「はい、わかりました。どうしましょうか・・・・・・・・・・そうですね、

 そういうことでお願いします。連絡ありがとうね。はい、名雪にも伝えておく

 わね。わかってるわ。はい、おやすみなさい」

受話器を置き、彼女はため息をついた。

我らが影の(?)マドンナ”水瀬秋子”さんはこういう姿も絵になる。

「名雪になんて言おうかしら・・・」

今の電話の内容は名雪をパジャマ姿のまま雪道を突っ走らせるだけの力を秘めていた。

現在名雪は祐一のことが心配で心配で、夢の世界で祐一と会っているのだが・・・

「祐一〜、うぅぅぅん・・・・・・・・・・・。」




Kanon連載SS奇跡が起こった日  第6話




チュンチュン、チュンチュン・・・・・・・・・

すずめの泣き声が聞こえる。

「祐一さん、朝ですよ。起きてください。」

声が聞こえる。

いつもの”名雪目覚まし”ではない。

ゆさゆさ。

声の主が俺をゆすっているようだ。

体中が痛い・・・・・・・たのむ、それ以上ゆすらないでくれ・・・・・・

しかし、声にならない。

いや、うまく声が出ないのだ。

目をそっと開ける。

栞の姿が目に入ってきた。

俺が目を開けると栞は、笑顔で部屋を出ていった。

それを見て起きあがろうとしたが、体が言うことをきいてくれない。

「おねえちゃ〜ん。祐一さんが目を覚ましたよ〜。」

ぱたぱたぱたと足音がして、香里がやってきた。

そして俺の傍らに座る。

「大丈夫?相沢君・・・・」

香里の手が俺の額を触る。

ひやりとした手が気持ちいい。

「その・・・・・昨日はごめんなさい・・・あたし、気が動転しちゃって。」

しおらしく頭を下げる香里。

「お医者さんの話だと、1週間は安静にしていてくださいって事です。」

「ほんとうにごめんなさい・・・・・」

「おねえちゃんは、ギリシャにいるいとこのおねえさんに小さい頃鍛えられてたの。」

いったいどういう鍛え方したら、あんな攻撃ができるようになるんだ?

「たしか・・・・・・サンク・・・」

「栞。それ以上は秘密っていわれてるでしょ。」

「そうでした。失敗です。」

テヘッと照れたしぐさをする彼女。

にしても、サンク・・・てなんだろう?

「ということで、相沢さんを1週間ほどこちらでお世話させていただきます♪」

「栞はいろいろと事情があって、学校にいってないの。この子が世話をするっていってるから。」

「誠心誠意おつとめさせていただきますね♪」

「相沢君・・・くれぐれも栞に変なことしないようにね・・・・」

香里の目が恐かった。

ほんとうに恐かった。

にしても、この怪我人がなにかできると本当に思っているのだろうか?

思ってるのだろうな・・・信用ない俺・・・・

「じゃ、学校にいってくるから。栞、後のことおねがいね。」

「了解しました♪」

立ちあがる香里の後に続いて栞も部屋を出て行く。

姉を見送りにいったのだろうか?

そんなことより、秋子さんはこのことを知っているのだろうか?

心配してるだろうな。いや、きっと香里が連絡してくれているだろう。

学校はどうでもいいし、痛いけど休みがとれたと思うことにしよう。

それに香里とひとつ屋根の下だし。

うまくいけば、香里のあんな姿やこんな姿もみれるかも。

栞もかわいいし。最高の休みになるかもしれないな。

「祐一さんおまたせしました♪」

妄想にあけくれていると、栞が戻ってきた。

それも看護婦の格好で。


「どうかされましたか?」

というより、君のほうこそどうかしたのかと聞きたくなる。

「ちゃんと寝てなくちゃ治りませんよ。」

俺の布団を掛けなおしてくれる。

じっと栞をみていると、

「あっ、この格好ですか?この格好はおねえちゃんが用意してくれたんですよ。

 日本人は形から入るものだって言って。」

俺の視線の意味を感じとってくれたらしい。

それにしてもここに来て、香里のことがよくわからなくなった。

結局、俺は香里のことをよくわかってなかったということか。


でも、帰ってきたら香里も看護婦さんなのかな・・・そうあってほしい!

そう願いつつ、栞におかゆを食べさせてもらっている俺であった・・・






<つづく・・・と思う>


どうも〜
アップが相当遅くなりました。
でも、たいしたデキじゃないです。
3.33K程度だし・・・
なんにせよ、奇跡が起こった日第6話です。
途中つまって、抜け出せませんでした。
7話は多分、早くにアップできると思います。
また続きを読んでくださるとうれしいです。



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