タバコと健康愛知の会
   「タバコと健康を考える愛知の会」の意見




    飲食店等を全店全面禁煙に
  2004.8.14. 太田真也

 現在、禁煙を希求する多くの人々のたゆまざる努力により、公共の場 所や乗り物などにおいては禁煙とされている所が多くなってきており、 非常に喜ばしいことであると日々感じております。また、健康増進法が 制定されたこともあり、飲食店等においても、最近は、禁煙もしくは分 煙とされている所が着実に増えてきており、タバコを吸わない非喫煙者 に対する配慮がなされるようになってきたことは一応評価できると思わ れます。
 しかしながら、全体的にみると、飲食店等においては、禁煙・分煙対 策が不十分な所が多く存在しています。それほど広くない店内の各テー ブルに灰皿が置かれており、タバコの煙に対して無関心な飲食店等もめ ずらしくないといった状況です。そこで、受動喫煙を防止して、タバコ を吸わない非喫煙者の健康を守るための次のステップとして、タバコを 吸わない非喫煙者が快適な環境で食事をすることができるようにするた めに、飲食店等を全店全面禁煙に、少なくとも完全分煙にすることを要 求したいと考えます。
 このように飲食店等を全店全面禁煙にすることを特に強く要求するの は、食事の際にタバコの煙によって脅かされることによる非喫煙者の苦 痛・不利益・健康に対する危険性は非常に大きいのに対して、全店全面 禁煙を実施することによる飲食店等の不利益は少なく、実現が容易であ ると考えられるからである。
 すなわち、タバコを吸わない非喫煙者にとって、飲食店等での食事中 に、すぐ近くでタバコのにおいがすることは、非常に著しい苦痛であり、 激しく嫌悪感を抱かせるものであり、はなはだ迷惑なものであります。 それは、非喫煙者にとって、あたかも肥溜めや生ゴミの側で、ゴキブリ や野ネズミとともに食事をすることを強いられるのと同じほど、不快感 が大きいものであります。
 また、食事中にタバコの煙を吸い込むことのみならず、料理にタバコ の煙がかかることにより、非喫煙者には、通常の場合以上に、受動喫煙 の危険性が高まり、健康を害される虞が大きくなることから、飲食店等 を全店全面禁煙にすることは、非喫煙者の受動喫煙を防止する上で非常 に重要であると考えられます。
 他方、飲食店等を全店全面禁煙にするために飲食店等が行うべきこと は、灰皿を撤去することのみであり(この点、完全分煙にする場合には、 店内の改装が必要となり、飲食店等の負担が大きくなる)、容易に実現 することが可能なものであります。そして、飲食店等を全店全面禁煙に するということは、すべての飲食店等が全面禁煙となるのであるので、 全面禁煙にしたことによる顧客の減少といった不利益が生じることも回 避することができます(実際には、飲食店等を全面禁煙にしたとしても 顧客の減少といった不利益が生じるとは限らず、むしろ顧客が増加した という例も見られる)。
 また、喫煙者も、食べている時にはタバコを吸うことはできないので あるから、食事中にタバコを吹かす必要は全くないのであり(食事中以 外でもタバコを吸う必要性などはないが)、食事の前や後に吸いたいの であれば、店に入る前や出た後に吸えばいいことであり、いかにニコチ ンに汚染され、タバコ産業の狗となり、脳細胞が死滅して、正常な判断 能力が減退している喫煙者であっても、食事がくるまでの10分や20 分程度の時間ぐらい吸わずに我慢すべきであると思われます。
 従って、一刻も早く、飲食店等を全店全面禁煙にすることが必要であ ると考えられるので、飲食店等を全店全面禁煙にすることを要求すると ともに、その実現に向けて、日々様々な取り組みをしていきたいと考え ています。



    国民をないがしろJTの広告
  2002.6.10. 坂田仲市

 2002.5.12.の朝日新聞に「表示超すニコチン・タールの実 測値 たばこ7銘柄発表 厚労省」という記事で、日本たばこ産業(J T)の人気たばこ7銘柄の表示値と実際の吸い方に近い測定値の厚労省 データを朝日新聞社が厚労省から入手して公開記事とした。

 この件については、2002.3.9.の朝日新聞の記事で「米国流 基準で測定すると 「軽い」たばこタールは表示の7倍 厚労省分析  銘柄は非公開」として掲載された。その中で、厚労省は「販売に影響を 与えるおそれがある」として銘柄を明らかにしなかった。
 渡辺文学・たばこ問題情報センター代表は次のようなコメントをして いる。
 喫煙のリスクをきちんと伝えるのが厚労省の仕事。税金で 調べておいて、たばこの売上を心配して公表しないとは言語同断だ。

 5月12日の報道に対して、日本たばこ産業は、すばやく5月14日 に、朝日新聞に意見広告を出した。それは、次のものである。

              愛煙家の皆様へ
      平素より当社製品をご愛顧いただき、厚く御礼申し上げま す。
      先般、一部マスコミにおきまして、たばこ煙中に含まれる
      ニコチン・タール量に関する報道がございました。
      記事を読まれた皆様の中には、当社がたばこに表示してい る
      ニコチン・タールの「表示値」に問題があるのではないか と
      感じられた方もおられるのではないかと思います。
          当社製品のニコチン・タール値は、たばこ
          事業法令により定められ、かつ世界で標準
          的に使用されている方法で測定し、表示し
          ております。
      当社はこれからもお客様の信頼第一に、法令等に基づく表 示を
      行ってまいりますので、愛煙家の皆様には安心して当社製 品を
      ご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
      平成14年5月14日
             日本たばこ産業株式会社

 というものである。
 一部マスコミというのは、勿論、朝日新聞のことであって、あてつけも 感じられる。

 この日本たばこ産業の広告の中には、いくつかの、明らかなことと同時 に、問題もある。
 まず、第1は、現在の測定法は実際の喫煙とは全く違った方法で、測定 値は信用できないということである。世界保健機関(WHO)も、この測 定方法は適当でないから、使用しないように言っているのである。
 第2は、その測定方法を悪用して、タバコの巻紙に多数の微細な穴をあ けて、測定する時に、この穴から空気を吸い込み煙が希釈されて測定値が 小さく出るタバコを考え出し、製造していることである。これは、明らか に、意図的に使用者を騙すものである。
 第3は、そのタバコをニコチンとタールの測定値が小さいことを以って、 軽いと称して、あたかも害が少ないかの印象を与え、販売していることで ある。その結果は、喫煙者と喫煙数を増加させて、死亡、疾病を大量に作 り出しているのである。
 さらに、決定的に騙しと犯罪に当たるのが、「愛煙家の皆様には安心し て当社製品をご愛顧たまわりますよう、」というものである。
 タバコという商品は、軽いタバコも軽くないタバコも喫煙者の半数以上 が喫煙関連疾患によって早死にすることが世界的にはっきりしている極め て有害な商品である。
 それにもかかわらず、「安心して当社のタバコを吸え」とは、とても正 常な人間の言う言葉ではない。死の商人といわれる人々でさえ、罪の意識 にさいなまれて、隠れて言動するのではないだろうか。それを、全国民に 向かって死ぬことが分かっているものを、安心して吸えというのだ。これ は、騙し、殺人の中でも最も悪質なものではないか。

 さらに、このような悪質な行為が、社会から何の反応もなく、また、当 然抵触する法律もあるのではと思うが、今のところ、何のとがめもなく、 まかり通っていることも、日本という国は正義も良識も乏しい情けない国 であることが残念である。



   喫煙は百害あって一利なし
  2002.1.30. 前田良三

 タバコを吸う事の人体への害は、世界中で広く認められた事実です。 残念な事に我国では若い男女の喫煙者が増えています。彼等彼女等は、 喫煙の有害性を十分理解する以前に既にニコチンの中毒になってしまっ たか、又は中毒になる途中だと思います。元来喫煙の害を知ってから禁 煙の努力をするのは、効率の悪い話です。最初から吸わぬ事が重要です。 この啓蒙運動や教育が学校、行政機関、教育委員会等で、十分に為され て居らぬ為かとも考えられます。
 最近、喜ばしいニュースとしては、愛知県内の全薬局が県薬剤師会の もっともな判断により禁煙となりました。青少年を囲む環境をこのよう に一歩一歩手近かな処から改善の努力を積み重ねて行く事が重要です。 先ず成人が範を示しタバコを吸わず、吸う人にも根気強く、具体的に有 害のデータを示し説服する事も場合に応じては必要かと存じます。私の オーストラリア人の友、ジャクソン氏、世界を自転車で走破して来てい る現在88歳が、彼の手記で、健康を守る為悪い習慣をやめよ、と述べ、 その第一番に喫煙を挙げています。
 松崎医師が望月友美子さんからの資料を基に「受動喫煙は環境基準の 5000倍の致死リスクを持つ]、即ち、受動喫煙にさらされる人の2 0人に1人は受動喫煙によって死ぬ」、と述べられています。タバコを 吸わぬ人にもこのように害を与えている事を喫煙者は自覚すべきです。 関連のデータを具体的に示します。
           記
       10万人当たりの生涯リスク(人)
  喫煙で早死                   50000人
  喫煙による肺ガン死              20000人
  周りの非喫煙者が受動喫煙が原因で早死  5000人
  受動喫煙関連の3疾患で早死         3800人
    内約  心筋梗塞               3000人
        肺ガン                  700人
        乳幼児突然死症候群         100人
  ディーゼル排ガスでの肺ガン           300人
  立入禁止アスベスト住宅に住み、
          これが原因での肺ガン       230人
  胸部X線撮影1回で肺ガンになる         0.3人
     〃     白血病になる          0.03人
 タバコは、喫煙者本人にとっては緩慢なる自殺行為、受動喫煙者(周 りの罪のない人)にとっては緩慢なる他殺行為をされている事になって います。
 斯かる事態を現状のまま放置しているのは文明国ではなく、明らかに 当局の意識的怠慢か誠に世界の先進国に対し恥ずかしい限りです。だま っていても事態は良くなりません。心ある人は改善の為の行動の輪を拡 げましょう。
 経済的(個人及び社会)にも物理化学的(健康、山火事等)何れにも 負の喫煙は一刻も早く無くて当り前の世の中にしましょう。殊に、青少 年をニコチン中毒予備軍にするのを防ぎ、守ってやりましょう。


   弱煙者よ武装せよ
   2002.4.13.  八重田和久

 ある日、古書店を覗いていたら、小説家・筒井康隆氏の『断筆宣言へ の軌跡』という本があった。筒井氏が断筆宣言したという話は聞いてい たので、その本によって真相が分かると思って買ってみた。
 ところで目次を見たら「おれが禁煙したら人を殺しかねない」という 一文があった。それで尚更興味が湧いたのだが、筒井氏には人が嫌煙す るに至った道筋について、何も分かっちゃいないと言うより、分かろう という姿勢がない。
 僕は思う。
 現在の筒井氏と非喫煙者が、一見対立しているように見えるのは、筒 井氏のような無理解な喫煙者が多いからだ。と、
 筒井氏は先ず、現在の喫煙者への警鐘、嫌煙の動向について「喫煙者 差別」というふうに考えていると言うことだ。
 そこに氏の認識不足があるのだ。
 これはタバコには、むしろ攻撃性が潜んでいると言う面があることだ。 従って、そのタバコに火を点けると、生物に害を与える物質が排出する ということだ。
 害だからといって即座に死ぬとか、重病にかかるということではない。 だからこそむしろ問題だとも言える。
 それは置くとして、筒井氏はいざ知らず、大抵の人は最初にタバコを 吸った時は、くらくらっとしたと思う。それでも吸い続けると、そのく らくらがしなくなり、いつの間に吸わずに居れなくなる。つまり、依存 状態が起こる。
 これはあえて医学の手を借りなくても、一般の凡人にも了解できるこ とだ。
 では、最初にくらくらっとしたのは何故なのだろう。例えば普通の焚 き火の煙を吸い込んだ時はどうか、今では普通の焚き火でさえもオキシ ダントを発すると言っているが、その煙以上に不思議な刺激を与えるの は何故なのだろう。しかもすぐに馴れて免疫状態になるのは何故なのだ ろう。
 ところで免疫にもならずに、常にそのくらくらに悩まされるとしたら、 どうだろう。
 筒井氏の考えでは、その慣れっこにならない者を、逆に異常者と見て いるのではないだろうか?。
 筒井氏は言っている。
 「最近の喫煙者に対する非人間的扱いはひどいものがあり、なるほど 過激な人間に非喫煙者の単純さがくわわればいかにもやりそうなことで ある。勿論小生、非喫煙者のすべてにこんなことを言うのではない。小 生の見知っている非喫煙者はすべてすばらしい人物ばかりであり、他人 の喫煙にけちをつけたりはしない」
 氏の言わんとしているのは、喫煙行動を非難する非喫煙者は非道だと いうのである。
 ところでその前にことわって置かねばならないのは、この本が今から 10年前に出されたことであるから、現在の筒井氏は考えを変えたかも 知れない。念の為に。
 そこに筒井氏の認識不足があるのだ。
 何故なら現在の喫煙とは、先に言ったように、生物に害を与える物質 を含んだ煙を発することだ。
 けれど、それも嗜好品だから個人の好みであるから、他からとやかく 言われる筋合いのものではないと言われるかも知れない。ところがそこ に、喫煙者が考え違いをする大きな欠陥がある。現在は無論喫煙は公認 である。公認ではあるが、義務ではない。要するに喫煙するのは個人の 勝手だというのである。だが、個人の自由であれば、そこにマナーとい うものが必要になることは、社会生活上当然なことである。それは幾ら 認識力の劣った筒井氏だって了解できるだろう。
 喫煙が個人の自由だと言うことは、逆に吸いたくないという自由もあ るし、なければならない。
 喫煙者が、喫煙する自由を保障されているということは、だから別な 考えからすれば、「吸いたくない」自由をも保障する義務があるという ことではなかろうか、筒井氏よ。
 ところで筒井氏は、俺の知っている非喫煙者は全て素晴らしい人ばか りで他人の喫煙にけちをつけないと、脂下がって(やにさがって)いる が、脂下がれる者はいいが、では脂下がれない者はどうしたらいいのか、 つまり身体的な苦痛の問題だ。
 これは近年の花粉症でも明らかになったのであるが、以前は花粉症な ど殆どなかった。僕も防風樹としての杉の大木に守られた家で育ったが、 一度も杉花粉に苦しんだことはないし、村にも一人もいなかった。とこ ろが近年、杉花粉に悩まされる人が多いと聞く。それを即座に異常者と 言っていいのか僕は迷うのであるが、それで花粉症を発しない杉を開発 するとか言う。それは相手が杉だったから、杉の生態を変えられること が容易かも知れない。
 するとタバコでも幾ら吸っても害を及ぼさなくすればいいし、若し筒 井氏が本当に喫煙者差別だと言うなら、害のないタバコを開発させるこ とが先決であろう。筒井氏はそんなに喫煙にこだわるのであるならば、 何故吸いたくない者の反発を受けないタバコを開発せよと言わないのか。 そのくせ「おれが禁煙したら人を殺しかねない」なんて愚かな甘え言を ほざいている。まさにバブル人間である。
 非喫煙者が喫煙に反発するのは、タバコの煙に攻撃性があるからで、 それは攻撃に対する反撃、若しくは抵抗なのだ。
 筒井氏は小説家としては優れているそうだ。確かに頭が良くて、お利 口さんなのであろう。
 だが、自分が吸ったタバコの煙を、筒井氏は自分の手できちんと管理 できるか、垂れっぱなしではないのか?。
 まさにそうなのだ。その垂れっぱなしの煙に不快感から身体的被害を 被っている者が居るということが、喫煙者に理解できないところに、嫌 煙権運動の意味があるのだ。
 すると、喫煙は国家が保障したことで、それで出る煙のことまで俺は 知っちゃいねえと居直るかも知れない。馬鹿あ言っちゃいけない。自分 の吐いた煙の始末まで出来ないくせに平気で煙を吐き出す喫煙者が多過 ぎるところに、苦しむ人がでるのだ。僕もその一人なのだが、マナー無 視の喫煙者がいかに多いかということだ。要するに、君ら喫煙者は愛煙 家だとかなんとか言って自慢しているが、身も心もタバコに依存してい る甘えん坊に過ぎないのだ。煙害を及ぼさないタバコ窟一つ作れないで さ。只のニコチン中毒患者ということだ。そんなことは嫌煙運動が起こ るずっと前から、喫煙者の間でも言っていたことじゃないか。喫煙の最 初に経験した、あのくらくらがなくなったということは、うまく体に溶 け込んだと思っているだろうが、それだけ自然であるべき生体が、不自 然な状態になったということだ。
 筒井氏は田中光二というSF作家のことも言っているが、田中氏は禁 煙することによって、自分の生体がタバコによっていかに自然性を阻害 されていたかということに気付いたのであろう。それは僕だって同じで ある。
 ところで学者と言われる者の中に、喫煙者が非喫煙者に転向すると、 かえって反喫煙の姿勢が高まると言う者がいる。だが、喫煙者が禁煙す ることによって、自然破壊の現状を知ったということは喜ばしいことで はないか。僕はタバコの害から逃れようとして禁煙したのではないが、 禁煙するやそれまで何遍も繰り返していた疾病が、けろっと止んだとい うことから、タバコの害を確実に知った。
 筒井氏は、デモに行って機動隊に半殺しの目にあうような愚かなこと に染まらなく、書斎で売れる小説を書いているような、中庸な者には幾 らタバコに狂っても、タバコの害は受けないと自負しているから、非喫 煙者が喫煙者を差別すると短絡して考えるのである。だが、喫煙しなく てもタバコの害を受けて苦しむ者だっているということだ。ましてや喫 煙者なら尚更だ。それで反タバコ行動に出て何故悪いというのか。要す るに喫煙者が喫煙の自由だけを強調して、吐き出す煙の管理が出来ない ところに問題がある。喫煙者差別だというなら、先ず自分が発したタバ コの煙をきちんと始末してから言え。つまり喫煙には、それだけで攻撃 する要素を含んでいるのだ。繰り返して言うが、嫌煙とはその攻撃に対 する防衛であり、反撃なのだ。狂煙者はそこをシッカリ認識しなければ ならない。だからマナーの悪い喫煙行動に対しては、灰皿を引っくり返 すのは当然であり、喫煙によって吐き散らす煙の攻撃に、非喫煙者は反 撃せよと訴えるものである。


     
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