なに考えてんにゃ Showchan


こころ癒すことば(05.05)

 「京ことば」というと「何々どす」とか、「おいでやす」とか
そういった言葉をすぐに思い浮かべる人が多いと思うが、
今ではすっかり、芸舞妓さんや、ある程度年配の方しか
使わなくなった。


 同じ日本語でもそれぞれの地方で特色のある方言が
使われているが、標準語だけの世界では本当につまらない
だろうと思う。郷に入れば郷に従えではないが、
たとえそのとき意味がわからなくても、その土地の人たちの
キラリとした言葉は何ともいえない情緒があってよい。


 しばらく東京に住んでいた頃、電車の中で学生たちの話す
「関東弁」のような言葉が可愛らしく聞こえ、関西弁の
下品さにがっかりする時期があった。


 時がたち、年を重ねてきた今、ふるさと京都の街で耳にする、
「しなあかんわぁ」「おおきにぃ」や、「したはる」という敬語、
「美味しい美味しいねん」など形容詞を繰り返して強調する
といった日常的な京都弁が「ホッ」と、心を癒してくれる。


読売新聞(05.6.8掲載)へ


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