カクテルに使うお酒

COCTAIL4.jpgCOCTAIL5.jpgCOCTAIL3.jpg

ベースになる酒類

ビール Beer

ビールの歴史

 ビールの歴史は以外に古く、紀元前3000年頃にはすでに存在してたようだ。メソポタミア地方のシュメール人が残した「モニュメント・ブルー」と呼ばれる紀元前3000年頃の板碑にはビール製造の様子が書かれているし、同時期のものとされるエジプトの「死者の書」にもビールが登場する。エジプトでは通貨や薬のような役割わ果たしていたようだ。ドイツでも石器時代の出土品からビールが製造されていたことがわかっている。古代では麦を乾燥させた粉で作ったパンに水を加え、発酵させたものを飲んでいたらしい。

 紀元前1700年頃のメソポタミアの「ハムラバ法典」にもビールは登場し、紀元前600年頃の新バビロニア王国ではビールの原料にホップが使用されるようになっていた。

 中世に入り、キリストが「パンは我が肉体」と言ったことから、ビールの製造はヨーロッパの修道院や教会を中心に盛んになっていった。大麦を使用したビールは「液体のパン」と呼ばれて信者に飲まれた。

 15世紀に入り、ドイツの中心地ミュンヘン周辺の修道院で下面発酵法(ビール酵母を使用し、密封タンクで低温発酵させる。現在の日本産のビールはすべてこの方法で製造される。)のビールが生まれ、次第に大麦、ホップ、水で製造する現在のスタイルができ上がっていった。

 18世紀後半にはイギリスで起こった産業革命によってビール製造技術も革命的に進歩し、19世紀には冷凍機の発明で下面発酵法も大きく発展し、現在のような大量生産、輸送が可能となった。

ビールの製法と原料

pop.BMP.JPG

ビール製造に欠かせないホップはビール特有の苦味と香りを生む

 ビールは基本的に大麦麦芽、ホップ(クワ科に属する多年生つる草)、水を原料に使用している。国やメーカーによっては、この三つ以外に米、コーンスターチを副原料として使用している。ちなみにドイツでは、ビール純粋法によって副材料の使用はいっさい認められていない。

 まず大麦麦芽を粉砕し、湯と糖化槽に入れてタンパク質を分解させ、デンプン、米の粥を加えてもろみを得る。これを糖化釜と糖化槽に入れて移し替えながら糖化させ、ろ過して麦汁にし、ホップを加えて煮沸させる。ホップを加えると濁りが薄れ、ビール独特のうま味と香りが生まれる。

 ホップを加えた麦汁は冷却後、オリ(不純物)を取り除いて発酵タンクに移し替えられる。アルコールと炭酸ガスに分解し、最後に若ビールを貯蔵タンクで発酵と熟成後、ろ過して仕上げる。

ビールの種類

 ビールは世界中に様々なタイプが存在しているので、ここでは日本でよく飲まれているものを紹介する。

 ローストされた麦芽を使用した「スタウト」はカクテルの材料としてよく使用される。スタウトとは「強い」という意味で、その名のとおり苦味が強く、濃色で、麦汁濃度も高い。

 世界で最も飲まれているビールといってよい「ピルスナー」はチェコ発祥で、きめ細やかでまろやかな味が特徴。

 カクテルににも使用される「黒ビール」は日本でも人気のビール。黒ビールは甘味があり、大麦麦芽を焦がした強い芳香が楽しめる通向きのビールといえる。

 「ラガービール」は貯蔵室で後発酵(熟成)させて造られるビールのことで「生ビール」とは、このラガービールを熱処理していないビールのことである。

beer1_edited.JPG

beer2_edited.JPG

下面発酵ビール

密閉タンクの中で5〜10℃を保ち、10日くらいかけて発酵させたビールです。使用する酵母が、発酵末期に底に沈むことから「下面」と呼ばれます。マイルドですっきりした味わいが特徴で、冷やして飲むタイプです。
淡色 ピルスナービール(ピルセンともいう。チェコ)、ドルトムントビール(ドイツ)、アメリカンビール、日本のほとんどのビールなど。
中間色 ウィーンビール(オーストラリア)など。
濃色 ミュンヘンビール、ニュルンベルクビール、ポックビール(以上ドイツ)、日本の黒ビールなど。

上面発酵ビール

常温で発酵させたビールで、香気成分が強く、エキス分が高いという特徴があります。使用する酵母が、発酵末期に液面に浮上して層になることから「上面」と呼ばれます。イギリスのエールやスタウトなどが代表的です。
淡色 エール(イギリス)、ケルシュ(ドイツ)など。
濃色 スタウト、ポーター(以上イギリス)、ランビック(ベルギー)、アルトビール(ドイツ)など。

Beer Base