祐一、栞にマッサージする。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっふっふ・・・

 

 

 

 

 

 

「俺のこの手が光って唸る!

 お前を揉めと轟き叫ぶ!

 爆熱!マッサージ・フィンガァァァァァ!!!」

 

 

 

・・・なんつってな。

しょうもないな。

 

 

 

「はあ・・・」

 

暇だ。

もうほとんどの奴にマッサージしたな。

何もしないと腕も鈍るだろうしな・・・

どうするかな・・・

後残ってるのは・・・

 

斎藤・・・なんでマッサージしなきゃならないんだ。

 

石橋・・・馬鹿か、俺。

 

久瀬・・・論外。

 

 

 

「はあ・・・」

外の空気でも吸ってくるか。

 

 

 

 

 

 

 

何も考えずに歩いていたら、商店街についた。

CDでも見るか・・・」

そう思って歩き出した。

 

 

 

二分後。

「お、あったあった」

目的の店を見つけた俺は、店内に入ろうとした。

 

その時。

 

 

 

ぼすっ。

 

 

 

「きゃ・・・」

後ろからの衝撃と、女の子の声。

 

 

 

俺にぶつかるような奴と言えば一人しかいない。

 

「あゆ、お前は・・・」

「え?」

「・・・あれ?」

 

それはあゆではなかった。

 

「栞・・・」

「あ、祐一さん・・・」

栞は大きな袋を二つ抱えていた。

おそらく袋が邪魔で前が見えなかったのだろう。

 

「買出しか?」

「あ、はい。

 でも、ちょっと買いすぎちゃいました」

そう言ってぺろっと舌を出す。

 

「そんなに持ったら前が見えないだろ?」

現に俺とぶつかったしな。

「ちょっと厳しいです・・・」

「しょうがないな・・・」

重そうな方を栞の手から奪う。

 

「あっ・・・」

栞は呆気にとられたような表情をする。

「家までそんなに遠くないだろ?」

「え、あ、はい」

「だったら、早く行こう。な?」

「あ・・・」

 

しばらく頭に『?』マークを浮かべていたが、

状況を理解した栞は満面の笑みを浮かべた。

 

「はいっ」

 

 

 

 

 

 

「祐一さん、着きましたから、もういいですよ」

「そうか?」

表札を見ると「美坂」と書いてあった。

「どうせだから、栞の部屋まで運ぶよ」

「え?」

「駄目か?」

「・・・駄目じゃないです。

それじゃあ、入ってください」

俺は美坂家にお邪魔することになった。

 

 

 

「ちょっと待っててください」

そう言って栞は部屋に入る。

ガチャッ。

ドアが開く。

「祐一さん、いいですよ」

栞の部屋に入ると、そこはよく整頓されていた。

きっとさっき片付けたのだろう。

 

「祐一さん・・・あまり部屋を見ないで下さい。

・・・恥ずかしいですから」

そう言って栞は俯く。

「悪い・・・」

「いえ・・・」

 

 

 

なんだか気まずい。

 

 

 

「あ、祐一さん、何か飲みます?」

「あ、ああ、そうだな」

「紅茶でいいですか?」

「頼む」

栞は台所へ行った。

 

香里も両親もいないみたいだな・・・

二人っきりか・・・

 

・・・

 

「マジか・・・?」

マジらしい。

俺、暴走するかも・・・

 

 

 

「栞、いいだろ・・・?」

「ゆ、祐一さん、駄目ですよ・・・」

「お前もちょっとは期待してるんだろ?」

「そ、そんなことは・・・」

「だったら、どうして抵抗しないんだ?」

「それは・・・あっ・・・」

 

 

 

 

 

 

「・・・さん、祐一さんっ!」

「へっ?」

目の前には、ティーカップを持っている栞がいた。

「どうしたんですか?ぼーっとして・・・」

「ん、いや、なんでもない」

どうやら危ない妄想に走っていたようだ。

 

「そうだ、栞」

俺は重大なことを思い出した。

「何ですか?」

「荷物持ってて疲れなかったか?」

「そうですね・・・ちょっと疲れました」

「だったら、マッサージしてやろうか?」

「マッサージ、ですか・・・?」

そう。俺は栞にはマッサージをしたことがなかった。

「こう見えても、結構得意なんだ」

「うーん・・・」

栞は口に指をあてて考えている。

 

「・・・じゃあ、お願いします」

「任せろ」

そんなわけで、俺は栞にマッサージをすることになった(ニヤリ)

「・・・(ニヤリ)って何ですか?」

「気にするな」

 

 

 

栞はベッドにうつぶせになっている。

「祐一さん」

首だけ回してこっちを向く。

「何だ?」

「あんまり、痛くしないで下さいね・・・」

上目遣いでそう言う。

「・・・わかった」

マッサージ以外のことをしたくなってきたのは、気のせいだろうか?

 

 

 

まずはほっそりとして綺麗な腕に手を伸ばす。

 

もみもみ

 

「はう・・・」

栞は気持ち良さそうにしている。

徐々に、腕の付け根へ移動させる。

反対の腕も同じようにする。

「はあぅっ・・・

祐一さん、上手ですね・・・」

「・・・栞もやるな」

「何がですか?」

「何でもない。

・・・っと、次は肩だな」

 

首の少し下に指をあてる。

髪の隙間から少し白く細いうなじが見える。

「・・・」

 

ふうっ。

 

思わず息を吹きかける。

 

「ひゃうんっ!?」

栞が驚いて跳ね上がる。

「ゆ、ゆ、祐一さんっ!」

「わ、悪い、思わず・・・」

「思わずじゃないですよぅ・・・」

 

顔を真っ赤にして涙声で訴える。

 

「今度はちゃんとやるから。な?」

「お願いしますよ・・・」

改めて首の少し下に指をあてる。

 

ぐっ

 

「ひぅん!?」

鼻にかかったような声を上げる。

構わず続ける。

 

ぐぐっ

 

「ふゃっ、あっ、ゆ、祐一さんっ!」

体をよじらせて俺に訴える。

その反応がなんとも楽しい。

 

 

 

「よし、首筋終わり」

「えうぅ・・・」

栞は肩で息をしている。

 

 

 

「よし、腰いこうか」

「・・・まだやるんですか?」

「中途半端だとアレだしな」

「確かにそうですけど・・・」

 

腰に手をあてる。

栞の腰は華奢で、力を込めると折れてしまいそうだった。

 

最初は強くやって驚かせようかとも思ったが、

手をあてていると愛しさのようなものがこみ上げてくる。

 

優しく、ゆっくりと押す。

 

ぐうっ

 

「はぁっ・・・」

 

きゅっ

 

「あぅ・・・」

 

 

 

・・・この辺で、また悪戯心が出てくる。

 

 

ぎゅっ

 

 

「ぅあっ!」

 

 

たまらず嬌声が上がる。

 

 

ぎゅっ、ぎゅっ

 

 

「ひぇうん!やぁっ、駄目ぇっ・・・」

 

 

 

「はい、終了」

「はあぁ・・・」

栞はぐったりしている。

 

 

 

 

 

 

「祐一さん、意地悪です・・・」

上目遣いでこっちを睨む。

 

「でも、結構気持ち良さそうっだけど?」

「そ、それはっ・・・」

栞は顔を真っ赤にしてうろたえた後、

頬を膨らませた。

 

 

 

「・・・そんなこと言う人、嫌いですぅ・・・」