Kanon「possibility」第十六.五話

「月光」




「祐一・・・ぁ」
「・・・」

もう唇を重ねるのは何度目だろうか。
ここは体育館の倉庫。
着替えるためにここに来たのだが、
密閉された空間、学校であるという状況、
自然と二人の距離は近くなっていた。



「香里・・・」
「・・・うん」

俺の言おうとしている事を察したのか、
香里はゆっくりとドレスを脱ぎ始めた。

するっ

ドレスを脱ぎ、下着姿になった香里。
倉庫には小さな窓がついているだけで、
そこから差し込む月光だけが全てを映す。
それは淡い光だったが、俺と香里を照らすには十分だった。

「祐一、恥ずかしい・・・」
「どうして?
 綺麗だと思うぞ」
「でも、ぁ・・・」

戸惑う香里の背に手を回し、ブラジャーのホックを外す。
高校生の割に強く自己主張をする胸が露わになると、
俺はその二つの膨らみに優しく手を添え、ゆっくりと揉みしだく。

「はぅ・・・」

香里をマットに寝かせると、
手は動かしたまま、香里の口を塞ぐ。

「ん・・・ぁ・・・」

舌を絡ませ、貪るように激しいキス。

「ふぅ・・・」
「ぷぁ・・・」

舌を離すと、唾液がつぅっと二人の舌の間で糸を引いた。

ゆっくりと動いていた手を止めて、
胸の先の固さを増してきた突起に触れる。

「んくっ・・・
はぁっ・・・」

こりこりと指で弄ぶ度に香里が可愛い反応をする。
片方の手はそのまま、
もう片方の手をショーツの中へ滑り込ませ、弄り始める。

「そこはっ・・・
 あっ!」

びくっ、と大きな反応をする香里。
同時に足を閉じてしまう。

「緊張しないで・・・」
「う、うん・・・」

俺の言葉に応え、香里はおずおずと再び足に込められた力を弱める。
俺が手を動かせる度にソコは湿り気を増して、
くちゅっ、と音がするようになった。

「ぁぁ・・・」
「香里・・・腰、上げて・・・」
「・・・ぅん・・・」

香里がゆっくりと腰を浮かせると、
俺は慎重に、しかし素早く布を取り除いた。

そこには、全てを晒した香里がいた。

「・・・」
「ゃ・・・じっと見ないで・・・」
「あ、ああ・・・」

そう言われても俺の視線は自然にソコへと向かってしまう。
再びソコに指を這わせる。

「ふぁっ・・・
あぁっ・・・!」

香里が敏感な反応をするようになって、
俺のほうも限界になってきた。

「香里・・・」
「・・・(コクッ)」

香里が頷いたのを確認すると、
俺も服を脱ぎ、限界まで膨らんだモノをさらけ出す。

「祐一・・・」
「えっ・・・?」

香里は俺に近付くと俺のモノに手を添え、
おもむろに口に含んだ。

「ん・・・」
「か、香里・・・?」

うろたえる俺を尻目に、
香里は髪をかきあげながら奉仕を止めない。

ちゅぷっ・・・

ぴちゃ・・・

淫猥な音が倉庫に響く。
俺は香里の頭を撫でながら、その行為に身を任せていた。

が、限界は予想より早かった。

「香里、もう・・・」
「・・・」

それでも香里はやめなかった。

「くっ・・・!」



びゅくっ、びゅくっ・・・



香里の口内で限界に達した。
香里はそれを全て受け止めるかのようにして、喉を鳴らしたが、
むせてしまったようだ。

「・・・(こくっ)
 っ、けほっ、けほっ!」
「香里、無理しなくても・・・」
「うん、でも・・・
 祐一を全部感じたかったから」
「香里・・・」

そんな香里の言葉に俺はただ抱きしめる事しかできなかった。

少しの間そうしていると、俺のモノはまた大きくなり始める。

「祐一、凄い・・・」
「香里」
「・・・うん」

俺は緊張する香里を寝かせ、
ゆっくりとモノを埋没させていく。


じゅぷっ・・・

「くっ・・・」
「ひぅ・・・」

きちっ

しかし、すぐに何かに阻まれる。

「香里、もしかして・・・」
「・・・(コク)」
「そっか・・・」

それを確認して、嫌な話だが俺は一瞬ほっとしてしまった。
俺は、香里にそんなことを求めていたのではないはずだ。
だけどそこに安堵した自分が居る・・・
無性に自分自身に腹が立った。

「どうしたの・・・?」
「い、いや、なんでもないさ。
 それより、力、抜いて・・・」
「うん、わかってる・・・」

自己嫌悪の感情はとばす。
そして、慎重に進む。

ぷち・・・

「ん、ああっ・・・!」

ぷちっ・・・

「ひっ・・・!!」

奥まで達したのを知ると、俺は香里に声をかける。

「大丈夫か・・・?」
「大丈夫じゃ・・・ないわよ・・・」
「そっか・・・」
「でも、私は耐えるから・・・
 もう少しだけ、このまま・・・」
「・・・わかった」



そのままでも十分に香里を感じていられる。
いっそこのままも悪くは無いか、とさえ思えてくる感じだ。

やがて、香里が口を開いた。

「祐一・・・」
「ん?」
「動いても、いいよ・・・」

その言葉を聞いて、俺はできるだけ優しく動き始める。

ちゅくっ・・・

「っ・・・」

じゅくっ・・・

「くぁ・・・」

じゅぷっ・・・

「ぁん・・・」

最初は苦しそうにしていた香里だが、
音が変わると共にその声は甘いものに変わっていった。
俺の体に伝わってくる快楽と香里の声が脳髄まで響いてくるような、
そんな錯覚を受ける。

じゅぷっ、じゅぷっ・・・

「んっ、あぁっ・・・ひんっ」
「く・・・」

再び限界が近いことを悟った俺は香里の中からモノを引き抜こうとした。

「待ってっ・・・!」
「でも・・・」
「今日は・・・大丈夫だから・・・」

そう言われ、俺はまた香里の中へと埋まっていく。

ずっ、ぬぷっ、じゅぷっ・・・

「ひぁぅ、ぁっ、あぁ・・・っ!」
「香里っ・・・!」
「祐一っ!
っ、あああっ!!!」

どくっ、どくっ・・・



俺は香里の中に放った・・・

「ぁ・・・はぅ・・・」



「祐一・・・」
「ん?」

俺たちはまだ裸のまま抱き合っていた。

「ううん、なんでもない・・・
 なんだか、夢みたいだなっ、て思ったの」
「夢?」
「そう。
 祐一がここに戻ってくるなんて思わなかったし、
 こうしていられるなんて本当に夢みたい・・・」
「夢じゃ・・・ないさ」

俺の腕の中にいた香里を強く抱きしめる。

「夢じゃ、ないね・・・」
「だろ?」
「くすっ・・・祐一らしい」

「ねぇ、祐一・・・
 ひとつだけ、いい?」
「ああ」
「女の子はね・・・
 こんな時、ひとつだけ言葉が欲しいのよ」
「・・・わかった」

俺は香里の耳元に近づき、
そっと、



「愛してる」



そう囁いた。