ナレーション 倉田佐祐理



夜の職員室…。怪しい人影が一つ。
あれは…、祐一さんのお友達の北川さんですねー。何をしてるんでしょー?

「むふふ…、あったあった。…後はこの相沢と美坂の名前を…と」

なるほどー。そういうことですねー。
えっ、わかりませんか?
それなら一週間前の出来事について説明しないといけませんねー。
目ん玉かっぽじってよーく聞いてくださいよー。

目が痛い? あははーっ。男のコがそんな細かいこと気にしちゃいけませんよー。






…一週間前…

「美坂っ! 勝負しようぜっ!!」
「いきなり何なのよ、北川君」
「ルールは簡単。一週間後のテストでいい点を取ったほうが勝ちだ!」
「え!? 本気なの?」
「ふっ、俺とて美坂の頭の良さは分かっているつもりだ。
 だがな、男にはいつか倒さなくてはならない敵が居るのも事実なんだ」
「はぁ…、北川君。あなた一度医者に診てもらった方がいいわよ」

あははーっ。佐祐理もそう思いますーっ。

「勝って何も無いのは何だしな。負けた方が勝った方の言う事を一日だけ何でも聞くってのはどうだ?」
「なに勝手に話を進めてるのよ。私が勝ったら言う事を聞いてくれるわけ?」
「ああ、もちろんだ」
「そう…。たいした自信ね…」

はえ?美坂さん、考え込んでしまいました…
どうせ…、
『私が勝ったからには何でも言う事を聞いてもらうわよ。
 …まずはお姉様って呼んでもらえるかしら?』
『お・お姉様』
『いい子ね…。次は私の椅子におなりなさい』
『はい、お姉様』
『ちょっと! 座りにくいわよ。もっと背中を伸ばして!』
  バシッ! バシッ!
『ご・ごめんなさい!』
『そうそう、北川君はいい子ね…』
…なーんて妄想してるに違いないです。女ってコワイですねーっ。

「いいわ。その勝負、受けてあげる。でも全科目じゃ結果は見えてるわね…。
 ハンデとして得意科目で勝負してあげるわ。北川君の得意科目は何だったかしら?」
「美坂は優しいなぁ。”愛ゆえに”ってやつか?」
「な・何言ってるのよ…」
「照れるな照れるな。おっと話がそれたな…、俺の得意科目は…現国だ!」
「えばって言うほどのものじゃないと思うけど…。とにかく現国で勝負するのね」
「勝つぜぇ…。そして美坂にあーんなコトやこーんなコトを…。いひひひひ…」
「北川君…。声に出てるわよ…」






…なーんてコトがあったんですよー。
それで北川さんはわざわざ職員室に忍び込んで答案に細工しているんです。
そんなことするくらいなら潔く勉強すればいいのに…
皆さんもそう思いませんかー?






…数日後…

「んあー。席につけー。今からテストを返す。まず相沢ぁー」
「ほ〜い」
「返事は『はい』だ。今回はよく頑張ったな」
「???」

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「祐一、今回はすごく頑張ったんだねっ」
「ああ、なんだか良く分からんが、98点なんて夢みたいだ」

祐一さんはホントに愚かですねー。そんな点が取れる訳無いでしょう。

「…北川君。なんだかものすごくおかしいんだけど…」
「ん? 何がだ? 俺は76点。いつもよりちょっといいだけだぞ」
「私の点がよっ。45点なんて絶対おかしいわっ!
 …だいたい私、『烏滸がましい』を『うーろんがましい』なんて書いた覚えないものっ!」
「あ…、それ俺の…」
「相沢ぁ!! 廊下に裸エプロンの倉田先輩がっ!!」
「なぁにぃ!!!」
「すまんっ!」
  ドスッ! 
「う・うぐぅ…」
「すまんな…。安らかに永眠(ねむ)れ、友よ…」

あははーっ。佐祐理がそんなカッコしたら祐一さんは本当に失血死してしまいますよーっ。

「相沢君、何か言いかけなかった?」
「えっ、そ・そうか? …とにかく約束は約束だ。守ってもらうぞ」
「ちょ・ちょっと! 名雪、何か言ってあげてよ」
「往生際が悪いよ、香里。北川君だって頑張ったんだから言う事聞いてあげないと…」
「そんな無責任な…。…分かった、分かったわよ…。言う事を聞けばいいんでしょ」
「…あぁーんなコトやこぉーんなコトを美坂に…。いひひひひ…」
「…声に出てるわよ…」

…北川さんの汚い裏工作が実を結んだ様ですねー。
さてさて、舞台は北川さんのお家に移りますー!

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「さて、ここに来てもらったのは他でもない」
「もったいぶらないで早く用件を言いなさいよ」
「うむ、いろいろと服を用意したからそれを着てもらおう。これが今回の任務だ!」
「何が任務よ! ただの変態じゃない!」
「変態言うなー!」
「はいはい。まあ、着るだけなら…。約束だものね」
「よしよし」

はえー。北川さんってアブノーマルな方だったんですねー。
佐祐理も人の事言えませんけどねー。あははーっ。



「ま・ず・は☆ コレを着てもらおうか」
「これ…、ただの袴じゃない」
「ただの袴?これだからシロートさんは…。分からんかなぁ?巫女だよ。巫・女・さ・ん(はぁと)」
「はあ…、もうどーでも良くなってきたわ…」
「白と朱の圧倒的なコントラスト! 絶対不可侵の聖職!! はぁ〜巫女さん…。いいよ〜」(うっとり)
「…着替えてくるわ…」

はえー、いきなり巫女さんですかー。北川さんも通ですねー。

「どう?」
「美坂ぁー! ナイスだ!! 似合っておるぞぉ!!!」
「はいはい、誉めても何も出ないわよ」
「あ〜巫女さん。いいよな〜」
「そ・そう? よく分からないけど…」
  ピクッ
「はぁっっっ!!!!!!」
「?」
「美坂ぁっ! お前その足はなんだ!! ちゃんと足袋を渡しただろう!!!」
「アレ履きにくいのよ。靴下でも同じじゃない」
「同じじゃねーよ! 足袋の無い巫女さんなんて…、九○仏大○の居ないこ○パのようなもんだがね!!」
「重要なのか重要じゃないのか分からないんだけど…。だいたいなぜ名古屋弁なのよ」
「はぁ〜…。美坂、お前全然分かってないよ。まあいい…。次行くぞぉ!」
「………」

美坂さんは何も分かっちゃいませんねー。萌えるから巫女って言うんですよーっ。



「つ・ぎ・は☆ これを着てもらおうか」
「何よコレ…。ナース服じゃない」
  ピクッ 
「ナース服ですとぉ!違うっ、違うぞぉー! これは歯科衛生士の制服だっ! そこんとこ夜露死苦!」
「どこが違うのよ…。全く…」
「全然違うわぁー! さっさと着替えて来ーーーい!!」
「なんで私がこんなイメクラみたいな真似を……ブツブツ……」

ナース服と歯科衛生士服では入手し易さが段違いなんですよー。一緒にして欲しくないですねーっ。

「…これでいい?」
「美坂ぁー! ナイスだ!! 似合っておるぞぉ!!!」
「なんだかさっきとリアクション同じなんだけど…」
「そんなことないぞ〜。良し!その格好で治療してもらおうか。真似事でいいんだぞ、コレが脚本だから」
「そんな物まで…」

ふふふっ。北川さんも策士ですねー。

「はーい。おくちをあ〜んしてくださいねー(はぁと)」
「あ〜ん」
「わぁ、いい歯ですねー」
「ほへーはんはひーふへへふへ」
「何が『おねーさんはいい胸ですね』よっ!」
  バシッ
「いった〜。脚本通りやってくれないと困るじゃないか。それにしてもなんで言った事が分かったんだ?」
「北川君の言いそうな事なんてだいたい分かるわよ! これでも歯に詰めてたらっ!」
「ぐあっ! 正露丸じゃないかっ!」
「あら、正露丸は歯にいいのよ。」
「ちっ、気分が萎えたぜ。次行くぞ次っ!」
「…まだやるの?」
「確か一日中という約束…」
「ああ、もう! 分かったわよ」

美坂さんは我侭ですねー。佐祐理が一度教育して差し上げましょうか?



「さ・い・ご・は☆ コレだぁぁぁ!!!」
「コレ…、何?」
「何って…、メイド服だよ、チミィ。濃紺のワンピースに純白のエプロンドレス!
 これこそ漢の浪漫の最高峰!! キング・オブ・メンズロマン!!!
 こんなモノ着て『なんなりとお申し付けください。ご主人様』
 なーんて言われた日にゃあ、ぼく・ぼく…、全壊しちゃいますよっ!?」
「…帰るわ…」
「ちょっと待てーーーい! これで最後だっ、頼む!!」
「もう…、仕方無いわね…」

これで最後とか言ってますが、北川さんのコレクションはまだまだこんなモノじゃありませんよー。
佐祐理は物知りですからーっ。
あっ、美坂さんが着替え終わったようですねー。

「………」
「みみみ美坂さーん。とりあえずこの紙に書いてある台詞を読んで頂けますかぁ?」
「はいはい…。『美坂香里はご主人様の下僕です。どうかご奉仕させて下さい』…何よコレ?」
「………………………………………………………………………(プチッ)」
「………? 北川君、どうしたの?」
「ご主人様と呼べーーーーーー!!!」
「きゃっ! ちょっとぉ、どうしたのよ!?」
「むっ!? 態度が悪いっ!!これはお・し・お・き・だよっ☆」
  ジャラ…
「何で首輪と手錠なんて持ってるわけーーー!?」
「ふはははははっ! 抵抗しても無駄無駄無駄ァッ!!!」

あらら。目が完全にイッちゃってますねー。

「ちょっと! 本当にやめてよっ!!」

  ドンッ! ………ゴン!

はわわ…。北川さん、後頭部をぶつけてしまいましたー!

「酷いよ…。こんな…」

はえ?美坂さん、泣いています…

「み・美坂…?」
「私…、北川君のこと…、好きだったのに…」

はえー。いわゆる衝撃の告白ってやつですかー?

「なのに…こんなのって…酷いじゃない…」

北川さんはどーゆー反応するんでしょーか?



















「ふ・ざ・け・る・なぁぁぁーーーーーー!!!!!!」

「え!?」

え!?

「メイドのくせに主人に恋愛感情を抱くとはっ!! お前は私に尽くしてれば良いのだ!!」

「うぅ…、北川…君…。…酷い…」

「”ご主人様”だっ!! まぁだ分からんか! 尽くせ! 敬え! 隷属しろぉぉぉーーー!!!」

          ・
          ・
          ・



あははーっ。なんだか北川さん、壊れちゃいましたねー。
これからこの二人、どうなるんでしょー?

佐祐理は普通の女のコよりちょっと頭の悪いただの女のコですから、よくわかりませんーっ!

それではーっ!!!






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ということで、らふいん氏よりのいただきものその2です。
えー・・・この作品を呼んだのは学校の講義中で・・・・・笑いをこらえるのに必死でした。
らふいん氏らしい作品です(謎)。
それにしても・・・歯科衛生士とは・・・・また、まにーな響きですな。
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