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ポーランドで「悪魔払い」の専門誌が創刊

No.3/2012年11月11日

先月、ポーランドで世界初の「悪魔払い」専門誌が創刊されたというトピックスが報道され、日本でも新聞の社会面を賑わせました。それによると、雑誌のタイトルは『エクソシスト』(月刊)で、カトリックのエクソシズム(悪魔払い)の正しい知識を伝え、オカルトブームに警鐘を鳴らすことを目的として創刊されたとのことです。発行部数は15,000部で、カトリックの神父が全面的に協力しているというのですから、単なる興味本位の雑誌ではないことが伺えます。

“エクソシスト”と言えば多くの日本人は、1973年に公開されたホラー映画を思い浮かべるのではないでしょうか。少女に悪魔がとり憑き、悪魔と神父が壮絶な闘いを繰り広げるというストーリーに、多くの人々が恐怖におののきました。

“エクソシスト”とは、キリスト教(カトリック教会)で悪魔払いをする神父のことです。新約聖書の中には、イエスが悪霊を追い払ったという記述が数多く見られることからカトリック教会の教理には、イエスから悪魔を追い払う資格と義務が付与されたと記載されています。日本人にはほとんど知られていませんが、“エクソシスト”はローマ法王庁(バチカン)公認の職務なのです。日本人は “エクソシスト”は映画の中だけの存在だと思っていますが、国民の9割がカトリック教徒であるポーランドやイタリアには、悪魔と闘う神父“エクソシスト”が実在するのです。

ポーランドは、1989年まで共産主義国でしたが、その間も国民はカトリックを信仰してきました。今回の発刊に関わっているエクソシストのアレクサンダー神父は――「ポーランドでは資本主義への転換による民主化の中で、オカルトへの関心が高まり、占いなど営利を目的としたオカルトが増加しています。営利目的のオカルトの増加は人々の精神に悪影響を与えるため、非営利の伝統的なエクソシズム(悪魔払い)の普及が急務なのです」と語っていますフランスAFP通信)

近年ポーランドでは精神を病んで“悪魔払い”を希望する人が増加しています。ポーランドではバチカン公認エクソシストは、15年前は4人しかいませんでしたが、今では120人以上ものエクソシストがいるとのことです。それでも彼らに悪魔払いをしてもらうには、首都ワルシャワでは3か月の順番待ちをしなければならないというから驚きです。

月刊誌『エクソシスト』の創刊号には、「悪魔は本当にいる」というタイトルの記事が掲載されています。正しい悪魔払いの知識を伝えるためには、何よりも“悪魔がいる”ということが前提となります。悪魔払いを正当な行為とするためには、人々に悪魔についての正式な見解を示しておかなければならない、というカトリック教会の意図が伝わってきます。

しかし、スピリチュアリズムにおける霊的事実に照らしたとき、霊界には悪魔(サタン)は存在しません。悪魔(サタン)は人間の想像の産物にすぎないのです。カトリックで“悪魔の仕業”としているのは、本当は「低級霊による憑依現象」です。悪魔(サタン)ではなく、人間の低級霊や邪悪霊が地上人に取り憑いて意識を支配し、異常な言動を引き起こさせる憑依現象なのです。

こうした現象は、太古から世界中で起きています。世界各地のシャーマニズムでは、邪悪霊を取り除くシャーマンがいて、さまざまな儀式が行われてきました。日本でも古くから、僧侶や修験者による加持祈祷・お祓い・手かざしなどによって、取り憑いた霊を引き離そうとしてきたのです。それが現代でも「除霊」や「浄霊」として、新興宗教に引き継がれています。

憑依された地上人は、幻覚や幻聴・意識の混乱からヒステリーやうつ状態になり、憑依が進むと、正常な日常生活を送ることができません。現代医学ではこうした症状を統合失調症と診断します。精神科医は「統合失調症」は脳内物質のアンバランスによって引き起こされると考え、患者に薬を投与して症状を改善しようとします。しかしそれは、肉体次元での治療に過ぎず根本治療からは程遠い対処です。患者や家族は、病気を治したいという一心から、エクソシズムやお祓い、手かざしなどに頼らざるを得ないのです。

前出のアレクサンダー神父と同じく雑誌の発刊に協力したエクソシストのアンドレ神父は―「私たちはエクソシズムを行うとき、“悪魔憑き”と精神病とを取り違えないようにするために、精神科の医師と協力しています」と言っています。しかし、憑依されたことで精神のコントロールがつかず“気が狂った”という言葉で表現されるような状態になるのですから、現実にはそれらを区別することはできません。こうした的外れな見解は、カトリックの神父たちが憑依現象に対して何の知識もないことを端的に示しています。

「これまで邪悪霊を排除する目的で人間が行ってきたことは何の解決にもなっていない」というのがスピリチュアリズムの見解です。除霊によって一時的に憑依した霊を取り除くことができたとしても、憑依された本人の心の持ち方・考え方が変わらないかぎり、霊はまたすぐに取り憑くことになります。取り憑く霊は、正しい霊的知識がない未熟霊ですが、取り憑かれる地上人も同じように霊的知識に乏しく、意志が弱く、霊を呼び込みやすい体質(霊媒体質)を持っているのです。憑依された本人が、低級霊の誘いに対してしっかりと自己コントロールできるようになること以外に解決方法はありません。

除霊に携わるエクソシストは、こうした霊的事実を全く理解していないために、ムダなことを繰り返しています。悪魔払いは、低級霊や邪悪霊を排除するどころか、彼らをますます付け上がらせる結果となっているのです。

神の名を唱え十字架をかざせば悪魔は退散していく、というのは映画の話にすぎません。今回、神父の協力のもとで創刊された雑誌『エクソシスト』は、カトリック教会が霊的事実に対して、どれほど無知であるかを露呈していると言えます。

霊的ケアを含めた本当の除霊は、正しい霊的知識があってこそ可能となります。邪悪霊を取り除くだけでなく、霊媒体質者に適切なアドバイスができて初めて、憑依への根本的な対処がなされるのです。そうした意味で、スピリチュアリズムの「霊的真理」を手にしたスピリチュアリストは、地上で“最高の除霊師”になることができるのです。

〈参考資料〉
『ポーランドで「悪魔払い」専門誌 世界初の創刊』(共同通信-2012年10月10日)
『Exorcism boom in Poland sees magazine launch』(AFP通信-2012年9月11日)