日本の特許法には「(第1条:この法律は、発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」とあります。この目的は日本のみならず諸外国でも同様です。もし米国で安易に特許が与えられているような内容のビジネスモデル特許であれば、それは産業の発達を阻害することは明らかです。通常、科学技術における発明とは一足飛びに大発明ができるということは有りません。つねに先人の発明の上に立脚しそれを改良・発展させながら進歩していくものなのです。特許法とはその発明を一般公開することの代償として強力な保護を与えているのです。一般公開することでさらに進歩した発明が期待できるからです。しかしながら、ビジネスモデル特許は科学技術とは異なり、そのような進歩はあり得ません。
特許法はまた、「公知の発明には特許は与えない」ことになっています。
しかし米国では、すでに昔から知られているビジネスのロジックまたは手法のようなものが、インターネット利用に置きかえられただけのものが、現実にビジネスモデル特許として認可されてしまっています。
これは、まさに米国の無節操・破廉恥な特許法の悪用であり、これは特許制度そのものの存立を危うくしかねません。
そして過剰で安易なビジネスモデルの特許認定は、逆に産業やIT活用そのものの発達に著しい悪影響を与えることになるでしょう。
近く、沖縄サミットの蔵相会議で「IT活用のビジネスモデル特許認定」に関する認定基準に関して討議が行われる予定です。米国のむちゃくちゃなプロパテント戦略にはどめをかけるべく、日欧が強力して良識ある議論が行われることを切望します。
皆様のご意見をお待ちします。
[2000年6月25日 9時48分53秒]