O.R.E−Mission『SIORI』−


 

北川と男の浪漫について話をしていた相沢祐一。

その話の最中、北川は体から男の浪漫エネルギー、

略してO・R・Eを放出した!!

そして、浪漫トークが最高潮に達したその時、

背後に迫る影・・・香里。

彼女によって「例の」ジャムを口に押し込まれた二人。

北川が倒れた。

そして、祐一も・・・

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

俺は跳ね起きた。最悪の気分だ。いつ寝たのかさえ覚えていない。

「って言うか、いつ戻ってきたんだ・・・?」

たしか、俺は学校で北川と漢の浪漫についてトークをしていて、

その後香里にジャムを・・・

「夢だったのか?」

そうだ。夢だったんだ。

そう思えば気分は楽だ。さっさと起きて着替え・・・

「何だ、コレ?」

足下に大きな袋がある。サンタが担いでるようなヤツだ。

メモみたいな物が添えてある。

「なになに・・・」そこにはこう書かれていた。

「浪漫セット」

「・・・・・」

とりあえず開けるか。

ガサガサガサ・・・・・・

「こ、こ、これわああああああっっっっっ!!」

その中から出てきたのは、

「エプロン」

「猫耳及び尻尾」

「メイド服」

「・・・・・・・・・・」

凄い。確かに凄い。

だが、何でこんな物が・・・・

その時、俺はもう一枚紙を見つけた。

「頑張れ  by北川」

なるほど。ヤツなりのエールって事か。

ありがたく使わせてもらうぜ、北川。

お、まだ何か書いてある。

「ピンチの時はコレを投げろ」

それと一緒にあった物は・・・

「カチューシャ!?」

そう、メイドがつけているアレだ。

「コレを投げろと?」

まあ、何かあるのだろう。

とりあえず着替えると、朝食を食べるため下に降りた。

 

 

 

今は春休みだ。学校がないのでゆっくりしていられる。

「祐一さん」秋子さんの声。

「はい?」

「家庭教師の仕事、来ましたよ」

そう、俺は家庭教師のバイトを始めることにしたんだ。

俺の成績は、英数理はかなり悪い。

だが、国社は学年でもトップクラスだ。

秋子さんがそれを知って、二科目のみ、という条件で家庭教師の派遣会社に

申し込んでくれたのだ。万年金欠の俺にはありがたい事だった。

俺は依頼のファックスを受け取る。

「コレで全部ですか?」

「はい」

そこに書かれていたのは地図と家庭教師の証明書みたいな物だけだった。

「相手のプロフィールとかは?」

「無いみたいですね」マジか・・・

まあ、何とかなるだろ。

俺はそう思いつつ、地図の通り行くことにした。

 

 

 

 

「ここか・・・」

俺は指定された家の前に来ていた。

結構大きい家だ。

とりあえずインターホンを押す。

待っている間に表札を見る。

美坂か・・・美坂!?

ガチャ。

「はい・・・あっ、祐一さん!」

 

 

 出てきたのは栞だった。

依頼者は栞らしい。

「でも家庭教師なんか頼むより香里に教わった方がいいんじゃないか?」

香里は学年トップクラスだ。何で家庭教師を呼ぶ必要があるんだ?

「英数理は教えてくれるんですけど、国語は教えるのは苦手だっていってました。

地歴は私は世界史だけどお姉ちゃんは日本史なので」

「なるほど」

「だから、よろしくお願いします、先生」

「ぐはっ」

「???どうしたんですか?」

「い、いや、なんでもない」

先生か・・・いい響きだ・・・。

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「せ、先生、恥ずかしいです」

「恥ずかしがることはないさ。体の力を抜いてごらん・・・」

「あっ、せんせえ・・・」

俺は栞を優しく抱きしめた後、彼女の中へと・・・

 

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「はっ!?」

危ねえ、妄想の世界にはまってた。

「先生」って響きはかなり危ないな。

そんなことを考えつつ俺は授業を始めた。

 

 

 

「・・・というわけで、アメリカとフランスが・・・」

「うーーー」

「そろそろ休憩にするか?」

「はい・・・」

教え始めて二時間、俺達は休憩をとることにした。

一応栞としゃべっていたが、俺はあることを考えていた。

依然断られた願い・・・。

「なあ、栞」

「はい」

「この間はいきなりあんな事言って悪かったな」

「え?」栞は覚えていないようだ。

「その・・・『お兄ちゃん』って呼んでほしいって言ったこと」

「別にいいですよ」

あまり気にしてないようだ。だが、俺はまだあきらめていない。

失敗を元に作成した「プランA」を実行した。

「俺・・・一人っ子なんだ」

「・・・」

「今までそう呼ばれたことがなかったから・・・」

「だから、一度でいいからそう呼んでもらいたかったんだ」

「そうだったんですか・・・」

ちなみに、本当の話だから嘘は全くない。

「いや、いきなり言い出した俺が悪かったんだな」

ちょっと芝居がかった感じで俺が言うと、

「いいですよ」

「え?」

「呼んでほしいならそう呼びます」

「本当か?」

「はい」

よっしゃあああああああああああ!!

俺は心の中で叫んだ。

「じ、じゃあ、頼む」

「はい」栞は軽く深呼吸して、

「お兄ちゃん」

「ぐはあっ」

今、宇宙が見えた。

俺は思わず栞を抱きしめた。

「ゆ、祐一さん!?」

「少しだけでいい、このままで・・・」

「・・・はい」

無言。

心地いい無言だ。

栞を見ると、目が潤んでいる。

堕ちた。そう確信した俺は栞の服を・・・

「あっ・・・」

 

バァン!ドアが開けられる。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「な!?」

そこにいたのは香里だった。

「どうやらあなたを消す必要があるみたいね」

香里がそう言うと、周りの景色が変わっていた・・・。

 

 

「ここ、何処だ!?」

俺と香里は広野に立っていた。

「栞には見られるわけにはいかないから」

そう言って香里が近づいてくる。

くっ、やばいぞ・・・。

「そういえば・・・」

ポケットからメイドのカチューシャを出す。

俺は北川の言葉を思い出した。

「ピンチの時はコレを投げろ」

頼むぞ・・・

俺はそれを空中に投げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「待たせたな、相沢!!」

「なっ!?」俺の後ろに北川がいた。

「俺に任せとけ」

「よくわからんが、頼んだぞ!」

「美坂、ジャムの借りは返すぞ!!」

そう言うと北川はO・R・Eを発動させた。

「おおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっ!!!」

北川が赤く染まる。

「相沢、以前O・R・Eに意味はないと言ったが、あれは嘘だ」

「何?」

「今その力を見せてやる」

そう言うと、北川は再び力を込めた。

「あああああああああああああああああっっっっ!!!!」

「俺の浪漫が真っ赤に萌える!!漢を語れと轟き叫ぶ!!」

・・・G〇ンダムのパクリだ・・・

「くらえ!!ひぃぃぃっっっさつ!!O・R・Eフィンガアアアアアア!!」

北川の必殺技が炸裂しようとしたとき、

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!!」

香里・・・いつの間に〇ョジョのス〇ンドを・・・

「ぐあああああああっっっ!!」

北川は香里のス〇ンドを受けて倒れた。

「北川・・・お前の死は無駄にしない」

「まだ死んでない」

そうか。

そして、香里は俺ににじり寄ってきた。

「あなたも同じよ」

くっ・・・

「時は止まる・・・『世界』!!」


その瞬間、全てが凍りつく。

・・・香里を除いて。

最後に香里の声が聞こえる。

「・・・あなたが悪いのよ」









「そして・・・時は動き出す」

再び香里の声を聞いた時、俺は全身を砕くような痛みに襲われた。

「ぐあああああああああああっっっっ!!」

俺はスタ〇ドにやられながら誓った。

「俺は・・・浪漫に生きるっっっ!!」