「祐一こないなぁ。」

いつもは4人で食べている昼食。

今日は3人である。

「家には電話したの?」

「うん。まだ帰ってないって。」

「そう・・・」

場が暗くなった。

幻のカツサンドをおいしくいただこうとしていた北川は場の風を感じ、

その場をなんとかしようと雑誌を取り出す。

「ほらほら、ここの星占いみてみろよ。相沢の奴、今日は↑だぜ。

 ”運命の出会いあり”だって。案外、どこかで運命の出会いでも

 してたりして。ははは。」

北川がどんな雑誌をとりだして、星占いを語っているかは謎である。

だが、明るくしようとした彼の言葉に名雪は違う意味で暗い顔をした。

あんな祐一君に想いをよせちゃったりしている名雪さん。

祐一君の習性というか宿命はしっかりと把握しているだけに、

ありえる話だけにさらに暗い気持ちになっていくのであった。

ウサギカットしてあるりんごを見つめる。

そんな名雪を見て、やばさを察知した北川は、香里に話しをふった。

「なぁ、美坂は何座だったけ?」

もちろん北川は誕生日だけでなく、スリーサイズから、休日も過ごし方まで

きっちりおさえているのだが、あえて間をとるために聞いた。

「ペガサス座よ。」

えっ?

北川は固まった・・・・・・・・・・



Kanon連載SS 奇跡が起こった日 第5話 



再び目がさめた時、すでに窓の外は暗くなっていた。

頭がまだ痛い・・・・・・

時計が目に入った。

現在PM5:48

うっ、もう帰らないと夕食にまにあわなくなる。

秋子さんも心配するといけないからなあ。

そういえば、名雪・・・・・・・心配してたりして。

俺、結局学校行かなかったから。

とりあえず助けてくれたあの子にお礼を言って帰らなきゃ。

ベッドをおりようとしたが、俺の横になぜかふくらみがある。

そういえば、俺なぜかベッドの端で寝てたな。

と思い、よくみると・・・・・・・あの子が気持ちよさそうに寝ていた。

どうりで、ふとんの中が暖かいわけだ。

寝なおすか。

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じゃなくて!

なんだ?なぜ?Why, Teach Me!!!

必死に思い出す。

気を失う直前・・・・・・・とくになにもなかったよな。

で、頭をうって気絶したと。

うん。間違いないハズ。

服は・・・・・・・着てるな。

この子も・・・・・・・・着てるな。

彼女はいつのまにかパジャマに着替えていた。

ぐぅっ!これはっ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・栞さん、パジャマのボタンはちゃんと上までかけようね。

う〜ん、将来に期待というところか?晩成か?ってなにに期待なんだ?

自分で一人ボケツッコミをしてみたが、とりあえず何も言わないで帰るのは

いけないなと考え、隣で眠っている彼女を起こすことにした。

が、その時運命の女神が舞い降りた。

「ただいま〜♪栞、調子はどう?」

にこやかに女神は舞い降りた。

そして、お互い固まる。

・

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(1分経過)

「なんで相沢君が栞のベッドで寝てるのよ!!」

「いや、その・・・」

「まさか、栞にあんなことや、そんなことや、こんなことをしたんじゃないでしょうね!」

香里はヒートアップしている。香里ってこういう奴だったのか?

「確かに栞はかわいいし、かわいいし、かわいいし・・・思わず抱きしめたくなる
 
 のは私も分かるわ。私もそう思うもの。でも、相沢君のしたことは許されないことなのよ!」

「だから、俺は栞ちゃんに・・・・・・」

「栞”ちゃん”ですって!なれなれしく呼ばないでちょうだい!それとももうそんな

 仲だというの!」

手がつけられない・・・・・・・どちらかというと冷静な感のあった彼女だったのに。

「とりあえず、それはおいといて・・・」

「おいておけないわよ!それより栞はどこなの!!まさか、栞のかわいらしさに

 惑わされて、拉致監禁したんじゃないでしょうね!」

香里の位置からは栞(姉を香里と呼んでいるのだから、妹もこう呼ぼう)が

見えないらしい。栞は布団を頭からかぶって眠っているからだ。

にしても、俺がここにいて拉致監禁などできるわけがなかろう。

本当にしているならば、いまごろは暗い1室で・・・・・・・・って、そんなことはしないさ。

香里のやつ、ふくらみに気がつかないほど冷静さを欠いているということか?

と、ふいに隣のふくらみが動いた。

「うう〜ん・・・・」

最悪最低のタイミングだ。

彼女が起きあがった。

「お姉ちゃんおはよう・・・」

正面に香里をロックオンした彼女は、とりあえず習性にしたがってだろうか、

姉にあいさつをした。

当然ながら香里は固まっている

いや、心なしかふるえているか?

ご丁寧にパジャマのボタンがいくつかはずれてたりする。

「祐一さん、もうだいじょうぶですか?」

なぜか”おでことおでこで検温”をする。

別に風邪ひいてるわけじゃないのに・・・。

寝ぼけてるな。しっかりと・・・。

その時俺はふいに殺気を感じた。

今まで感じたことのないような強烈なものだ。

「あ・い・ざ・わ・く・ん〜〜〜」

いままでに聞いたことのないような香里の声にそちらを見る。

香里はすでに怪しい構えをとっていた。

手が怪しい動きをしている。

あの手の動きは!まさか!!!!

「天誅よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

香里が1秒間に100発ほどの拳をくりだしたかのように思えた。

そして俺は今日3度目のノックアウトを余儀なくされた・・・・・・・・







<つづく(予定)>


どうも。せーりゅーです。
連載SS”奇跡が起こった日”も5回目をむかえました。
といっても、1回が短いのでたいして進んでないのですが。
なんにせよ、SSの方向性は決まりました。
さて、第6回にいきますか。

PS.今回最後のアレ(香里の技)の元ネタわかる人いるかな?


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