1.AEDを購入する

 AEDは2004年7月から医師でなくても使用できるものとなりました。但し現状では個人が1台を購入しようとした場合、25万〜30万円程度かかることになります。しかしアメリカなどでは一台が10万円程度しかしません。通常、医療機器で医師が使用するものについては一般の人が個人で輸入することができませんが、家庭用としての医療機器については1セットのみ輸入することが認められています。(厚生労働省<医薬品等の個人輸入について>)。家庭で使用するものについては、こうした個人輸入を行うことで家庭の事情に合わせた製品を購入することが可能になります。但し、個人で家庭用医療機器を輸入する場合には様々な問題があることも理解しておく必要があります。(厚生労働省<医薬品等を海外から輸入しようとされる方へ>) AEDを海外から個人で輸入しようとする場合、個人輸入の代行業者を使うことは禁止されています。また代行業者を使わなくても代理でだれかが購入して転売することも、それを斡旋することも出来ません(医薬品等の個人輸入に関するQ&A)。それだけでは、ここでご紹介する意味はないので、AEDを個人輸入をした事例を紹介したいと思います。実際には最新型のAEDのセットが13万円ほどで購入できました。
3.どこで購入するか
 
今回、実際に個人輸入で購入したのは右の販社です。この販社を選択した理由ですが、一つは取引先を公開していて、その取引先を調べた結果、大手航空会社のほか、ロス市警やNY市警、アメリカ陸軍、アメリカ赤十字などの公的機関があることが分かりました。この販社のWebを1年ほどウォッチし、定常的に営業がされていることを確認してからの購入でした。
2.AEDの個人輸入の必要性
(1)経済的な事情
 上記では家庭の事情に合わせた製品を購入することができると書きました。これは一つはやはり現実的には、経済的な事情により国内で販売されているAEDが高すぎて、購入することができないというものがあります。米国では130米ドル(1ドル92円で12万程度)で購入ができますので、このくらいの価格ですと少し現実的になってきます。
(2)使用者の事情
 日本で承認されている機種が、家庭の事情に合わない場合もあります。例えば在日の外国人の家庭などの場合です。米国市場をターゲットにしている機種の場合には、文字や音声での表示の他、イラストとランプで指示を出す配慮がされている製品があります。こうしたものは、何も外国人向けだけではなく、聴覚障害者も含めて広く使えるAEDということができます。今回は、聴覚障害者や外国人にも使いやすい必要があるという事情から、当時まだ日本で承認されていなかった  i-PAD NF1200のセット を購入しました。輸入した機材の場合は音声ガイダンスは英語で、液晶表示も英語ですが、このNF1200はイラストとランプでも指示してくれます。また消防署で無料の普通救命講習を受けていれば、音声を聞いたり、イラストを見なくても操作ができるでしょう。聴覚障害者や外国人も出入りする家庭には最適な機種と言えます。ただし購入直後,2009年12月21日に日本でも承認されたので、国内承認型のモデルとなりました。
 また取り扱い商品も多く、価格も手頃な製品を多数取り扱っているということで選択しました。支払い方法は、PAY PAL という海外では一般的な支払い方法を使用しました。クレジットカードを登録し、そこから販社に対して支払ってもらうというもので、販社には直接クレジットカードの番号などは伝わらない仕組みです。また運送会社の配達状況確認機能を必ず用いることを義務付けていて、配達がされていないことが分かると強制返金をさせるなどの消費者にとっては心強いサービスです。(Wikipedia PAYPALも参照のこと) 実際の価格は製品価格だけではなく、送料が120ドル程度かかりました。それと税関で7000円程度の関税がかかり、これは運送会社が立て替えていて、商品が到着後に銀行振り込みで運送会社に支払いますので、それをあらかじめ考慮する必要があります。
4.英文のe-mailが読み書きできればOK
 
英語の勉強になりますので、是非挑戦してみて欲しいところです。Webから購入の手続をすると、実際の日本への送料が計算できていないので、あとからPAY-PALで支払うようにというメールが来ます。ビジネスライクなメールではなく、かなりくだけた感じのメールでした。苦手な方はエキサイト翻訳などの翻訳Webサイトを活用するのも良いでしょう。中学校の英語をしっかり勉強していたとしたら、メールのやりとりなら辞書を引きながらでも問題がなくできると思います。
5.納期は2〜3ヶ月
 
それほど在庫があるものでもありませんので、発注をしてから納期は2〜3ヶ月かかると考えておく必要があります。特に壁設置用ケースやソフトケース、CPRセットなどと一緒にセットで購入すると部材が全てそろわないと送品してくれませんので、時間が余計にかかることになりました。私の場合は、CPRセットの入荷が遅れたために全部そろったのが2ヶ月後くらいでした。先方からの発送後は貨物の現在位置のトレース情報を以下のようにWebで見ることができますので安心です。
6.リコールなどの情報
 
問題があるとすればリコール問題などの場合の対処です。製品のユーザ登録をしてあればリコールの情報は直接送られてくるはずです。日本の正規代理店経由ではないのでメーカのホームページなどをチェックしたり、e-maiの登録をしたりして情報を日ごろから入手するようにしましょう。ちなみに国内で販売されているAEDでリコールが発生したものは、リコールプラスで確認できますが、これらを見ても分かりますが、一台数十万円もする国内承認型のものが事実上、無用の長物であったということでした。
 
  2009年に当時まだ国内承認されていなかったNF1200を個人で良いと判断して自家用に輸入しましたが、国内で承認を受けた高額なものを正規に購入しなくてよかったと言う複雑な感想です。この製品は一度もリコールがなく、上記のリコール製品の代換品としても出荷されることになったりもしました。良く研究してよいものを選んだので良かったのですが、海外のものの中には、二つの電極パッドが一体化したものなど、実際には使うのが困難と思われるものもありましたので、他のものを購入するときは注意が必要と思います。購入する際はやはり国内でも承認されれている型が良いでしょう。また安いというだけで購入しようとすると、悪質なサイトにだまされることもあると思います。個人輸入をするにしても出所がしっかしりしたところを選ぶようにしましょう。