たまには、こんな一日も「やっぱり夜は漢の浪漫!」

 

 

    このSSは名雪エンド後の話です。

『たまには、こんな一日も「春の陽射に包まれて」、「約束」』の続きになってます。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

トン、トン。

 

台所から名雪が包丁を振るう音が聞こえる。

 

特に変わることのない日常。

唯一つ違うのは・・・

 

 

 

「うー・・・」

 

 

 

名雪が『裸エプロン』だという事だけだろう。

 

陸上部だけあって、全体的に引き締まっているが、

部分的には女性らしさを強調していた。

白く綺麗な尻・・・もとい、背中がなんとも魅力的である。

 

「祐一、あんまり見ないでよ。

恥ずかしいよ・・・」

 

細い声で名雪が抗議する。

 

「見なきゃ意味ないだろ」

それをあっさり却下する。

 

「うー・・・」

 

諦めたのか、不満そうにしながらも料理を再開する。

 

 

 

トン、トン、トン。

 

じゅうぅぅぅ・・・

 

 

 

炒め物の音と共に香ばしい香りが部屋中に広がる。

 

炒め物はフライパンでするわけだが・・・

 

その、なんだ・・・

 

フライパンを振るたびに・・・

 

名雪の締まっているが、肉付きの良い尻が

「ふるふる」

と・・・

 

 

 

とんとんとんとんとんとんとん・・・

 

 

 

ちなみに今のは包丁の音ではなくて俺が首の後ろを叩く音である。

 

しかし・・・

名雪の後姿を見ていると、思わず襲い掛かってしまいそうだ。

 

もっとも、一度挑戦したときに

『今日の御飯は全部ジャム』

と言われたので、それ以降はやってないが。

 

 

 

「出来たよ、祐一」

名雪が出来た料理を並べられた皿に盛り付ける。

 

「名雪・・・」

「なに?」

「何故に今日はうなぎ?」

とてもスタミナがつきそうである。

「え、と、特に意味はないよ」

「ふーん・・・?」

まあ、そういう事にしておこう。

 

「ねえ、それより・・・」

「却下」

「うー・・・」

「却下だ」

「むー・・・」

「駄目だ」

「くー」

「寝るなぁっ!」

「冗談だよ・・・

こんな格好で寝られるわけないよ」

 

 

 

それはさておき席につく。

 

「ひゃっ!?」

「どうした、名雪」

「冷たい・・・」

 

まあ、直に座ってるからな。

「我慢しろ」

「多分、そう言うと思った・・・」

既に諦めたようだ。

 

 

 

とりあえず、うなぎの蒲焼に山椒をふり、食べる。

「・・・名雪・・・」

「なに?」

「これ、お前が作ったのか・・・?」

「うん。タレはお母さんが作り置きしてあったものだけどね」

「マジか・・・?」

 

うなぎって、マスターするまで何年もかかるんじゃ・・・

いや、それ以前にスーパーでうなぎなんて蒲焼以外に売ってたっけ・・・?

謎は深まるばかりである。

 

「山椒、山椒・・・」

名雪が俺の手元にある山椒のビンに手を伸ばす。

 

と、エプロンの隙間から・・・

 

 

 

ちらっ☆

 

 

 

「ふごうっ!」

 

「なに、どうしたの、祐一!?」

「い、いや、なんでもない・・・」

 

うなぎと裸エプロンのコンボは想像以上に強力だった。

 

 

 

「御馳走様・・・」

「お粗末様でした」

朝と同じ台詞を二人揃って言う。

 

俺は立ち上がろうとする。

が、重大なことに気付いて、座りなおす。

 

「祐一、どうかしたの?」

「いや・・・何でもない」

 

まあ、その、あれだ。

うなぎ食べたし。

名雪の格好が格好だし。

 

 

 

俺は、ジーンズをはいていることを激しく後悔した。

 

 

 

「あ、そうだ」

名雪が何かを思い出したようだ。

「デザートがまだだったよ」

「また苺か・・・?」

「違うよ〜」

不満そうな声を上げる。

 

「今日のデザートは、えっと、その・・・」

 

恥ずかしそうにもじもじしている。

 

やがて、意を決したように顔を上げる。

 

 

 

 

 

 

「で、デザートは、私だよっ」

 

 

 

-Fin・・・?-