ズブ

星は夜に見るもの。長いこと天文を趣味とし、天体写真を撮るためにあちこちに出かけていると、夜、動物に出会うこともあります。明るいところならばどうってことない動物も、暗いところでは思わず “ビビッて” しまいます。そんな体験をいくつか。

一つ目は、まだ学生だった頃。なぜか急に、「いい写真を撮るためには、積極的にガンガン行動しなくてはいけない!」と思い立ち、電車とバスを使い、一人で日光の戦場ヶ原まで行ったことがありました。写真を撮ろうとしていると、犬が「トッ、トッ、トッ、トッ」と走る音が聞こえました。しかし、音は聞こえても姿は見えません。単に犬が通り過ぎただけならいいのですが、音が近くなったり遠くなったりしています。周りをうろうろしているようです。かなり近づいている時もあるようで、時々「ハッ、ハッ、ハッ」という息の音が聞こえます。でも、やはり姿は見えません。犬嫌いではありませんが、姿が見えないというのは怖いものです。大きさもわかりません。しかも、逃げ込めるような車もありません。公衆トイレがあったので、「いざとなったらトイレに逃げ込むしかない。」と思っていました。そんな感じで、一晩中びくびくしながら写真を撮っていました。朝になって明るくなると、1匹の犬がうろうろしていました。あまり大きな犬ではなく、なんとなく “間抜け顔” の犬でした。「この犬に一晩中おびえていたのかぁ」と思いながら、残っていたお菓子をあげました。

二つ目は、社会人になってから新潟県の板倉町に行ったときのこと。牧場の間の砂利道に入って、写真を撮る準備をしていました。知らない間に猫がすぐそばまで来ていたようで、突然「フギャー」という声が聞こえました。周りがよく見えない真っ暗な中。自分ひとりのはずなのに、突然、どこから聞こえたのかも分からない、何かが吠えるような声。びっくりして思わず、「うわぁあ!」と声を出し、慌てて車に乗ってドアを閉めました。「ああ、今のは猫だな。」と考えたのは、ひとまずホッとしてからでした。

三つ目は、野辺山に行ったときのこと。せっかく遠出したのに、残念ながら曇ってしまいました。仕方がないので車の中で眠っていました。朝の4時頃だったでしょうか、目が覚めました。薄明が始まる直前という時刻で、まだ真っ暗でした。いつもは車のドアを開けるとき、「近くに犬などが来てないか」などと、ちょっと気をつけるようにしています。しかし、頭がまだ半分眠っていたせいもあり、安易にドアを開けて外に出てしまいました。すると、そこに大きな黒い影が動いてきたのが目に入りました。思わず「うわっ」と言ってしまいました。しかし、その影は人間でした。「あっ、すいません。」と謝ると、「いえ。天文の方ですか?」と尋ねられました。実はその人も “天文屋さん” だとのこと。電車で野辺山まで来たものの曇ってしまい、朝を待って帰るところだったそうです。なかなかの “つわもの” です。

いずれも実害はなかったわけですが、天文活動は夜に暗いところへ行くことが多いもの。なんにしても、気をつけなくてはいけないと改めて思いました。