「いらっしゃいませ〜。」

お客様に渡された商品のバーコードを通す。

ピッ!

「800円のお買い上げでございます。」

最近このバイトにも慣れてきて、応対もスムーズに行えるようになった。

たまたま立ち読みしてる時に目に入った、バイト募集の張り紙から、

書店でのバイトをすることとなったのだが・・・・これが意外ときつい。

まずは、レジ。

たいしてすることもなく、ただ突っ立っているだけ。

時折近くの棚の整理に行くくらいだ。

そして、返本作業・・・・

これが波がありすぎる。

雑誌の返本は、その雑誌の発売日に箱詰めするわけだが、

当然月初めなどは、たくさんの本が山積みになって俺に伝票書きを強要する。

その雑誌の中でも俺の最強の敵は、アフ○ヌーンだ。

この本。マイナー系で普段はあまり売れない(月によっては0冊)のだが、

突発的に行われる、テレカサービスが曲者だ。

テレカ狙いで、雑誌をまとめて全部買っていくお客がいたりする。

たしかに、売れるのはいいことだ。


店の売上が上がるし、返本数も減る。

しかし・・・・現在のシステムは、翌月に入荷する冊数を前月・前々月の売上数から割り当てられる・・・

というもので、必然的に翌月には売れ残り確定のア○タヌーンが大量に入荷されてくるのだ。

この1冊が太くて大きい天敵は、これだけで1箱できてしまう。

いや・・・1箱で収まらない時もある。

これは、トー○ンの陰謀か?

年始に大量に入ってきたニュー○イプとアニ○ディアも大量に売れ残ったぞ!?

などと不謹慎なことを考えながら、手馴れてきた梱包作業に没頭する。

さて・・・・一息ついた。

まだ作業は残っているのだが、ずっと同じ作業では息が詰まる。

そんな時は、一通り本棚の整理をするのがちょうどいい。

2人制のバイトシフトのため、一人がレジにかかっていると、自然と立ち読みなどによって、

本棚が乱雑なものとなってしまう。

そのため、定期的にまわる必要だあるのだ。

そんな本屋の店員の仕事の定番である本の整頓は、実は結構楽しめる。

本棚をみていると・・・ふと見た雑誌の見出しや、良さそうな小説などを発掘できることもあるのだ。

やるか・・・。

とりあえず、入り口付近のアルバイト情報誌や住宅関係の情報誌の棚から整頓する。

さすがに適当に置かれている。

せっせとさし直す。

平積みも整頓し終わって、

「ぱーぺきだ!」

と独り言を発した時、ドアが開いて新たなお客が入ってきた。

「いらっしゃいませ。」

かわいい子だな・・・・・・

お約束のあいさつをした俺は、彼女にみとれてしまった。

じっとみていると、彼女はきょろきょろとまわりを見回していて何かを探しているようであった。

ちょっとスケベ心もあったが、ここは店員として声をかけるべきだと思い声をかけてみた。

「何かお探しでしょうか?」

「えっと、”えろほん”ください。」

「はい!?」

すさまじい衝撃を受けた。

これまでに、お水系のおねえさんから、Ci○y○eavenありますか?とか聞かれたことはあったが・・・

こんなかわいくて、純真そうな子が・・・・・・












そ、そうか!

彼女はきっと、ヲタク少女なんだ!

ヤオイ系の同人誌の資料のためにそれ系の本を買いに来たに違いない!!!

確かにアレもえろほんには違いない。

うん。

自己完結する俺。

確か、バイトの先輩に教えてもらったそれ系の・・・・・あった。

「こちらでよろしいでしょうか?」

「うん。」

無邪気に返事をする彼女。

レジに入ると、レジ係の同僚を押しのけ手早く袋にいれ、会計をすませてあげた。

「ありがとう〜。」

「ありがとうございました。」

会計をすませて店を出て行く彼女を見送った俺は、今年の夏は1日目から行こう!

と心に決めるのであった・・・・・・・





あとがき

今回はノーコメ・・・・ということで・・・・・


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