行動記録
12月23日 成田17:50−バンクーバー09:20〜15:15−カルガリー17:35
12月24日 カルガリー10:00−レイクルイーズ13:00
登山登録をするため、レイクルイーズ・ビジターセンターへ行く。カナダ国立公園ホームページにはクリスマスの12月25日だけ閉館と書いてあったのだが、実際には今日24日の午後も休みだった。やむなく、登山計画のメモをビジターセンター玄関前の登山・ハイキング記録帳を入れた箱とホテルのフロントに残しておく。
12月25日(雨)レイクルイーズ08:50−ヨーホーバレーロード入口08:15〜08:45−タカカウ滝キャンプ場1,520m 19:00(レイクルイーズとリトルヨーホー谷には1時間の時差がある。)
レイクルイーズからタクシーでハイウェイ1号線を23km西へ進み、さらにヨーホーバレーロードを0.5km入る。ここから先は除雪されていないのでシールで歩く。
登山口からタカカウ滝までの道路は13kmあるが、最初の4kmはクロスカントリースキー用に整備されていて歩きやすい。残りの9kmは、スキーのトレースが残っているものの、最近降った雪のため踝から靴が埋まるくらいのラッセルになる。今日は朝から雨が降り続き、時間を追うごとに雪が湿ってラッセルも重くなってきた。足を2〜3度蹴り上げないとスキーが雪の上に出ないこともある。この程度の浅い雪でこんなにきついラッセルは、経験したことが無い。1時間に進める距離も2kmから1.5km、1kmと次第に短くなっていく。 16時30分に日が暮れた。後はヘッドランプを点けて歩き、18時20分に道路終点に着く。さらに山道を0.7km進んで、19時にタカカウ滝キャンプ場に到着した。
今夜はキャンプ場のピクニックシェルターに泊まる。熱いラーメンをすすりながら、明日以降どうするか相談する。今日のようなラッセルが続けば、10km先のスタンレーミッチェル小屋まで10時間以上かかるかもしれない。明日中に小屋に着くのは、時間的にも体力的にも難しそうだ。また、スタンレーミッチェル小屋にはプロパンガスが装備されているので、我々はタカカウ滝キャンプ場1泊分とビバーク用の燃料しか持って来ていない。今夜はピクニックシェルターに放置されていた使い掛けの燃料を利用できたが、それでもタカカウ滝キャンプ場に何日も滞在して近くの山に登るというわけにもいかない。そのうえ、これから大雪が降ったら、下山する時も再び長いラッセルを強いられることになる。結局、明日さっさと下山し、レイクルイーズのホテルをベースに日帰りの山スキーをしたりスキー場で滑ったりするのが一番良いだろうという結論に達した。
12月26日(曇り。朝夕は雪。)タカカウ滝キャンプ場10:30−ラーフィング滝1,620m 13:00−スタンレーミッチェル小屋18:00
7時に起きて、のんびり朝食を取る。すっかり下山ムードである。しかし、朝食後にスキーを履いて歩き回ってみると、積雪の状態は随分変わっていた。雪の表面が凍り、モナカ雪になったとは言え、昨日の異常に重いラッセルに比べるとはるかに歩きやすい。下山は取りやめ、スタンレーミッチェル小屋へ向かうことにする。
10時30分に出発。幸いスキーのトレースはタカカウ滝キャンプ場より先まで続いている。トレースを辿ってヨーホー谷西岸を快調に溯り、13時にリトルヨーホー谷出合付近のラーフィング滝に着いた。
ルートはここで左折し、標高1,800mまでは急斜面に付いたジグザグの山道を登る。後は傾斜の緩んだリトルヨーホー谷北岸を西へ進む。標高が上がるにつれてラッセルが深くなり、乾いた新雪に脛まで潜るようになった。トレースが消えかけている所もある。すっかり日も暮れた18時にスタンレーミッチェル小屋へ到着。今夜は3部屋続きでロフト付の豪華な小屋を貸切だ。
12月27日(雪。1日で5cm積もる。)スタンレーミッチェル小屋08:00−アイソレイテッドコル南面の標高2,380m 12:10〜12:30−スタンレーミッチェル小屋13:40
今日はマッカーサーをめざす。まず、スタンレーミッチェル小屋の裏(北側)の急斜面を登る。脛ぐらいのラッセルがあるうえ、積雪自体はまだ少なくて倒木が完全に埋まっていないので、なかなか前に進めない。1時間30分かけて、ようやく小尾根(2,130m)に出た。小尾根を西へ登ると樹林限界の平坦地(2,230m)に着く。
ここからアイソレイテッドコル(2,515m)へ向かって、広い谷を北へ進む。谷はおおむね緩やかだが、所々で小さな急斜面を通過するたびに雪の中からクラックが走るような音がする。積雪構造を調べると、深さ35cmの部分に手首で引くとせん断する弱層があった。標高2,380mでやや大きな急斜面(30度)にさしかかる。その途端、また雪の中から不気味な音が聞こえた。急斜面の高さは30mあるので、雪崩が起きたら人が埋まるくらいの規模になるかもしれない。登高はここで中止にする。50mほど新雪を滑った後は、緩斜面を歩いたり滑ったりしながら小屋へ戻る。
午後は薪ストーブにあたりながら、お茶などを飲んで過ごす。夕方、カナダ・米国の3人組がやってきた。
12月28日(曇り)スタンレーミッチェル小屋滞在
天気はパッとしないし3日間のラッセルの疲れも出てきたので、小屋で1日休んで明日の長い下山に備える。この日はカナダの4人組もやって来た。
12月29日(曇り。朝のうち雪。)スタンレーミッチェル小屋06:30−タカカウ滝キャンプ場10:40〜11:00−ヨーホーバレーロード入口14:45〜14:55−フィールド15:00〜15:20−ヨーホーバレーロード入口15:25〜15:30−レイクルイーズ17:00
6時30分にスタンレーミッチェル小屋を出発し、途中2ヶ所(リトルヨーホー谷出口の急斜面の手前、ラーフィング滝からデュチェスネイ湖まで)をシールで登り返して、10時40分にタカカウ滝キャンプ場に着く。下山に2日かかるかもしれないと覚悟していたが、このペースなら今日中に登山口まで下りられそうだ。
ヨーホーバレーロードにはスノーモービルのトレースが付いていた。後で草柳が聞いた話によると、カナダ雪崩協会の調査員のスノーモービルらしい。タカカウ滝の道路終点から1.5km〜2.5kmの所にあるS字カーブはシールで登ったが、それ以外は直滑降や滑走で進むことができた。途中で3組6人の入山者とすれ違う。14時45分に登山口に着いた。
レイクルイーズからタクシーを呼ばなければならないが、電話のある一番近い町はハイウェイ1号線を西へ4km走った所にあるフィールドだ。登山口付近でクロスカントリースキーヤーに会ったので、彼らの車に僕だけ便乗してフィールドへ行く。草柳は登山口に残って荷物番だ。フィールドに着いてタクシー会社に電話をすると「予約用の番号に電話してください。」と言われたが、予約用電話は留守番電話になっている。フィールド・ビジターセンターへ行って事情を話すと、「レイクルイーズにはタクシーが1台しかないので、車の手配が難しいのでしょう。」と説明してくれた。
ビジターセンター職員の勧めに従い、まもなくフィールドを通る予定のグレイハウンドバスをつかまえてみることにした。ハイウェイに出て10分ほど待っていると、バスがやって来た。手を振ってバスを停め、座席に乗り込んで「ヨーホーバレーロードで友達が待っているので乗せてくれないか。」と運転手に頼む。ヨーホーバレーロードにバス停は無いし、運転手も最初は「バスが雪にはまったら困る。」と渋っていたが、「除雪されていて車もたくさん入っている。」と説得してなんとか登山口に立ち寄ってもらった。草柳と荷物を乗せてバスは出発。30分でレイクルイーズに着いた。バスの運転手にたっぷりチップをはずんで、徒歩5分のホテルへ向かう。
12月30日 レイクルイーズ滞在
12月31日 レイクルイーズ11:00−カルガリー14:00
1月1日 カルガリー08:15−バンクーバー08:43〜11:15−
1月2日 −成田14:15