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  水窪に関しまして、明治大学講師 川島高峰氏により、学生を対象として2002年にHPサイトが作成されました。

2003年の大学の授業においても、前年に引継いで、「水窪町おこしプラン」を情報基礎論の授業にて前期総合課題とするとのこと。

HP・TOP http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/chihou/misakubo.htm

リンク集  http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/chihou/misakubo_link.htm

※ 2003年UPの川島氏の地域活性HP「一所懸命」

       http://www.kisc.meiji.ac.jp/~shokason/

■ 「地域活性化 水窪町レポート」へ

■ 「2003年3月水窪地域でのフィールドワークレポート」へ

  ■ 6/7水窪地域活性研究会 グループディスカッション B班レポート

テーマ: 真・水窪林業復興計画  発表者:新田さん(大学生)

メンバー:
白鳥さん(大学生)
林田さん(松下政経塾生)   
宮島さん(司法書士有資格者)
岡本さん(飲食店経営)
北澤さん(長野県上村役場職員)  
阿部さん(税理士)
榎本さん(東京都庁職員)   
新田さん(大学生)
中野さん(独立行政法人職員)
古村さん(監査法人勤務コンサルタント)
河野さん(営業職)
茂木(行政書士・司法書士)

ディスカッション:
宮: そもそもこのプランは経済振興を目指すのでしょうか? それとも、住み良いまち
   を目指すのでしょうか?
   また、お金の流出の阻止を行うのでしょうか? 産業を新たに興すのでしょうか? これにより、お金を呼び込むので   しょうか?
新: プランの要点としては、林業を介して観光事業を行えないかと考えています。
岡: そもそも、水窪の住民は、まちはこうであるべきと思っているのでしょうか?
新: やる気はないみたいです。
   しかたないと、あきらめている。

新: 森林が荒れると、見た目が良くないですよね。生態系が崩れるわけですし。これでは、観光客が呼べないわけです。
   ですから、より理想的な、里山の状態を作る。そして、観光客を呼べたらと。
   ただし、林業は、結果が出るまで100年はかかってしまう。
   その間、どうやって食べていくかが問題となるわけです。そこで、その間、食べて   
   いくために林業を介した観光事業があるのではないかと。
宮: 人工林って、手入れがたいへんという話しを聞いたことがあります。
   手入れをしないと、雨がうわ〜と流れてくる。
   だから、人工林を手入れしましょうという話しが出ているというような。
北: 上村の場合ですが。戦後すぐに植林事業を始めました。
   しかし、森林を育てたが、けっきょく経済としては成り立たなかったんです。
   人工林って手間もかかりますし。
   現在では、災害の可能性も生じています。
   ただ、せっかくある森林を使えていないというのでは、もったいないです。そこで、なんとか再生できないかと。
   しかし、昔ながらの林業では現在どうかと。間伐した木を使えないかという動きが
   出ています。
   森林って、100年かかるんですね。また、100本植えても、100年後には、
   10本か15本しか残らない。これでは、市場に出せないですよね。
   なので、いまチップを材料にして燃料としたりとか。

中: 林業へのボランティアの活用ですが。大都市の不定住者を連れてくるのはどうでしょうか?
榎: ホームレスはそもそも働きたくないのでは?
中: ですから、働きたくてもやむをえず働けない人を連れてくればと。
   ホームレスに農業をさせているところもあるそうですし。
新: ただ、林業って、たいへんな作業らしいですよ。

茂: 森林が荒れるという問題は、水窪だけではなくもっと大きな問題ではないでしょうか?
   観光資源となるかもしれないですが、森林そのものを議論してもそれが水窪の住民
   のためになるかどうか?
   また、水窪の住民にとって、森林はなんのために存在しているのかがわからなくな
   っているのではないでしょうか?
   以前は、伐木がキャッシュになったわけで。山1個で、長者にもなれたわけです。
   しかし、現在、森林に手を入れると逆に赤字になる。伐木に商品としての価値が無
   くなっているわけです。
   とすると、森林に別の用途は考えられないなぁと。たとえば、洪水対策。つまりは、
   別の用途を付加価値とするわけです。
   ただ、それが水窪の住民のためになるのかどうか? あるいは、川の下流域の住民の
   付加価値というべきなのか?
   だと、川の下流域の住民へのPRこそが必要になっていくのでしょうか?
   で、地球温暖化とかまでディスカッションの内容を持っていっちゃうと、話しが大き
   くなりすぎるかなぁ?と。もっと視点を身近にできないかと。

宮: ところで、間伐をすると森林は良くなるの?
   土砂崩れって。間伐をすると防げるの? 木が減るわけでしょ?
新: いまは、木が過密にありすぎるんですね。これが、危険なんです。
宮: 森林によるCO2の分解量も減っちゃうんでは?
北: いえいえ間伐によって、間隔があいて光が入ることによって、木は成長するんです
   ね。そのための間伐なんですね。

茂: 誰が最終的に満足するのかを考えるべきかと。
   森林を守ることが目的でなく、森林を守ることによって人間に利益があることが目
   的なわけですよね。
   たとえば、考えられる利益としては、お金か、安全か。
   また、事業の意義も明確にすべきですよね。PRもこの明確化があってはじめてなわ
   けですし。ボランティアへの呼びかけもそう。下流域の住民に対してもそう。
   と、事業の仕組みも、無償か、有償かによってかなり異なるわけで。個人的には、100年もかかるようならば、その   間の生活も考えていかないと、続かないですよね。
   たとえば、間伐材の価値をどう上げていくか。商品として成り立たせていくかを考
   えていかないと。
岡: たしかに、目先のことと、先のことを同時に考えていかないと。

林: わたしは、すべての前提条件をブレイクスルーして、日本の林業はありうるのか考
   えています。
   なぜもうからなくなったのか? 現在の林業の従事者には、この視点が抜けている
   と思います。
   もうからなくなったから、やめるのでなく。もうかるように、がんばるってのが必要かと。
   いままでは、地方交付金とかがどんどん入ってきたわけで。ある意味、働かなくて
   も良かった。そして、ダメならば他の産業へ移っていけばよかったわけなんですが。
   で、いろいろ調査をしていまして、住宅メーカーの木材調達ですが、輸入ばかりで
   す。とくに北欧からなんですね。
   そこで、ノルウェーなんですが。林業大国なんです。ノルウェーのエリートが目指
   すところは、日本ならば東京大学ですが、ノルウェー大学の林学部なんです。
   ノルウェーの林業はすべてITで制御さえれているそうです。いかに効率的に伐採す
   るか。いかにいい木を取るかのために。
   しかも、すごい安い価格で、日本に輸出しています。

   2〜3年前、ヨーロッパで大水害がありましたね。ヨーロッパでは建て直しのため、
   また同時期にアメリカでは住宅の新築ラッシュとなって、世界的に材木が足りなくなったわけですが。
   このとき、岡山から材木の輸出がけっこうありました。岡山って、山のほうは、木しかないようなところです。
   なぜかといいますと、数年前、住宅品質確保法ってのが施行されまして。木造建築
   でも100年はもつ住宅をという流れもあるわけです。そこで、岡山の林業事業者
   は、100年もつ住宅のために堅い木を作ったわけです。これを輸出したんですね。
   で、いまではこれが輸入物よりよい材木という評価になっています。

   経済力ってあるわけですが。国でも、地域でも、けっきょくは「人」ですよね。
   そこで、水窪に林業専門の大学を作るというのはいかがでしょうか。
   学生については、水窪以外の地域から募ります。これで、仕送りというキャッシュ
   も呼び込めるわけですし。
   この大学で、いままでの日本にはない、新しいモデルの林業を創造できないかと。
   そして、水窪の森林はこの学生たちに管理を行ってもらいます。
   学生。そんなには来ないでしょうけど。少人数で良いですし。

   と、水窪で何か林業の体験ができるという契機になればと提案してみました。
   ただし、この先のことは、水窪の住民が自分たちで考えていく

   水窪のようなあまり世間に知られていない地域に、人が来て、お金が落ちていく。
   活性化って、新たなお金の流れのシステムでもあるわけですから。
   森林大学がひとつのツールになればと。

林: ところで、そもそも、水窪って林業やっているんですか?
新: 1社か2社ではないかと?

茂: 林業だけでなく、農業もそうですよね。小規模零細での事業の問題点というか。
   大規模経営による効率化の検討とかしないんでしょうか?
   で、日本の耕地面積って、十分欧米の農作物輸出国に匹敵していると思うんです。よく雨降りますし、気候も温暖で   すし。また、品質改良も進んでいるわけです。
   むしろ、日本は農作物の輸出国になれるんではないかと。
   そこで、林業も、この考えとつながるんではないかと。
   それこそ、IT云々の技術もしこたまあるわけですし。
   ただし、林業ですと、結果が出るまでに時間はかかりますねぇ。

茂: 東京都的には。奥多摩の森林はどういう扱いになっているんですか?
榎: 林業はまったく疎くて。すいません。
   ただ、東京都の施策的には、産学連携の方向です。そして、専門性を高めていく。
   平たくやらないってことです。地域によって特化を図っていく。多摩であれば観光
   とか。八王子であれば大学との連携によるIT誘致とか。
   水窪も、もっと戦略的に特化はできるんではないでしょうか。水ってのあるみたい
   ですし。かたくりってのもよいですよね。
   デートに誘うときに、「かたくりを見にいかない?」って。
   「かたくりってなんなの?」って感じで興味をひけますよね。

   と、大学生が考えたキャッチコピーの「水窪で、生きています」っていいですよね。
   ところで、「みずくぼ」?「みなくぼ」? 読めないですね。

阿: この際、読みやすく「みずくぼ」にしちゃうってのは?
茂: いえいえ。地名ですが漢字での表記が先でなく、たぶん縄文の頃とかの名残で、
   「みさくぼ」っていうひらがな読みが先なんです。なにしろ古くから人が住んでい
   たところですし。
   漢字は後で、当てただけなんでしょう。なんとなく、水がたくさん流れてて、窪も
   あるって感じで、論理的っぽくですね。
   なんで、やはりひらがなで。「みさくぼ」で。

宮: で、話し戻って、林業復興というタイトルですが。観光地化がメインなのでしょう
   か? 林業そのものがメインなのでしょうか?
新: 農業も一緒ですが。農業プラスその周辺のビジネスで、成り立たせられないかという試みがあると思います。
   そこで、林業でも、林業プラスその周辺、たとえば里山とかのビジネスが成り立たないかと。目的は、生活ができるよ   うにってことです。
林: いまは生活できているのでしょうか?
茂: できています。現金収入はほとんどないですが、使うところがないですし。けっこ
   う貯蓄はあるというお話しです。
   とりあえず、現金は、商店街があるので、そこで循環しているのでしょう。
   あとは、浜松まで、土日にレジャーを兼ねてお金を使うと。若者だけですが。年寄
   りは水窪に残ってると。
   と、水窪の住民はたいがい、小さくても山を持っています。で、山の傾斜地に畑を
   耕して、そこで取れたものを食べていますね。
   なんで、お金を使わないんではないでしょうか。食べる分には、事足りますね。
   逆に、地方交付金・補助金もいままであったわけなので、
   新たに産業を起こさなくても、あるいは現金収入なくても、そしてなんか考えなく
   ても生きていけたような感じです。

阿: 山って、固定資産税はかかるの?
宮: 0に近いようです。
阿: なぜ、水窪町って、年間予算の倍以上の借金があるのでしょうか?
茂: 前町長が、バブル崩壊後にじゃんじゃん行った、補助金での公共事業のためです。
   たとえば、カモシカの観察施設とか。施設の近くのカモシカを観察でなく、双眼鏡
   とか使って施設の向こう側にある山のカモシカを観測という、とほほなものです。
   建設費は3億円とか。ガラス張りのそれはそれは立派な施設です。
   で、現在は、車がほとんど通らないところでもありますし。4月〜10月以外は、   
   管理人もいない無人の施設となっています。
   で、私が考えたのは、ヘリコプターを活用して、VIP用のミーティングルームにで
   きないかなぁと。
林: 建設業者は、多いのでしょうか?
茂: 水窪町にかかわる建設業者は10社ぐらいでしょうか。ただし、町内の業者は少な
   いようです。ですから、公共事業で工事をしても町の外にお金が流れていっていま
   う。で、ハコが残るだけです。そして。それを使う発想がないようですね。
岡: けっきょく、どこからお金が回って、誰のためのサービスとなるのかってのを考え
   るのが大切ですね。

林: 観光事業は、直感的に難しいような気がします。
   なにより、観光事業のためには、住民全員のコンセンサスが必要なわけですし。サ
   ービスの意識が必要なわけです。
茂: 意識といえば、意識がある水窪の住民というのは、3600人中、30人ぐらい?
   ではないでしょうか? もっと言えば、この会場に来ている3人ぐらいでは?
   天野が東京から戻りまして、仲間を募って水窪葬祭の試みを起こしました。ここで
   の成功がまだ、できるじゃないかというように輪を拡げていっている。
   また、しょっちゅう東京から人が来て、どうも、東京の人から注目されているらしいと。
   徐々に、意識は変わり始めているとみています。
   すなわち、今回のような、まちおこしプランの実行を積み重ねていく。大成功って
   のはいきなりは無理です。つまり、ホームラン1発でなく、バントヒットを積み重
   ねていく。
   そして、森林のことについても、とうぜん水窪の住民のほうが詳しいわけで。実際、
   すごく勉強されている方もいらっしゃいます。この方たちが、活動しやすい環境を
   作れればと。

中: 観光事業であれば、旅行会社との提携が必要ですね。
林: しかし。自然がただありますよってのは観光事業のPRとしてどうかなぁ?
   人を呼び込むとすれば、サマーキャンプ的なものなんでしょうか?
新: あとは、ハイキングとか?
茂: 急激な観光地化はどうかと。水窪の住民の心のキャパシティとして、たくさんの人
   に対応できるかどうか疑問です。
   むしろ、少人数でも、必ず毎年来てくれるリピーターの育成ってのはどうでしょう
   か?今回の研究会に来ていただいた方たちとか。それで、水窪にて食事とかでお金
   を落としていってもらうと。

茂: 大学生に間伐で単位付与ってのはいいですよね。
   これほどの大学生に対するモチベーションはないだろうなぁと。しかも、必修にし
   ちゃうとか。
   その流れから、さらに森林大学へと進むと。大学生たちがすごいところに来たなぁ
   と。そして、日本はこれからどうなっちゃうんだろうねぇなんて話し合いになればと。
新: 交通の便次第のような気もします。
   それと、大学生で木を切りたい人はけっこういるようです。

林: 水窪での林業のレベルはどのぐらいなんですか?
新: 日本自体に林業のレベルは低いのですが、その中でもありふれたレベルです。
古: 林業にも競争力が必要ですよね。何かに特殊な用途に使えるというか。他とは違う
   ものであるとPRできるとか。
   と、林業事業の効率化にも限界があるわけですし。ブランド化を図らないと。
茂: 中長期的には、森林大学の方向性でしょうか。あるいは、文科省の認可をわざわざ
   取る必要もないですし。NPO法人ってのもあります。
   短期的なところでは、いかにモチベーションを付与できるか。パッションだけでは
   長く続かないですし。
   また、いかに活性化に興味を持ってもらうか。
古: たとえば、会社であっても社長がいくら言っても、誰もついて来なければダメなわ
   けで。
   意識の共有化が必要ですよね。とすると、この試みがその一つの契機となるかと。
茂: ビジョンの提起が先か、意識の共有が先か、鶏と卵ですねぇ。私は、水窪葬祭がも
   っとお金を稼いでくれたら、もっと人を雇って、いろいろなまちおこしプランを実
   行していってくれればと。ローリスクローリターンという感じにてですが。
   と、まだ、ビジョンをまとめるまでにはいかないんではないかと。
   本来ですと、少なくとも、リーダー、つまり町長が提示して、そこから始まるよう
   な気もするんですが。

茂: 最後にみなさんから一言お願い致します。
白: 住民の意識が重要ですね。そして、協力も。
新: 間伐の方法で、巻き枯らしですが。木の養分をとめて枯らせるというもので簡単で
   す。また、立ったまま枯らせるので、倒れたりはしないです。
   そうそう、夏休みに水窪に行きます。
林: 森林大学ですが、社会人向けってのもありますね。また。水窪だけでなく周辺地域
   の林業も考えるべきでしょう。あとは。学びにある価値のあるものに仕上げていく。
古: 今回研究会参加の水窪プロジェクトへの賛同者で、木を高く買うというのはどうか
   と。あとは、意識ということと。水窪の住民に危機感をもってもらうべきかと。
北: 地球環境などのグローバルな部分とまちおこしという水窪葬祭の両輪かな。とにか
   く、いろいろな人に興味を向けさせる方向を模索していくべくでしょう。
阿: 水窪の内部と外部の協力体制を構築が必要ですね。
榎: 意識ですね。つまりは、住民が自分たちでやるというような。あと、地域として産
   業としての専門性・特化が必要ですね。たとえば、「水窪といえば、・・・」という
   のがすぐに浮かぶような。
茂: 今回の試みですが、学生にとってはインターンシップ的な要素もあります。経営の
   手法を学ぶというか、社会人がビジネスプランを立てるとしたらこういうふうにや
   るということの初歩の初歩なわけです。しかも、人がいない、お金がないというと
   ころからの立案ですから、やりがいあるかなぁと。
   最後に、とにかく、みなさん水窪を忘れないでください。折にふれて、思い出して
   ください。そして、そのときには、相互に情報の提供をお願いします。
   「2003年3月水窪地域でのフィールドワークレポート」
  さて・・・
3/28から30まで、水窪ツアーに行ってきました。

おおまかには、
1) 28日 磐田市の県議選の事務所にて、ミーティング
2) 29日午前・午後 水窪町にて、住民のみなさまに取材
3) 29日夜 水窪葬祭の役員・従業員と、ミーティング
4) 30日午後 水窪町の門桁地区にて、住民のみなさまに取材
・・・って感じです。

う〜む・・・ 充実しているなあ(笑)

さて・・・
2)29日午前・午後 水窪町にて、住民のみなさまに取材のレポです。

午前中・・・
・西浦地区、大原地区にて、取材を行いました。
・で、水窪の家には、
  玄関に呼び鈴がほとんどないんですね。
  玄関に鍵がかかっていなければ、居る。かかっていなければ、居ない。と。
・男性は、なかなか話しをしてくれないのですが、女性は、気安く話しを
  してくれました。
・茂木は、あいかわらずのMA−1姿でしたが、かなり水窪のみなさん、
  不審そうにしておりました(笑)
  東京からって話しになると、「よく来たに〜」と笑っていましたが。

午後・・・
・向島地区にて、取材を行いました。
・向島地区は、急傾斜の山肌にしがみつくように、住居が点在しています。
  水窪の中心地は、すり鉢の底なので、すぐ日がかげるのですが、
  こちらは、なかなか日が沈まないんですねぇ。
・みなさんだいたい、畑仕事に出ていました。
・それにしても、景色は確かに良いのですが、
  どうしてこの人たちのご先祖はここに住居を構えたのだろうという
  疑問がずっと(笑)。 
・しかも、お年寄り世帯がかなり多いんですよね。
・おじいさん一人住まいとかもあったなぁ。薪とかでお風呂沸かしていた。
・子どもは、ほとんど見ませんでした。気配すらないというか。
・急なスロープをセニアカーで移動している方もけっこういたなぁ。
・こちらは、同行者の関係で、かなり水窪のお話しが聴けました。
・ある箇所だけ、削られているような地形があったのですが、
  昔、佐久間ダム建設の際に、山を削ったそうです。現在は、茶畑。
・また、どこどこは、昔、だれだれさんの土地で、
  その当時は、そのだれだれさんは土地持ちだったんだけど。とか。
・選挙へのアドバイスとかをしてくださる方も、いらっしゃいました。
・それにしても、犬がよく吠えていたなぁ。
・けっこう、17:00までは仕事して、その後、鉄砲持って猟に出る
 方もいるとかで、猟犬もけっこういたんだろうなぁ。

そいえば、
この秋の静岡国体の話しは出なかったなぁ・・・
とにかく、いまのうちから、山岳競技者とかが、
リピートしてくれる仕組み考えておくべきだと思うんですけど。

さて、29日夜 
水窪葬祭(水窪の地域循環型ベンチャー)の役員・従業員との
ミーティングのレポです。

水窪で、若手有志の人たちと、ほんとにまとまって時間をとって
話せたのが貴重でした。
・・・例の水窪祭りんときは、話せる雰囲気はないですし(笑)

さてさて・・・
○水窪方言を堪能しました。
「だら〜」「に〜」「わい」「えらい」「だつけね〜」などなど。
 ・・・初め、かなり様子見をしていたので、じっくり観察できました。

○水窪葬祭。なんとか、役員にもお金が支払えるようになったとか。
 ・・・設立準備中は、香典のお返し用の物品供給の提携を申し入れた、
    商店街からは、かなり、冷たい態度をとられたそうですが、
    これが、いまはかなり態度が変わったとのことです。
 ・・・ただ、商店の中にも、若手が始める、水窪の将来のためになると、
    ご自分の商売と、水窪葬祭とは関係しないにもかかわらず、
    協賛金を出してくれた方もいたとか。
・また、葬儀の話しとかも。
 ・・・山の一軒屋だかで、一人暮しの人が無くなって、親戚がいないと。
    で、その家に夜に行ってみたら、だれもおらず、
    ろうそくの明かりの中に、遺体が寝かされていたとか。
    これは、怖い。
・あと、水窪葬祭のHPも制作していたのだが、
 8割ぐらいできたところで、ロストしちゃって泣けたとか。

○栃もちも作っている、小松製菓の若旦那のお話しもおもしろかったです。
・川島さんの授業の最優秀町おこしプランに選ばれている、
 「とじぐり」ですが、
 実は、地域によっていろんな作り方があることがわかったり。
・また、新製品の試食もできました。
 ・・・水窪地域で、その地域の素材を活かして、新しいお菓子を
    作っているんですね。
・それと、小松製菓のHPもできたとのこと。

○水窪の動物たちの話しも出ました。
・野ウサギけっこういるそうです。
 ・・・車道に現れて、まっすぐ逃げて行くので、車10分ぐらいは、
    その後を追うことになり、のろのろだそうです。
・野リス。けっこう強暴だそうです。
・サル、イノシシは、町からほんのちょっと山のほうに向かえば、
  いるそうです。
 ・・・そいえば、農家がかなり、サル、イノシシと戦っていました。
・クマも出ます。
・で、シカ。平澤さんの奥さんの実家で飼っているそうです(マジ)。
 ・・・なんでも、奥さんの父上が猟師だそうで、
    牝シカを撃ったら、子シカが生れちゃったもんで、
    家に連れてきたそうです。
 ・・・大きくなったら、ツノで突進してくるそうです(笑)

○それと、水窪の人たちとのお話しで、
  水窪の人が気付いていないことを、たくさん「発見」してもらえたと。
  ・・・水窪には石仏が山の中にけっこうある、これは都市からみれば
     価値なんですね。
  ・・・また、水窪住民で郷土を研究している方がいるんですが、
     これが埋もれてしまっている。注目をすべきなんじゃないかと。
○そして、水窪には、風俗というか、郷土というかの素材がたくさん
  ありそうな予感が。

さて、30日午後 水窪町の門桁(かどげた)地区にて、住民のみなさんへの
レポです。

門桁ですが。水窪町内なのですが、
標高1000メートルの山を越えて、車で1時間強のところです。
・・・このため、門桁地区は、水窪の中心部よりも、
隣りの春野町、あるいは天竜市との結びつきが強いそうです。
・・・水窪であって、水窪とは異質の地域。観光案内のパンフにもほとんど
記述されていません。

谷あいの地区です。けっこう水量のある気田川(けたがわ)が流れています。
人口は、80人ほど。65歳以上の割合は、50%を超えています。
商店は、1軒あるとのことですが、どこにあったのかわかりません。
・・・目立つ建物といえば、廃校寸前の小学校(創立120年)。
   あとは、平屋建がほとんど。
・・・また、空き家がたくさんありました。

で、砂防用の施設?とかに、ネコが寝ているように見えました。
死んでるのかなとも思ったので、石を投げてみたのですが、
なんと! ネコでなく、ハクビシンでした。
(顔の白いイタチみたいな感じ)

このハクビシン、逃げません。ちょっと顔を上げたと思ったら、
すぐに寝て?しまいました。
・・・水窪の住民も、ハクビシンは見たことがないという方いますので、
かなり、珍しいものが見れました。

と、ケータイのAUはずっと圏外でした。

さてさて・・・
車にて、向かったわけなんですが。

標高1000メートルの峠となる地点に、山住神社というのがあります。
・・・樹齢1300年なんてゆう、杉の巨木があります。
・・・大和時代の最後に、
   この杉を植えたということなんですが。なんのために??
   しかも、そのころに、伊予の大山すみ神社を勧進って??

で、この神社の近くに、だだっぴろく原っぱになっているところがあります。
ここを、「家老平」というとか。
・・・ちなみに、案内板には、いつしか家老平と呼ばれるようになった
   としか書いておらず、由来がぜんぜんわかりません(苦笑)

この家老平に、「みさくぼフィールドミュージアム」(カモシカ体験館)
があります。
南アルプスが望めます。
なにより、それはそれは、立派な建物です。
デザインもすばらしいですし、窓を大きくとってあるのもステキです。

しかし、ほとんど訪れる人もおりません。
・・・また、4月から10月?までしか、管理人もおりません。

まぁ、つまりは、客も来ないし、管理人もおらんと。ただ、立派な建物が、
で〜んと、標高1000メートルに放置されている感じです。
・・・建設費は、3億5000万円ほど。
また、運営費は、年間1500万円ほどかかっていたようです。

このカモシカ体験館も、小和田公園や高根城祉などと並び、
前町長のムダな公共事業の良い例です。
・・・現町長は、とにかく年間の支出だけでも止めています。

ただ、この施設は知恵を出して、外から人呼び込めば、使えそうです。
たとえば、
・廃校利用によくありますが、小学生など向けの、宿泊型の天体観測施設。
・企業などの、秘匿性の高いディスカッションなどの会場として。
 (ヘリコプターで来れば良いわけです)
などなど。

と、そこから、門桁に向かいましたが、その道すがら、カモシカに
会っちゃうあたりが(1メートルの距離)、やはりすごいところです。


さてさてさて・・・
取材を行ったのですが。

こちらで出た、地元の人とのお話しでインパクトは・・・
あるお宅があり、そこのお宅の歩行用に以前は橋がかかっていたのですが、
ちょっと上の方に、新しく車も通れる橋を作ったときに、
歩行用の橋が壊されてしまったと。難儀をしているので、
もう一度、歩行用の橋をかけて欲しいというようのがありました。

そんなこんなで。
しかし、門桁は、すごかった。
ってゆうか、水窪って、まだまだいろいろ埋まってるなぁと。

とまぁ・・・
この後、水窪の中心部に戻りまして、町長とちょい話しをし、帰路へ。
「為替レートと杉」とか、「山林の底値買い」とか。

おみやげの生シイタケ、コンロで焼いてみましたが、ほんとおいしかった。


お終いに、水窪町の町長選、町議選の結果です!

水窪町長選、天野勝郎氏(現職)、当選!
・・・有権者約3,000人。投票率91.96%。
得票は1431票対1340票。90票差。

ついで、
水窪町議選、平澤祐一氏(新人)、当選!!
・・・地域葬儀ベンチャー、水窪葬祭の社長。
・・・投票率は、やはり90%超。得票は251票。
定数12人のところ、5位にて。

いやはや、
天野町長の相手となった、公共事業ダイスキ前町長伊藤氏との
町長選それでも、90票差か〜

と、平澤さんは、よくやったな〜 しみじみ。
・・・地縁、血縁がほとんどない方だったので、心配しましたよ〜


そんなこんなのレポでした。

   
   「地域活性化 水窪町レポート」          

 27thミーティング「地域活性化って? 〜水窪町の場合〜」に関する詳細レポート

   
   過疎、高齢、少子、山間、交通不便、産業不振・・・ そして、財政状況の逼迫・・・

 そんな日本のどこにでもある「地域」を、「そこに住む人たちが、生きがいをもって、持続的継続的に生活できる場」とできないか?

 そのための手法として、都市の住民と地域の住民との「交流」・「対話」が有効ではないか?

 ・・・このような考えから、このページを立ち上げました。随時、アップデートの予定です。

   
   なお、「交流」「対話」のための、メーリングリストを開設しています。お問合せは、motemasa@hotmail.com まで。

 また、当HP掲示板への書込みもお願い致しします。

   
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  1) 27thミーティング・水窪レポート
  2) 水窪資料
  3) 参考文献
   
 
1)”地域活性化って? 〜水窪町の場合〜” 
概要は、
地域活性化って、よく言われてますが、
じゃあ実際その「地域」では、
何が行なわれて、何が行なわれていないのでしょう。
そして、「地域」の現状・問題点を認識し、
「地域」の少なくとも「独立・循環したシステム」を確立するためには。
・・・でした。
今回は、当会メンバー・天野さん(父上が町長)の住む、
山間交通不便・主産業林業・高齢者比率高というトリプルパンチの
水窪町(静岡)をケースとしました。
http://www.enshu-net.or.jp/hokuen/index.html
 
さて・・・
”地域活性化って? 〜水窪町の場合〜”の茂木の発言となりまして・・・
大筋としては、
@資料から水窪町のイメージをつけてもらう、
A現状認識から問題点を抽出、
B天野さんの水窪での葬儀ベンチャー立上げ、
C水窪町における地域活性化とは。
(随時、発表の後、ディスカッションとなりました)
まず、@資料から水窪町のイメージをつけてもらうとしては、
「自然的特性」 ・・・静岡県の西北端に位置する。山間。
            わずかな河岸段丘や、河川に沿った急峻な傾斜地に道路が開かれ、
            集落が点在している。
「歴史的特性」 ・・・縄文・弥生時代から、集落は存在。
            史料に登場は、後醍醐天皇の皇子の流浪先と、武田信玄の進軍。
            
「人口特性」  ・・・平成12年 3723人 
           昭和30年(ピーク時) 10947人
           
           今後の推計 平成24年 2651人。
           現在、年間100人のペースで、人口が減少。
           新規学卒者を中心とした若年齢層の流出が続く。
           高齢者率(65才以上)
           平成12年 35.2%
           今後の推移 平成24年 47.4%
           なお、平成24年の14才以下の率は、3.8%
            
           過疎化・少子化・高齢化の進行。
           労働力の低下とともに地域社会の活力が奪われている。
「経済的特性」 ・・・第1次産業「林業」
            古くからの代表的な基幹産業であったが、
            生活環境条件の厳しさと、木材の価格の低迷により、長期的に不振。
            (外材のほうが安く、水窪のスギはブランド力もない。
            また、森を経営するほど、赤字が出る)
            第2次産業「製材業、自動車部品、建設業」
            労働力確保の難しさ。消費地と遠隔におかれる地理的条件の悪さ。
            第3次産業「商業」
            飲食料品や衣服、雑貨などの日常生活必需品の販売を主体とする
            零細な個人経営がほどんど。
            (大手コンビニなども、その地理的な条件の悪さなどから進出していない)
            ただし、小畑・神原・水窪・向市場の4自治区が連なる2714人の水窪地区の
            中心部は、町内最大の人口集積地であり、商店街が形成されている。
            このため、消費購買において、37.6%が町内にて購入。
            (それ以外は、浜松市、浜北市、天竜市などにて購入)
            また、隣町・佐久間町からの購入者がけっこういる。
「交通特性」 ・・・JR飯田線(愛知県豊橋〜長野県飯田)
          JR東海バス(水窪〜天竜〜浜松)
          国道152号線(飯田〜水窪〜天竜〜浜松)
          上記3つの交通手段しかないといえる(ただし、JRバスは廃止の方向)
          古くは、飯田〜水窪〜天竜〜浜松は、山と海とをつなぐルートとして、
          つながりは盛んであったが、現在、飯田〜水窪のルートの交通量は少なくなっている。
          (水窪が、国道152号の事実上の”終点”となっている)
          ・・・なお、三遠南信自動車道の構想が存在する。
ここまでで、参加者からは、
「かなり悪い状況とは考えてきたが、ここまでとは・・・」
「かりに、これが企業であれば、撤退をしなくてはならない」
(ごく単純に費用対効果で考えるのならば)
また、
「地域活性化よりは、いかに中央から税金を分捕るか
(この地域への配分を増やさせるか)しかないのでは?」との発言がありました。
「行政組織」 ・・・職員数 87人。
           同一規模の町の平均値より、職員数若干多め。
           (町の雇用媒体としては、最大と思われる)
 
           議員数 11人。
           (ちなみに、東京板橋区は、約50万人の人口に対して約50人)
          財政(平成11年度)
           歳入 39.4億円
           (地方税 3.4億円、地方交付税 19.7億円)
           歳出 37.1億円
           (人件費 7.4億円、公共事業 13.0億円)
           同一規模の町の平均値を上回っている。
          町債は、35.3億円。
          なお、町の収入としては、年金が重要。
            年金収入 13億円。誘致企業給与 20億円。建設業 12億円。
      
次いで、A現状認識から問題点を抽出として、
ここで茂木より、
「現在の国の財政状況から、地方交付金の削減が考えられる。
水窪町の財政状況に当然影響が出る。
また、町の収入としての、年金にしても、先行き不透明である」
との発言がありました。                     
また、「住民数のこれ以降、増加は考えられないのではないか?」
「なにより、若年層の流出に伴う、少子化は止まらないのではないか?」
(町は、Uターン・Iターンのために補助金を出す制度を持っていますが、
ほとんど機能していない)
そして、「産業としても、1次産業の林業が上向くとは考えられず、
2次産業の製造業は、製造業の空洞化にもあるようにあえて水窪町に進出するとは考えられず、
また、建設業にしても、公共事業費の削減は避けられない」
「3次産業の商業については、
そもそも零細の商店ばかりなので、コスト的に経営の継続は可能であろうが、
人口の減少に伴う、購買数の減少が起こっている」
参加者より、
「町の利害構造の複雑さもうかがいしれる」との発言。
さらに、参加者(静岡・天竜在住)より、
「閉鎖的な地域であり(自然的要素や交通的要素以外でも)、
また、住民は、それでも現状生活は可能であるから、無気力となっている」との、
発言、がありました。
B天野さんの水窪での葬儀ベンチャー立上げにつき、
上記のような問題点の抽出に対して、参加者より、
「たとえば、福島県のある山村では、
隣接の都市との交流、また国際的な交流により、活性化をはかっている。
なにより、文化的な要素での交流が注目される」との発言がありました。
また、
別の参加者より、
「財源・財政の地域への移譲を進めるべき」と。
「行政評価により、住民の満足であったり、不採算部門の洗い出しが必要」と。
さらに、
菊池さんより、
「戦略として、ニーズ・カスタマー・テクノロジーを考えるべき・
ニーズとは、どうして水窪なのか?
カスタマーとは、ターゲット・顧客。
テクノロジーとは、顧客ニーズを満たすために何ができるか?」との発言。
ここで、茂木より、
今回のディスカッションの方向性として、
「地域における”独立”と”循環”」が必要ではないかとの発言がありました。
すなわち、
「過疎・少子・高齢であっても、地域が持続的に存在できる」
そして、「その存続のために、地域における経済のサークルの確立。また都市との交流」が、
必要であるとのことです。
さらに、茂木より、
水窪での「地域活性化」のためともなる、
戦略研メンバー・天野さんによる、「葬儀ベンチャー立上げ」の発表がありました。
従来水窪では、葬儀の際、農協に依頼することがほとんどであったが、
農協は、葬儀関係の商品(香典返しなど)を、
水窪ではなく、他の地域より購入していた。
これでは、水窪の資産が他の地域へと流れることとなる。
そこで、「冠婚葬祭業を営み、顧客(地域住民)と地域社会と会社の幸福の最大化を図る」との経営理念から、
「地元の地元による地元のための葬儀屋」の立上げとなった。
そして、葬儀関係の商品は、上記の水窪の商店街からの購入を行っている。
開業して半年足らずであるが、
町の葬儀・法要のシェアの30%を占めたとのこと。
また、町民にも、好評であるとのこと。
さらに、現在、天野さんも含めて3人での事業であるが、
忙しくなってきたので、雇用(アルバイトながら)も検討中とのこと。
C水窪町における地域活性化とは
・・・といったような、天野さんのビジネスは、
水窪町における活性化の一つの指針となるのではないか、と。
すなわち、「住民意識の変革は難しいことである。
しかしながら、誰かが先頭に立って行動を起こし、これについてくる人々が、
徐々に増えていくというところからなのではないか?」
また、「サービス産業への着目が重要ではないか?
若年層を労働力としなくてもこなさせることから」
そして、「町の中で、町のお金が循環するという仕組みを作っている」
・・・といった点がすばらしいとの
「天野さんの葬儀ベンチャー」に対する茂木の発表でした。
また、「水窪町における観光業」という茂木からの提案がありました。
「自立する地域」(ぎょうせい)より、
「高齢者の生きがいづくりと観光」」との
愛知県足助町のサンプルをまず紹介しました。
・・・過疎地域・足助町の地域づくりは、行政・住民・観光協会などが
連携をとりつつ、高齢者対策や地域文化の保存・継承という地域課題の解決を
観光を生かしながら行ってきた点に特徴。
また、
観光資源として、
「山・森・川」
「水窪祭り」「国盗り綱引き」
「シカ・イノシシ・栃餅・しいたけ・そば」
そして、「民話」といったものが考えられる、と。
問題点は・・・
水窪町は、観光施設として、
「小和田公園」「カモシカ観察施設」「水窪民族資料館」など(ハコモノ)に投資を
したが、
どれも、経営的に破綻していることから、
住民すら観光事業に懐疑的。
また、なによりも、住民は「水窪は、な〜んもないとこら〜」と。
さらに、観光事業は、
1次産業的な、天候・季節の変化、
2次産業的な、施設など先行投資、
3次産業的な、労働集約型からくる人件費、
といったリスクを負い、PR活動を必要とする。
しかしながら、水窪に4度ほどお邪魔している、茂木としては、
「そのなにもないところ、また、あまりにも田舎であることが、
都市の住民的に、すばらしく、ノスタルジアを誘う」との、
個人的意見。
そこで、外部との交流による刺激、
また、外部の人間に水窪の価値を再評価してもらい、
ハードよりもソフトを重視し、
そして、高齢者のいきがいとなる装置と考え(雇用とまではいかないまでも)ての、
観光事業はありうるのではないかとの、茂木の提言でした。
また、参加者より、
「隔離された地形であれば、
VIPのための機密性・安全性の高い静養地となるのではないか?」
「閉鎖された購買圏の存在から、
地域通貨の導入に向いているのではないか?」
との、提言もありました。
・・・というような感じで、
あっという間の3時間でした。
そして、参加者の間で、
「水窪活性化メーリングの立上げ」と、
「水窪ツアー」(実際にどんな状況かみてみよう)のやり取りがありました。
追加補足・・・ 「市町村合併」について
現在、水窪町においては、
隣町の佐久間町との合併のお話しがあります。
地域特性としては、水窪町と佐久間町は近似しています。
・・・水窪住民に言わせると、水窪が派手で、佐久間が地味とか。
佐久間町は、もともと「昭和の大合併」でできた町なので、
6000人という人口です(ただし、年間100人ぐらいの減少が続いています)
・・・佐久間町には、
人口の中央集積地と水窪町と比べると呼べる程のものもなく
また、各地区ごとが別々の連帯・分科を持っているとのことです。
そして、佐久間町には、公共施設として、
「県立佐久間高校」と、
「県立佐久間病院」が存在します。
・・・高校は、水窪町からの中学卒業のほとんどを吸収し、
病院は、水窪町で入院の事態のときは、ここだそうです。
また、佐久間町には、商店街も水窪町に比べると小規模であるので、
佐久間町から水窪町への購買者が多いとのこと。
・・・逆に、水窪町から佐久間町への購買者はほとんどいないとのこと。
このような諸点から、
地域としての近似性も高く、相互補完的でもあるなどとして、
「合併調査研究会」が設けられています。
この調査研究会は、
合併のメリット(行財政の面)としては・・・
・合併特例法による国県の財政支援が受けられる(10年ほど)
・生活環境基盤設備や道路整備につき、市町村合併支援プランの支援が受けられる
・職員・議員の減員が行える
デメリット(行財政の面)としては・・・
・戸籍。印鑑証明発行などの電算システムの統一化などの新たな財政支出の発生の可能性
・税や料金などの住民負担の軽減(住民にはメリット)
・補助金や奨励金などの給付の向上(住民にはメリット)
・・・としています。
合併により、両町の「負担」の軽いほう、「給付」の厚いほうが選ばれます。
・・・との茂木からの発言がありました。
どうも、合併のメリット・デメリットがわかりづらいとの印象。
なお、2005年3月が、財政支援策を盛り込んだ市町村合併特例法の期限となっています。

 

  2)”水窪資料”
「自然的特性」
静岡県の西北端に位置。長野県境・愛知県境に接する。
林野率94.2%。町内に2000m級の山も存在。
そして、わずかな河岸段丘や、河川に沿った急峻な傾斜地に道路が開かれ、
集落が点在している。
中心地(集落集積地)のイメージは、Vの字の底って感じです。
「歴史的特性」
縄文・弥生時代から、集落は存在していた。
歴史資料に初めに現れるのは、
南北朝時代の後醍醐天皇の皇子が逃れてきたとの記述。
また、武田信玄による、徳川家康(浜松)攻略のための進軍ルートとなる。
伝統芸能として、「西浦田楽」というものがあります。
「人口特性」
人口規模の推移。
平成12年 3723人
・・・昭和5年 7080人。昭和30年 10947人(ピーク時)。昭和55年
 5803人。
(今後の推計)
平成24年 2651人。
・・・人口の社会動態に大きな影響を与えた要因としては、
昭和31年佐久間ダム完成、昭和44年水窪ダム完成などの地域開発における
工事等により、一時的には多くの工事関係者の流入現象がもたらされたが、
むしろ工事終了後における大量流出に拍車をかける結果となった。
・・・現在は、新規学卒者を中心とした若年齢層の続いてる。
これとともに、過疎化・少子化・高齢化の進行により、
労働力の低下とともに地域社会の活力が奪われている。
人口構成比の推移(平成12年)。
0〜14才   11.3%
15〜64才 53.5%
65才〜   35.2%
(平成7年)
0〜14才   14.2%
15〜64才 57.3%
65才〜   28.5%
(今後の推移;平成24年)
0〜14才    3.8%
15〜64才 48.8%
65才〜   47.4%
・・・なお、住民の生活単位としては、自治区(集落コミュニティ)ごととなってい
る。
連帯意識により地域共同社会が構成されている。
小畑・神原・水窪・向市場の4自治区が連なる2714人の水窪地区の中心部は、
町内最大の人口集積地であり、生活様式の多様化や商店街の形成など
一部都市的な機能を有している。
一方、小規模集落としては、14人、65才以上78.57%という、門谷地区など
がある。
このような小規模集落では、
地域共同社会としての自治機能やコミュニティ機能を失いつつあり、
集落維持の限界点が迫っている。
「経済的特性」
昭和30年代後半からの急速な社会経済の発展が町内の若い労働力の都市部への流出
を招いた。
産業別就業者人口比率。
(平成7年)
第1次 10.4%
第2次 46.6%
第3次 43.0%
(昭和35年)
第1次 40.7%
第2次 27.2%
第3次 32.1%
第1次産業。農林業。
古くからの代表的な基幹産業。
地理地形的な条件の劣悪性、経営基盤の小規模零細性、機械化の困難制など
生活環境条件の厳しさと、
主要生産物である木材及び茶の価格の低迷などの要因により、長期的に不振。
第2次産業。製材業、電機製品、自動車部品、建設業など。
労働力確保の難しさや消費地と遠隔におかれている地理的条件もあって
小規模零細経営が中心となっている。
製材業、長引く木材価格の低迷の影響を受けている。
建設業、受注量の減少と就業者の高齢化。
自動車・電機部品の製造、景気低迷が続く中で閉鎖や撤退する工場がみられる。
第3次産業。商業。
飲食料品や衣服、雑貨などの日常生活必需品の販売を主体とする
零細な個人経営がほとんどである。
人口減少による地元購買力の低下、生活圏域の拡大による都市部への
購買力の流出などにより、厳しい経営状況を迫られている。
なお、通勤圏としては。
就業者、2006人において、
自宅     22.7%
町内通勤  63.5%
町外通勤  13.8%
また、消費購買としては。
消費購買数において、37.6%が町内。
それ以外では、浜松市、浜北市、天竜市などが購買地。
「交通特性」(この3つしか、交通手段がないといえる)
JR飯田線(愛知県豊橋〜長野県飯田;1時間に1本か2本)
JR東海バス(水窪〜天竜〜浜松;ただし、本年中に廃止の可能性)
また、国道152号(飯田〜水窪〜天竜〜浜松)
・・・なお、三遠南信自動車道の構想が存在する。
たとえば、東京から水窪に行こうとすると。
新幹線で、浜松まで、2時間。
遠州鉄道に乗り換えて、西鹿島まで、40分。
そこから、車で、2時間弱というところです。
「行政組織」(主な業務、財政、税収)
町役場職員数 87人
・・・一般職員 68人 教育関係 13人など。
・・・一般職員内訳 総務 21人。税務 5人。民生 6人。衛生 12人。
農林水産 14人。土木 7人など。
同一規模の町の平均値よりも、職員数は若干多め。
とくに、農林水産、衛生分野が多い。
なお、町議会議員は、11名。
財政
(平成11年度)
歳入 39.4億円
(地方税 3.4億円、地方交付税 19.7億円)
歳出 37.1億円
(農林水産業費 8.6億円)
同一規模の町の平均値を上回っている。
なお、公債費負担比率 15.9%(15%が警戒ライン)
また、町債は、35.3億円
公共設備
公共下水道事業の立遅れ。
これに対して、小学校・公民館などの文教施設や集会施設は充分整備されているが、
対象人数に比してかなり多いため、
将来にわたる施設の運営・維持管理に要する経費が問題となる。

「町村合併」
現在、水窪町の南に位置する隣町「佐久間町」との合併調査研究がなされている。
前記、水窪町の特性と近似している。
・・・人口は、6000人。
・・・町営の入院施設のある病院がある。
・・・高校が存在する。
・・・ただし、町の人口集積は、水窪町に比べ、分散している。
・・・佐久間町から、水窪町への購買が超過。
・・・感覚的には、水窪が派手で、佐久間は地味。
合併調査研究会が想定した両町の合併におけるメリット・デメリット
(行財政の面)
メリット
・合併特例法による国県の財政支援(この恩恵は10年ほど)
・生活環境基盤設備や道路整備につき、市町村合併支援プランの支援
・職員の減員。議員の減員。
デメリット
・電算システムの統一化など合併に伴う新たな行政需要の発生が見込まれる
・税や料金など住民負担水準の軽減(住民にはメリット)
・補助金や奨励金など給付水準の向上(住民にはメリット)
「教育」
水窪町は、中学校まで。高校は、佐久間町の県立高校へ進学がほとんど。
小中学校は、学年1クラス。
「住民の貯蓄率・資産状況」
(天野さんより取材)
磐田信用金庫の職員に聞くと貯蓄額が他の地域に比べて
多いらしいね。人口少ないのに。
山の景気がいい頃にちまちま貯めたのかな
年金が、町の収入としては重要。
・・・年金収入 13億円。誘致企業給与 20億円。建設業 12億円。
金融機関としては、磐田信用金庫・支店、農協、郵便局のみ。
「観光事業の現状」
(天野さんから取材)
正確にはわかんないけど、いまんところ国道152号線の
どん詰まりって感じで、水窪町に用事がある人が
来ているって感じかな
しかし、152号線の悪路(一部不開通のため林道)を長野県方面へ抜けて
水窪町と県境の南信濃村に観光に行く人が
最近多い。というのは
モッチも行ったとおり温泉が2年前にできたんだ
村営で結構いい温泉で源泉も42度で出ているらしい
冗談で、水窪にも温泉作れ、なんていう人もいるが
隣にできているのに作ったら、少ないパイの奪い合いで
ダメだよな
観光で何とかするのは難しいよね
考えられる観光資源
・山・森・川
・釣り(アユ・アマゴ・ワカサギ)
・山王峡
・高根城址
・池の平
・西浦田楽
・水窪祭り
・国盗り綱引き
・ニホンザル・カモシカ・キツネ・タヌキ・ツキノワグマ
・栃もち・こんにゃく・しいたけ・そば
・民話 〜そもそも、街道筋の宿場として繁盛していたところであり、
      「遠野」的要素があるのではないか?
なお、観光施設として町が投資した、
「小和田公園」「カモシカ観察施設」「旧信州街道改修」「民族資料館」は、
どれも、経営的に破綻しているとのこと。
「意識」(住民、行政組織それぞれ、現状と将来への)
(天野さんへの取材)
> あと、町のこれからを考えてる人って、どのぐらい?どんな感じ?若手は?
個人的な感想として、田舎には人材が少ないと思うけど
少なくとも、近隣の佐久間町や天竜市に比べると
熱心な若い奴が少しはいると思うよ
最近冷めてる奴っているもんな
(茂木私見)
・・・北遠最大の水窪祭りなど、
青年団イベントでの共通経験とかが、影響しているのか?

 

  3)”参考文献”
   ■ 「町おこしの経営学」
      三井物産 業務部 ニューファーム21チーム(編)
      東洋経済新報社
   
   ■ 「自立する地域」
      日本政策投資銀行 地域企画チーム(編著)
      ぎょうせい