ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ・・・ 朝。 アパートの1室に目覚ましの音が鳴る。 布団から手が伸び、それを止めた。 その人物は布団から出るとあくびをしてクマがプリントされたエプロンをつける。 そして朝食の支度を始めた。 数分後、愛する旦那様を起こす。 「朝・・・・。」 「・・・・・」 しかし、旦那は起きない。 「祐一、仕事遅れる・・・・」 布団を剥ぎ取った。 そこにはなにも身につけていない祐一が転がっていた。 「舞~、もうすこし眠らせて・・・・・・・・」 祐一は枕を抱いて転がる。 「朝・・・・・・」 再び舞は声をかけた。 「昨日、お前がなかなか眠らせてくれなかったから、眠いんだよ~。」 さらに転がる祐一。 その言葉に舞は顔を赤くするが、時計を見ると最後の手段に出ることにした。 チャキッ。愛刀を抜く。 その音に敏感に反応して起きあがる祐一。 「おはよう・・・・」 「おはよう、舞・・・・」 舞の上段に構えられた刀を見て祐一は冷や汗を流すのであった。 ・ ・ ・ ・ ・ ちなみに読者のみなさんならすでにおわかりであろうが、 舞は裸エプロンであった・・・・・・・・ 舞ちゃん探偵日記 4000Hit記念♪ とまあ、おおむねラブラブな二人であったが、ある日舞が発見したものから事態は変わる。 ポケットに入っていた、女物のハンカチとワイシャツについていた口紅である。 それを見た時、舞は世界が止まった気がした。 祐一のことを信じていただけに、目の前にあるものが信じられなかった。 「浮気・・・・・・・・魔は討つ・・・・・・・」 そして舞は愛刀を持って出かけるのであった。 とにもかくにも事態を把握しなくてはならなかった。 そのため祐一の探偵事務所に行ってみる。 すると、ドアが開いて祐一と女性が出てきた。 舞はその女性に見覚えがあった。 美坂香里。高校で祐一のクラスメートだった人物だ。 なにやら楽しそうに会話をしている。 が、すぐに別れた。 そういえば、祐一が高校時代のクラスメートから仕事を依頼されたといっていたことを思い出した。 きっと、そのことについての話をしていたのだろう。 そう納得していると、祐一が事務所から出てきた。 どこかへ向かうようだ。 舞は祐一に気取られぬように、後をつけた。 すると祐一は公園にはいって行き、屋台の前で止まった。 時間的にお昼時なので、なにか食べるつもりなのだろう。 しかし、なかなかその屋台の前から離れない。 近づいて様子を伺う。 見ると、女の子と仲良く話しているではないか。 それもたいやきを食べながら。 ふいに祐一が手を伸ばす。 女の子の口元についていたあんこをとって、それをなめる。 「・・・・・・!!!」 なんだかラブラブな雰囲気がして舞はいらだっていた。 すると祐一が手を振って去ろうとしていた。 舞は祐一が去ると、その方向を確認し、たいやき屋台に近づいた。 「いらっしゃ~い☆」 女の子がにっこりと笑って迎えるが、舞は神速の抜刀術でその屋台を真っ二つにする。 そして、そこを去る。 あとには、なにがなんだかわからないという表情のうぐぅのみが残った。 祐一の歩いていった方向へ向かった舞。 辺りを見まわす。 すぐに祐一は見つかった。 またもや女と一緒にいる。 最初に別れた美坂香里と一緒だ。 それも目の前のラブホテルに入っていく。 何かが崩れたような音がした。 風が彼女の髪を揺らす。 舞はただ拳を握り締めるだけであった。 が、自然と涙が溢れてくる。 しばらくその場にたちつくした舞は決心する。 祐一を討って、自分も死のうと・・・・・・・ ホテルに向かう。 祐一はどこの部屋か分からない。 が、舞は自分のカンを信じていた。 祐一のいるところなら分かる気がする。 舞は自分のカンに従い、4階のボタンを押した。 そして、407と書かれたドアの前に立つ。 精神を集中して中の様子を伺う。 なにやら香里が大きな声で叫んでいるようだ。 舞は扉を力いっぱい開ける。 バン!!! 大きな音と共に部屋に入る舞が見たのは・・・・予想と違うものであった。 ベッドには裸の男女。 これは予想どうり。 しかし、その傍らに祐一と香里が立っているのだ。 舞の登場に驚いた一同だが、香里は、 「婚約はなかったことにしましょうね。」 と、言って部屋を出ていった。 後に残されたのは祐一とベッドの二人それに舞。 「相沢、恨むぜ。」 「北川、自業自得だ。反省しろ。」 どうやらベッドにいる男、北川と祐一は知りあいらしいということが分かった舞。 今までの事を整理すると・・・・・・どうやら、美坂香里の婚約者の素行調査だったようだ。 肩の力が抜ける舞。 「帰るぞ。」 祐一は舞の手を引いて部屋を出る。 そして無言でエレベーターを待ち、外に出た。 終始無言で歩く祐一。 それについていく舞。 やがて事務所につく。 祐一はソファに腰掛けると大きくため息をついた。 「仕事とはいえ、後味悪いな。」 そしてまた考え込む祐一。 舞は祐一にコーヒーを炒れる。 それを受け取って一口飲むと祐一は静かに話し出した。 「香里と北川は家の関係で婚約したんだそうだ。しかし、北川には付き合っている女がいる という噂を聞いた香里はそれを尋ねたそうだ。北川は答えたそうだ。昔の話だと。 でも、その後も北川の不信な行動に香里は俺に調査を依頼してきたわけさ。」 コーヒーをもう一口飲んで一息つく祐一。 「調べたらすぐにわかったよ。北川とその女がまだ続いていたことが。それで香里にその結果を 話したんだ。そうしたら、自分で確かめてみたい。そう言ったんだ。だから、俺は北川をつけて、 女との約束の日時を調べ、香里と一緒に踏みこんだわけさ。」 一気にコーヒーを飲み干す祐一。 「香里のヤツ、朝から不安なのに精一杯明るく振舞いやがって。一緒にいる俺は正直つらかった。 結果が分かっていただけにな。香里は言ってた。例え、家同士の見合い結婚でも、うまくやって、 幸せになりたいって。でも北川は・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんな、ぐちって。」 祐一の話に舞は胸が痛かった。 自分は祐一を信じきれなかった。 ちゃんと聞くべきだった。 でも、祐一の口からもし最悪の答えが発せられたら・・・そう思うと聞けなかったのだ。 「ところで舞はなんであんなとこにいたんだ?」 祐一の問いに舞はすべて正直に答えた。 それを聞いた祐一は、 「バカだな。俺には舞しかいないんだぜ。」 やさしくそう言った。 舞の瞳から再び溢れてくる涙。 しかしこの涙は先ほどのものとは違った。 その涙の分だけ2人の絆は強まったのだ。後書き 最初に、北川ファンの方すみません。 今回、こういう扱いになってしまいました。 トリガーはかっこよく書くので、そちらをみてね♪ 勢いで書いた4000Hit記念。 本来ならば、切り番はエヴァでやるのだが、 いかんせんエヴァは時間がかかる。 ということで、時間がない今回はKanonでさらっと書いていました。 いかがでしたでしょう。 舞のSSとして書いたつもりでしたが、舞らしさがあまり出せなかったかもしれません。 まだまだ、修行しなくては。 御意見・御感想待ってます♪ 御意見・御感想はこちらまで