タバコと健康愛知の発言  
    「タバコと健康を考える愛知の会」の投書



         禁煙すればいいことずくめ
  前山邦雄
             朝日新聞  2016.10.21.   「声」  

 私は30年ぐらい前から、若者らに禁煙を啓発する活動をしています。サラリー マン
 時代、職場にたばこの煙がモクモクと漂い、大変嫌な思いをしたのを機 に、活動を始
 めました。ちなみに、私は生まれてこの方、一度もたばこを吸 ったことがありません。
 これまで何度も禁煙に挑戦してあきらめている方、もう一度挑戦しませんか。人 生が
 一変しますよ。
 まず、食事がおいしくなります。自分も健康になり、家族の健康も守れます。壁 やカ
 ーテンなどが汚れません。火の不始末の危険が減ります。吸い殻のポイ 捨てがなくな
 り、街がきれいになります。喫煙所を探す手間もいらなくなり、 そして、何よりもお
 金を節約できます。毎日の1箱をやめるだけで、10年 間で150万円前後の出費が
 なくなります。喫煙が引き起こす病気でかかる 医療費の心配もなくなります。
 最初から吸わないのが一番ですが、今は、禁煙外来のある病院が各地にあります。 若
 い方はもちろん、中高年の喫煙者も、一日も早くたばこから解放され、 爽快な生活を
 送られることを心から願っています。


         従業員のため店内禁煙
  坂田仲市
             中日新聞  2016.10.5.   「発言」 

 他人のたばこの煙を吸う受動喫煙で毎年、15000人が死亡しているという。 完全禁煙になって
 いないレストランを利用すると、せっかくの食事をおいし く食べることができないことがある。どう
 も食事がおいしいレストランは、 完全禁煙の店が多いようだ。
 食事の味も大切だが、健康の方がもっと問題である。利用客も受動喫煙で健康被 害を受けるが、
 店で働いている従業員は長時間受動喫煙を強いられる。ウエ ートレスは若い女性が多く、若い
 ほど健康被害を受けやすい。たばこは嫌で 健康によくないと思っていても、生活のために働い
 ている人だっているだろ う。すぐに病気にならなくても、何年か後で、発病することもあるだろう。
  まずは店内を完全禁煙にして、訪れる人も、働く人もすべてが健康でいられる ような空間にす
 べきだ。そこで働く従業員にためにこそ受動喫煙防止法が必 要だと考える。


         たばこの管轄厚労省に移して
  坂田仲市
             朝日新聞  2014.6.6.   「声」 

 禁煙週間が6日で終わる。初日の世界禁煙デーの今年のテーマは「たばこ税を上 げよう」だった。
 日本も批准し、2005年に発効した世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠 組み条約」は、喫煙
 による健康被害を防ぐため、たばこの消費削減を目指す。 たばこ税の引き上げは、この条約で
 も受動喫煙防止などとともに重要な事項 として掲げられている。たばこの価格は、消費の抑制に
 強い影響力を持って いるのだ。
 だが、日本には「たばこ産業の健全な発展」による「財政収入の安定的確保が目 的のたばこ事
 業法があり、日本たばこ産業(JT)の大株主でもある財務省 がたばこ事業を監督している。また、
 たばこ税の増税は自民党の税制調査会 で検討されるが、自民党にはたばこ族議員たちがいて
 増税を阻もうとする。 民主党政権時代の2010年にたばこ税が引き上げられたとはいえ、日本
 の たばこは今でも先進国の中で安い。
 日本の喫煙率はいまだに高く、喫煙が原因で死亡する人は年間12万〜13万人 と見込まれて
 いる。この被害を減らすために、まずはたばこの管轄を財務省 から厚生労働省に移すことが必
 要だ。


         飲食店禁煙で料理おいしく
  坂田仲市
             中日新聞  2010.6.17.   「発言」

 愛知県が約1万店の飲食店を対象に実施した禁煙についての訪問調査では、禁煙 にした店
 の9割以上が売り上げ、来客数とも変わらなかったという。
 レストランに「たばこの煙があると食事がおいしくないし、健康にも有害だから 禁煙にしてほし
 い」というと、たいていの店から「禁煙にすると客が来なく なるから困る」という返事が返ってく
 るそうだ。その理由は男性の4割、女 性の1割が喫煙者なので、その人たちが来なくなれば大
 損だと考えているの ではないだろうか。
 しかし、同県の調査結果から見れば、心配は杞憂であることが分かる。禁煙にし ても売り上げ
 が変わらないなら、内心では禁煙にしたいと考えている店は多 いだろう。
 灰皿の準備や吸い殻の片付け、あるいは店内の汚れなどがなくなり、店にとって のメリットは
 大きい。
 喫煙者も非喫煙者も禁煙に関係なく、食事のおいしさや雰囲気で店を選んでいる と思う。すべ
 ての店が禁煙になり、食事をおいしく食べたいと思う。


         公共の場禁煙や 健康被害を訴え
  坂田仲市
             毎日新聞中部本社  2010.6.9.   「こえ」
               今週のテーマ  ボランティア

 私は20数年前からボランティアをやっている。障害者施設での手伝い、外国人 の援
 助の他、たばこの害から健康を守るために公共の場所を禁煙にしてもら ったり、健康
 被害を皆さんに伝えたりしている。
 高齢者の世話や地域の環境をよくするためにボランティアをする人はたくさんい るが、
 禁煙活動をする人はあまりいないようだ。
 公共の管理者に受動喫煙をなくすために禁煙にするように頼んでも、それを理解 して
 聞き入れてもらえることは比較的少ない。もし、いくつかの場所が禁煙 になって快適
 になったとしても人からお礼を言われることもないので、苦労 が多い割には結果が思
 わしくない活動だ。
 本来なら、国民の健康を守るための喫煙対策は政府がするのが本当だろうが、市 民ボ
 ランティアも必要だと思う。


         「無煙たばこ」の発売に不安
  杉浦安理
             朝日新聞名古屋本社  2010.3.22.   「声」

 JTが、無煙たばこを5月から、まず東京都内限定で発売すると発表した。でも、
 ちょっと待って欲しい。
 真っ先に思いつくのが、未成年者の喫煙を助長する恐れだ。煙がないので、太め のボ
 ールペンに忍ばせるなど外見をごまかせば、たばこと分からない。学校 内でも吸う心
 配がある。未成年者の購買を防ぐタスポが、あまり役に立って ないようだから、中高
 生に広まる心配は大きい。
 また、本当に受動喫煙の被害はないのだろうか。無臭なら喫煙者は堂々とどこで も吸
 うことになるだろう。煙はなくても、喫煙者のはき出す息には何らかの 有害成分が混
 じるのではないだろうか。
 血管の収縮作用があるニコチンの成分など吸わされたら心臓に障害を持つ私には 大問
 題だ。世界保健機関(WHO)が、たばこ規制枠組み条約で受動喫煙被 害の減少に努
 めているのに、抜け道をつくろうとするJTはどういう神経を しているのか。


        害あるたばこ 懲罰課税必要
  北川吉男
           中日新聞   2009.12.5.   「発言」

 毎年、年末になると浮かんでは消えていくのがたばこ税の増税。たばこ税の増税 とい
 うと「取りやすい所から取る」と批判する人がいるが、実はそれほど取 りにくいとこ
 ろはないと思う。その証拠に日本では過去20年で80円余し か値上げしていない。
 そのため日本のたばこは1箱300円くらいだ。
 それに比べ欧米などでは1箱500円から1000円以上する。そもそもたばこ に懲
 罰税を課す欧米などと税収を考える日本を同じ土俵で議論すること自体 間違っている。
  来年度の税制改正で長妻厚生労働相は、「たばこは健康問 題である。ヨーロッパ並
 みにする必要があるのではないか」と述べたという。 愛煙家にはつらい話だが、他人
 や社会に著しい迷惑と害悪しか与えないたば こには懲罰税を課し、1箱1000円に
 したらいいと思う。
 日本は世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約の批准国である。1箱
 1000円と併せて飲食店や職場などの公共の場所で全面禁煙にする「非喫 煙者保護
 法」も設定すべきだ。


        喫煙被害防止 さらなる啓発願う
  坂田仲市
           毎日新聞   2009.4.3.   「みんなの広場」

 行政で健康関係の仕事をしている人から、こんなことを聞いた。「た ばこと健康につ
 いての講習会を計画しても、申し込みがほとんど ない」というのだ。
 たばこを吸っている人は、自らの行為が健康に悪いと聞かされるのは、 いやに違いな
 い。たばこを吸わない人は「関係がない」と言って 申し込みをしない。受動喫煙の害
 に対する関心も薄いのだろう。
 健康に関する会議においても、たばこについて発言する人がほとんど いない。たばこ
 が少なからず関係しているはずなのに、それを避 けて食事とか運動に話がいってしま
 う。会議を企画する側も、た ばこを議題にすることには遠慮がちになってしまうとい
 う。「た ばこは体に悪い」と知っていながら、喫煙による健康被害を漠然としか 理解
 していない。あるいは過小評価しているようだ。
 喫煙を原因とする病気など、健康に対する影響がとても大きいことを、 行政は国民に
 もっと啓発してほしいと思う。


        たばこ規制 日本も守って
  北川吉男
            中日新聞   2008.12.23.   「発言」

 2003年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、「たばこ規制枠 組み条約」が採
 択された。この条約では喫煙者のまきちらす有害 な煙からの保護や、自販機の適切な
 管理、広告の禁止、たばこ税 の大幅な値上げなど、各国にさまざまな措置を講じてい
 くよう求 めている。わが国も2004年3月には、この条約に署名し、2005 年
 2月に条約は発効した。
 この条約では、スポーツや芸術などの大会やイベントに、たばこ会社 がスポンサーに
 なることも禁止されている。オリンピックやサッ カーのワールドカップは、以前から
 たばこ会社をスポンサーから 締め出しているが、それはたばこの拡販に手を貸したこ
 とへの反 省もあるからだ。
 ところが日本では、ゴルフトーナメントの主催者となり、バレーボー ルではたばこ会
 社のチームが出場し、ワールドカップなどのスポ ンサーになっている。条約違反では
 ないだろうか。


        薬物の入り口 本当はたばこ
  北川吉男
           朝日新聞名古屋本社   2008.12.6.   「声」

 芸能人や大学生の大麻汚染が止まらない。特に20代、30代の若者 の検挙が増えて
 いるという。なぜ大麻汚染がこんなにも広まった のか。
 最大の原因はインターネットによる種子の売買であり、種子が法律で 規制の対象外と
 なっていることと、「使用」が処罰対象になって いないからだと言われている。果た
 してそうだろうか。
 大麻汚染の最大の原因はズバリたばこだろう。大麻で検挙された人の 喫煙率を調べた
 ら分かるだろうが、ほとんどが喫煙者だと思われ る。ふだんたばこを吸わない人が、
 いきなり大麻でも吸ってみよ うと考えるはずがなく、たばこで合法薬物の味を覚え、
 それから 非合法な大麻に手を出すのだろう。
 大麻は覚せい剤などの薬物に手を出す入り口という意味の「ゲートウ エードラッグ」
 と呼ばれているが、真のゲートウエードラッグは たばこである。大麻汚染を止めるに
 は若者のたばこ汚染を止める ことが有効だろう。
 毎年、たばこ税の大幅値上げが族議員や関係者の圧力でつぶされるが、 ぜひ実現して
 ほしい。


        1箱1000円未成年者喫煙防ぐ
  坂田仲市
           中日新聞   2008.7.6.   「発言」

 外国では、喫煙を抑制して国民の健康を守るためにたばこの価格を上 げてきた。一方、
 日本では、反対に売り上げを維持するために価 格を抑えてきたので、今では価格は外
 国の3分の1程度にまで差 がついてしまった。
 値上げについては日本財団会長の笹川陽平さんが「1箱1000円」 を提唱したこと
 を受けて議論がわいている。最近、喫煙者の中川 自民党元幹事長が代表の1人になっ
 て、超党派の国会議員で「た ばこと健康を考える議員連盟」を設立し、その推進を後
 押しして いる。
 従来、禁煙団体からは1本10円の要望が高かった。私もその1人で ある。そうすれ
 ば1箱300円が500円の大幅値上げされる。 ところが、1箱1000円は一挙に
 3倍にするという画期的提案 だ。
 これが実現すれば喫煙をやめる人も多いだろうし、健康推進計画「健 康日本21」で
 定めた未成年者の喫煙ゼロに向けて大きく前進す ることになる。早期の実現を期待す
 る。


         レストランの個室も禁煙に
  坂田仲市
            毎日新聞  2007.9.12.   「みんなの広場」

 最近、レストランの禁煙が少しずつ進んできたが、そんな場合にも、 個室は喫煙自由の
 ままになっている店が多い。店の説明では個室 は貸切で、利用者が自分たちで決めるこ
 とであるという。
 個室を利用するのは、家族、友人あるいは仕事上の利用などさまざま である。個室へ入
 って、では皆さん、禁煙にしますか、それとも 喫煙は自由にしますか、と納得のいく話
 し合いをして決めている だろうか。
 灰皿が置いてあれば、喫煙者は喫煙は自由だと考えるし、たばこを吸 わない人は、たば
 この煙を我慢するしかないとあきらめる。
 その上、たばこの煙は個室から通路、その他へ流れ出す。そこで働く 従業員にとって受
 動喫煙による健康被害も無視できない。レスト ランの個室も含め、すべてを禁煙にすべ
 きだ。


        タクシー禁煙 英断には拍手
  坂田仲市
            中日新聞  2007.1.22.  「発言」

 名古屋タクシー協会に所属するすべてのタクシーが、5月から全面禁煙 になるという。
 大変うれしいニュースである。
 タクシーの利用者は、たばこを吸わない人ばかりではない。当然、たば こをたしなむ人
 もいる。このため、3割ほどのタクシーは、たばこ を吸えるようにしてはどうかと考え
 る人もいると思う。
 しかし、タクシーは新幹線のように、いつでも希望する禁煙席に乗れる とは限らない。
  全部のタクシーが禁煙車でないと、タクシー乗り場 や流しで拾ったタクシーが喫煙車
 であることもある。
 その場合は我慢して乗るか、禁煙車が来るまで待たなくてはいけない。 こういうことが
 あるので、受動喫煙による健康被害を防ぐには、 すべてのタクシーを禁煙にすること
 が、ぜひとも必要である。
 また、狭い車内で喫煙すると、たばこの煙が高濃度となる。乗務員の健 康を守るために
 も、全車禁煙は不可欠である。全面禁煙を決めた関 係者の英断に、心から拍手を送りた
 い。


        「禁煙サポート」の問題点
 坂田仲市
            禁煙ジャーナル  2005.7月号  「投書」

 公共の場の禁煙が進み、職場も禁煙が普通となってきた。喫煙者は仕事 中に喫煙する
 ために席を離れて喫煙室まで行かなければならない。 学校や病院の中には敷地内禁煙
 のところさえ増えてきた。
 喫煙者にとっては非常に不便であり、仕事にも差し支える。そのため、 自分から禁煙
 したりあるいは管理者が禁煙を勧め便宜を図る所もあ る。
 喫煙は肉体的依存と精神的依存が関係している。すなわち、喫煙をして いる間は、ニ
 コチンによる肉体的依存によってたばこを吸っている。 禁煙をしようとする時は、そ
 の肉体的依存と精神的依存の両方が関 係する。そして、禁煙をした後、再び喫煙を始
 めてしまうのは精神 的依存によるものである。
 厚労省の調査によると、喫煙者の半数余りが禁煙を試みたことがあり、 失敗した回数
 は平均5回位という。3300万人の喫煙者のうち、 毎年、数10万人が禁煙をして
 いる。
 その大部分は、自分流で禁煙を試みている。他からの力を借りる方法と して、禁煙の
 ための講習会がある。最近は、医療機関の禁煙外来と かインターネットを利用した禁
 煙もできてきた。
 いずれも、まず、喫煙による健康被害などについてよく説明をした後、 禁煙をする日
 を決め、たばこやライターなどを処分して禁煙を始め るのである。
 禁断症状に対しては、水を飲む、深呼吸をする、その他の方法が指導さ れる。自分で
 作成した禁煙の理由書を読んだり、「自分はたばこを 吸わない」と唱える精神的対策
 なども用いられる。
 すべては、つらい禁断症状を乗り切り、吸いたい気持ちを抑えるための 我慢、我慢の
 禁煙である。最近では、ニコチンパッチを用いて禁断 症状を和らげ、苦労せずに禁煙
 できるといって、これですべてが解 決する画期的方法の如く宣伝され普及してきた。
 いずれの方法も禁煙の成功率は十分とはいえないが、それにも増して、 一旦、禁煙し
 ても再び喫煙者に逆戻りしてしまう失敗が多いことが 問題である。その原因は、喫煙
 をやめてニコチンが体内から排出さ れ、肉体的依存がなくなれば、あとは精神的依存
 だけである。
 それにもかかわらず、精神的依存を我慢で解決しようとする点である。
 精神的依存とは、たばこはおいしかったという思い、ストレスがなくな るという効用
 などが脳に記録されている。そのノスタルジアがあれ ばたばこが吸いたい欲望が度々
 生じ、その度に我慢をしなければな らない。禁煙をした後もたばこへの郷愁と我慢を
 引きずって人生を 送ることは不幸であり、一本だけが元の喫煙者へと逆戻りさせる
 危 険を持っている。
 精神的依存をなくするためには、たばこを吸ったことがない人と同じよ うに、たばこ
 への関心がない状態になることである。喫煙は害こそ あるが益のないつまらない行為
 であること、ニコチンによる依存の ために一生鎖につながれたみじめな人生を送る
 ことなどを理解して ノスタルジアをなくするために、肉体的依存だけでなく、精神的
 依 存を重視することが必要ではないだろうか。


  「依存は弱い」という判決裁判所を信用できない
 坂田仲市
      週刊金曜日  2005.8.5. No.568号   「投書」

 タバコ病裁判の東京高裁判決は、たばこの有害性は疫学だけでなく動物 実験などが
 必要、ニコチンの依存性は低く、意志により禁煙できる などというもので、一審と
 ほぼ同じであった。喫煙をやめなかった のは原告に責任があるということである。
 喫煙者の多くが、たばこをやめたい、本数を減らしたいと思い、一度禁 煙しても大
 部分は喫煙に逆戻りしてしまい、何度も挑戦して実際に 禁煙できるのは一部だけで
 ある、という生き証人が何千万といる。 WHO(世界保健機関)も各国政府も、た
 ばこの強いニコチン依存 を認めており、それは世界常識である。
 アメリカで公開されたたばこ会社の内部資料では、「ひとたびタバコを 吸い始める
 と、ニコチンが中枢神経におよぼす薬理学的作用によっ て喫煙せずにはいられなく
 なる」「ニコチンは麻薬と同様に薬物依 存症を引き起こす」「ニコチンには依存性
 がある。タバコ産業のビ ジネスとは、依存性のある麻薬、すなわちニコチンを売る
 ことであ る」などと書かれている。
 つまりは、ニコチンの強い依存性のためにやめることができず喫煙を続 け、たばこ
 会社にとっては有難い金蔓となっているわけである。そ して、ニコチン依存症の喫
 煙者は遅かれ早かれたばこ病になり、早 死にすることになる。
 それを、ニコチンの依存性は弱く、やめようと思えばやめられるという JT(日本
 たばこ産業)の詭弁をそのまま判決とする裁判所は、も はや信頼することはできな
 い。


      精神依存断ち 禁煙に大成功  
八重田和久
         中日新聞本社  2005.5.14. 「発言」

 「禁煙したいが、たばこはやめられない」。こんな考えの人が多いこと が、NHK
 の調査で分かったそうです。
 だが、それは喫煙者の逃げ口上だと思います。私の体験から言うと、体 というより
 も精神的に、たばこ依存症に陥っているのだと思います。 また喫煙しないとストレ
 スがたまるという人もいますが、それも喫 煙しないと生きていけないという強迫観
 念があるからです。
 もし本気で禁煙したいのであれば、「僕はたばこなどなくても生きられ るのだ」と
 自分に言い聞かせ、たばこへの精神的な依存を断ち切る ことです。私はそのような
 マジックをかけ、禁煙することができま した。禁煙してからは、逆に気分がスッキ
 リしてストレスから解放 されました。ぜひ試されることを勧めます。


      自販機禁止で 未成年守ろう  
坂田仲市
         朝日新聞名古屋本社  2005.4.13. 「声」
      未成年の禁煙 自販機廃止で   坂田仲市
         朝日新聞東京本社   2005.4.18. 「声」
         上記2件の本文は同一

 喫煙による健康被害の防止を目指す「たばこ規制枠組み条約」の草案で、 禁止され
 ることになっていた自販機は、日本などの反対で緩和され、 未成者がたばこを入手
 できないようにする、として発行した。
 このため、日本では成人だけが使える自販機のカードを発行しようとい う準備が進
 められている。しかし、そのカードさえあれば未成年で もだれでも、自販機が利用
 できる。大人がカードの管理を厳重にし て、その重みを自覚しないと、貸したり盗
 まれたりして、悪用され かねないのではないだろうか。
 政府とたばこ会社はこれまで、未成年者の喫煙禁止の張り紙や、深夜の 自販機の停
 止を実施してきたのに、禁煙が世界の潮流になった今、 自販機の撤去にこだわるの
 は納得できない。未成年者の健康のため 喫煙をゼロにするためには、やはり自販機
 の廃止は欠かせないと思 う。


       高校生の喫煙 環境もヘンだ  
北川吉男
          朝日新聞名古屋本社  2005.3.19.   「声」

 パチンコ店での喫煙が発覚し、高校から停学処分、球団から謹慎処分を 受けた日ハ
 ム球団のダルビッシュ投手が、処分解除の記者会見で 「一生たばこは吸わない」と
 誓っていた。
 普通の未成年なら、ニュースにもならないほどの喫煙だが、高校野球の 花形で知名
 度も高いので写真週刊誌に狙われたのだろう。
 夏の甲子園で勝ち進んでいた愛知県の某私学の野球部員が喫煙している 姿が写真週
 刊誌に掲載されたことを思い出す人も、この地方には多 いだろうか。いずれも喫煙
 した本人が悪いのだが、それほど悪いこ とならば、町中にあふれるたばこの自動販
 売機で簡単に手に入る環 境もおかしい。
 未成年者の喫煙を禁止するのなら、たばこの値段を大幅に引き上げると か、自販機
 を撤去することも必要だ。また、未成年者にたばこを売 った販売店を厳しく罰する
 などの工夫もすべきではないか。


       ペンションの禁煙化を    
坂田仲市
          週刊金曜日  2005.2.18.(545号)   「投書」

 全国に4000軒を超えるペンションがあるそうだが、その中の約13 00軒につ
 いて喫煙対策状況を調べた。
 なんらかの喫煙対策を実施しているのは、3割弱である。その内容は、 全館禁煙が
 20%でペンション全体の6%弱である。59%が客室 のみ禁煙、他の場所は喫煙
 が自由であった。残りの21%は共有ス ペースのみ禁煙、食堂のみ禁煙などであっ
 た。
 多くが客室のみ禁煙にとどまっているのは、目の届かない客室は寝たば こによる火
 災が心配で、せめて客室だけは喫煙を我慢してほしい。 また、共有スペースのみ禁
 煙というのは受動喫煙をなくするわけだ が、客室は利用者自身が喫煙しなければ問
 題ないという考え方であ る。
 ライフワークとして夫妻で経営しているペンションは、大切な施設をタ バコで汚さ
 れたくない。ましてや、火災を起こされることを最も心 配している。しかし、客が
 減ることで禁煙に躊躇しているオーナー が多い。
 客がへることは杞憂にすぎないことを告白したあるペンションオーナー がいる。以
 前から全館禁煙にしようと迷っていたが、意を決して禁 煙にした。これで客はめっ
 きり減り、さぞ暇になるだろうと考えて いた。ところが、反対に連日満員でうれし
 い悲鳴をあげているとい う。禁煙だからヤーメタという人もいるだろうが、非喫煙
 者だけで なく、家族に受動喫煙をさせたくないし、喫煙者自身も禁煙の宿のほうが
 気持ちがよいからと利用者が増えたという。法律を守り、利用者の 健康を守るため
 にすべてのペンションはパブリックスペースを全面 禁煙とし、客室を含む全館禁煙
 ももっと多くなってほしい。


       禁煙の店は誇り持ってほしい  
坂田仲市
          毎日新聞  2005.1.22. 「みんなの広場」

    要旨:飲食店に「あなたのお店は禁煙ですか」と尋ねると、ほと んどの店
       から「大丈夫です」という声が返ってくる。 ところが禁煙の店では「申
       し訳ありません。店内は禁 煙にしていただいています」と、何か悪い
       ことをして いるかのように小声で答える。
       何か変だ。法律を守っている禁煙の店こそ「大丈夫です。 店内は禁
       煙ですから、健康を害することもありません。 おいしく食事を召し上
       がっていただけます」と誇らし げに答えてほしい。そして、禁煙でない
       店は「申し訳 ありませんが、禁煙にはしていません」と言うべきです。


      受動喫煙防止 低い率に驚く  
坂田仲市
         朝日新聞名古屋本社  2004.12.23.   「声」

 昨年5月に施行された健康増進法は、公共の場所での受動喫煙を防止す るように定
 めている。
 しかし、禁煙席のあるなしなど、対策の有無を飲食店を例に調べると、 ファミリー
 レストランやファストフード店では禁煙席があるが、全 体ではまだまだない場合の
 方が多い。
 約1年がかりで今春までに電話などを使い、受動喫煙を防止しているか などを個人
 的に調べてみた。対象は電話帳から選んだ刈谷や豊田、 安城、名古屋市緑区など近
 隣の7市区町の飲食店3700店。
 禁煙席だけでなく、煙が流れてこないようにしてあったのは、予想を下 回り、食
 事をする店で5.4%、喫茶店で3.2%だった。
 法律を知らない店もあったが、対策をしていない理由を聞くと、客が減 ってもうか
 らなくなるのではと心配している店が多かった。
 対策をした店では客の入りは変わらないか、逆に増えたという店もあっ た。
 変わらないとすれば、灰皿の準備、吸い殻の後片付け、店内の汚れなど なくなり、
 店にとってはいいことである。
 客の減少だけを心配していないで、法律を守り、利用者の健康を守るこ とも考えて
 欲しい。


     万博と空港の 全面禁煙望む  
北川吉男
        中日新聞本社  2004.11.27.  「発言」

 愛・地球博(愛知万博)と中部国際空港が、最後の仕上げ工事に入った。 私は今か
 ら開催が待ち遠しくてならないが、関係者に会場内を全面 禁煙にするよう、ぜひお
 願いしたい。
 愛知万博は環境をテーマにしているが、たばこは一番身近にある環境汚 染の発生源
 だ。これだけたばこの健康被害が叫ばれているのに、会 場内の自動販売機でたばこ
 を売ったり、会場の至る所に喫煙所を設 けたりするのはいかがなものだろう。飲食
 店がたばこの煙で充満す るようになれば、世界から笑いものになる心配がある。
 また中部国際空港でも、ロビーや飲食店内は全面禁煙にすべきだ。この 空港は最新
 の設備を誇っているそうだが、環境面でも一歩先を行く べきだ。世界の主要な空港
 は、旅客ターミナル内に喫煙所があって も、各フロアには一カ所しかない。また煙
 が外に出ないよう、二重 三重に仕切られるなどの工夫がされている。ビル内に喫煙
 所がない 空港もあるほどで、関係者は参考にしてもらいたい。


   外で喫煙の先生 子らには反面教師  
北川吉男
    朝日新聞名古屋本社  2004.10.21.  夕刊  「ナゴヤマル」

 先日の本欄に、学校の敷地内は禁煙のため、外でたばこを吸う教員の姿 はみっとも
 ない、との主旨の投稿がありました。私も同じ意見です。 しかしながらその教員の
 姿は見方を変えれば、子供たちへの禁煙教 育に役立っているのではないかと思いま
 す。
 哀れで惨めな先生の喫煙シーンを見て、「ああいう大人にはなりたくな い」と、ま
 さに反面教師になっていると思うのです。その投稿者は 空き教室を喫煙室にとの意
 見を述べられていましたが、喫煙者だけ に特別提供するのは不公平で賛成できませ
 ん。


      路上喫煙に罰則を    
北川吉男
         中日新聞  2004.10.17.  「一言一筆」

       名古屋市は繁華街など路上喫煙を禁止する
       条例を制定するそうだ。大賛成だ。たばこの
       煙は屋外でも通行人に害や迷惑を与えるし、
       たばこを捨てれば危険である。業界の抵抗も
       考えられるが、罰則付きの条例にして路上を
       快適な環境にしてほしい。


  タバコ裁判に見る 日本の欠陥システム 
坂田仲市
      週刊金曜日  2004.10.8.(527号)   「投書」

 6年前に提訴されたタバコ裁判の判決が昨年、東京地裁であった。そして 現在、高
 裁で裁判が行われている。喫煙が原因で肺がんなどになった 患者6名が原告となり、
 喫煙の害を知らされずに喫煙者となり、ニコ チン依存症のために禁煙することがで
 きず、その結果病気になった、 というものである。
 判決は、@タバコの依存性は弱く、喫煙者の意思と努力によって禁煙でき るAパッ
 ケージの警告表示は一定の機能を果しており適正であり、喫 煙は自身の責任である
 B原告の病気と喫煙との因果関係については、 原告が証明できなければ認めない−
 −などというものである。
 これらは、みな被告JT(日本たばこ産業)の主張をそのまま認めたもの である。
 世界の常識からすれば全くの非常識である。背後にある構造 こそが問題である。
 日本には、立法、行政および司法の制度があるが、3権が独立ではなく司 法は他の
 機関に支配されている。したがって裁判官は判決をする場合 に、法律と正義による
 のではなく、多くの裁判官は自身の出世を第一 として保身を考え、支配者すなわち
 自民党と政府機関の意向に沿う判 決をしていると聞く。だから、権力を相手とした
 裁判では、いつも原 告は不当な判決に泣かされているのである。
 今回のタバコ裁判もその例に洩れず、明らかに不当なものであった。それ は原告だ
 けの利害ではなく、全国民の健康と人権に関わる重要な問題 をはらんでいるもので
 ある。



     医師は禁煙し 指導的立場に   
坂田仲市
        朝日新聞名古屋本社  2004.3.5. 「声」

 日本の男性医師の喫煙率は27%で、一般よりは低いが先進国に比べると まだかな
 り高い。
 英国の医師会の資料によると、スウェーデンでは6%である。禁煙した医 師は、そ
 の理由として「模範として率先する」を挙げるのが7割。職 業上、喫煙の害をよく
 理解しているだけでなく国民の健康を守るとい う責任感がうかがえる。
 英国では喫煙の有害性が分かると多くの医師が喫煙をやめ、禁煙の指導的 立場に立
 った。その効果によって「たばこ病」が減少したという。
 医療関係者は国民の健康を守るために、禁煙推進の先頭に立つ社会的責任 があると
 思う。だが、日本の医師は喫煙の有害性に対して理解が低い ようだ。「たばこ病」
 は増加の一途をたどっている。認識を改めて自 ら禁煙すると同時に、禁煙推進に努
 力してほしい。


    喫煙の害知らぬ 子供たちに驚く  
坂田仲市
       読売新聞  2003.11.17.  「気流」

    要旨:先日ある高校から講師を依頼され、たばこについて講義をし た。30
        人ほどの生徒がいた。
        「健康増進法]という言葉を誰も知らなかった。
        吸い過ぎとは1日何本かをある生徒は「30本くらい」と 答え、
        「吸い過ぎなければ害はない」と言った。JTと政府の 「吸い過ぎ
        に注意」がいかに誤解を生んでいるか痛感した。
        受講後の感想文では、「喫煙の害についてほとんど知らな かった」
        「自分は決して吸わない」「受動喫煙が害であることを初 めて知っ
        た」などと書いてあった。
        若者の喫煙率の上昇が心配されているが、本人のせいとい うより、
        「禁煙教育」が十分行われていないことが原因。政府は未 成年者に
        も大人にも喫煙の害をしっかり知らせて欲しい。


     喫煙マナーは 誰が決めるか  
坂田仲市
        朝日新聞名古屋本社  2003.9.15.  「声」

 喫煙マナーという言葉を頻繁に聞く。マナーというからには他人に迷惑を かけない
 こと、良い感じを与えることが基本である。
 では、喫煙マナーを決めるのは誰か。当然、被害を受ける立場の非喫煙者 が決める
 べきである。非喫煙者が迷惑と考えればすなわちマナー違反 である。
 ところが日本における喫煙マナーはそうではない。主としてたばこを売る 側が、喫
 煙者に都合のよいマナーを考え出し、喫煙者だけでなく非喫 煙者も洗脳してきたよ
 うに思える。
 例えばたばこのポイ捨てはしない、禁煙場所で喫煙はしない、人込みの中 で喫煙は
 しない、などである。
 それに喫煙者のエゴが加わって、1本ぐらいいいだろう、喫煙権だってあ るなどと
 喫煙者本位のマナーが独り歩きしている。
 だから、非喫煙者が周囲にいようがいまいが、喫煙所や灰皿が置いてある 所では喫
 煙が優先。屋外では喫煙が自由ということになる。これらは 、たばこの被害者から
 みれば迷惑この上ない、とんでもないマナーで ある。


   喫煙対策を妨げる「無知無関心列島」  
坂田仲市
        快投欄魔   2003.8.15. 「巻頭言」

 日本のタバコ問題が先進諸国に比べて遅々として進まない原因はいろいろ あるが、
 その大きな要因の一つに議員、政治家および国民が無知無関 心であることにあると
 思う。喫煙による健康被害に関して、非喫煙者 も喫煙者も「タバコはからだに悪い」
 「私愛煙家、あなた、タバコが 嫌い」というところから前に出ない。店長や管理者
 が禁煙にしないの も、禁煙の要望を出さないのも、喫煙を止めないのもすべて無知
 無関 心が大きな原因である。
 その無知無関心は、政府、国民の健康を守る立場にある厚生労働省をはじ め、地方
 自治体も意識的に、あるいは不作為によって、国民に情報提 供をほとんどしていな
 いことが原因している。新聞、テレビなどの報 道関係者にはニコチン記者が多いせ
 いか、タバコに不利な記事を避け ているので情報はますます少なくなり、無知無関
 心を助長している。
 他方で、日本たばこ産業と大蔵省は、タバコはし好品である、依存性はコ ーヒーよ
 りも弱い、吸いすぎなければ心配はない、受動喫煙による健 康被害はほとんどない、
 などなどのウソを国民の脳に刷り込んできた。 自分で正しい情報を得ることをしな
 い日本人は、ニコチン政府とタバ コ会社の言うことを鵜呑みにしている。
 タバコから国民を守る活動は、金儲けや出世には不利で、名利とは無縁の ものであ
 る。国民は小賢しく、それをよく知っている。タバコが厭な 人も手を貸さない。
 国民は無知無関心と正義感の欠如から声を出さない。政治家は無知無関心 と自分の
 利益にならないゆえに法律の制定をしないので、タバコ問題 の解決が一向に進まな
 い。
 今回施行された「健康増進法]によって一気に禁煙が進むことを期待する が、期待
 に反して法律が徹底しないうちに有名無実になることを心配 する。賀來会員は健康
 増進法を「武器]にすると前号で書かれた。私 も今まで丸腰で活動してきたが、今
 はこの「銃]を手に強力な活動を している。おもしろくなってきた。


      法施行を機に 禁煙考えては  
近藤敬
         朝日新聞名古屋本社  2003.8.9.  「声」

 叔父が永眠し、斎場へ見送りに行った。健康増進法が施行され、建物の中 の開放さ
 れた場所は全面禁煙となり、斎場でも心静かに呼吸しながら 集骨の時刻を迎えるこ
 とができた。
 通路から窓越しに外に目をやると、お年寄りが酸素ボンベの入ったカート を引いて
 葬儀に参列していた。
 私は「苦しいでしょうにありがたいことだ」と、お年寄りに同情しながら 「人生は
 重き荷を背負って遠き道を行くがごとし」との言葉を思い浮 かべていた。
 だが次の瞬間、同情は崩れてしまった。そのお年よりは喪服のポケットか らたばこ
 を出して、吸い始めたのだ。「酸素ボンベを引いてまで、た ばこを・・・・」と叫
 びたかった。
 自分のことで精いっぱいでお年寄りの面倒を見る人がいない社会が、すぐ そこまで
 来ている。自分の体は自分で守るしかない。
 健康増進法は、みんなが健康になるために公布された。禁煙の必要性につ いて考え
 てみませんか。


      学校の禁煙進めよ   
北川吉男
         中日新聞   2003.7.13.  「一言一筆」

       愛知県内の県立学校は、早ければ来年度か
      ら敷地内を全面禁煙にするそうだ。英国の調
      査では敷地内を全面禁煙にしている学校はそ
      うでない学校に比べ、生徒の喫煙率が低いそ
      うだ。だから私はそうするには賛成で、まだ
      態度未定の名古屋市も検討すべきだ。

      
      健康増進法広げて   
坂田仲市
         中日新聞   2003.7.6.  「一言一筆」

       この5月に健康増進法が施行され、大企業
      はそれぞれ対策を進めているようだが、大部
      分を占める個人商店や飲食店などはその法律
      をよく知らない店主も多いようだ。それでは
      法律の十分な実効を期待できない。自治体は
      ぜひ周知させ、実施を指導してほしい。


      厚労省はなぜ禁煙にしない  
坂田仲市
         朝日新聞名古屋本社  2003.6.11.   「声」

 新聞の報道によれば、厚生労働省は庁内に置かれているたばこ自販機を減 らすもの
 の全廃はしない。しかも喫煙所も残すという。誠にあきれ果 てたものだ。
 日本の喫煙対策は先進諸国に比べて非常に遅れている。やっと「健康増進 法」がで
 きたが、その所管の官庁がこの有り様だ。今までも厚労省の 対策は後手、後手だっ
 たが、現在もその体質は変わっていないことを 示している。
 自販機や喫煙所を残すことについて、厚労省の福利厚生室は「職員の利便 性を考慮
 した」と理由づけている。喫煙者の利便性を優先するという ことは、非喫煙者に対
 して受動喫煙をさせて、健康被害や人権をない がしろにしていくことになるのだ。
 国民の健康を守る立場の厚労省は率先して、庁内の全面禁煙を実施するこ とだ。
 この際だからぜひ、国民の手本になる役所になることを願う


      喫煙への警告もっと厳しく  
坂田仲市
         中日新聞  2003.3.2.  「発言」

 市販のたばこ包装に印刷されている警告文が強化されるという(2月13 日付本紙
 経済面)。長い間改訂の要望が強かったというが、「あなた の健康を損なうおそれ
 がありますので吸いすぎに注意しましょう」で は、大抵の人は吸い過ぎなければ大
 丈夫と理解しているのではないだ ろうか。
 アメリカの消費者団体が世界の警告表示を調べた結果、日本の文言は警告 になって
 いないとの理由で不名誉な零点が付けられたという。警告文 は喫煙による健康被害
 を正しく表示して喫煙をやめるよう、新しく喫 煙習慣を身に付けないようにするた
 めのものである。それをたばこ消 費を減らしたくない財務省が、たばこ擁護のメン
 バーを中心にした審 議会で作成したのだから、喫煙者を欺く文言になるのも当然で
 ある。 そのメンバーも新しくなったようだから正しい警告文にしてほしい。


      『し好品』とは言えぬたばこ  
前山邦雄
         中日新聞  2003.1.9.  「発言」

 厚生労働省が「国民の健康のため、たばこの消費を抑制すべきだ」とした 今後のた
 ばこ対策の基本的考え方をまとめた。しかし、財務省は「た ばこは個人のし好品で、
 消費削減を求めるべきでない」とする報告を まとめており、正反対の考えだ(20
 02年12月25日付本紙夕刊 @面)。
 財務省や日本たばこ産業(JT)は、常に「たばこはし好品」論を唱え、 行政の
 たばこ対策を妨害してきた。果たしてたばこは「し好品」だろ うか。
 たばこはシンナーや覚せい剤と同じ薬物であり、がんや心臓病 などあらゆる病気の
 原因となっていることは常識である。さらに喫煙 者の約7割が禁煙したいと思って
 いるが、ニコチン中毒のためなかな かやめることができないのが実態だ。
 こんな有毒商品を、お茶やコーヒーと同じ「し好品]と認めるわけにはい かない。
 財務省やJTの幹部に問いたい。「あなたの子どもや孫にた ばこを吸わせたいと思
 いますか」と。


     たばこ税導入 もっと大幅に  
坂田仲市
        中日新聞  2002.12.8.  「発言」

 戦前の日本では軍備拡充のため、たばこ税が利用された。しかし喫煙の害 がはっき
 りしている現在、国連の世界保健機関(WHO)の勧告によ り、税収面からではな
 く、国民の健康を守るために、たばこ増税によ って喫煙を抑制することが世界の動
 向である。
 ところが、日本政府は国民の生命と健康を守らないで、たばこの拡販だけ を優先す
 る政策をとり、低価格を維持している。いまや国民の生命と 健康のために増税して
 きた諸外国に比べてたばこの価格は半分以下と なってしまった。
 そのため成人の喫煙率は一向に減らないばかりか、未成年者の喫煙率は非 常な高率
 である。このままでは増加の一途をたどっている肺がんをは じめ、脳卒中など、た
 ばこ関連疾患は増え続けることになる。販売減 を考慮した小幅な増税ではなく、ま
 ず1本10円以上の増税をして国 民の生命と健康を守るべきだ。

 
   たばこ増税をきっかけに禁煙をすすめる
 北川吉男
      週刊金曜日  2002.11.15.(436号)   「投書」

 愛知県の10月21日付朝刊各紙に、たばこ増税に反対する意見広告が載 ってい
 た。広告主は言うまでもなく、「公害企業」JT(日本たばこ 産業)、「死の商人」
 フィリップ・モリス、「犯罪企業」BAT (British Amerikan Tabacco)などの
 巨悪たばこ産業と業界団体で ある。主な内容はこうだ。「たばこの税率は6割であ
 り、年間2兆円 以上の税収となる。過去5年間に2度も増税しているのに、さらな
 る 増税は全国で3000万人を超える愛煙家の楽しみを奪い家計を圧迫するか ら断
 固反対する。」
 というのが彼らの主張であるが、この広告は非常に巧妙な世論誘導をして いて、た
 ばこ問題に無知な日本人はひっかかる人が多いと思われるの で反論する。
 確かにたばこの税率は6割であり、年間2兆円を超える税収があるのも事 実だが、
 たばこが原因による支出のほうが遥かに多いのも事実だ。火 事による損失(ホテル
 ニュージャパンの火災は宿泊客によるたばこの 不始末が原因)、吸い殻の清掃代、
 灰皿、分煙機、喫煙室(所)の設置 費用、そして一番大きいのが医療費の損失分(米
 国では巨悪煙草産業 が州政府に30兆円支払う)。特に強調しておきたいのは、散
 煙者 (喫煙者のこと)に「たばこを買って税収に貢献しろと私は頼んだ覚えはな
 い」。
 過去5年間に2度増税されたと言うが、1997年のときは消費税増によ るもので
 他の商品もみな増税されている。1998年のときは、旧国 鉄債務の金利返済の
 1部として、1本あたり82銭増税された。この とき、巨悪煙草産業は1箱16円
 40銭値上げしたのではなく、どさ くさに紛れて20円値上げした、推定で500
 億円の「焼け太り」に なり、それが族議員の献金の一部になっているのは言うまで
 もない。 たばこは子どもでも簡単に自販機で買える死好品であり、増税を機会に禁
 煙すれば家計を潤す。


     旅客機内では 禁煙は当然だ
  坂田仲市
        朝日新聞名古屋本社  2002.11.3.  「声」   


 「旅客機内での全面禁煙ノー」(10月26日声欄)の投稿者は、たばこ は嗜好品
 で吸い殻をポイ捨てしなければ喫煙は自由、禁煙は行き過ぎ、 と考えている自称愛
 煙家のように思います。
 「マナーを守れば」と言っていますが、マナーとは他人に迷惑をかけない こと、社
 会性に反しないことだと思います。受動喫煙を生じる場所で 喫煙するのはマナーに
 反することで、航空機内の禁煙は当然のことで す。
 公共の場所が他人の健康を損ねたり苦痛を与えたりしないために禁煙にさ れたので
 あり、喫煙者が窮屈になって苦痛だから自由にたばこを吸わ せてくれ、と言うこと
 は全くおかしい。一服の清涼剤は、他人の空気 を汚さない場所で吸ってほしい。
 投稿者は、空気清浄機は完全だと勘違いされておられるようです。清浄機 ではたば
 この有害物質のごく一部しか除去できません。だからこそ、 国際民間航空機関が旅
 客機内の全面禁煙を定め、世界中の航空会社が 実施しているのです。喫煙が原因で
 火災を生じる危険を無くす面から も、全面禁煙は当然だと思います。


     たばこ税上げ 反対で考えた
  北川吉男
        朝日新聞名古屋本社  2002.10.26.   「声」 


 最近、たばこ自販機に付く「税率6割」というステッカーをよく見かけ る。詳細に
 読むと、増税反対の署名を呼びかけている。
 例年、年末が近づくとたばこ税の増税案が浮上する。そのたびに、業界は 族議員ら
 を動かしてつぶしてきた。ステッカーは、従来の手法が今回 は通用しないという危
 機感の表れか。
 だが、「待てよ」と言いたい。日本のたばこの値段は、欧米に比べて安い のだ。カ
 ナダ、イギリス、ノルウエーなどでは500円から700円 (未成年の喫煙を減ら
 すため高くしている国と税収源として考える日 本とを比べること自体、間違ってい
 るのだが)。
 それにしても、未成年の喫煙を誘発している自販機で、増税反対のお願い をするの
 は非常識すぎるのではないか。世界保健機関(WHO)はた ばこ撲滅に向け、自販
 機を撤廃し、増税をする国際条約の締結をめざ している。
 たばこは1箱千円くらいにすればいい。


     市職員の禁煙 徹底すべきだ
  北川吉男
        中日新聞本社  2002.8.10.  「発言」


 名古屋市の「健康なごやプラン21」の概要が明らかになり、その中でた ばこの喫
 煙率を男性は現行の41.3%から30%以下、女性は1 3.1%から8.6%以
 下と数値目標を明示していることが分かっ た。大賛成である。
 国連の世界保健機関(WHO)によれば、喫煙は肺がんを招く最大の死亡 原因であ
 る。受動喫煙による健康被害も深刻であるとして、現在たば こを規制する国際条約
 の締結を目指している。
 そこで同市にお願いしたい。まず「隗(かい)より始めよ」という故事が あるよう
 に、市職員の禁煙から始めたらどうだろうか。例えば、非喫 煙の職員や住民の健康
 を守るため市の施設すべてを全面禁煙にし、 「どこでも吸える」という意識を改め
 させるべきだ。そうすれば空気 清浄機を設置しなくても済むし、無駄な税金を使わ
 なくてもよい。ご みの減量にもなる。さらに、市の施設の中にある飲食店も全面禁
 煙に し、たばこの自動販売機も撤去して、職員と住民に「やる気」と「決意」を 表
 すべきだ。


     喫煙優先する 要因は構造的
  坂田仲市
        朝日新聞名古屋本社  2002.7.3.  「声」
        タバコ問題ペンくらぶ会報  2002年第5号


 日本の喫煙対策は先進国に比べて30年以上遅れているが、今やアジア諸 国の中で
 も後進国である。この極端な遅れの原因は、わが国の政治構 造にある。
 たばこを独占的に製造し、販売も支配的な日本たばこ産業(JT)は、あ らゆる手
 段でフィリップ・モリスと拡販を競っている。
 外国の政府は国民の健康と生命を守る側に立っているが、日本だけは逆に たばこ産
 業の側についている。
 政府の中枢である財務省はたばこに関するほとんどの権限を握っており、 天下り先
 のJTとは一枚岩だ。また、自民党はたばこ族議員が多数い て、JTとは密接な関
 係だ。未成年の喫煙は法で禁止されてはいる が、成人の喫煙を制約する法律は制定
 されていない。
 このように、たばこ拡販と喫煙優先は強固に維持されている。しかし、禁 煙を推進
 する側の勢力は弱い。
 この構造が改革されなければ、国民はたばこによる不幸から救われない。 人間を幸
 福にしない日本政府の構造は不変なのだろうか。


     灰皿の撤去に 遠慮要らない
  近藤敬
        朝日新聞名古屋本社  2002.7.3.  「声」


 私は健康のため市のスポーツセンターへ行きますが、どこもたばこの煙 で、病気に
 なります。発がん物質が大量に含まれた副流煙を一息吸っ ただけで頭が痛くなり、
 5分も吸ったら、手足がしびれて倒れてしま います。先日も歩行困難になり、親切
 な方に自宅まで送ってもらいま した。
 病院で診てもらい、5時間後にやっと元に戻りました。治療費を払いまし たが、被
 害者なのに自腹を切るなんて納得できません。慰謝料が欲し いくらいです。市の職
 員に聞くと「吸う人がいるから灰皿を置いてい る」と言います。でも、それは喫煙
 を後押ししているのと同じです。
 喫煙は、暴走行為、駐車違反、赤信号無視以上に迷惑です。灰皿の撤去に 遠慮は要
 りません。公共施設の空気をきれいにしてください。公共の 福祉は何よりも優先さ
 れるべきものです。


     『禁煙連盟』に首相加入望む
  坂田仲市
        産経新聞  2002.6.4.  「談話室」
        タバコ問題ペンくらぶ会報  2002年第5号

   要旨:わが国の喫煙対策は、先進諸国に比べ30年以上遅れている。
      世界保健機関は、公共の場所の禁煙、たばこ自販機の廃止、
      広告の禁止、たばこ税を高くすることなどを世界各国政府 に
      繰り返し勧告してきた。
      諸外国はいち早く法律を制定して効果を上げているが、
      日本だけは勧告を無視して、何の法律も制定していない。
      その原因の一つは国会議員がたばこの害に無関心なことであ る。
      今年の3月に、超党派の国会議員による「禁煙推進議 員連盟」が
      結成され、活動しているが、その中に小泉純一 郎、坂口力両氏の
      名前が見当たらない。
      喫煙対策をしないために毎年多くの国民がたばこで病気にな り、
      寿命を縮めているのに、それをなくすために先頭に立 たなければ
      ならない首相と厚生労働相が知らぬ顔とは。
      国民の幸せのため連盟に加入してほしい。


    たばこ自販機 早急に廃止を
  坂田仲市
       朝日新聞名古屋本社 2002.5.15. 「声」


 国の健康づくり計画「健康日本21」のたばこ対策で、未成年者の喫煙を 2010
 年までにゼロにするという目標が決められているが、国民の 健康を守る上で最も重
 要なことである。
 30年も前から世界保健機関(WHO)は、たばこ自販機を撤去するよう 何回も世
 界中の政府に勧告してきた。多くの国では禁止したが、日本 だけは撤去どころか増
 設を続け、今や62万台を超す自販機が国中の 至る所に設置されていて、どこでも
 誰でも買うことができる。
 喫煙者の9割が未成年者のうちに喫煙習慣を身につけ、その7割が自販機 で買って
 いるという。これは明らかに未成年者喫煙禁止法に違反して いるが、政府も国民も
 知らぬ顔である。
 自販機が喫煙者を増やすために大きな役割を担っており、たばこ会社はそ れに力を
 入れる。その上、政府や自民党は自販機を禁止する法の制定 をしないで、たばこ拡
 販を後押ししている。国民も未成年者の健康よ り、喫煙者の便利を優先して黙認し
 てきた。
 喫煙という不健康な「薬物依存」の人生を送ることは、本人や家族に不幸 で、社会
 としても大きな損失である。日本の将来のために、たばこ自 販機を早急に禁止すべ
 きだ。


    たばこへの無知・無関心はニコチン支配者の策略
  坂田仲市
      週刊金曜日  2002.3.29.(405号) 投書


 本誌399号(2月15日)の投書「無知・無関心が喫煙者天国をつく る」で、喫
 煙対策ができない原因の一つは、たばこ問題に無知・無関 心な人が多いのが原因だ
 と言っているが、全くその通りである。
 たばこ産業は、たばこはおいしい、カッコイイなどと宣伝してニコチン患 者をつく
 り出し、たばこ拡販を図っている。それを確実にするため に、喫煙による健康被
 害、受動喫煙による健康被害やたばこは麻薬で あることなど、たばこに関する悪情
 報をなるべく国民に知られないこ とが特に重要である。
 そのために、麻薬を独占的に製造販売している政府系巨大企業のJT(日 本たばこ
 産業)と政府全体を支配している強大な権力をもつ旧大蔵 省、永久政権の自民党で
 構成される鉄のトライアングルは、たばこに 不利なあらゆることを排除すると共に、
 情報をコントロールしてい る。
 新聞やテレビなどのメディアはダイオキシンや狂牛病(牛海綿状 脳症)では大騒ぎ
 するが、甚大な被害を及ぼしているたばこに関して はだんまりである。
 国民は、たばこを議題・話題にしないことを心得 ていて、タブー視さえしているの
 で、無知・無関心は徹底する。だか ら、禁煙する人は少なく、未成年者の喫煙は増
 加している。
 たばこ問題に関する意見は少ない。喫煙対策の要望も少ない。もちろん、 公共の場
 の管理者も職場の責任者も無知・無関心であるから禁煙は進 まない。喫煙を規制す
 る法律は作られない。大衆を無知・無関心にし ておくことは愚昧(ぐまい)支配の
 基本である。
  無知・無関心は自然にそうなっているのではない。ニコチン支配者の見 えない強
 力な手で操作されているのである。国民はそのことについて も全く気がついていな
 い。


    ”喫煙者生産大国”になった日本
  北川吉男
      中日新聞本社 2002.1.29. 「発言」 賛論異論


 15日付本欄の「禁煙するより『喫煙しない』」の意見に賛成です。たば こは一度
 習慣がつくと、やめようと思ってもやめられません。だから 最初から手を出さない
 のが一番なのです。
 カナダやノルウェー政府などは新たな喫煙者を作らないために自動販売機 の撤去や
 たばこ税の大幅な値上げ、職場やレストランなど公共の場で の禁煙などを法律で実
 施し成功しています。
 それに比べて”ニコチン国家”の日本はどうでしょうか?自販機、広告共 に年々増
 え続け、多くの職場やレストランではいつも煙が充満してい ます。もはや”喫煙者
 生産大国”になっています。
 サッカーのワールドカップ(W杯)や愛知万博などで日本を訪れる外国の 人たち
 は、髪の毛を信号機のような色に染め、地べたに座り込んで携 帯電話をかけながら
 煙をまき散らしている若者を見て「ばかな国だ」 と大笑いすることでしょう。


    禁煙するより『喫煙しない』
  坂田仲市
      中日新聞本社 2002.1.15. 「発言」


 「禁煙するより喫煙しないこと」−。喫煙は健康に甚だしい害を与えます が、喫煙
 と飲酒が重なると、がんなどの危険はさらに大きくなるとい われています。
 たばこから離れた人が忘年会などの酒の席で、油断してたった1本のたば こを吸っ
 たばかりに、また、元のもくあみに戻ってしまったというこ とをよく聞きます。ア
 ルコールで脳が麻痺(まひ)して自制心が弱く なっているので、頭では知っている
 つもりでも、つい、たばこに手が 出てしまい、せっかく禁煙していた努力が水の泡
 となってしまいま す。
 健康な生活をするために、こんな失敗の繰り返しをして苦労するより、最 初から喫
 煙しないことがベストであることは、だれが考えても明らか です。そのためには、
 たばこ自販機をなくすこと、広告を禁止するこ と、そして、たばこ税を高くして未
 成年者の喫煙をなくすことは特に 大切なことだと思います。


    健康面考えて大幅な増税を
  坂田仲市
      朝日新聞名古屋本社 2001.11.29. 「声」


 与党、政府税調が検討しているたばこ税の1本当たり1円から2円の引き 上げは、
 主として税収面から浮上しているようだ。
 たばこ業界への気遣いからか、増税幅は非常に小さい。売上に与える影響 をできる
 だけ抑えたい意向が働いているのだろう。
 たばこは税収ではなく、国民の健康の問題であって、世界保健機関(WH O)は以
 前からたばこの消費を抑制して、健康被害を減らすため増税 するよう各国政府に勧
 告してきた。
 ところが、日本だけはそれを無視して、低価格政策を続けている。このた め、喫煙
 者率はあまり下がらず、肺がんなどの喫煙関連疾患による死 亡者数は増加の一途を
 たどっている。
 増税によって大人のたばこ離れを促すには、値上げを機にたばこをやめる ためのイ
 ンパクトが必要だ。また、未成年者の喫煙を防止するため に、たばこ広告と自販機
 とともに大きな原因になっている価格対策 が、経済力の弱い彼らにとって特に重要
 である。
 このような観点から、国民の健康面を考えれば、もっと大幅な増税が必要 ではない
 か。


    ドルさんらの「がんの原因」について
  坂田仲市
      禁煙ジャーナル  2001.3月号


 イギリス人のドルさんとピートさんが書いた「がんの原因」という優れた 論文があ
 る。その中で、がんの原因についての表がパンフレットや書 籍にしばしば引用され
 ているが、よく調べてみると誤解を与えている 面があると思う。引用されているが
 んの要因の表はつぎのものであ る。
    タバコ   30%     アルコール  3%
    食事    35%     食品添加物  1%
    生殖     7%     職業     4%
    その他の7項目である。
 この論文は1981年に発表されたもので、アメリカ人についてのデータ である。
 従って、それまでの数十年間のアメリカ人の生活習慣の結果 といえる。食事の35
 %は、肉と大腸がん、脂肪と乳がんとの関係に ついて説明されているが、正確な信
 頼できる証拠はまだない、とドル さんらは言っている。
 当時のアメリカ人は、肉や脂肪を大量に摂取しているが、日本人のそれは はるかに
 少ないので、35%という数値は日本人には当てはまらない と思う。さらに食事内
 容が一つにまとめられているが、もしこれらを いろいろの要因に分ければそれぞれ
 の割合は小さい。
 タバコが30%は男女全体のもので男性が43%女性が15%である。女 性の数値
 が小さいのは喫煙の流行が男性に比べて遅かったのでまだが ん発生の時期に到って
 いないからである。がん死亡の割合を非喫煙者 と喫煙者の各々について数値を示せ
 ば理解が容易になるのであるが、 男性全体の43%を喫煙者について算出すれば非
 常に大きな割合にな るであろう。
 がんの原因の割合は全体についてのものであるから喫煙率に大きく左右さ れる。た
 とえば、喫煙率が半分に減ったとすればタバコの30%は小 さくなりその分他の割
 合は大きくなる。しかし、そうだからと言って タバコの害が小さくなったわけでは
 ない。喫煙者にとっては原因の割 合は変わらないはずである。あるいは、肉をあま
 り食べない国でデー タをとれば食事の割合は小さくなり他の項目の割合は相対的に
 大きく なる。だからと言って肉の影響が小さいわけではない。ドルさんらの表はだ
 れにもそのまま当てはまるものではなく、それぞれの生活習慣により 異なっている
 はずである。
 引用では、いずれの場合も表だけが引用されていて正しい理解が得られる 説明がほ
 とんどない。35%の食事が一番数値が大きいことから、食 事に気をつければがん
 の3分の1はなくなると誇大に言ったり、他 方、タバコについて数値が2番目だか
 らといって過小評価したり、全 く触れていない例さえ見られるがこれはドルさんら
 の論文の内容を歪 曲することである。がん予防のパンフレットや書籍の中でがんの
 原因 を説明するのに、ドルさんらの「がん死亡の要因の割合」を使用する時に、 タ
 バコの害を過小評価したり隠ぺいする「タバコ隠し」が随所でみら れることは誠に
 残念である。
 ドルさんらは「がんの原因」の結論として、「がんの原因としてタバコが 唯一信頼
 できる最大の要因である」と言っているのである。


    「喫煙者の権利 抑制して当然」
  北川吉男
      朝日新聞名古屋本社  1997.7.1.  「声」 

 新幹線の喫煙車両をもっと増やしてほしい、との意見がありましたが、私 はこれに
 反論します。
 喫煙席の要望も多いのだから、喫煙車両を増やせということですが、喫煙 者と非喫
 煙者の割合を、新幹線の車両に正確に反映するのは、民主的 なようでいて、実はそ
 うではないのです。喫煙者はたばこを吸うこと も、我慢することもできますが、非
 喫煙者は煙を避けるために息を止 めることはできません。喫煙者は、たばこの有害
 な煙が充満した空気 の所、きれいな所のどちらにもいることができますが、非喫煙
 者は煙 の充満した所は我慢できません。
 中高生の団体が喫煙車両に乗ってい たとの指摘ですが、これはたばこの害にむとん
 ちゃくな学校関係者 が、事前に申し入れるのを怠るなど車両の選択を誤ったのであ
 って、 JRの責任ではないのです。
 有害な煙をまき散らして迷惑をかける人の権利と、それを防ごうとする人 の権利
 を、同じ土俵で論議すること自体、間違っていると思います。 新幹線の喫煙車両は
 2両もあれば十分だと思います。


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