行動記録

4月29日 成田17:55−サンフランシスコ11:00〜12:45−シアトル14:45

 シアトル空港でレンタカーを借り、鈴木の運転で出発。フリーウェイでは車の流れに乗って右車線を走っていたが、通行量の少ない一般道路へ下り三叉路を右折した所で左車線へ入ってしまった。カーブの向こうから現れた車と、危うく衝突しそうになる。ガスカートリッジと食料を購入し、モーテルに泊まる。

 

4月30日(晴れ)シアトル08:15−シュリーバーズメドウの1km手前11:15〜12:00−ベースキャンプ1,450m 15:30

 登山口シュリーバーズメドウの1km手前で積雪のため車が進めなくなったので、そこからシール登高を始める。登山口に着いたら、橋を渡って沢の右岸へ移動する。さらに西へ1km進むと、針葉樹の隙間からベイカーが見えてきた。北北西に向きを変え、レイルロードグレイドという尾根の東の谷を登る。

 標高1,450mで広い平坦地に出た。ここにベースキャンプを設営する。標高1,550m付近にはイーストン氷河の末端が見える。

 

5月1日(曇りだが日も差す)ベースキャンプ 07:00−ベイカー山頂14:15−ベースキャンプ 16:00

 7時にベースキャンプを出て、イーストン氷河末端部の東にある谷をシールで登る。標高1,750mで谷から氷河の上へ移り、そこから先はロープをつけて進む。氷河の傾斜は緩く、幅は500〜800mである。西半分はクレバスが多いが、東半分は圧雪したスキー場のように滑らかだ。南東の方を振り返れば、エルドラド(2,703m)からグレイシャー峰(3,213m)へ至る山脈が見える。はるか南の雲の上には、レーニア(4,392m)も頭を覗かせている。

 標高2,600mから少し急な斜面(20〜25度)になる。クレバスが3つほど現れるが、簡単に迂回できる。クレバスの所には旗を立てておく。シャーマン峰(3,097m)の西にある岩峰を左から回り込むと、ベイカー山頂とシャーマン峰の鞍部(2,963m)に着く。鞍部の東は火口になっていて、盛んにガスを噴き出している。

 鞍部から上はローマン壁と呼ばれる急斜面(25〜40度)なので、ロープ無しで登る。雪はそれほど硬くなく、シール登高が可能だ。頂上台地に出てから距離にして500m北東へ進むと、高さ10mの円錐形のピークがあった。ここが山頂である。

 頂上台地の南西端まで戻って滑降開始。上部の急斜面より、むしろ下部の緩やかな斜面の方がスキーは楽しい。午後になって雪は重くなったが、体重を後ろにかけて滑ると結構スピードが出る。3km先まで続く氷河を、大きなターンでビュンビュン飛ばす。

 氷河末端が近づくと、スノーモービルの新しいトレースに誘われて、東の谷へ下りる場所を間違え、高さ20mの急斜面の上部に出てしまった。膝まで湿雪に潜っている状態で登り返すのはたいへんなので、そのまま下りることにする。後続の鈴木は、やや下流にある高さ40mの崖の上に現れた。崖の縁には雪庇も出ている。ストックで×印を作って「そこは下りられないぞ。」と合図を送る。鈴木はしばらく崖の上を歩き回り、雪庇の切れ目を見つけて下りて来た。後は谷を滑走してベースキャンプへ帰る。

 

5月2日(曇り時々雨)ベースキャンプ 08:00−シュリーバーズメドウの1km手前09:00−ソルダック温泉

 テントを担いで下山。車に戻ると、ボンネットが傷つけられ、ワイパーには駐車違反の切符まで挟まれている。近くにいた人の話では、悪い連中がやって来て、我々の車が邪魔だと言いながらボンネットを引っ掻いたらしい。土曜日だった昨日はスノーモービルを積んで遊びに来た車が狭い道路の両側にたくさん駐車していたが、そうした車の間を強引に通り抜けて一番奥の雪のある所まで行こうとする者もいたようだ。また、その悪い連中は、我々の車が登山口で駐車するための許可証を掲示していないのに気づき、通行を邪魔された腹いせに警察へ通報したのだそうだ。

 駐車違反の罰金は76ドルだった。郵便局で76ドルのマネーオーダーを作り、違反切符に書かれている裁判所へ郵送する。レンタカーを借りるときに車両損害補償に加入していたので、ボンネットの傷の修理代は払わずに済んだ。この日は、アドミラルティ海峡をフェリーで渡り、オリンピック国立公園のソルダック温泉に泊まる。

 

5月3日 ソルダック温泉−シアトル

5月4日 シアトル07:30−サンフランシスコ09:36〜11:30−

5月5日 −成田14:25

 

情報編

米国 ベイカー(3,286m)