情報編

 

山スキー適季

 ロジャースパスの山スキー適季は、年末年始から5月までだ。ちなみに、ロジャースパスの南西15kmにあるフィデリティ山観測所(1,905m)の積雪の43年平均は、12月上旬1.5m、年末年始2m、2月半ば〜4月末3m、5月末2m、6月半ば1.5mである。

 気温は、今回の山行の際にはマイナス10℃〜プラス3℃だったが、マイナス30℃になることもあるらしい。フィデリティ山観測所の気温の31年平均は、1月がマイナス9.6℃、4月がマイナス0.5℃だ。

 年末年始には、明るいのは7時30分から16時30分までである。これ以外の時間にトレースの無い山中を歩くのは難しい。

 

2 地図・ガイドブック

 5万分の1の地形図には次のものがある。

* Touring at Rogers Pass第4版, Murray Toft著, Druid Mountain Enterprises社, 2002年

 また、ガイドブックには次のものがある。

* Ski Touring in Rogers Pass, J.P. Kors and John Kelly著, Friends of Mt. Revelstoke & Glacier発行, 1999年

* Summits and Icefields. Alpine Ski Tours in the Columbia Mountains, Chic Scott著, Rocky Mountain Books社, 2003年

 これらはカナダ山岳会ホームページ(http://www.alpineclubofcanada.ca/)で注文できるし、グレイシャー国立公園ロジャースパスセンターでも買える。

 

3 ロジャースパスの施設

 ロジャースパスにある旅行者用施設は、グレイシャー国立公園ロジャースパスセンター、ベストウェスタン・グレイシャーパークロッジ、ガソリンスタンド兼コンビニエンスストアの3つだけである。これらは互いに隣り合って建っている。

 グレイシャー国立公園ロジャースパスセンターは、12〜3月には7時から17時まで、4〜5月には9時から17時まで開いている。週末や祝日も開いているが、クリスマスの日だけは休みである。センター内には、2日先までの天気と雪崩の予報が掲示されている。

 ベストウェスタン・グレイシャーパークロッジは、ホームページ(http://www.glacierparklodge.ca/)で予約できる。大晦日のような客の多い時季には満室になることもあるので、早目に予約する方が良い。我々は10月下旬に予約をした。ロッジにはレストラン、カフェ、バーラウンジ、ジャグジー/温水プールがある。レストランは、冬の間は夜だけ営業している。カフェでは24時間いつでも食事ができるが、酒は飲めない。バーラウンジには有料のインターネット用パソコンが置いてある。ジャグジー/温水プールは屋外にあるが、冬でも快適に過ごせるようビニールハウスで覆われている。ただし、更衣室が無いため、水着で冷たい風に吹かれながら、ロッジの裏口からジャグジー/温水プールまで20mほど走って行かなければならない。ランドリーサービスはフロントで頼むことができる。

 

4 山小屋

 サファイアコルやヤングス峰などの上部斜面を効率良く滑るには、アスルカン小屋をベースにすると良い。この小屋は無人で、ヤングス峰北西面の標高2,100m地点にある。小屋の設備・料金・予約方法は、カナダ山岳会ホームページ(http://www.alpineclubofcanada.ca/)に載っている。我々も初めはアスルカン小屋を予約しようとしたが、10月中旬には既に満員になっていた。

 

5 登山の許可や登録

 カナダの国立公園を訪れるときには、全国共通のパークパスを購入しなければならない。このパスはグレイシャー国立公園ロジャースパスセンターやハイウェイ1号線のバンフ国立公園ゲートで販売されており、料金はカナダ国立公園ホームページ(http://www.pc.gc.ca)に載っている。国立公園で山小屋に泊まったりキャンプしたりするにはウィルダネスパスも要るが、アスルカン小屋の場合は小屋代にウィルダネスパス料金が含まれている。

 ロジャースパス付近では、ハイウェイの雪崩事故を防ぐため、山に砲弾を打ち込んで人工雪崩を起こし、不安定な積雪を取り除いたりすることがある。そこで、ハイウェイに面した斜面では入山が規制されている。一部の斜面は立入禁止だが、他の大部分はロジャースパスセンターで許可を取れば日帰りで登ることができる。規制区域は地形図「Touring at Rogers Pass」に載っている。それぞれの斜面の入山許可が下りるかどうかは、当日の朝になるまで分からない。

 ロジャースパス付近の山に登るときには、ロジャースパスセンターで登録をしておく方が良い。この登録をしたら、下山したときにセンターの窓口(閉館時間後は玄関前の返却箱)へ登録証を返すか、あるいは電話でセンターに報告しなければならない。予定日までに下山報告が無ければ、翌日には国立公園管理事務所が捜索を始める。

 

6 装備・食料

 氷河を含むルートで登攀具が必要かどうかは、ガイドブック「Ski Touring in Rogers Pass」で難易度に「クレバス」と書いてあるかどうかを目安にすると良い。サファイアコルのアスルカン氷河などは、ロープを付けて登る必要がある。一方、ブルインズパスの東にあるホスピタルボウルなどでは、クレバス転落の危険はほとんど無いようだ。

 プリムス互換のガスカートリッジは、カルガリーのMountain Equipment Coop(ホームページhttp://www.mec.ca/)などで購入できる。ゴールデンの180 Mountain Sports Store(423 9th Ave. N)でも買えるが、115グラム入りの小さなカートリッジしか置いてないようだ。

 ビスケット・サンドイッチ・ミネラルウォーターなどは、ロジャースパスのガソリンスタンド兼コンビニエンスストアで買える。テルモスに入れる湯は、ベストウェスタン・グレイシャーパークロッジのカフェで手に入る。酒・インスタントコーヒー・ティーバッグや山小屋・テント泊用の食料は、カルガリー・キャンモア・ゴールデンなどのスーパーマーケットで買っておく方が良い。なお、日曜日にはゴールデンのスーパーマーケットは休みのようだ。

 

7 交通

 冬には、カルガリー〜ロジャースパス間の道路は凍結したり圧雪状態になったりすることがある。そのうえ、エイビスのような大手のレンタカーでも、冬専用のタイヤより性能の劣るオールシーズンタイヤしか使っていない場合がある。たとえ雪道の運転に慣れた人でも、レンタカーを使うのは危険だ。実際、我々も12月26日にはレンタカーでスリップ事故を起こした。また、1月1日にはカルガリー市内だけで、滑って横転した車と道路脇の土手に乗り上げた車を1台ずつ目撃した。カルガリーからロジャースパスまでバスで行くのが最も安全である。ロジャースパスでロッジから登山口まで移動するのにどうしても車が必要なら、ゴールデンまでバスで行ってからレンタカーを借りればよい。現地旅行会社に車と運転手の手配を頼むのも一案だ。なお、ゴールデンウィークの頃には道路凍結のおそれは小さくなる。

 

8 主な費用

* 成田〜カルガリー往復の航空券:1人当たり16万円

* レンタカー(フルサイズセダン8日間):1台当たり6万円(任意保険・税込み)

* ベストウェスタン・グレイシャーパークロッジ:ツイン1部屋1泊当たり9千円

積雪構造へ

カナダ ロジャースパス