cocktail117.jpg カクテルの歴史

 カクテルという言葉の起源については前に述べたが、実はカクテルという名前が生まれる前からカクテルはあった。古代エジプトでは、ビールに蜂蜜やナツメヤシのジュースを加えていたし、ギリシャやローマ時代にはワインをジュースや海水で割って飲んでいた。

 カクテルという名称が使われたことがはっきりしている最初の事例は1948年にイギリスで出版されたレシピ集でのこと。19世紀になって、イギリスやアメリカの社交界でカクテルが流行しはじめた。

 ただし、現代的なカクテルが生まれたのは1875年に製氷機が発明されてから。これによって、いつでも氷で冷やす現在のようなカクテルが作られるようになった。日本には明治初期には洋酒が輸入されているが、カクテルが作られたかどうかはわからない。日本でカクテルがよく飲まれるようになったのは、大正時代にカフェと呼ばれる喫茶店兼バーのような店が出現して以来のこと。

 20世紀になって、アメリカで大きく成長したカクテルは1920年の禁酒法で、バーテンダーがヨーロッパなどに渡ったことで、世界に広まった。

 日本で、本格的カクテルの時代が始まったのは1950年頃から、前後の復興期に町場のバー、いわゆるトリス・バーが大流行し、ハイボールや各種のカクテルが飲まれ、青い珊瑚礁、雪国などの名作カクテルもこの時代に生まれた。

 そのうち、ウイスキーの水割りが流行しはじめ、カクテルは衰退する。1970年頃からのディスコ・ブームでトロピカル・ドリンクがもてはやされた時期を経てカクテルがしだいに復活してきた。特に女性が酒席にに抵抗なく進出してきたことで、カクテルが見直されたことは大きい。最近では若者向けの大衆酒場やカラオケ・ルームでもカクテルを出しているところが増えてきた。

 酒の世界でも趣味の多様化が、カクテル人気をブームに終わらせないだろう。