ToHeart二次創作    
「やぁ、夜分もうしわけない。」
右手を軽く上げて頭を下げてきた。
正直、土下座ぐらいしてほしいのだが、今日のところはかんべんしといてやろう。
「で、なんの御用でしょうか?」
長瀬さんは、実はといって一通の手紙を俺に差し出した。
手紙は、芹香先輩からであった。

    先日はお助けいただき、まことにありがとうございました。
   さて、なにかお礼をと思いまして、占いをし、あなたに一番
   喜ばれるであろうものを送ることにしました。
   遠慮なく受け取ってください。
   
   PS.近いうちにまた遊びにきてください。おまちしています。

「ということで、この子を連れてきた。」
そういう長瀬さんの後ろには、忘れもしない、最後におくったプレゼントを
かぶっている女の子がいた。
「マルチ!!」
俺はすべてを忘れて彼女に駆け寄り、きつく、きつく抱きしめた。
もうこの腕の中からはなしたくない。
「浩之さん、私、私・・・。」
「マルチィ」
がらにもなく涙が溢れてきた。
うれしい。ただただ、うれしかった。
俺の腕の中にマルチがいる。
体一杯に彼女を感じる。
夢じゃない。
自然と腕に力がこもる。
「いたいですぅ、浩之さぁん。」
「あっ、わりぃ。」
あわてて手をはなす。
「このマルチはオリジナルだから、大切に扱ってくださいね。」
彼はニヤニヤしながら、メガネのレンズを磨いた。
「ええ、もちろんです!」
俺は帽子のうえから頭をなでてやった。
「ありがとう。そういってもらえると思っていたよ。」
自然と俺達は握手をしていた。
と、いうとこまではよかったが、
「やっぱり、私はいらないんだね・・・」
冷たい台詞が俺を北極へと導いた。
瞬時にして、マルチがアザラシに、長瀬さんはシロクマにかわった。
北の空を見上げると、北斗七星の脇にかすかに星がみえた。
そして、俺はかくごを決め、北極点をめざした。
「あかり、聞いてくれ。」
「いや・・・。」
「あかり、」
「いや・・・。」
「あかり、」
「いやっ!」
「あかりぃぃぃ!」
「いやぁっ!!。」
あかりの思考はすでにループにはいっているようだ。
つまり、
1.俺はマルチが好きなんだと言われる
2.だから別れてくれと言われる
3.いやだとこたえる。浩之ちゃんが好きだという
4.俺がだめだという
5.1へ戻る
というところか。さっきまでうまくいってたのが、かえってあだとなったようだ。
「あかり、聞いてくれ。」
あかりはもう答えない。涙を流しながら、思考ループに陥ってる。
とりあえず近づくのは危険だ。まずは遠距離から。
「あかり、おぼえてるか?高校のころ、俺あかりにこう聞いたことがあったよな?」
あかりがぴくりと反応した。
「結婚して主婦になったら、メイドロボ欲しいか?って。」
月をみあげてみる。あのときのことが、思い出された。
楽しかった、うれしかった、にぎやかだった、ちょっと悲しいこともあった高校時代。
「確かおまえは、‘あまりほしくないかも‘って言ったよな。」
あかりが顔をあげる。瞳に涙がたまったままだ。
「それから‘マルチちゃんみたいな子ならいてほしいな‘とも。」
マルチに視線を向ける。
「俺もそう思う。家にマルチがいたらすっげー楽しい毎日になるだろうって。」
「浩之ちゃん、それって・・・」
「勘違いするなよ。そう、妹ができたみたいで楽しいだろうなっておもったんだよ。」
そういって、マルチの頭をなでてやる。
「あかりも言ってたじゃないか‘一緒に泣いたり笑ったりして、妹とか仲のいい友達みたいに‘って。」
長瀬さんが頷いている。
「もちろんあかりも一緒だ。」
「浩之ちゃん・・・」
「あかりは俺のたい・・・やめた!はずかしくてこれ以上いえるか!」
言ってて恥ずかしくなった俺は北の空を見上げた。
一呼吸おいて、背中から強く抱きしめられた。
「ごめんね、浩之ちゃん。私、もっと浩之ちゃんのこと信じることにするよ。」
俺の背中に顔を埋めたあかりが涙声で話し掛けてきた。
「私が大好きな浩之ちゃんだもん、ぜったい信じる。ずーっと、ずーっと・・・。」
「ありがとう。」
夜空をみあげると、北斗七星の星の数は7つだった。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、二人の世界に入っていく俺達を引き戻したのは長瀬さんのくしゃみだった。
「あっ、ごめんなさい。えっと、そちらの方よろしかったらあたたかい紅茶でもいかがですか?」
あわててあかりが背中から離れた。
「いやぁ〜、若い二人の邪魔にはなりたくないですからな。」
そういって帰ろうとする彼を、俺は引き止めた。
ミルクたっぷりの紅茶はおいやでしょうが、ブランデーたっぷりの紅茶はいかがですか?
体が温まりますよといって。これには彼も賛同し、みごと招待に成功した。
ちょうどこの後、間が持たないなと思っていただけに助かった。
「じゃ、マルチちゃん。手伝ってね。」
あかりはマルチの手をとって家に入っていった。
数分後には、おいしい紅茶がのめるはずだ。

マルチが失敗しなければ・・・ね。

 

 

 

 

 

どうも、せーりゅーです。

なんかマルチのセリフが少ないなという感じでしたが、

うまく書きなおせませんでした。僕としては、浩之とあかりをかきたかったんで。

一応、続きもあるのですが、なんとなく蛇足っぽかったので公開しませんでした。

でも、いつかこれとは別の話しとして公開するかもしれません。

あと、若い人(高校生以下)はこれにつかわれてるネタがわかんないかも・・・。

 

 

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