「アスカ、気にしない方がいいわよ。」

「ふぁにふぁ?」

口の中のケーキをのみこんでから話そうね、アスカさん。

「その〜〜、碇君のこと。」

「べっつに、気にしてないわよ。アタシが何を気にしなくっちゃいけないっての。」

「そう、ならいいんだけど。碇君ってやさしいから・・・。」

(そうよね、アイツ誰にでもやさしいからなぁ)

そう思いながらも、ケーキを追加注文せずにはいられないアスカさんであった。




ねるふ商店街のみなさん    その2 綾波しすたーず



「つ、ついたよ・・・・・・」

綾波姉妹を伴って、帰宅したシンジはすでに疲れきっていた。

なぜなら、

「シンジ君いいのかい?」BY やおやめがねくん

「シンジ君ほどほどにな」BY CDショップロン毛君

「シンジ君・・・・・・信じてたのに・・・・不潔よ!」BY おでん屋の看板娘

などなど、会う人会う人にいろいろ言われ、ほとほとまいっていた。

「へぇ〜、ここが新しいお店か・・・。」

綾波姉妹がシンジに案内してもらったのは自分達の新しい家。

疲れているシンジを気にせず、二人は改装されたばかりの新しい我が家にみいっている。

「じゃ、僕帰るね。またあした。」

今日1日いろいろなことがあり、疲れ果てたシンジは早く横になりたかった。

「うん、送ってくれてありがとうね。じゃあ、また明日!」

「ありがとう・・・感謝の言葉・・・・・」

こころなしかレイの顔が赤いようだったが、気にせずシンジは家へ帰った。

ふとんが恋しいシンジ君であった。









が、

「シンジ、店が忙しい。手伝え。」

帰るそうそうゲンドウにつかまった。

シンジの日常からすれば、お約束の展開だ。

店を見てみると、確かに満席でユイがいそいそと調理しているのが目に入った。

疲れてるんだ、休ませてよと言おうかと思ったが、いつもの

「手伝うなら早くしろ。でなければこづかいダウンだ。」

がくるに決まってるからやめた。

「で、今日は何すればいいの?」

手早くエプロンをつける。家庭科で自作したものだ。

サルのアップリケがポイントとなっている。

「ユイのサポートだ。」

「わかったよ。」

調理場に入り、ユイになにをするか聞き調理を始める。

もともとユイに習った料理だが、今では師匠を超えてしまっていた。

ゆえに、夕方シンジが帰ってくるころを狙って、

ショタはいった方々があらわれる頻度があがった。

美少年のおいしい手料理が食べられる。

そんな口コミの結果だ。

出所は謎であるが、マヤの学生時代の友人が多数現れるとだけ追記しておく。

「A定あがったよー」

今日も元気に笑顔ではげむシンジ君。

日の出食堂は今日も大繁盛だ。








8時ごろやっとお客がひけた。もう、閉店時間になっている。

「もう、いいかな?」

「そうね、閉めましょうか。」

ユイがのれんをおろしに行った。

「シンジ、今日の夕食はお前が作るのだ。6人分な。」

「えっ、6人分?」

「そうだ、おとなりを夕食に呼んである。」

「綾波を?」

「そうだ。メニューはまかせる。」

そう言いながらテーブルを丁寧にふくゲンドウ。

見た目とは違い、非常に丁寧に仕事をこなすため店内の清潔感は守られている。

「お客様がいらしたわよー。」

のれんを持ったにこやかなユイの後ろには3人いた。

レイ・レナ・二人によく似たやさしそうな美人のお姉さんの3人だ。

メニューを考えていたシンジだが、すでに視線はお姉さんにくぎずけだ。

(きれいなひとだな〜。二人のお姉さんかな?おかあさんにしては若く見えるし・・・・

でも、ほんとにきれいだな〜。名前はなんていうんだろう?)

なんて考えていて、メニューどころではなかった。

年上のおねえさんに弱いシンジ君である。

「シンジ、レンさんに見とれてちゃダメよ。」

ユイがのれんの先でシンジの額を突っついた。

さすが母。息子の好みは把握している。

「べっ、別にそういうわけじゃないよ。ただ、何作ろうかなぁって考えてただけだよ。」

「そう?じゃ、頼んだわね。」

「わかったよ。」

レンさんっていうのか・・・。綾波とレナもああいうふうになるのかなぁ。

レイ・レナと違い全体が大人の雰囲気を持っている女性。

二人の発育が悪いのは姉が持っていってしまっていたから、と思わせるほどのプロポーション。

青少年を悩ますのには十二分な魅力的おねえさんだ。

と、悩める青少年は考えることも多々あるのだが、とりあえずメニューが急務だ。

まだ何も決めてない。とりあえず嫌いなものを聞いてみることにした。

「何か嫌いなものありますか? えっと、レンさん?」

シンジが問い掛けた相手はもちろんお姉さん。

緊張している様子で声が少し震えている。

「何でも大丈夫よ。シンジ君の料理っておいしいんですってね。楽しみだわ。」

お姉さんはにっこりと答えた。

その答え(特に笑顔)にシンジはやる気急上昇!

「お肉、嫌い。」

「えびアレルギーなの。えびはパスね。」

レイ・レナも答える。

「了解。」

シンジは調理にはいった。








数10分後

「おまたせしました。」

シンジが運んできたものは、いわゆるA定食とよばれている

ご飯・おみそしる・ころっけ・サラダ・小鉢(日替り)

日の出食堂がほこる定食である。

本当は最も得意な(得意にならされた)ハンバーグにしようと思ったが、

レイが肉は嫌いといったのでやめた。

で、次に得意とするコロッケを出すことにしたのだ。

「たいしたものじゃないけど、食べてみてよ。」

「「「いただきます」」」

綾波姉妹が一口コロッケをかじる。

「えっ?なにこれおいしい。」

「ほんと、こんなにおいしいコロッケは始めて。」

「・・・。」

レナ・レンは感想を口にするが、レイはもくもくと食べている。

が、なんとなく幸せそうな表情と箸の進み具合から料理が気に入ったことはうかがえる。

「よかった。口にあうみたいで。」

シンジもほっとして、箸をとる。

「でもシンジ君すごいわね。私のとこにお婿さんにきてもらおうかな?」

「えっ!?」

レンの突拍子のないセリフに動揺するシンジ。

「あの、その・・・」

「ダメよ姉さん。りょーさんにいいつけちゃうぞ。」

「あはは、冗談よ冗談。もう、レナったら、睨まないでよ。」

隣のレナの頬をちょんちょんとつつくレン。

「あの、りょーさんて誰なんですか?」

男性の名前らしきものが上がり、興味をもったシンジ。

「姉さんの婚約者・・・。」

もくもくと食べていたレイが答える。

「今、海外で仕事をしてるのよ。ねっ、姉さん。」

「ええそうよ。なかなか連絡よこさないけどね。」

「そうなんですか・・・・・・。」

誰が見てもがっかりしたという表情をするシンジ。

感情が表に出やすい。

「あらシンジ、がっかりしちゃった?」

ユイがちゃかす。

「そんなんじゃないよ。ただ、どんな人かなって思っただけで。」

「よかったら、うちにこない?写真あるよ。」

「ありがとうレナ。でももう遅いから。」

「問題ないわ。」

ボソッとレイが答える。

「そうよ。まだ散らかってるけどどうぞ。」

「そうそう、もっと遅くなったら私の部屋にお泊まりもOKよ♪」

「えっ!?」

レナの発言にシンジが顔を真っ赤にした瞬間、

ドスッ!!

レイがみごとな地獄突きをレナに決めていた。

「おねえ・・・イタイ・・・・」

「それは、ダメ。」

「そうそう、もしも間違いがあっちゃいけないわよね。と、いうことでシンジ君は私と・・・」

「姉さん・・・」

今度はレンにレイの氷のような視線が突き刺さった。

「いやね〜、冗談に決まってるでしょ。」

右手をぱたぱたとさせるレン。

「家は隣だし、ちゃんと送るわよ。」

「それも違う・・・」

レンの真面目な答えも否定するレイ。

「何が違うの?」

レイは頬を染めながら箸でトマトを突き刺す。

「ふふふ。シンジ、モテモテね。」

「うむ、私の若い頃のようだな・・・」

そう言って箸を止めるゲンドウ。

顔には汗が浮かんでいるようだ。

「さて、夕食終わったら私が片付けしておくからシンジは隣におよばれしてらっしゃいね。」

「うん、そうするよ・・・・」

綾波姉妹の発言で赤くなっていた表情もすでに普通にもどっている。

いや、その目はゲンドウを哀れんでいるようであった。

『父さん、また失言だね・・・』

きっと綾波家に自分が行っている間に母にお仕置きされるであろう父を哀れむ息子がそこにはいた。









つづく(予定)


作者より
う〜ん。姉妹の人数が一人多かったか・・・。
いまいちまとまらなかったなぁ。
でも次回は・・・
またまたアスカちゃんが激怒しそうな事がおこるかも


 

御意見御感想はこちらまで


<SSいんでっくすへ>