O.R.E〜Mission『NAYUKI』



ーあらすじー

栞に「お兄ちゃん」と呼ばせることに成功した祐一。

だが、またも香里が現れる。

絶体絶命の危機に、再び助けに来た北川。

だが、北川の必殺技も香里のス〇ンドの前に敗れ去った。

そして、祐一も香里の餌食に・・・

 

 

 

 

「・・・・・・」

寝覚めは最悪だ。

「またか・・・」

以前、香里に「あの」ジャムを食わされて倒れたときも同じだった。

いったい誰が助けてくれたのか・・・?

考えられる選択肢は一つしかない。

「・・・北川?」

それしかないだろう。

あいつには頼りになりっぱなしだな・・・。

後で礼を言わないとな。

そう考えながら下へ降りていった。

 

 

 

 

「あ、祐一、起きたんだ」

下には名雪がいた。

「ああ、名雪・・・おはよう」とりあえず挨拶をする。

「おはようじゃないよ、もう夕方だよ」

「なにいっ!」慌てて外を見る。真っ暗だった。

「マジか・・・」

「マジだよ」なんてこった。

「しかも今日追試だったでしょ」

「ぐはっ」

そう、俺は前回の定期テストで赤点を取ってしまった。

「明日祐一の分やるって」とどめ。

「頼む・・・勉強教えてくれ」俺一人じゃ絶対いい点は取れない。

「イチゴサンデー」やっぱりそうくるか・・・。

「わかった」

「交渉成立だね」そう言って名雪は二階へ上がっていく。

とりあえず何とかなるか・・・

 

 

 

 

「・・・もうこの位やれば大丈夫だよ」

「疲れた・・・」

勉強開始から二時間。出題範囲は一通り教わった。

「後は祐一次第だよ」

「何とかなるのか・・・?」

「ふぁいとっ、だよ」

答えになってない。まあ、何とかなるだろう。

「そうだ、名雪、お前にコレを・・・」

俺はそう言って紙袋を渡す。

中身は・・・北川に以前もらった物だ。

「・・・貰っていいの?」

「今日の礼だ」

半分嘘だった。いや、八割嘘。

確かに礼もあるが、ずっとコレを渡す機会を窺っていたのだ。

ガサガサ・・・

「こ、これ・・・」

名雪が驚きの声を上げる。

「・・・猫耳と尻尾・・・」

「お前、猫アレルギーだろ?猫が触れないなら、いっそ自分がなったら・・・

って思ってな」  

「祐一・・・」名雪が感極まったと言う感じでこっちを見る。

・・・罪悪感が・・・ま、いいか。

「じゃあ、早速つけてみてくれ」

「うん」

 

 

・・・一分後。

「祐一・・・もういいよ」

「ああ」俺はドアを開ける。

その先に広がっていた光景は・・・

 

 

猫耳と尻尾を付けた名雪。

「ぐはっ」

こう・・・なんというか・・・ツボを刺激する。

「・・・似合うかな?」

上目遣いでそう聞いてくる。

そんな目で見られたら・・・襲いそうになるではないか。

「ああ、無茶苦茶似合ってるぞ」

俺は名雪の頭を撫でてみる。

「あっ・・・」

名雪は目を細めて気持ちよさそうな声を上げる。

同時に猫耳がぴょこっと動く。

「な・・・」

さすが北川、芸が細かいぜ。

喉を撫でてみる。

「はあっ・・・」

恍惚の表情を浮かべる名雪。

「祐一、気持ちいいよ・・・」

「名雪・・・」

俺は名雪を強く抱きしめた。

そうせずにはいられなかった。

「あ・・・」

名雪は抵抗しない。

「ゆういちぃ・・・」

後ろで尻尾が揺れている。

思わずその尻尾を触ってみる。

「ひゃうっ!?」

名雪は体を震わせた。

「祐一・・・わたし、変な気持ちだよぉ・・・」

ぷちっ。理性が音を立てて吹っ飛んだ。

「名雪ッ!!」

名雪を押し倒そうとしたその時だった。

「そこまでだっ!!」

な・・・に・・・!?

香里が来るわけが・・・

今日の昼、栞に北川から貰った夜のお供、「特製う〇ぎパイ」を混ぜたから、

今頃家で・・・

 

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夜。私と栞は夕食を食べた後、

「お姉ちゃん・・・」

「ど、どうしたの栞!?顔が真っ赤じゃない!?まさか・・・」

「体が火照ってるの・・・」

「・・・へ?」

「頭の奥がジンジンして・・・」

「し、栞・・・」

「お姉ちゃんッ!!」

「きゃああああああ!!」

 

 

            (自主規制)

 

 

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・・・と言うことになっているはず・・・

俺はおそるおそる後ろを振り向く・・・

「い、石橋ッ!?」

そこには、我らが担任、石橋がいた。

 

 

「相沢ー、どうやら今すぐ追試を受けたいみたいだな・・・」

なんてこった。まさか石橋が来るとは・・・

「って、何で石橋がここにいるんだ!!」

「そんなことは気にするな」

気にする。

あ、そういえば・・・

「名雪・・・」固まっている。

「ああ、水瀬には少し眠ってて貰うか」

そう言うと石橋は紐のついた五円玉を取り出した。

「ほーら、あなたはだんだん眠くなる・・・」

「馬鹿か、そんなモノで寝るはずが・・・」

「くー」

「・・・マジか?」

マジらしい。

「くっ・・・」やばい。このままじゃあ・・・。

こうなったら、いちかばちかだ。

「はあああああああああああああっっっっっっ!!」

俺は北川と同じように構え、O.R.Eを発動させようとした。

「かああああああああああああああああっっっっっっっ!!」

体中に力が湧くような感じがする。

いける。

「猫耳(&尻尾)最高ォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!」

ドシュウウウウウウウウウッッッッ!!

俺の体がO.R.Eに包まれる。

よし、これなら・・・

「甘いぞ、相沢!!」

・・・へ?

「アンチO.R.Eィィィィィッッッッッ!!」

石橋の手から青い光が放たれ、俺の体を包み込んだと思うと・・・

「なッ!?」

俺のO.R.Eは消滅していた。

「何故だ・・・」俺は膝をつく。

「それは・・・俺も漢だからだ」

「そうだったのか・・・」

「さあ、学校へ行くぞ」

「ああ・・・」もう逆らう気力もない。俺は石橋に従った。

 

 

玄関を出たとき、俺は奇妙な物体を発見した。

「・・・北川!?」

それはスマキにされた北川だった。

「深夜徘徊は校則違反だからな」

石橋、恐るべし。

「相沢・・・無事でな」

「お前もな」俺達は目で語り合った。

そして、俺と石橋はその場を立ち去った・・・。

 

 

 

「石橋」

「なんだ?」

「あんたも漢なら、どうして俺達の敵に・・・!?」

石橋は少し悲しそうな顔をした。

「それは・・・俺が生活指導だからだ・・・」

そう言った石橋の目には、涙が溢れていた・・・

 

 

 

「そう言えば、あんたは何に漢の浪漫を・・・?」

「ブルマ」

「ぐは・・・」

聞くんじゃなかった・・・

後悔にとらわれながら、俺達は学校までの道を歩いていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、スマキにされた北川は・・・

そのままだった。

「誰か助けてくれ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

to be continued...