O.R.E.番外編〜音声談義〜
「なあ、あゆ・・・」 「え?何、祐一君」 俺達は商店街を歩いていた。 歩きながら、あることを考えていた。 ずっと疑問に思っていた事。 それを切り出してみる。 「どうして、このゲームには音声が入っていないんだ」 「え?」 「今は音声入りのも多いだろ」 「うぐぅ、そんなコト言われても・・・」 まあ、当然の反応だ。 「そうだよな、お前じゃ分かんないよな・・・」 「うぐぅ」 「うぐぅ」 「うぐぅ、ボクのまねしないでよー」 「気にするな」 「うぐぅ・・・」 まったく、やたらと「うぐぅ」の多いヤツだな・・・ ん?「うぐぅ」?もしかして・・・ 「あゆ」 「なに?」 「ちょっと音声ありでコレ読んで見ろ」 「あ、うん」 俺はメモを渡す。 (音声あり)「うぐぅ」 「ぐはっ」 (音声あり)「え?ボク何かした?」 「ぐはあっっ」 「祐一くん?」 「こ、これは・・・」 効く。かなり。いやマジで。 「なるほど・・・そういう事だったのか・・・」 あゆの頭に?マークがついているが気にしない。 「お」あそこを歩いているのは・・・ 「おーいっ、名雪、栞ッ」 「あ、祐一」 「こんにちは、祐一さん」 「いいところに来た。二人ともコレを読んでくれ」 「うん、いいけど・・・」 (音声あり)「ふぁいとっ、だよ」 「うをっ」 (音声あり)「そんなこと言う人、嫌いです」 「ぬをををををっっっ!!」 あっ、川の向こうにお花畑が・・・ 「うわあああああああああっ!!」 「ど、どうしたの、祐一」 「祐一君、絶叫してたよ」 名雪とあゆが聞いてきた。 「祐一さん、大丈夫ですか?」 栞が心配そうに聞いてくる。 「間違いない、やはりそういう事だったのか!!」 今度は三人の頭に?マークがついている。 「どういうこと?」名雪が不思議そうにしている。 「このゲームに音声がない訳が分かったんだ!」 俺は話を続ける。 「今までゲームの雰囲気を保つためだと思ってきたが、そうじゃなかったんだ。 本当の理由は・・・ 音声があるとアッチの世界に逝ってしまうからだああああっっっっ!!」 「え?」 「『うぐぅ』『ボク』『ふぁいとっ、だよ』『そんなこと言う人、嫌いです』 これらの言葉を音声をつけたら、ユーザーの八割七分四厘は昇天する」 「何処から出てきたの、そんな数字・・・」 「気にするな」 ちくしょう、朝日が眩しいぜ。 Kanonユーザーの皆へ 熱き魂を持つ漢達へ そして 香里と戦って散っていった北川へ 「まだ死んでない」 光、あれ 「だから、死んでないって言ってんだろうがっっっ!!」