cocktail117.jpg よいバーテンダーとよいバー

 正確な処方で作れば、ある程度のおいしいカクテルが出来上がります。近い将来、自分の好みや体調をコンピューターにインプットして、最適の一杯が出来上がるプログラムがバーに登場するかも知れません。しかしそれでも客はクラシカルなバーを好むに違いありません。バーとバーテンダーの善し悪しは、単純なカクテル作り以外のところで決まるのです。

 手を伸ばせば届く距離にいるバーテンダーは、お客様との会話は避けられません。つまり、世事にうとくては、この商売は勤まらないのです。お酒を飲むというより飲まれている方の来襲を受けるときもあって、こんなときは敬語を使いこなし、礼儀をわきまえた対応ができなければなりません。

 プロとしての自覚は、よいバーテンダーにもっとも必要な要素のひとつです。

 いろいろな方が集まる場所なので、バーの雰囲気にも気を使います。多少古めかしいと思われるくらいでちょうどいいのです。巷ではクラシカルなバーがリバイバルしてるというではありませんか。ムードに合った音楽を静かに流したり、照明を落として気味にすると心が安らいで、落ちついて飲めるようになります。これが「雰囲気による味」ということです。

 バーの環境は、味に重要な影響を及ぼします。これこそが、酒場で飲むとおいしいといわれる秘密です。

 カクテル・ブックを購入し、家庭でカクテル作りにトライするのも結構。バーカウンターの向こうで繰り広げられるさまざまな努力を、自らの舌で体験してみてください。発見と進歩が待っててくれるはずです。