12月第2日曜日中山競馬場

「さぁ、中山競馬場に未来のクラシックホース達が集まりました。

 現在ダントツの1番人気は、京成杯を圧勝した”シオリンワンダー”。

 1.2倍。2番人気は東京3歳Sの勝ち馬、内国産の雄”ピロリンウイーク”

 4.8倍。3番人気には芙蓉Sをスピードの違いで逃げ切った快速外車

 ”シャイニングアロー”。鞍上は好調外国人騎手レイ。さて、スタート

 前に解説の大窪さんにお伺いしましょう。大窪さん、圧倒的1番人気の

 シオリンワンダーはいかがでしょうか?死角はありそうでしょうか?」

 ☆出走表

「はい。調教の動きも絶好で、パドックでも好気配でした。鞍上の相沢騎手も

 2年目ながら、リーディング上位に食い込む健闘を見せていますからね。

 流れを読むことにかけては父の才能を受け継いだのか、天才といってもいいですから

 鞍上の不安はないといえるでしょう。」

「強いシオリンがみられるというわけですね。」

「はい。相手はこの距離を34秒台で走れそうなシャイニングアローと、

 まだ成長途上ながら、前走の差し脚が光ったピロリンウイークの2頭とみます。

 他にも有力な馬はいますが、34秒台の決着となると出番は難しいでしょう。」

「大窪さんありがとうございました。さぁ、今年の3歳チャンピオンを決める

 ファンファーレが鳴り響きます!」

ファンファーレが鳴り響き、ファンの声援が嵐のごとくターフを包む。

朝日杯3歳ステークスの枠入りが始まる。

「枠入りは順調なようです。大窪さん、最後に一言おねがいします。」

「来年のクラシック主役誕生の予感がします。」

「ありがとうございます。順調に枠入りが進みます。最後の1頭が枠に入り・・・
 
 係員がはなれました。スタートです! まず好ダッシュをみせたのはシャイニングアロー
 
 マウントアルタすこし出負けしたが、強引に行こうとする! 馬群がばらけてきました。

 さて先頭は・・・1馬身ほどリードしてシャイニングアロー、続いてマウントアルタ、
 
 飛ばします先頭グループ。結局ハナはシャイニング。後続3番手までなんとすでに

 5・6馬身! 3番手はアクセスエナジー、その外にミドルワールド、その外からサレーレ、

 少しきれまして3頭ならんで内からフロントディスク・ラッキーナンバー

 その直後、内からトーキュートレインちょっとかかりぎみか? 中ブルーチェア、

 外カドマイヤシーザー、さらにその外、ここにいました1番人気シオリンワンダー!

 鞍上相沢はどこでしかけるのか。その直後の外にニポンピロロータス、半馬身遅れて

 内にウインターターキー、1馬身ほど遅れてスミレセプテンバー、最後方に2頭

 並んでエバーラスティンと2番人気ピロリンウイーク! ピロリンの鞍上はG1

 初騎乗、相沢騎手とは同期の北川騎手! 虎視眈々と相沢の背中を狙います!

 さぁ、先頭はシャイニングアロー。逃げるレイ騎手、2番手とは

 1馬身半ほど差がついています。かなりのハイペースとなりました。600M

 通過タイムは33秒の後半か!? これは速い! そとめをついてシオリンが

 すでに5・6番手あたりまで押し上げてきている! ピロリンは内を突く体勢だ!

 4コーナーをカーブします。先頭は依然としてシャイニングアロー、後続に

 まだ6馬身ほどの差をつけている! 直線にはいってもまだリードをたもっている!

 マウントアルタは既に一杯のよう、馬群に飲まれていく! 先頭はシャイニング!

 外から来た! シオリンがすごい勢いで来る!! さらに遅れて内からは馬群を割って、

 ピロリンが伸びようとしているがどうか! 外目からシオリンが来た!!

 その差4馬身、3馬身、2馬身、1馬身! 坂を登ってさらにつめる! 相沢追う!!

 並んだ! かわした! 1馬身ほど出て今ゴールイン!!!! シオリンワンダーだ!!!!
 
  2番手シャイニングアロー、3番手は外のニポンピロロータスとピロリンウイーク
 
 の争いか?」


 着順





Kanon連載SS ターフに咲く恋の花? 第1R




「祐一さんおめでとうございます!」

表彰式に向かう祐一に女の子が抱きついた。

「ありがとう、栞。祝福してくれるのはうれしいけど、その・・・離れてくれないかな?

 みんなみてるじゃないか。」

しかし、今年に入ってこういう光景はよくあることなので、周りの人々が驚く

こともほとんどない。最初に重賞をとった時の表彰式は新聞などでも騒ぎに

なったものだが・・・。

「そういうこと言う人嫌いです♪」

栞はさらに祐一にくっつく。

あまり発育のよくない栞だが、さすがに薄い勝負服からではよくわかる。

さらに、これをねらったかのように、この寒い中彼女は薄着である。

まあ、薄くないと分かりにくいラインであるのだが・・・

さすがに祐一も反応しかけたが、場所を考えてなんとか自重した。

頭の中で馬の数を必死に数える。

祐一を困らせているこの栞なる人物はシオリンワンダーのオーナーである。

さらに祐一の中学の後輩で、その頃から祐一ラブ♪ で一直線なのだ。

だが、なかなか祐一をものにできない。

別段、彼女が祐一の好みではないわけでも、彼女になにか問題だあるわけでもない。

ただ祐一が女の子に関しては優柔不断であり、さらにライバルがたくさんいるからだ。

「栞ちゃん、表彰式が始まるよ。ちゃんと馬主らしくしないと恥ずかしいでしょ。」

栞のライバルの一人で特注評価(★)でもある、水瀬厩舎の厩務員”水瀬名雪”が

ふたりをはがしにかかる。彼女は母親の水瀬秋子師の厩舎で働いており、所属の祐一とは仲がいい。

さらにいとこであり、祐一が幼い頃に両親をなくしたためにそのころから一緒に暮らしている。

つまり、一番危険なライバルなのだ。ついでに姉の親友でもあったりする。

といっても、彼女がシオリンワンダーの世話をしているわけではない。彼女は

シャイニングアローの世話をしているのだ。そんな彼女がなぜここにいるかは

謎である。気にしないように。

「そうですよ、栞さん。みなさんに迷惑がかかりますから行きましょう。」

そう声をかけたのは、シオリンワンダーの世話をしている美汐である。

「ピロ負けちゃったよ〜。」

その後ろには美汐の服の裾をつかんでいる女の子がいる。

美汐を姉のように慕っている少女、沢渡真琴である。

そのあいらしいしぐさからファンが多く、パドックで彼女のひいている馬ではなく、

彼女の写真を撮っている若者が多くいるほどだ。

美汐と真琴はよく”姉妹のように仲がいい”といわれるが、祐一曰く、

「ご主人様と、ペット。」

らしい。もちろん、変な意味ではないのだが・・・

「相沢さん今日はごくろうさまでした。」

「いや、天野さんが一生懸命ワンダーの世話をしてくれたからだよ。すごく

 いい状態だった。ありがとう。」

「そんな・・・」

「いや、ほんとうに感謝してるよ。」

「私は先生にいわれたとうりに・・・」

「そんなことないって。天野さんの気持ちが馬にあらわれていたよ」

・

・

・

「・・・・・・・・・・・祐一さん・・・・いきますよ」

祐一と美汐の間に流れる不穏な空気が気に入らない栞は実力行使にでた。

祐一の左腕をとって、表彰台まで引きずっていく。

『いままでノーマークだったのに・・・天野美汐、要チェックです・・・』

新たなライバルを認識した表彰式の彼女の笑顔はちょっと恐かったりした・・・

<つづく(予定)>



こんばんわ、こんにちわ、おはようございます。
せーりゅーです。
連載その2”ターフに咲く恋の花?”改訂版です。
第1話いかがだったでしょうか?
基本的にはコメディ路線で進む予定です。
最終話までおつきあいしていただけるとうれしいです。
にしても、Kanonはもう1つ連載やってるし、
不定期ながらもエヴァのSSもやってたりする・・・・・・
終るのか?(爆)
改訂のついでに馬齢表記も直そうかな? と思いましたが、
以前のままで進めちゃいます。
ではでは感想待ってま〜す♪
PS.このSSの出走表・着順を作るプログラムをいただいた
   タマモさんに感謝♪
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