タバコと健康愛知の発言  
     「タバコと健康を考える愛知の会」の発言



     「法に反しないか」
  塚田烝
     読売新聞 2000.12.3. 「気流」 日曜の広場  テーマ 自販機

      要旨:自販機には功罪両面があるが、首をかしげたくなるのが、 たばこ
         自販機である。
         たば こ自販機は60年代から設置が本格化し、53万台まで増殖
          したが、これは、社会が「だれでも自由にたばこを入手できる」
          ことを容認してきたことを意味する。
         この間に、 中高生の喫煙は爆発的に増えた。
         わが国には未成年 者喫煙禁止法があり、「未成年者に、本人が
         吸うこ とを知りながら、たばこを売ってはならない」とされている。
          このことは矛盾していないか。
         未成年も 簡単に買えるたばこ自販機は禁止など規制を早急に
          課さなければならない。



      「健康で快適な社会の実現を」
 坂田仲市
        月刊なごや  2000.12月号  「私の意見」


 わたくしたちは、公共の場所において、他人のタバコの煙により健康を損な ったり不
 快に感じたりすることのない、快適な社会の実現を目指して活 動している市民グルー
 プです。
 交通機関、医療機関、飲食店、一般商店、官公庁などにおける受動喫煙をな くすため
 に、それらの管理者に対して禁煙にしていただくようにお願い をしたり、行政に喫煙
 対策の実施を働きかけたりしています。
 タバコが喫煙者に大きな健康被害をもたらすことは周知のことですが、まわ りの非喫
 煙者にとっても臭くて不快なだけでなく、喘息などの人にとっ ては甚だしい苦痛をも
 たらします。タバコの煙は平気だ、という人々も 実は受動喫煙によって20人に1人
 が心臓病や癌などの病気になり寿命 を縮めているのです。このような被害から人権を
 守るには公共の場所や 職場などを禁煙にすることが必要となります。
 それは、喫煙者の方々には制約となりますが、ひとに迷惑となる喫煙をしな いことは
 最低限守っていただきたいことだと考えるからです。
 タバコに多くのお金と時間を費やして、その結果、様々な病気と早死が待っ ている好
 ましくない生活習慣をやめていただくように啓蒙したり、ある いは、未成年者が喫煙
 を始めないための活動もします。
 今年の2月に愛知県内の市区町村役場の非喫煙者保護状況を調査し公表しま した。ま
 た、10月には公共の場所の中で無煙環境が特に良好な8施設 に感謝状を贈りました。
 これらの目的はみなさんに喫煙問題に関心を持っていただき対策が進んでほ しいから
 という願いからです。
 今後も、タバコの煙のない健康な社会になるように活動を続けたいと考えて います。
 みなさまの喫煙問題に対する理解とご協力を期待しています。



    「煙だけでない たばこは幼児に危険」
 坂田仲市
    毎日新聞 2000.10.25. 「みんなの広場」

    要旨:信州へ旅行した時、禁煙のペンションに幼児を連れた産婦 人科医の
       夫婦が同宿した。
       翌日、 ブルーベリ狩に行った。その家族も遅れて来た。彼は愛児と
        妻のために車内を禁煙にしていたらしい。ファームに着くと早速、
       店番のテーブルの下の空き缶でたばこを吸った。
       しばらくして、両親が目を離したすきに、細心の注意でた ばこの煙
       を吸わせないように気をつけていた愛児が父 親が吸った空き缶の水
       を飲んでしまった。
        その幼児が無事であればと願い、幼児に危険なたばこのない社会に
       なってほしいと思った。


      「受動喫煙を完全に無くして」 
坂田仲市
         中日新聞 2000.9.28.  「発言」


 最近、県の施設や各地の市町村役場で分煙が行われつつある。しかし、 その分煙のやり
 方は、従来、至る所にあった灰皿を、場所を決めて 喫煙所としたり、食堂に禁煙席を設
 けたりするものである。禁煙対 策の目標は、公共の場所において、非喫煙者が、自分の
 意思とは関 係なく、有害なたばこの煙を吸わされて、健康被害を受けることをなくす る
 ことにある。
 たばこの煙は、同一室内のどこにでも広がってしまう。たとえ、吸煙機 が設置してあっ
 ても、有害物質の一部しか除去しないので、非喫煙 者を、がんや心疾患やぜんそくから
 守ることはできず、喫煙所や禁 煙席では不完全であることははっきりしている。
 分煙とは、喫煙所を作って、喫煙する場所を分けることだと勘違いして いるのではない
 だろうか。分煙とは、たばこの煙のない空間と、煙 のある空間とに分けることである。
 受動喫煙を完全に無くするために、禁煙か煙が漏れない喫煙室にしてほ しい。



      「国会審議の場 灰皿いらない」 
坂田仲市
        産経新聞 2000.9.25. 「談話室」

    要旨:テレビで国会の場面が映されると、テーブルの上に並べら れた灰皿
       やいすのわきに置かれた灰皿スタンドが目に 入る。
       これが日本の政治の場で、当たり前の姿である。 アメリカやヨーロ
       ッパをはじめ、アジア諸国の場がテ レビで放映される場面を見ても
       灰皿は見当たらない。
       たばこが体に害を与える薬物であることは国際常識である。 脳の働
       きや理性も低下させる。頭の働きが低下した状 態ではよい政治はで
       きない。
       国会や政府の会議場から直ちに灰皿をなくして、ニコチン 政治をや
       めてほしい。



      「禁煙レストランで食事楽しく」 
坂田仲市
        毎日新聞 2000.7.23. 「みんなの広場」

    要旨:店の入り口で「このお店は禁煙ですか」と尋ねると、大抵 の店で
       「いいですよ」という答えが返ってくる。
       アメリカではどのレストランも禁煙で気持ちがよい。
       日本ではどの店も灰皿が並べてあって、たばこの煙がただ よっている。
       客には非喫煙者と喫煙者がいる。それな のに、店は喫煙者のことだ
       けを考えて灰皿を並べ、非 喫煙者のことは全く頭の中にない。
       禁煙レストランで、 おいしく食事ができるようにしてもらいたい。



      「その根源をつく」 
前田良三
        せせらぎ(設楽町の同人誌) 2000.7月号  投稿

 (前略)
 分煙問題にしても、タバコ専用の空気浄化機が電気メーカー各社で開発 され、彼等の儲
 けの種になっています。よく考えれば、始めから全 部禁煙にすれば、こんな不要なもの
 を作る無駄が省けます。その上 生産者は良い点ばかり誇大広告宣伝して、善男善女をだ
 ますか。そ んな製品も完全に副流煙を除去出来ぬ訳で、その為航空機も全面禁煙とし て
 いる会社が殆どです。民間の大手企業でも、応接室も含め全部禁 煙としているところも
 相当あります。彼等の狙いは、経費節約です。 新城の八名温泉も全面禁煙。鳳来町の
 「ゆ〜ゆ〜アリーナ」は不完 全極まる。分煙で乳幼児等病弱者もよく利用している施設
 としては、 全面禁煙。或いは分煙の場合は、経費がかかっても完全なものにする必要 が
 ある。
 (中略)
 経済構造改善の為には現在の大蔵省を根源から叩き直す必要があります。 例えば彼ら
 は、死の商人たる日本タバコ産業の株式の7割を持ち、 国民の健康よりも高級官僚の天
 下り先として日本タバコ産業の黒幕 として存在しています。日本のタバコ規制はアメリ
 カの消費者団体 にて零点をつけられています。根源に於て対処するには、政府の息のか
 かった会社でタバコを売るのを止める事です。之がすぐ出来ぬ場合 は、諸外国なみに、
 @タバコの広告の全面禁止
 A屋外自動販売機の即時撤去(酒で出来る事がタバコで何故出来ぬか ?)
 Bタバコを吸う場合の本人に対する害及び副流煙を吸わす他人に対する 害(自動車の排
  気ガスよりもひどい)公害基準値の5000倍の ひどさです。
 CBに就いて、学校や公共行政で徹底した禁煙教育をする。
 Dタバコ栽培農家、タバコ小売店には我々の税金を使ってでも、転作や 転業が出来るよ
  う補償をする。一時的に費用がかかっても長期的 にみれば、根源で対処する為、大局
  からみれば当然得になる事は、 冷静に考えれば予測出来ます。
 何故今迄に以上の5項目が出来なかったのか。官僚による国家犯罪の構 造があり、之を
 許容し続けて来た私達にも責任の一端があります。 今こそ、先進或は後進諸外国を見習
 って、日本は一日も早く「タバ コ後進国」の汚名を返上すべき時期到来です。
 禁煙団体としては、長野県伊那市に本部がある「日本禁煙友愛会」が世 界一の会員数を
 誇る団体で、会員数は45000を超えて居ります。 先日厚生省に活を入れるべき13
 万人の署名を提出した事が、当地 の朝日新聞2月25日付に報道されていました。禁煙
 団体として一 番古い日本のものはキリスト教矯風会です。私は、最近「日本禁煙友愛
 会」に入会しました。色々社会奉仕もしているようです。御関心の ある方々は、同会の
 会報を御覧に入れます。



      「害を暴かれたたばこの宣伝」 
北川吉男
        朝日新聞名古屋本社 2000.6.18. 「声」

 社会派ドラマ「インサイダー」というアメリカ映画を鑑賞した。
  この映画は、たばこ会社の研究開発担当副社長だったワイガンド氏が、強 大な政治力と
 金を持つたばこ産業を相手にして地位も名誉も家族も 失いながら正義を貫き、人体への
 有害性を内部告発して、巨悪の陰 謀を世に知らしめた実話をもとに製作されたものであ
 る。
 彼の告発後、たばこ会社が裁判で負けることも珍しくなくなった。それ まで、たばこ会
 社が不敗だったのは、警告表示に〈喫煙は肺がん・ 肺気腫・心臓病の原因になる〉と書
 いてあり、喫煙者は危険を承知 で吸っていた(危険引き受けの論理)という主張が通っ
 ていたから である。
 映画は上映中なので告発内容と経過を書かないが、この告発でたばこ会 社の主張は通ら
 なくなった。また、全米50州が提訴した健康被害 の賠償訴訟でたばこ産業の和解(3
 0兆円の支払い)にも決定的な 影響を与えた。
 憤りを感じるのは、これらの、たばこの広告宣伝が日本では、電車、雑 誌、新聞、ビル
 の屋上などで堂々と行われ、自動販売機で売られて いることだ。消費者保護、環境保
 護、人権擁護の運動家のみなさん、 そして政治家は、このことをどう思っているのだろ
 うか。



      「喫煙での解消は他人に迷惑」 
 坂田仲市
    毎日新聞中部本社 2000.6.4. おはよう愛知 テーマ 「ストレス」C 
 
     要旨:現代は何かとストレスを生じやすい時代。
        喫煙によって生じるストレスがある。喫煙は薬物依存症 である
        ので血液中のニコチン濃度が低下するとたば こが欲しくなって
        くる。満足されないとストレスを 生じる。
        喫煙がストレスを解消すると言われている が、その場合のスト
        レス解消はニコチンが補給され たことによる解消で、それがま
        た次のストレスを生 じる原因となる。



      「タバコ税増税で国民の健康を守れ」 
坂田仲市
        禁煙ジャーナル 2000.6月号  投稿

 「健康日本21」で「未成年者の喫煙をなくす」というスローガンが決 まったが、その
 実現のために国を上げて行動する必要がある。
 毎日、500人がタバコ関連疾患で殺されている。タバコ会社は喫煙者 を補充するため
 に、毎日500人の未成年者をニコチン中毒にする ために、一所懸命である。
 WHOは30年も前から、公共の場所や職場の禁煙の他に、タバコの消 費を押さえるた
 めにタバコ税を上げること、自動販売機の禁止、広 告の禁止などを世界各国に対して何
 度も勧告してきた。しかし、日 本だけはそれらの勧告をボイコットし続けている。
 外国では、それらの勧告を受け入れて実施してきた結果、タバコ関連疾 患による死亡や
 病気が減少しつつあるが、ただ日本だけは受動喫煙 による健康被害や人権無視はなくな
 らず、肺がんをはじめタバコ死 や喫煙関連疾患は増加の一途をたどっている。
 タバコ税の増税は、国民の喫煙による害を減らすだけでなく、税収も増 えることがはっ
 きりしているにもかかわらず、タバコの販売を1本 たりとも減らしたくないというJT
 と大蔵省の思惑から、タバコの 価格をできるだけ低く押さえて消費をうながすことを優
 先して、タ バコ増税は省みられていない。
 ここに、タバコ税を毎年10%づつ10年間増税した場合について計算 してみた。
 その結果、タバコ1箱の価格は250円が480円となり、やっと先進 国並になる。そ
 の間に先進国はさらに高くなっている可能性はある が、一般にタバコ価格が10%上昇
 すると消費量が4%減少すると いわれている。それで計算すると10年後に24%の消
 費の減少に なる。葉タバコ栽培農家の収入は全量買受制となっているために変わらな い。
 小売店の手数料は販売価格の10%であるので、価格上昇と販 売数量減少により差引き
 で46%の増収となる。税収は83%の増 加で約2兆円の増収になる。タバコ税は税収
 のうえから論議されて いることが多いが、国民の健康を守ることを考えて増税をするべ
 き である。
 タバコの害から国民の健康を守るためには、タバコ消費量が24%の減 少では勿論不充
 分だが、自動販売機の廃止と、すべての広告の禁止 をあわせて実施すれば、効果は期待
 できるのではないだろうか。



      「役所の食堂は 率先し禁煙に」 
坂田仲市
        中日新聞本社 2000.5.10. 「発言」

 先日、所用である市の市役所へ行ったときのことである。昼食時に なったので案内
 係に「食堂はどこにありますか」と聞くと、 「地下と13階にあります」とのこと。
 「そこは禁煙ですか」 と聞くと、「地下は大丈夫です。13階は聞いてみます」と
 言 ってから電話をして「13階も大丈夫です」と答えた。
 私は何だかよく分からないので「何が大丈夫ですか」と聞いた。案 内係は面食らっ
 た様子で、しばらくしてから「たばこを吸って も大丈夫です」と小声で言った。
 「この人は男だから、たばこを吸うに決まっている。禁煙だと困 るから聞いたに違
 いない」と考えて、「大丈夫です」と答えた ようだ。私がたばこの煙のない食堂で
 食事をしたいとは、思わ なかったようだ。
 たばこの煙が漂う食堂は、人の健康には″大丈夫″ではないはずだ。 市役所は食堂
 を禁煙にして、健康な社会を目指す姿勢を示して ほしいものだ。



      「裁判官の判断 保身より正義」 
坂田仲市
        朝日新聞名古屋本社 2000.5.1. 「声」

 愛知県内の喫煙者と非喫煙者の4人が、日本たばこ産業(JT)に 対して起こした
 裁判(製造・販売の禁止と、原告1人当たり 100万円の損害賠償などを求めた訴
 訟)の最高裁判決が、 3月22日の本紙に報道されていた。
 それによると、「たばこと健康被害の因果関係は十分に解明されて いない」とし
 て、上告棄却の決定がされた、とあった。
 この判決理由は、JTが長年にわたって国民のたばこ離れを食い止 めるために使っ
 てきた奇弁そのものである。裁判官は、その奇 弁を一方的にうのみにしているよう
 にも思えるが、原告の正当 な主張に耳を貸さなかったのは極めて残念な判決と言わ
 ざるを 得ない。
 たばこに関するデータは、すでに7万件以上が蓄積されており、さ らに増え続けて
 いるようだ。
 たばこと健康被害については、これまでに十分解明されており、 世界保健機関(W
 HO)の発表によれば、毎年350万人がた ばこによって死亡しているという。
 たばこ喫煙は依存症であり、喫煙者はもちろんのこと、受動喫煙に よっても様々な
 健康被害があることは世界の常識である。
 それにもかかわらず、裁判でこのような判決を出したのは、政府に 対する気兼ねな
 どがあるからではなかろうかと考える。
 裁判官は、保身によることなく正義による判決をしてほしいもので ある。



     「『がん予防12か条』を考える」 
 坂田仲市
       日本禁煙医師連盟通信  2000.4月号 「投稿」

 「がん予防12か条」は、昭和57年に当時国立がんセンター研究所 副所長であっ
 た河内卓氏が発表したもので、知っている人も多い と思うが、ここに改めて紹介を
 する。
 1.偏食しないで、バランスのとれた栄養をとる。
 2.同じ食品を繰り返して食べない。
 3.食べすぎを避け、脂肪はひかえめに。
 4.深酒をしない。濃い酒をストレートでは飲まない。
 5.たばこは少なくする。
 6.適量のビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、と繊維質のものを とるようにす
   る。
 7.塩辛いものを大量に食べない。あまり熱いものも飲まないように する。
 8.ひどく焦げたものは食べない。
 9.かびの生えたものは食べない。
 10.過度に日光には当たらない。
 11.適当にスポーツをする。
 12.体は清潔に保つ。
 この12か条制定のいきさつ、および、根拠になったデータの説明はな いが、国立
 がんセンターが発表したものとあって、「がん研究振興 財団」「日本がん協会」あ
 るいは、県市町村のパンフレットなど に、「国立がんセンター制定」として盛んに
 引用され、がんに対し て特別な感覚を持つ日本人にとって「がん予防12か条」
 は、完全 で無誤謬の「昭和の養生訓」として受け取られ、信じられたようだ。
 しかし、12か条の中でも重要だとされる、バランスの取れた栄養、同 じ食品を繰
 り返して食べないという表現は実行しようとするときに 分かりにくいという感じが
 あった。それに対して、厚生省から成人 病予防指針として、1日に30品目を食べ
 るという説明が別のパン フレットに見られるようになった。
 「がん予防12か条」を作成するときに参考にしたのではないかと思わ れ、それと
 比較するのに最適な文献に、イギリス人のドール氏が1 981年に発表した「がん
 の原因」という、アメリカ人についての 資料を集大成した優れた論文がある。
 その中のがんの要因の割合は、日本のパンフレットその他に引用されて いる。
 喫煙      30パーセント
 アルコール   3パーセント
 食餌      35パーセント
 生殖       7パーセント
 職業       4パーセント
 感染      10パーセント
 などとなっている。
 ドール氏は、説明の中で、「タバコは唯一信頼性の高い原因であり、そ して、今後
 更に割合は増加するだろう」と述べている。食餌に関し ては「正確な信頼できる証
 拠はまだない」と言いながら、肉食と大 腸がんの関係、脂肪と乳がんの関係を述べ
 ている。このことは19 70年代以前のアメリカ人の食生活を見ればなるほどと思
 われる。 もし、ドール氏が12か条を作ったとすれば、間違いなく一番目に「タバ
 コは絶対に吸わない」としたであろう。
 国立がんセンターの「がん予防12か条」とドール氏の「がんの原因」 とを対比し
 てみると、がんの原因と予防であるから当然同じになる はずなのに、かなり違って
 いるのである。「がん予防12か条」で は、5番目に「たばこは少なくする」とし
 て、しかも、河内氏は 「タバコは1本でも少ないほうがよい。でも全然やめてしま
 うのも 人生味気ないし、ストレスの解消などに良いこともあるので、できるだけ 少
 なめに」と説明をしている。なお、人々から指摘を受けたのか、 平成8年になって
 「たばこは吸わないように」と変更された。
 がんの原因としてのタバコを過小評価し、代わりに、頭をかしげたくな るような、
 バランスのとれた栄養、変化のある食事を予防の重要な 項目としている。
 この「がん予防12か条」は長年にわたって国民に対して喫煙の害を誤 解させ喫煙
 対策を遅らせる原因の一つになっているのではないだろ うか。以前から、がんの原
 因は食品添加物と農作物の農薬であると 信じている人も少なくない。政府は、1次
 予防を軽視して早期発見 早期治療の施策によって、がんは進歩した医学によって防
 げると国 民に思い込ませてきた。肺がんその他のがんが増加を続けている現実をみ
 ると同時に、タバコの害に無関心でいながら、がんになりたくない ために食事をし
 ながら品数を数えたり、食べ物のおこげを取り除い たりしている人がいることを聞
 いて、失望を感じる。国民に健康な 生活ができるように正しい情報を提供してほし
 いと思う。


 
  「『健康日本21』から喫煙率半減目標はなぜ外されたか」
        週刊金曜日 2000.3.17.号  「論争」    北川吉男

 21世紀の国民の健康づくり運動の指針と位置づけられる厚生省の「健 康日本21」計
 画から、「成人の喫煙率と1人当たりの煙草消費量 を2010年までに半減する」とい
 う目標が削除された。言うまで もなく煙草産業や自民党の族議員などの仕業である。彼
 らの言い分 はこうだ。「煙草は嗜好品であり吸う吸わないは各人が判断すべきもの」
 「大人の嗜好品に行政が数値目標を設定し、国民を誘導するのは、 憲法の趣旨からも問
 題」。煙草の問題に鈍感な日本人には耳に入り やすいが、騙されてはいけない。WHO
 (世界保健機関)は@10 代から喫煙すると半数が煙草関連疾患で死亡するAその半数
 は、中 年から70代以前に予定の寿命よりも22年早く死亡する――と警告して いる。
 そして、何よりも煙草産業の会長自身が死向品だと認めて いる。世界最大の煙草メーカ
 ーであるフィリップ・モリスのバイブ ル会長は、1997年8月1日、米国・フロリダ
 州が煙草産業を相 手に起こした損害賠償請求訴訟の事前宣誓供述で「煙草に関係した病
 気で年間10万人の米国人が死亡していることもありうる」――と”本 当”のことを言
 い、全米を驚かせた。その翌日には当時、米国第2 位の煙草メーカーであるRJRナビ
 スコのゴールドストン会長が同 じフロリダ州地裁の法廷で「喫煙は肺がんの一因と信じ
 てきた」と さらに踏み込んだ証言をしている。以上のこ とから煙草は嗜好品ではなく、
 死向品である。
 そして、煙草は中毒性の極めて強い薬物でもある。日本航空と全日空が 国際線も全席禁
 煙にしたが、トイレの中での喫煙があとをたたない という。子どもでも好物のおやつを
 半日くらいは我慢できるのに、 大人が煙草を数時間すら我慢できないのは、WHOや米
 厚生省など が言うように煙草がコカインやヘロインよりも中毒の強い薬物だからで ある。
  次に[吸う吸わないは各人が判断すべきもの」という言い分はどうだ ろうか。
 情報が正確に提供されているならば一理あるが、煙草拡販政策を推進す る日本では、煙
 草の危険情報が隠し続けられている。情報がないと ころに選択の余地はない、この言い
 分はおかしい。また、情報が開 示されていても喫煙は個人の自由ではない。受動喫煙の
 問題がある。
 カリフォルニア州環境保護局の調査に基いた試算によれば、受動喫煙の 被害は環境基準
 の5000倍になると本誌302号(2月11日) で内科医の松崎道幸氏が警告してい
 る。これは、通常の日常生活で のリスク評価では、ダイオキシンや環境ホルモンの健康
 被害よりも、 今わかっている範囲では、はるかに危険である。事実、環境ホルモンの 研
 究の第一人者である横浜市立大教授の井口泰泉氏も98年5月4 日付「中日新聞」で
 「煙草の方が危険」と語っている。では、なぜ 日本では煙草に対するリスク評価が低い
 のか。これは国の拡販政策 以上に、煙草産業からカネをもらっているマスコミにも原因
 がある と思う。特にJTがスポンサーになっているテレビ朝日の「ニュースステ ーショ
 ン」はダイオキシンの危険についてセンセーショナルな報道 を行っているが、煙草から
 ダイオキシンが排出されていることは絶 対に言わない。同番組がダイオキシン報道を始
 めたのは、97年6 月に米国の煙草産業が40州政府に健康被害の賠償金として42兆
  円支払うことで和解した頃である。「考え過ぎだ」と言われそうだが、煙 草産業は心理
 学の専門家や世論工作の専門家を雇いニコチンをばら まいている企業だ。
 ダイオキシンの危険性に世間の目をひきつければ、結果として他の有害 物質が軽視され
 るのは当然だ。喫煙しながら「ダイオキシン対策の 会議」という大笑いの光景がみられ
 るのは良い例だ。最後に、”受 動喫煙の被害は憲法13条・25条に違反し、人格権の
 侵害にあた る”と、煙草産業に警告したい。



     「愛煙家たちに 節度が欲しい」 
 八重田和久
       中日新聞本社  2000.3.2. 「発言」

 わが国にたばこの害が唱えられるようになって、分煙が進むに従って、 喫煙者の肩身が
 狭くなると、「嫌煙運動」を敵視する傾向さえ見え るのですが、特に「愛煙家」と呼ば
 れる人は、たばこが発するにお いや煙の苦痛が分からなくなるのです。そのにおいや煙
 には、極め て微細な毒物が多数含まれていることも、今では明かにされていますが、 目
 には見えないその毒物が、非喫煙者には苦痛や不快をもたらして いるのです。
 従って、喫煙者は肩身が狭くなる前に、非喫煙者に迷惑を与えないよう に心掛けるの
 が、正しい喫煙方法ではないでしょうか。そして、現 状の分煙方法では、まだ不充分で
 すし、殊に駅や街頭の複数の人が 行き交う所では、一部を除いて、全く喫煙は野放し状
 態です。そこ には喫煙者の節度、遠慮、思いやりのなさが顕著に表れています。
  その点を深く考えて、喫煙されることを願うものです。



     「国民の健康に 無理解な自民」
 坂田仲市
       朝日新聞名古屋本社  2000.2.23. 「声」

 「健康日本21」の目玉である2010年までに喫煙率と1人当たりの たばこ消費量を
 半減する数値目標が葬り去られたことが報道されて いた。誠に残念である。
 立ち遅れている日本のたばこの害から国民の健康を守るためにつくられ た数値目標を含
 むたばこ対策に対して、以前からたばこ業界の組織 的活動が続いていた。そこへ自民党
 が、厚生大臣に反対の決議文を 送ったり担当者を呼びつけたりして圧力を加え、数値目
 標の削除に 追い込んだのだと聞く。
 先頭に立って国民の健康を守るべき自民党は、何を考えているのだろう か。たばこ対策
 を弱めることはとりもなおさず、ますます増大して いるがんなどによる早死にや病気を
 いたずらに放置することにほか ならないことがはっきりしている。そんなことを無視し
 て党利党略 にのみ血眼になっているのではないか。
 先進国をはじめ、アジア諸国が国民の健康を守るためにたばこ対策を熱 心に進めている
 中で、日本だけが病気を増加させることをやってい る。その結果は、不況どころか、国
 の滅亡をさえ招きかねないと心 配である。


   
     「煙吸わせない 配慮がほしい」 
前山邦雄
  毎日新聞中部本社 2000.2.6.おはよう愛知 「こえ」テーマ「たばこ」B

    要旨:自分がたばこを吸わなくても、他人のたばこの煙を吸 わされ、肺がんや
       心臓病になる。
       喫煙者は他人の健康に無神経
       世界中で、毎日、たばこが原因で1万人が死んでいる。
       「他人にたばこの煙を吸わせないように」


 
  「中高生の喫煙防止のため、タバコ自販機の禁止を求める」

      週刊金曜日 2000.1.28.号  論争    塚田烝

 かりに未成年者の20%が麻薬を日常的にたしなみ、大人たちもそれを 大目に見ている
 国があるとしたらどうでしょう。そんな国の将来は 危うくはないでしょうか。その国の
 政治は、教育は何をしている、 ということにならないでしょうか。
 ところが今の日本がそうなのです。麻薬と言ったのはタバコのことです 。タバコを麻薬
 とは大げさなと思われるかもしれませんが、すでに 1995年8月、米国では「ニコチ
 ンは中毒性のある薬物」で、 「タバコはがん・肺気腫・心臓病などの原因になる」と認
 定してい ます。中毒性があり、体に害をなすものは麻薬でなくてなんでしょう。
 そのタバコを吸う中高生が激増しています。7年前のある調査によって も高校3年男子
 では27〜37%、同女子では5〜15%、中学3 年でも男子約10%、女子約4%の
 喫煙率と報告されています。 (厚生省編『喫煙と健康』)。現在ではもっと増えている
 ことでし ょう。
 このような喫煙生徒の増加は、学校教育に深刻な問題を投げかけていま す。タバコの強
 い習慣性・依存性のため、彼ら・彼女らは下校する まで吸わないということが到底でき
 ません。(もちろん下校後は吸 ってよいということではないが、中高生が校外で喫煙す
 ることに対 する社会的規制は現在、まったくないと言ってよい。このことが学校の 指導
 を一層難しくしている。)いきおい校内のあちこちで隠れて吸 うことになります。
 タバコの臭いがたちこめ、吸殻の散乱する校内はみるみる荒廃した雰囲 気に包まれます。
 また未成年者の喫煙は大人にくらべ格段に有害で あることも明白ですから、学校として
 は何とか喫煙をやめさせなけ ればいけません。
 実際一部の進学校をのぞき、全国の中高校では随分大きなエネルギーが そのために費や
 されてきました。平均的中高校では生徒指導案件の 少なくとも半分は喫煙が占めると思
 われますし、喫煙防止のための 教育もたいていの学校で行われています。
 それにもかかわらず喫煙生徒は増え続け、もはや生徒の校内喫煙に打つ 手がないという
 学校も少なくないと思われます。(数年前、校内に 生徒喫煙室を設けている中学校のこ
 とが報道されましたが、氷山の 一角でしょう。)いったい中高生の喫煙はどの程度、何
 によって増 えたのでしょうか。
 きちんとした統計はどこにもありませんが、ある推計によると78年に 66億本であっ
 た未成年者の喫煙本数が、96年には601億本で あったそうです(たばこ問題情報セ
 ンター)。18年間に9倍増と いうことになります。こんなに原因もなく増えるわけが
 ありません。 この時期タバコの販売・消費に関して何があったのでしょう。符合するこ
 とがあります。それはタバコ自販機の普及です。70年に全国に 約5万台であったもの
 が、93年には約50万台、10倍に増えて います。両者の相関は明らかと思われます。
 タバコ自販機こそ、中 高生をタバコに誘い、ニコチン中毒から逃れられなくしている原
 因 なのです。
 タバコの製造販売を所管し、自販機の設置を認可しているのは大蔵省で す。大蔵省は中
 高生が自由に自販機でタバコを買っている事実を認 識しながら、何の効果もない二つの
 「対策」だけで、知らぬ顔です。 そのひとつは「店舗つきでないタバコ自販機は未成年
 者への目が届 かないから認めない」というものですが、店舗つきであっても監視してい
 る訳でなし、そして1989年(平成元年)までに設置済みの45 万台には適用しない
 というのですから、馬鹿馬鹿しさがおわかりで しょう。もうひとつ深夜稼動停止という
 のがありますが、それによ り喫煙をやめた話を不幸にして聞きません。
 中高生の喫煙防止を本気でやろうとするなら、タバコ自販機の禁止しか ありません。多
 くの皆様の理解を切にお願いします。


 
   「禁煙まだ一部 世界常識にして」
坂田仲市
    毎日新聞中部本社 2000.1.23.
             おはよう愛知 「こえ」 テーマ「たばこ」 @

    要旨:たばこの煙が喫煙者本人だけでなく、周りの非喫煙者 にも有害で
       あることは世界の常識である。しかし、 日本の常識は喫煙優先か
       ら変わっていない。
       一部で分煙がすすんできたが、レストランや旅館には 至る所に灰
       皿とタバコの煙がある。
       公共の場をはじめとして受動喫煙のない世界の常識へ 方向転換を。


 
     「たかが煙草 されど煙草」 
前田良三
       せせらぎ(設楽町の同人誌) 2000.1月号 投稿

 喫煙は熱帯地方から始まったものと思われます。気候の関係で強い刺激 を求めた為で
 す。或は私の思い違いかも知れません。気候の温和な 我国でもその刺激を求める人も
 多く、当地では喫煙者は多いようで す。タバコ産業等の代弁者は、タバコは嗜好品で
 あるので、政府に よる喫煙の規制(厚生省の唱える、21世紀における国民健康運
 動、 「健康日本21」)に異議を唱えています。この事は、タバコは依存 (習慣)性
 の強い薬物(ニコチン中毒の源)である事実をねじまげ て捉え、事物の本質をすりか
 えている訳です。最近、新聞の投書欄 でタバコが原因で高齢になってから脳梗塞、
 心臓病、肺気腫等の 重病になり後悔している記事をよく見ます。一旦悪い習慣にはま
 る と依存性の為、容易に抜け出せぬとの事です。最近世界の風潮は先進国は 勿論、
 開発途上国でも喫煙禁止の政策をとっている国が増えつつあ ります。この点我国はタ
 バコ後進国であるのが現状です。喫煙規制 の権限を大蔵省より厚生省に移すべきです。
 私自身「タバコれす」 と云う大阪のNPO(非営利組織)の会員として喫煙禁止に
 努力中 です。
 喫煙は喫煙者本人にとっては緩慢なる自殺行為であり、副流煙(本人が 吸うものより
 更に悪性)を吸わされる周囲の人々に対しては、緩慢 なる他殺行為だと極限出来ま
 す。
 禁煙実行の為には強い自覚と意志が必要です。多くの喫煙者は、自分が 如何程他人に
 迷惑をかけておるかの自覚に欠けている人が大半です。 「百害あって、一利なし」の
 タバコを止めるには金銭的には負担不 要です。頑固な意志さえあれば可能です。大和
 高田市立病院(奈良 県)の高橋裕子医師を中心とするグループは「インターネット禁
 煙 マラソン」(97年より開始)を利用し8割を超える禁煙成功率を示して います。
 (99年9月6日、読売新聞記事)
 子育ては大きな愛と無煙環境で、タバコを吸うジイサン、バアサンは率 先して孫の為
 にも禁煙しましょう。そして若者に、「くさい、汚い、 カッコ悪い、迷惑タバコをや
 めましょう」の範を示しましょう。
 21世紀の日本の為に、皆様の御健康をお祈りします。


 
     「たばこ増税実施を」 
北川吉男
       中日新聞本社  1999.12.19. 「一言一筆」

 自民党の亀井政調会長が打ち出した「たばこ増税」は見送りとなった。 あらためてた
 ばこ族議員の力を認識するとともに、たばこの増税 案を批判的に報道したマスコミに
 も腹が立つ。たばこの増税は未 成年者の喫煙対策としては有効で絶対に実施してほし
 かった。


 
     「たばこいやで 米旅行に変更」
坂田仲市
       朝日新聞名古屋本社  1999. 9.23. 「声」
       朝日新聞西部本社   1999.10. 1. 「声」

 この夏、北海道へ行くのを中止してアメリカ旅行をした友人がいる。
 日本の喫煙対策は外国に比べてかなり遅れていると言われる。現状を見 ると、国中の
 至る所にたばこの広告と自動販売機がある。そして、 どこへ行っても灰皿とたばこの
 煙と吸い殻が見られる。
 その友人は、北海道が日本の中でも喫煙率が高いことを知った。そのた めか、交通機
 関、観光地の禁煙対策が遅れているらしい。それな ら、レストランも宿泊施設も禁煙
 対策がしっかりしているアメリカ へ旅行した方が快適だろうと急きょ行き先を変更し
 たというのだ。
 私自身、北海道へ旅行した時も禁煙車に乗ったのに嫌なにおいがしたの には閉口した。
 北海道の雄大な景色に見入っていて、ふと見ると、 少し離れた席から煙が立ち上がっ
 ている。「すみません。ここは禁 煙車ですので」と言うと、黙って火を消した。
 ところが、ウトウトした後、目を開けると、また、ほかの所で、たばこ の煙が出てい
 て、北海道旅行の楽しさも半減したことがある。
 北海道旅行をやめて、アメリカへ出かけた友人はたばこの煙に悩まされ ることなく、
 実に快適な旅をすることが出来た、と言っていた。


 
     「教師も生徒の 前で吸わないで」
北川吉男
       毎日新聞中部本社  1999.6.27. おはよう愛 知 「こえ」

      要約:マナーのよい喫煙とは、「吸ってもよろしいですか?」 と尋
         ねてから吸うことだろうか。
         自動販売機は大蔵省が推進しているのであって、社会 が容認
         しているのではない。
         喫煙教師はせめて生徒に喫煙する姿を見られないよう にする
         べきである。


 
     「残念な喫煙シーン」 
北川吉男
      中日新聞本社  1999.6.8. 「見てます聴いてま す」

 テレビドラマにはよく喫煙シーンが出てくるが、どれも、カッコよくて ファッション
 的であるかのように見せている。喫煙シーンをすべて なくせとは言わないが、未成年
 の喫煙対策という観点からも、極力 喫煙シーンはなくすべきだと思う。喫煙は決して
 カッコいいもので はなく、周囲の人に著しい迷惑と害を与えているという事実も、
 き ちんと伝えてほしい。


 
     「禁煙運動15年 一部改善したが」
前山邦雄
  毎日新聞中部本社 1998.11.1.おはよう愛知 「こえ」テーマ「たばこ」上

     要旨:交通機関、銀行などに対し15年ささやかに禁煙活動を してきた。
        公共の場所の禁煙は広がってきたが、ま だまだ、たばこ天国で、
        特に、職場と外食関係は進 んでいない。禁煙運動の原点は、
       「他人の前での喫煙 はご遠慮下さい」ということである。


   
     「たばこ広告を 新聞はやめよ」
 
坂田仲市
       朝日新聞名古屋本社  1998.7.4. 「声」
       朝日新聞西部本社   1998.7.7. 「声」
       禁煙ジャーナル     1998.8月号

 たばこの有毒性は、肺がんになるおそれがあるという程度の生やさしい ものではない。
 医学雑誌や書籍、世界保健機関(WHO)の報告な どによると、日本では肺がんなど
 で毎年、十数万人の喫煙者が死亡、 そのほかに心疾患などで10万−20万人の喫煙
 者が亡くなってい る。
 それだけではなく、たばこを全く吸わない人を、受動喫煙によって毎年 約25000
 人死なせ、その何倍もの人を病気にしている。世界で は、吸わない人も巻き込み毎年
 300万人もの人を殺している。こ れほど殺傷力の強い商品は現在、たばこを除いて
 ほかにない。
 たばこがこれだけ健康に害を与えているにもかかわらず、新聞はニュー スになるもの
 以外の、たとえば禁煙キャンペーンなどの記事がとて も少ない。他方で、恐ろしい有
 害商品であるたばこの広告を掲載し て、読者の喫煙者が病気になり死ぬことに手を貸
 している。新聞に は広告掲載の倫理規定があるかもしれないが、たばこがそれをパス
  している
 ということは甚だ不完全な規定だと考える。
 健康被害をなくすために、新聞は、たばこの広告掲載をやめて頂きた い。

 
 
     「酒販売の自粛 たばこも習え」
北川吉男
       朝日新聞名古屋本社  1998.5.18. 「声」

 12日本紙によると、東京小売酒販組合は酒を売る店には酒類販売管理 者を置き、自
 動販売機は廃止、酒のテレビCMも禁止するという提 言をまとめた。
 酒類は「中毒性のある薬物」といえるが、飲酒という行為自体はたばこ のように有害
 な煙をまき散らさないため、周りの人間に著しい迷惑 や健康被害を与えることはな
 い。従って、たばこのように市民運動 から目の敵にされることも少なく、また、規制
 緩和によって比較的 自由に売られている。
 提言が実行されれば、売り上げは確実に落ちるだろう。それでも、未成 年の飲酒やア
 ルコール依存症などの酒の害を防ぐ道を選んだ同組合 に拍手したい。
 酒と対極にあるのが、たばこ業界である。自販機は50万台があるとい う。そして学
 者や作家、世論工作の専門家を動員して、有害なもの を無害であるかのように言い募
 り、規制する動きは、大きくならぬ うちにつぶしている。
 他人への健康被害や医療費、火事など、その迷惑ぶりや経済的な損失は、 酒の比では
 ない。たばこ業界は「恥」という言葉を知らないらしい。


 
     「喫煙シーンは ドラマに不要」
中島浩子
       朝日新聞名古屋本社  1998.1.14. 「声」

 NHKの朝の連続テレビ小説「甘辛しゃん」を見ていて、喫煙シーンが 出てこないこ
 とに気づいた。驚くとともに、胸にさわやかなものが 流れた。
 1年前に放映されていた「ふたりっ子」では、登場人物が盛んにたばこ を吸ってい
 た。ことに将棋指しの「銀じい」はのべつまくなしで、 そばにいる子役の体が気遣わ
 れたほどだった。先進国では禁煙の方 向に向かっている時代に、毎回のようにそれを
 登場させるのは時代 錯誤ではないかと、大阪放送局に抗議の手紙を出した。
 その返事はなかったが、こういう形でこたえてくれたのだろうか。ほか の人からも投
 書があったかもしれない。これから放映されるドラマ の後半でも、喫煙シーンを入れ
 ないことを切望する。
 この前の「あぐり」でも、期待はずれだったが、東京制作の場合にもぜ ひ気をつけて
 ほしい。たばこがどれほど有害であり、おまけに吸わ ない人まで巻き込むものである
 かを考えれば、日常風景だからと安 易にシーンに加えることはできないはずだ。ドラ
 マとはいえ、たば こに市民権を与える手助けをすることは、やめてほしい。


 
     「たばこが優先 特異な日本人」 
坂田仲市
       朝日新聞名古屋本社  1997.7.29. 「声」

 外国の空港で、たばこがいっぱい入ったバッグをぶら下げている日本人 を見かけた。
 免税店で買って、これからそれを吸いながら旅行をす るのだろう。
 空港ロビーで、ガイドが日本人旅行者に「喫煙所はあちらにあります」 と、大声で叫
 んでいた。また、入国審査のところでは、別の日本人 団体のガイドが、「ここからは
 喫煙所がありません。たばこはしば らく我慢してください」、と念を押していた。
 別の空港でのこと。そこで働いている日本人職員が近づいてきて、「ど こへ行くので
 すか」と聞く。「○番ゲートです」というと、「ここ を真っすぐに行った左側です」
 と答えた後、「喫煙所はあそこ」と 教えてくれた。
 外国に行ってこんな状況を見ると、日本人だけがたばこに汚染されてい る異常さを感
 じる。何事もたばこ優先。それを喫煙者だけでなく、 ほかの人も当たり前のように思
 っている。
 たばこを吸うことは、薬物のニコチンの補給にほかならない。日本人は、 喫煙とは何
 かを理解していないし、それを教えようとも、知ろうと もしない。「日本はたばこに
 よって滅びる」と外国人から度々警告 されていると聞くが、政府も国民も滅びる前に
 早く気づいてほしい と思う。


 
     「税収を重視の考えは疑問」 
坂田仲市
       禁煙ジャーナル  1997.7月号 投稿

 禁煙ジャーナルをはじめ、他の紙面においても、いろいろの人によって 「タバコ対策が
 進まないのは政府・大蔵省が国民の健康より税収を 重視しているからだ」という発言が
 たびたび見られます。
 このことについて私は疑問を持っている。なぜならば、政府や大蔵省が そのようなこと
 を言ったのを聞いたこともないし読んだこともない からである。そのように信じ、発言
 しているのは当事者ではない他 人であるところの禁煙運動家などである。
 国会議事堂内を禁煙にしないのは税収を考えてでしょうか。航空機内が 禁煙でないのは
 税収の理由によるのでしょうか。レストランが禁煙 にならないのは税収が減るからでし
 ょうか。そうは考えられません。
 まして、タバコ税を値上げすれば確実に税収が増えるのに、何故しない のでしょうか。
 タバコ対策が進まないのは他の理由によるものと考 えます。
 禁煙運動家が的はずれなことを言えば、自分は国の財政に協力している、 とうそぶくニ
 コチン中毒者が現れ、レストランが禁煙になるのはあ りがたいけれど、その代わりに2
 兆円の増税が行われるならば煙が 立ちこめているのも仕方がない、という非喫煙者の考
 えも出てきま す。
 事実を知って、効果的な運動をすすめていただきたいと思う。


 
     「業界と大蔵省 姿勢を改めて」
塚田烝
     中日新聞本社 1996.10.2. 「発言」 テー マ討論 「たばこ」上

 たばこに関して最も憂慮されるのは、この16年間に未成年者の喫煙が 6倍に激増
 (たばこ問題情報センター)し、高校生の4人あるいは 5人に1人が「毎日吸ってい
 る」という事態ではないでしょうか。
 その原因は年々増え続け、今では全国で約50万台という自販機で あるのは明白で
 す。いったい「未成年者喫煙禁止法」に反すると思 われる自販機が、なぜこんなに街
 角にあるのでしょうか。たばこ小 売業界と大蔵省の姿勢が問われなければなりませ
 ん。
 現状では、業界は「大人であれ、子供であれ、わがお客」という低い倫 理観の人の集
 まりであり、大蔵省は少年たちが1年に買うたばこ代 4500億円(筆者推定)の税
 を欲しいがために、民族の将来を危 うくする最低官庁である、とのそしりを免れない
 でしょう。


 
     「私の禁煙体験」 
木村登
       知立くらしのニュース  1994.11.4.  「読者のコーナー」

 私の郷里、茨城県では終戦後、葉たばこを生産していました。当時、葉 を食い荒らす
 青虫の駆除に薬剤としてDDTを葉が真っ白になるほ ど散布しておりました。おそら
 く残留農薬が大量に付着していたと 思います。現在でも農薬は使用されているでしょ
 う。
 「たばこは百害あって一利なし、健康に良くない」と知りながらも、私 は20歳から
 46歳まで1日15〜20本も吸い続けていました。
 ある時(昭和50年)風邪をひきました。たばこを吸うと激しい咳がで たり、喉が痛
 みました。こんなに苦しい思いをしながらわざわざた ばこを買って吸っているのがバ
 カバカしくなり、また「紫煙は死煙 に通じる」と悟り、その年の9月26日から禁煙
 を決行しました。
 たばこを吸うのを我慢すると口中が粘ついたり、口さみしくなります。 そんな時は水
 を飲んだり、うがいをすると、不思議と口中がすっき りして辛抱できました。
 私は昭和4年生まれの65歳です。喫煙していたころは風邪もひきやす く、血圧も高
 かったのですが、断煙後約20年の今では、血圧は1 20〜160くらいの数値を保
 っておりますし、その他の検診も異 常なく、風邪もひかなくなりました。
 このような体験から私は、昭和61年からボランティアで「禁煙アドバ イザー」をし
 ております。禁煙はできますから自分自身の健康と家 族の幸福のためにも、ぜひ今日
 からでも断煙を実行してください。


 
     「タバコ公害を重要課題に」
坂田仲市
       消費者リポート  1990.11.17. 「会員の声 から」

 連盟規約の第2条に、「この団体は、人間は人間らしく生きるために ・・・(略)
 (1)生命の安全と健康の増進の確保。・・・(略) と定められており、これは人間
 にとってもっとも大切なことであり、 ひじょうに感銘を受け、入会しました。
 しかし、リポートを読んで感じたことは、私たちの生命の安全と健康に 大きな害を及
 ぼし、しかも、すべての人にかかわっているタバコ公 害がまったく考慮されていない
 ことです。
 リポートに毎号取り上げられている、原子力発電、合成洗剤、あるいは ゴルフ場問題
 は重要ですし、その他にも取り上げるべき問題はたく さんあると思います。
 しかし、タバコの健康への害ははなはだしく、通常の喫煙により、喫煙 者の寿命は約
 8年ほども短くなります。そして、喫煙者のうち一部 の人がかかる肺ガン、喉頭ガ
 ン、肺気腫、胃潰瘍などの他に、すべ ての人がかかる害として、息ぎれ、高血圧、心
 筋梗塞など心臓のあ らゆる障害の他に、胃の不調、栄養不良、頭痛、脳の働きの低下
 な ど、さまざまな障害を起こします。
 その上、有害食品は食べた人だけに害を生ずるのに対し、タバコの恐ろ しいのは、他
 の人に強制的に煙を吸わせ、さまざまな病気にしてし まうことです。刃物や毒物で他
 人を傷つけたり、病気にすれば、た だちに罪とされるのに、タバコの煙で他人を短命
 にしたり、病気に しても当たり前のこととされている日本は恐ろしい社会です。
 国連や各国では、政府が中心となって、以前から喫煙を少なくすること と、公共の場
 での禁煙が真剣に進められております。
 連盟の皆さまに、タバコの害について正しい認識をしていただき、もっ とも重要な項
 目として活動していただきますようにお願いいたしま す。




      投稿掲載のコピーをご希望の方は下記へお願いします。
      〒448−0007 児山310  坂田仲市 まで
      1部の場合は120円、2部以上の場合は1部増す毎に20円増 しの金額を、
      80円以下の切手を同封の上、ご希望の資料の 掲載日付と掲載紙を明記して
      申し込んでください。


      「タバコと健康を考える愛知の会」の発言
 のTOPへ