2008年2月18日
  国土交通大臣
  冬 柴 鐵 三 殿
国土交通省職員組合
中央執行委員長 竹林和也
2008年春季生活改善要求書
 
 私たち国土交通省職員組合(以下「国交職組」)は、賃金、時短を中心とした労働条件全般について、下記のとおり改善を求めますので、貴職におかれましては、速やかに団体交渉を行うとともに、誠意ある回答及び必要な措置(権限のある関係機関への働きかけを含む)を求めるものです。
 なお、これらの要求の多くが、日本労働組合総連合会(連合)に結集する公務員労働組合の統一的な要求であることを申し添えます。
T.公務員制度改革および労働基本権の確立について
1.公務員制度改革について
 「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」報告および「公務員の労働基本権のあり方について」(専門調査会報告)を最大限尊重した法改正に向けて、誠意をもって対応すること。
 また、具体化に当たっては、国交職組と交渉・協議し、合意すること。
(1)新たな人事評価制度については、公正・公平性、透明性、客観性および納得性を担保すること。また、苦情処理制度、労使協議制度が整備されたものとすること。特に、評価結果の本人開示、国交職組が参加する苦情処理制度を実現すること。
(2)新たな人事評価による評価結果の任用、給与等への活用の措置案に基づき、国交職組と十分な交渉・協議を行い合意すること。活用については、制度の定着度・信頼度に応じて段階的に進めること。

U.2008年度の賃金要求について
1.2008年度の賃金改善について
(1)賃金について
@2008年度の給与改定にあたっては、民間賃金実態を正確に把握し、国家公務員の賃金水準を改善すること。また、水準・配分・体系等については国交職組と十分交渉・協議し、合意すること。
A地域手当等の制度移行期間中の勧告内容などについては、国交職組と十分交渉・協議し合意すること。また、本府省手当は新設しないこと。
(2)社会的に公正な官民比較方法の確立について
@労働基本権制約の代償機関である人事院に圧力をかけないこと。
A官民比較方法を抜本的に改善すること。一時金についても月例給同様にラスパイレ  ス比較を行うこと。
(3)諸手当について
@新幹線通勤手当の支給要件を緩和するとともに全額支給とすること。
A単身赴任手当の支給要件を緩和するとともに支給額を引き上げること。
B超過勤務手当、休日給および夜勤手当の割増率を引き上げること。
C超過勤務手当は、勤務実績どおり全額支給すること。
D本省在勤の「専ら併任者」が不利益を被ることがないように措置すること。
E住居手当の見直しについては、総合的に改善すること。自宅に係る手当については、廃止ありきではなく、慎重に検討すること。
F特地勤務手当の見直しについては、生活環境・生活実態と人材確保を重視した慎重な検討を行うこと。
(4)一時金について
 一時金については、民間支給実態を正確に把握反映すること。
(5)実施時期について
 2008年度の給与改定については、2008年4月1日から実施すること。

V.労働時間、休暇・休業について
1.総労働時間の短縮について
(1)ワーク・ライフ・バランスを実現するため、総労働時間年間1,800時間体制を確立することを基本に、当面、所定労働時間を1日当たり7時間45分とすること。また、具体的措置内容については、国交職組と十分交渉・協議し合意すること。
(2)超過勤務縮減を優先的に進めるために、次の事項を実施すること。
@勤務時間管理を徹底するとこちと。このため、勤務時間記録は、超過勤務実績を正確に記録し、一切の改竄を行わないこと。
A各職場で問題意識の共有化を進めるため、超過勤務実績の公表など、新たな措置を講じること。併せて、現行超過勤務縮減策を全般的に検証し、より実効性の高い施策をとりまとめ、措置を講じること。
B職員の健康管理への配慮および超過勤務縮減に向けた当局の姿勢を明確に示す意味から、超過勤務時間の上限目安(360時間/年)を設定すること。
(3)ホワイトカラーイグゼンプション(超過勤務手当不払い)制度については、安易に導入しないよう関係機関に働きかけること。
(4)年次休暇の連続的取得、計画的取得を一層促進すること。
2.育児短時間勤務制度および自己啓発等休業制度の円滑な運用について
 育児短時間勤務制度および自己啓発等休業制度の周知徹底をはかること。制度の活用ができる職場環境のより一層の整備に努めること。
3.休暇制度の充実・新設について
(1)夏季等の長期連続休暇と一体で年次休暇取得を促進すること。
(2)夏季休暇の日数を5日とすること。
(3)リフレッシュ休暇を新設すること。

W.労働安全衛生・健康管理の充実について
1.健康管理の充実について
(1)公務災害の発生を未然に防ぐため、公務災害認定指針の職場内周知徹底およびそれを念頭に置いた勤務時間管理の徹底・健康管理の充実を図ること。
(2)超過勤務時間が100時間/月以上又は80時間/月以上で連続の職員については、例外なく臨時の健康診断を実施すること。
2.メンタルヘルス対策について
(1)メンタルヘルス対策を充実すること。人事院の「心の健康づくりの研修のために」を踏まえた階層別職場内研修を実施すること。
(2)「心の健康づくり」に向けた国土交通省としての方針を明確に示すとともに、外部専門家の活用を含むカウンセリング体制の整備、職員の復職・職場適応の支援体制の整備、ストレス原因となった職場環境の改善を進めること。
(3)全職員を対象としたメンタルヘルス診断を実施し、併せて組織診断も実施すること。
3.セクシュアル・ハラスメント及びパワー・ハラスメント対策について
(1)セクシュアル・ハラスメント防止と排除のため、人事院規則および訓令の趣旨を周知徹底すること。また、アンケート等での実態把握、外部相談員の導入など利用しやすい相談体制の拡充、被害者救済を優先した人事上の措置を講じること。
(2)パワー・ハラスメント防止と排除のため、ガイドラインの作成および周知徹底をすること。

X.福利厚生施策等の充実について
1.計画策定と着実な実施について
 福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、政府の福利厚生基本計画を踏まえ、国土交通省として、福利厚生施策を着実に実行すること。
 また、国土交通省の福利厚生施策の長期展望を示すとともに、安易な福利厚生施策の切り捨てを行わないこと。
2.具体化を急ぐ施策について
 当面、@老朽化した宿舎・寮の更新および退去時負担の軽減、A多様な余暇活動への支援強化、B育児・介護を担う職員への支援、C共済事業(と連携した施策含む)の拡充、などの検討を行い具体化を目指すこと。

Y.高齢対策の推進について
1.定年までの雇用について
(1)退職勧奨による早期退職慣行を見直し、管理職を含むすべての職員が、安心して定年まで働けるようにすること。また、組織的、強制的な退職勧奨は、即時全廃すること。
(2)50歳、55歳および59歳を節目として、退職準備プログラムを実施すること。
2.現行高齢再任用制度の拡充について
(1)希望者全員の再任用を実現すること。また、再任用職員の給与格付けの改善を図ること。
(2)制度の適切な運用に向けて、再任用職員および配置された職場に対して、フォローアップのための調査を実施し、実態把握に努めること。
(3)再任用を前提とした在職期間の長期化に対応した人事任用政策を確立すること。
3.新たな高齢者雇用施策について
(1)公務員制度改革の一環として、年金支給と連結した雇用の実現に向けて、定年年齢  の引き上げ又は雇用継続の義務化を新たな高齢者雇用施策として確立すること。
(2)国交省・地方整備局における監査・検査等の業務において、独立性の高い職域を再  編し、ベテラン職員を積極的に活用する方策を検討すること。

Z.男女平等参画の公務職場の実現について
1.女性職員の採用・登用拡大計画について
女性職員の積極的な採用・登用拡大に向けて、「計画」の着実な実施に努めること。 また、計画の着実な実施のため、研修等を通じて職場内の周知に努め、年度途中で計画の実施状況を公表すること。
2.職業生活と家庭生活の両立について
職業生活と家庭生活の両立に向け、取得率の数値目標等を明確にした育児休業の男性取得の促進策をとりまとめること。
3.次世代育成支援について
次世代育成支援対策推進法に基づく「特定事業主行動計画」を着実に実行すること。また、行動計画の達成に向けて必要な点検・指導を行い、点検結果の検証に基づく見直しについても積極的にすすめること。

[.安全な職務遂行に向けた環境整備について
1.法律・規則遵守の業務執行の徹底について
事業および予算の執行を優先させるあまり、法律・規則の趣旨や手続きを逸脱する業務執行とならないよう、法律・規則遵守の徹底をはかること。
職場実態から、執行不可能な予算獲得と配分は行わないこと。また、非効率な予算の完全消化至上の職場風土・体質を改めること。
2.危機管理体制の確立について
暴力団等不当な圧力による業務執行への影響を排除するとともに、適正な業務執行と職員の安全を確保するため、すべての職場で危機管理体制を確立すること。また、本省および地方整備局は、事務事業執行の第一線の事務所・出張所の危機管理体制を支援する体制を整備すること。
3.事業執行の適正期間の確保について
事業効果の早期発現に向けた取り組みについては、職場実態を踏まえた適正期間の設定および要員確保をはじめとした執行体制を確実に整備すること。

\.非常勤職員の労働条件の改善について
1.雇用期間について
非常勤職員が希望する場合、継続的・安定的な雇用を確保するための措置を講じること。
2.均等待遇について
処遇の原則は「均等待遇」とし、最低賃金および昇給等について適正に措置すること。
3.適正な外部委託について
 事務事業を外部委託する場合は、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。

].国土交通省における近代的労使関係の確立について
1.労使慣行の尊重について
 交渉・会見等については、これまでの労使慣行を最低限維持するとともに、職員団体間で異なる労使対応をとるなど、一切の差別的取扱いをしないこと。
2.労使対応の原則について
 一方的な労使対応・慣行の見直しは行わないこと。新たな労使対応の原則については、事前に国交職組と誠意ある交渉・協議を経ること。
3.団体交渉について
 総括的な交渉には、原則として大臣が出席すること。
4.情報提供について
 勤務条件に密接に関わる事項については、速やかに情報提供をすること。
5.管理職員等の指定について
 地方整備局の係長以下の職員について、「管理職員等」に指定しないこと。当面、本局専門員、係員および事務所の総務係長(職員係長が設置されている場合)の指定については、速やかに見直し、「管理職員等」から除外するよう関係機関と協議すること。

以 上
以 上