないのは残念だが、その分(?)責任感が強化されている。
「でもヒカリ、こいつらが」
「でもも、ともも、何もないの。ちゃんと席について先生を待つの!
 鈴原も席につくっ! つくったらつくのっ!」
強気なアスカにしてはその言葉に素直に従って自分の席につく。
トウジも完全に毒を抜かれた顔をして自分の椅子に座る。
それを見るとクラス中が自分の席に座った。
別段ヒカリが怖いとかそういうわけではない。
その持って生まれた『委員長オーラ』みたいなものがあるのか
クラスの誰もヒカリに逆らわない。
いや、逆らえない。
全員が自分の席に戻り一瞬の静寂が支配した教室にドアを派手に開けた音が響いた。
「おっはよう生徒諸君!」
チャイムから大きく遅れてやってきた担任のミサトが元気に声を張り上げると教壇まですばやく移動する。
「起立。礼」
ヒカリの号令とともに全員がミサトに挨拶をした。
「みんな、ちょっち送れてごみんね」
キーンコーンカーンコーン
その言葉とともにチャイムが鳴る。1時限目開始のチャイムだ。
「あら、結構遅れてたのね。ま、1時間目は私の授業だし問題ナッシングよん」
そう言ったものの、職員会議ではさらし者にされていたミサト。
同僚の教師もすでに同情すらしていなかった。
「それじゃ、欠席者手をあげて〜・・・うん、今日も欠席なしね」
欠席者が手を上げれるわけはないが、A組ではこれがお約束である。
名前を呼んで出席をとっていたのもミサトが生徒の名前を覚えるまで。
後は教壇から見渡して空きがあるかチェックするだけだ。
「さて、と。特に連絡事項もないので早速転校生を紹介しちゃうね〜
 喜べ男子ぃ! 極上のかわゆい女の子がなんとぉ! 二人も転校してきたわよん♪」
さ、入ってらっしゃいとミサトが声をかけると
真っ白な肌、青い髪、赤い瞳。
神秘的という形容が最もしっくりくる女の子が教室に入ってきた。
教室が男の怒号で一杯になる。
ところどころで「しょっしゃー!」「キター!」「売れるぞ!」等声があがっていた。
それもかわいい双子の女の子とくるものだからその反応は通常の比ではない。
「はいはい、静かに静かにね。この子達に自己紹介してもらうから」
その言葉に教室が急にシンと静まり返る。
誰もがその声を聞こうと二人の転校生に視線が集中した。
「じゃ、お姉さんの方からおねがいね」
ほぼ期待通りの反応をしてくれる生徒に満足したミサトは自分の隣に立つ少女に声をかけた。
「綾波レイ」
にこりともせず、真っ直ぐに前を見て自分の名前だけを告げるとそれ以上は口を開かない。
ちょっとした挨拶を期待し、あわよくばその隙に質問を投げようとしていた生徒達の口も開かない。
ただ緊張しているだけなのかも。そう思いミサトも含めて待つがじっとそのまま。
その空気に耐えかねたのか隣に立つ同じ顔をした少女が肘でつっつく。
目で会話をする二人。
やがて
「よろしくお願いします」
少女は口を開くと笑顔を作った。
その表情に男子はもちろん女子もみとれてしまう。
その一瞬を撮り逃したケンスケが自分の甘さを呪っているほどきれいな笑顔であった。
「じゃ、次は私ね。綾波レナです。昨日北海道からきました。
 特技はそのうち披露できるかも、苦手なものは朝。朝起きるの苦手。
 遅刻してもにこやかに出迎えてくれるとうれしいな。よろしくね」
ぺこっと頭を下げるとレイと同じように笑顔を作るレナ。
キタキタキタキターーーー! とガッツポーズを作るケンスケ。
先ほどの姉レイの笑顔は綺麗な感じのする笑顔。
今度の妹レナの笑顔は可愛い笑顔。
見事に違う客層に受けそうな転校生は彼にとって願ってもないことだった。
一方クラス中の男子のハートが熱く沸き立つ中、シンジは姉妹が教室に入ってきた直後ら窓の外を見ていた。
どんな転校生だろうと楽しみにドアを見ていたシンジだが、
目に入ったのは朝自分とぶつかった少女。
咄嗟に首を回して視線を外に向ける。
ど、どうして朝の女の子が!?
ひっぱたかれた時の怒った表情と白い下着が思い出される。
でも得したよなぁ・・・違う違う、もしもあのことがミサトさんにバレたらまた晒し者にされちゃうよ!
シンジはできるだけ身を小さくして見つからないようにした。
・・・狭い教室では当然ながらそんなことは無駄なのだが。
彼はもう一つ抜けているところがあった。
それは教室の座席配置である。
「はい、自己紹介ご苦労様。それじゃ、席についてもらおうかしら」
ミサトは教室中を見渡す。
席の空きがなければ机を持ってこなくてはいけないが、
先月転校していった1人分の席ともう1つ席のあまりがあったハズだ。
余っていた席は廊下側の一番後ろなのですぐに分かった。
もう1つは・・・
ミサトの心に済む悪魔の格好をした『ブラックミサト』が覚醒する。
「シンちゃんの隣、空いてるわね」
確かにシンジの隣は先月転校していった生徒の分の机が空いていた。
「シンちゃ〜ん」
見つかったらダメだ、見つかったらダメだ、と念じながらも頭には真っ白な下着と
頬を染めて怒っている顔がちらついているシンジにはミサトの声が届いていなかった。
ぼーっとしてるのね・・・よし。
ブラックミサトが腰に装備した伝家の宝刀を抜く。
「シンちゃ〜ん、返事しないとおやつ抜きよ〜」
「ミ、ミサおねえちゃん。それは言わない約束だよっ!」
シンジがびしっと立ち上がる。
いつもは意識しているのだが思わずミサトを「おねえちゃん」と呼んでしまう。
その途端教室中から笑い声があがった。
小さい頃ミサトに面倒をみてもらうことが多かったシンジは
いたずらをしたり、しなきゃいけないことをしないと決まって
「シンちゃん、おやつ抜きよ〜」
とミサトにしつけられていた。
4歳〜7歳位のことであるが、以前ミサトに『思い出話』として暴露されて以来
シンジはできるだけミサトに昔の話をしないように嘆願していた。
当然のことながら、いくつもの自分にとっては面白くない思い出があるからだ。
この「おやつ抜きよ」の話をされて2週間ほどはクラスメートや教師達から
「おやつ抜きよ」で遊ばれてしまったのがシンジにはかなりつらかったようである。
「はいはい、ゴミンゴミン。シンちゃんが返事してくれなかったからね」
悪びれもせずにこやかにパタパタと手をふるミサト。
さぁて、もう少し苛めてみようかしらと口を開けようとした時、
「あっ、今朝のパンツ覗き魔!」
レナがシンジを指さして叫んだ。
教室中の視線が一瞬にしてシンジに集まる。
「ちょっとアンタ何言いがかりつけてんのよ!
シンジはアンタとぶつかって不可抗力でみちゃっただけなのよ!」
アスカが立ち上がってレナを指差す。
「そっちこそ何? すぐにその子かばっちゃって。あ、なるほど。二人って出来てるわけ?」
「そ、そんなハズないでしょ。腐れ縁のただの幼馴染よっ!」
「二人とも静かにしなさいよ、今の時間は授業中よ! 他のクラスは授業してるのよ!」
委員長の責務か二人を注意する。
「まぁまぁ、いいじゃない。楽しそうだし、じゃんじゃん続けちゃってOK牧場よん♪」
悲しいかな、担任がこれなので彼女の責務はどんどん増えていく。
「それにみんな興味ある話題っしょ?」
うんうんとクラス中が頷く。
「ア、アタシはただ事実を述べてるだけよ・・・」
「でもぶつかっただけなのに転んで私のパンツを間近でじっとみてるなんて
ただの変態さんじゃない」
「あ、あれは頭を打ってクラクラしてて・・・」
しどろもどろにシンジが言う。
「じっと見てたのよね」
「うっ・・・」
「じっと見てたのよね」
「・・・」
赤い瞳がシンジをみつめる。
「レナちゃんあんなことされたらもうお嫁にいけないっ」
「あんなことって転んだ拍子に見てただけじゃないかっ!?」
「ううん、綾波家では14歳になった女の子は初めてパンツを凝視された
男の子と結婚しなくちゃいけないの」
「な、なにバカなこと言ってんのよアンタ! それにぱんつぱんつって恥ずかしくないの!?」
アスカがすばやく反応するがそれより早くレナの隣から強烈なチョップが入った。
「痛いよ、おねぇ〜」
「嘘は、ダメ」
「いきなりチョップは痛すぎだよ〜」
「嘘は、ダメ」
「チョップは酷いよぉ〜」
「嘘は、ダメ」
「うぅぅ・・・嘘じゃなくてネタだもん」
涙目で訴えるレナ。
レイは少し考え込むと
「ならOK」
親指と人差し指でOKのサインを作った。
「嘘とかネタとかアンタ達変な姉妹ね・・・」
そのやりとりに毒気を抜かれたのかアスカは肩から力が抜けた。
あまりにもアホらしくなったのである。
同じくクラス全体からも力が抜けた。
「はいはい、とりあえずシンちゃんにどっちの子に隣に座ってもらうか
決めてもらおうと思ったけどいいもの見せてもらったんだし綾波さん・・・あ、妹の方ね。
うーん、今までこのクラス苗字が同じ人いなかったからなんか面倒ね。
レナはシンちゃんの隣ね。レイは廊下側の一番後ろに座って頂戴」
ミサトの指示に従って席へ移動する二人。
「そうそう、二人とも教科書届くの明後日だから隣の人それまで見せてあげてね。
レイちゃんは隣の洞木さん。レナちゃんはもちろんシンちゃんね♪」
「というわけでよろしくね、シンちゃん♪」
「あ、あのっ・・・」
いきなりシンちゃんと呼ばれて真っ赤になるシンジ。
シンジ君とは呼ばれることはあってもミサト以外でシンちゃん呼ばわりするのはいない。
ましてや同年代のかなりかわいい女の子からいきなりそう呼ばれたら非常に照れくさいものがある。
「いきなりシンちゃん呼ばわりとはアンタ、礼儀もなにもない子なのね」
シンジの斜め後ろ。つまりレナの席の後ろのアスカが言い放つ。
「私この子の名前知らないし、先生がそう呼んでたからこれがこのクラスでの
オフシャルな呼び方だと思ったんだけど」
「なわけないでしょ。そんな風に呼ぶのはミサトだけよ」
「あなたこそ、先生を呼び捨てね」
「いいのよアタシは。それにミサトはそんなこと気にするような教師じゃないわよ」
「そゆこと〜。でも他の先生にはダメよん」
「そうなんだ。私は綾波レナ。おねぇもいるから名前で呼んでくれた方が分かりやすいし呼びやすいだろうから
名前で呼んでくれていいよ。パンツ覗き魔さん♪」
自分の椅子に座るとシンジの方を向いたレナ。
「パ、パンツ覗き魔って・・・朝の事は悪かったからその呼び方は勘弁して欲しいかも」
「シンちゃんでダメ出しされたら今の私はこうしか呼べないもん。名前教えて欲しいな」
「シンジ、碇シンジ。よろしく・・・レナ、さん。僕の事は好きに呼んでくれてかまわないから・・・パンツ覗き魔以外でね」
「碇シンジ君か・・・ミサト先生みたいにシンちゃんでもいい?
こうしてみてるとなんか『シンちゃん』って感じがするもの」
「変態扱いされなきゃなんでもいいよ」
「うん、よろしくねシンちゃん」
さりげなく非難の意味もこめて言うシンジだが、そういった意味はレナには通じてないようだ。
バキッ
そんな二人のやりとりを間近でみていたアスカの鉛筆が音を立てて折れた。
 

 

<つづく>  

 

 

かなり放置しておいて短いですが第2話です。

 読んでいただいたようにオリキャラとして『綾波レナ』を登場させています。

 学園レイの雰囲気をもつキャラとして別に作りました。

 レイの方もちょっとアレなところ満載の性格となっております。

 どうしても『商店街』と銘うっているのでぽっと出のキャラ等でてきますが、

 オリキャラが動きまくる事をご容赦いただけるなら次話以降もお付き合いしていただけるとうれしいです。 

 

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