「これで、私達は自由よ・・・・・・・」

月明かりが差しこむのみの、薄暗い部屋。

無表情な妙齢の女性が祐一達4人の前に立っている。

「秋子さん・・・・・・。」

祐一はその女性”水瀬秋子”の方へと手を伸ばす。

「こちらへ来てはダメよ。」

目を閉じた秋子は祐一達に背を向ける。

他の3人には困惑の表情が浮かんでいる。

「現在、日本で私達”Kanon”のことを詳細に知る者はすべて”処理”しました。」

「「「なっ!!!」」」

祐一の後ろの3人は驚きを隠し得なかった。

しかし、祐一だけはその言葉が発せられるのをわかっていたかのように、冷静であった。

「やはり、この騒ぎは秋子さんの仕業ですね。」

テレビのスイッチを入れると、報道特別番組がいたる局で放送されていた。

高級官僚の邸宅や、主要な施設の爆破テロ。

番組は混乱を極めていた。

次々とあげられる死者の名前。

そのすべてを秋子がやったと祐一はいうのだ。

「すべては、私達の平穏のためよ。」

なにごともなかったかのように、彼女は答えた。

「秋子さん!!」

祐一はさらに一歩前にでるが、突然体が硬直する。

一瞬にして、祐一につきつけられる拳銃。

秋子からはなたれる殺気。

「これが・・・これが私の方法なの。」

「でも、そのためにあいつらの家族まで巻き添えするなんて・・・間違ってますよ!」

「間違っていたのは彼等。私達を縛っていた鎖。私達の生活・・・」

秋子は拳銃を祐一に投げる。

グリップに雪ウサギの描かれた、秋子愛用の拳銃だ。

「あれしか、方法がなかったの。自分の罪は認めているわ。だから、私は平穏に帰らない。」

秋子は部屋から出ようとする。

「待ってください。名雪は、名雪はどうするんです!」

「それが私の形見よ。あの子に渡しておいてくれるかしら。」

部屋から出て、ドアを閉める秋子。

「秋子さん!!!!!!」

祐一は力一杯叫ぶ。

「もう一度言うわ。貴方達は自由よ・・・・・名雪をお願いね、祐一さん・・・」

その言葉を最後に祐一達は秋子と会うことは無かった。




トリガーを引くのは    第3話





「あの時の夢か・・・・・・」

自分のベッドで目覚めた祐一。

月に1・2回見る、過去のできごと。

大切な人との別れの時。

自分を捨てて、祐一達に”平穏”をくれた女性。

あの後、祐一は名雪に秋子の”死”を告げた。

悲しみにくれる名雪。

そんな彼女を見て、祐一は今の仕事を始めることにしたのだ。

誰かの”平穏”を護るための仕事を。

「さて、今日もがんばるか!」

祐一は気合を入れて起きあがった。

そして、朝1番の仕事”名雪を起こす”という大仕事のために彼女の部屋にむかう。

ノックくらいじゃ起きないので、ノックなしに部屋に入る。

「おら!起きんかい!!」

強引に布団を剥ぎ取る。

中から現れる2人。

名雪と栞が寄り添って眠っている。

「そういえば、栞が一緒に寝てたんだった・・・・」

栞のパジャマがめくれた部分の白い肌がまぶしかった。

寝る前に栞は強固に

「祐一さんと寝る!」

と主張したが結局名雪と寝ることに落ちついた。

昨日の狙撃後、暴走する栞をなだめ、なんとかここまで連れてきたのだ。

潤は次の仕事の契約があるとかで、香里を送ってそのままどこかへ行ってしまった。

香里は自分も一緒にいると主張したが、祐一の足手まといだという言葉に、

おとなしく家にかえることとなった。

そして、今日から後3日間のボディーガードとなったわけだ。

犯人の狙いがお見合いの中止であれば、この3日間が山場となるはずである。

それにしても、たかがお見合いの妨害で命まで狙ってくるとはそうとうなものだ。

そのためこのお見合いの裏をとるために、祐一は昨日知り合いの情報屋に電話をかけていた。






「は〜い、こちらあゆちゃんです☆」

「おう、うぐぅか。ちょっと頼みがあるんだけど。美坂家と久瀬家のお見合いについて

 調べてくれないか。」

「わかったよ。いつまで?」

「明日の夕方までには頼む。」

「うぐぅ・・・早いよう。」

「報酬は倍払う。」

「あと、たいやき屋台のツケも・・・」

「それは食い逃げだろ。」

「そういうこという人嫌いです。」

「それ、キャラちゃうやろ。」

「うぐぅ。」

「わかった。いつものおやじさんだな?」

「うん、そうだよ。契約成立だね♪」




などという会話があった。

祐一としては、夕方の連絡まで待っていたかったが・・・・・・・そうもいきそうにない。

「祐一さん、明日はデートしましょうね♪」

という栞のわがまま・・・もとい、頼みを断りきれずにOKをしてしまったためだ。

「う〜ん・・・・・・・おはようございましゅ、祐一さん・・・・・」

栞が目を覚ました。

目をこすりながら体を起こす栞。

が、当然ながら名雪はまだ眠っている。

今日に限っては無理に起こす必要はない。

祐一は栞に、朝食をとりにいくから着替えてこいと言うと、部屋を出た。

20分後、

「祐一さん、おまたせしました。」

着替えた栞が出てきた。

「さて、行きましょうか。」

玄関に降り立った祐一は手を差し出す。

「はい♪」

栞は手をとった。

お嬢様の休日は始まったばかりである。




<つづく>



3話目をお送りします。
今回は4K届きました。
でも短いです。
ホームランで点を取るより、短打の連発で点を取るほうが好きですから(笑)。
でも、巨人ファンなのよね。ボク・・・・・・


御意見・御感想はこちらまで



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美汐「私がまだ出てこないわね・・・」
真琴「あう〜。」
美汐「いいのよ真琴。所詮私はサブキャラなんだから。」
真琴「そんなことないよ。美汐ちゃんは真琴の”王子様”だもん」
美汐「真琴・・・・・あなたこそ、私のヒロインよ・・・・・」
真琴「美汐ちゃん・・・・・」
美汐「真琴・・・・・・・」
北川「って、ちょっとまったぁ!!!そういう、非生産的世界は却下だぁ!」
美汐「出たわねギャグキャラ。」
真琴「あう〜」
北川「俺のことギャグキャラっていうな!栞ちゃんの方がよっぽどアレだぞ!!!」
美汐「いいの?そんなこといっても。」
真琴「あう〜(北川の後ろを指差す真琴)」
北川「え?(ふりかえる)」
香里「栞をそんなふうに言う人・・・・・」(香里+100tハンマー)
美汐「さようなら・・・・・」
香里「嫌いよ〜!!!!」(ドッゴーン)
北川「うわ〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
真琴「お星様になちゃった。」
美汐「彼も星(スター)になれてうれしいかもね。」