これも有り得べき日常…?





モンゴルを訪れ、
そして日本に戻ってきて数ヶ月。
資金は用意していた分とバイトで繋ぎ、
アパートを借りて二人とも学生として生活している。



「玲二」
「なんだ、エレン…」

絶句した。

「日本人の男性はこういうものを好むと聞いたんだけど…」
「いや、確かにそうかもしれないけど…」



エレンはメイド服だった。



「大体、どこで買ったんだ…」
「電気街…」
「…それ以上何も言うな」


どこでそんな情報を手に入れたかは知らないが、
どうして良いものか途方にくれる。

「似合わない?」
「いや、そうじゃないが…」

むしろ似合っているから恐い。
アパートにメイドというのも異様な光景だが、補って余りあるほどに俺の本能を刺激する。



「それと、呼称も変わると聞いたから…」
「呼称?」



エレンはそう言った後、思案している様だったがやがて視線を戻し、
やや上目遣いになって言った。






「…ご主人様」






翌日、二人とも遅刻したのは言うまでも無い。