情報編

 

1 メキシコの山スキー、登山適期

 メキシコで山スキーができる可能性があるのは、上部に氷河を頂いた3つの5,000m峰、オリサバ(5,611m)、ポポカテペトル(5,465m)、イスタシフアトル(5,230m)である。しかし、ポポカテペトルは近年活発に噴火しているために登れない状態が続いており、イスタシフアトルではわずかな距離しか滑れないだろう。

 メキシコの5,000m峰は年中登れるが、5月〜9月の雨季より11月〜4月の乾季の方が好天に恵まれる可能性は高い。ただし、乾季でも雲に覆われ強風に見舞われることはある。僕は2000年12月には悪天が3日間続いたため登頂できなかったし、今回もアタックの前2日間は天気が悪かった。雪の状態は乾季の初めの11月頃が最も良く、季節が進むにつれて氷の斜面になることが多くなり、4月頃になると雪面がペニテンテス(高さ50cmほどの氷塔)だらけでスキー向きではなくなってしまうようだ。

 

2 交通・登山ガイド・登山用具

 交通や登山ガイドの手配は、トラチチュカの旅行会社SERVIMONTに頼むのが便利である。山スキーはだめだが、ピッケル・アイゼンをはじめ白ガソリンやガスカートリッジ(キャンピングガス社の、一度ストーブに付けたら使い切るまで取りはずせない型)もSERVIMONTからレンタルもしくは購入することができる。登山中に山小屋やテントに置いてある荷物が盗まれることがあるようなので、登山ガイドを使わない場合でも荷物番だけは旅行会社から雇う方が良い。

* SERVIMONTの連絡先(英語での連絡可。)

電子メールservimont@unete.com ホームページhttp://www.servimont.com.mx

電話(トラチチュカ):52(メキシコの国番号)- 245-451-5009

ファックス(トラチチュカ):52(メキシコの国番号)- 245-451-5019

メキシコシティ事務所の住所:Santiago #344, Col. San Jeronimo,

Mexico DF 10200

 服装は中綿入りのマウンテンジャケット上下が妥当だろう。カッパでは風が強い場合に寒くて耐えられない。氷河の状態によってはクレバス転落の危険もあるので、ロープと氷雪用の支点が必要だ。山小屋で泊まるためにはシュラフ(春山用)とマットが要る。食料・雑貨などはトラチチュカでも買えるが、もっと大きな町で買って行く方が無難だ。

 米国〜メキシコの飛行機に預けた荷物は頻繁に無くなるようである。登山スキー兼用靴のようにメキシコでレンタルできない装備は、機内に持ち込む方が良い。

 

3  地図・ガイドブック

 ガイドブックには「Mexico's volcanoes. A climbing guide. 第3版 R. J. Secor著 The Mountaineers Books社 2001年」がある。5万分の1の地形図は、メキシコシティのINEGI(国立統計・地理・情報技術研究所)地図販売店で入手できる。ただし、白黒コピー(1枚US$ 2)しか買えない。地図販売店は地下鉄1号線インスルヘンテス駅出口の円形広場を囲む店のうちの一つで、土・日・祝日は休みだ。

 

4 費用

 主な費用は次のとおり。

* 航空券(成田〜メキシコシティ往復):12万円

* オリサバの登山ガイド、およびメキシコシティ〜ピエドラ・グランデ間のハイヤー・宿泊・食事:17万円

 

5  オリサバ周辺の観光の穴場

* ハラパ人類学博物館

 ハラパはオリサバの70km北東にあるベラクルス州の州都である。サボテンばかり生えているオリサバ付近とは違い、標高が低いハラパでは町じゅうに亜熱帯の花が咲き乱れている。州都とは言っても中心部に高層建築物は無く、半露天の食堂や雑貨屋、衣料品店がひしめきあった古いアーケードを夕暮れ時にさまよっていると、なんだか子供のころ夏休みに出かけた夜店巡りを思い出してしまう。ハラパ人類学博物館は、オルメカ文明(紀元前10世紀頃)の巨石人頭像や紀元100年頃の絵文字が刻まれた石碑など、メキシコ湾岸に栄えた古代文明のコレクションで名高い。

* エル・カリサル温泉

 エル・カリサル温泉は、ハラパからベラクルス方向へ車で1時間ほど走った所にある。河原に湧く硫黄泉で、25m四方くらいをコンクリートで囲って温泉プールにしている。温泉の敷地内にホテルもある。また、オリサバの東麓のアトトニルコにも温泉が湧いているそうだ。SERVIMONTのルイスは「アトトニルコの温泉は、小さくてあまりきれいではない。」と言っていたが、秘湯愛好者にとってはエル・カリサルの巨大プールよりアトトニルコの怪しい温泉の方が魅力的かもしれない。

メキシコ オリサバ(5,611m)