情報編
1 山スキー適季
フォックス氷河の山スキー適季は、冬〜春(6〜11月)である。この時季でも登山者は週に2〜3パーティほど来ているが、ヘリスキーはあまり行なわれていないようだ。今回の山行中の気温はマイナス8℃〜プラス5℃だった。8月下旬の晴れた日なら7時から18時30分までは明るい。
2 山小屋・登山登録
パイオニア小屋とチャンセラー小屋は12人収容である。どちらも無人だが、使用後にフォックス氷河ビレッジのビジターセンターで料金を払わなければならない。小屋には雨水や屋根の雪解け水をためるタンクがある。ただし、晴れた午後などを除いて、タンクの蛇口は凍りついていることが多い。ベッドにはマットが敷いてある。パイオニア小屋の方だけは、鍋・フライパン・食器が置いてあり、太陽電池式の照明もついている。
フォックス氷河やフランツジョセフ氷河の小屋には環境保護省の無線機が設置されている。毎日16時55分にビジターセンターとの定時交信があり、各小屋の滞在パーティ名の確認と、5日先までの天気予報の通報が行なわれる。この無線機は救助要請にも使える。また、悪天候のため下山を遅らせるときには、ビジターセンターからヘリコプター会社へ連絡してもらうことも可能だ。しかし、予約していないヘリコプターの手配をビジターセンターに頼むことはできない。
登山の際は、ビジターセンターで登録をしておく方が良い。この登録をしたら、下山したときにセンターへ登録証を返さなければならない。予定日までに下山報告が無ければ、ビジターセンターが捜索を始めることになっている。
3 入下山の方法
フォックス氷河ビレッジからフォックス氷河まではヘリコプターや小型飛行機で入ることができる。ヘリコプターの方は小屋のすぐ横に着陸する。ルートを良く知っているパーティなら、入山時はパイオニア小屋まで、下山時はチャンセラー小屋からヘリコプターを使うことが多いようだ。我々はチャンセラー小屋までヘリコプターで入り、後はルートに旗を立てながらパイオニア小屋まで歩いて登った。今回使ったのはグレーシャー・サザンレイクス・ヘリコプター(ホームページhttp://www.heli-flights.co.nz)である。
ヘリコプターは天気が悪いと飛ばないこともある。今回の山行では予備日を2日間用意し、最悪の場合はチャンセラー小屋からフォックス氷河ビレッジまで歩いて下る覚悟をしていた。チャンセラー小屋から氷河脇のガレ場を7km下りると道路終点(260m)に着き、さらに5km歩けばフォックス氷河ビレッジである。実際には入山時の天気待ちで予備日を1日使っただけで済んだ。
4 装備・食料
氷河用の登攀具が必要である。ホワイトガソリンやプリムス互換のガスカートリッジは、クライストチャーチのリッチフィールド通りとコロンボ通りの交差点付近に数軒ある登山用品店や、フォックス氷河ビレッジのガソリンスタンドで購入できる。クライストチャーチの登山用品店ではフリーズドライも売っている。我々はクライストチャーチのサウスシティ・ショッピングセンターで園芸用の竹竿を買い、それにガムテープを貼り付けて旗を作った。クライストチャーチやホキティカにはスーパーマーケットがある。フォックス氷河ビレッジには小さな食料品店しかない。
5 地図・ガイドブック
フォックス氷河の山スキーに必要な5万分の1地形図は「H36 Mt Cook」「G35, H35 & H34 Franz Josef」である。クック周辺の山域全体を見るには、11万分の1のParkmap「Mount Cook & Westland第5版, Department of Conservation発行, 1999年」が良い。これらの地図は、東京のマップハウス(ホームページhttp://www.maphouse.co.jp/)へ注文することができる。
ガイドブックには下記のものがあり、ニュージーランド山岳会(ホームページhttp://www.alpineclub.org.nz)へ注文することができる。
* Aoraki Mount Cook第3版, Alex Palman著, the New Zealand Alpine Club発行, 2001年
* New Zealand Backcountry Skiing, James Broadbent著, the New Zealand Alpine Club発行, 2004年
6 レンタカー
今回の山行では、クライストチャーチ〜フォックス氷河ビレッジ間の道路に積雪は無かった。しかし、途中のアーサーズパス(720m)に雪が積もることもあるようなので、レンタカーを借りるときに雪道用の装備が必要かどうか尋ねる方が良い。
7 主な費用
* 日本〜クライストチャーチ往復の航空券:1人当たり15万円
* フォックス氷河ビレッジ〜チャンセラー小屋間のヘリコプター:2万4千円(1機当たり片道の料金)
* レンタカー:ステーションワゴン10日間で1台当たり11万円(任意保険・税込み)
* 小屋:1人1泊当たりパイオニア小屋は2,400円、チャンセラー小屋は1,100円