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『シルバーバーチの霊訓』の翻訳者 近藤千雄氏が他界されました

No.5/2013年2月20日

『シルバーバーチの霊訓』をはじめとするスピリチュアリズム関連の本を多数翻訳してこられた近藤千雄氏が、昨年の12月、77年の地上人生を終え他界されました。

2年ほど前、近藤氏から、娘さんが住むアメリカで余生を過ごすことになりましたとのお手紙をいただきました。手紙には「霊界から、すでに使命は終わったと言われました。サークルの皆さんともこれでお別れです」とあり、近藤氏がアメリカで骨を埋めるつもりでおられることを知りました。その後、連絡はありませんでしたが、昨年ある方を通して、近藤氏が亡くなられたことを知りました。

現在の日本のスピリチュアリストの大半は、近藤氏の翻訳本によってスピリチュアリズムを知ったことと思います。『シルバーバーチの霊訓』の威厳に満ちた雰囲気と、あふれんばかりの愛の思いから語られる叡智の数々は、多くの日本人スピリチュアリストを魅了してきました。

近藤氏が『シルバーバーチの霊訓』を翻訳するに至った経緯が、氏自身の編集による『古代霊は語る』(潮文社・1984年発行)の“あとがき”に書かれています。それによると氏は、大学二年のとき(1955年頃)シルバーバーチと出会いました。氏は、最初に手にした『Teachings of Silver Birch(邦題:シルバーバーチは語る)』をページがバラバラになるまで何度も読み返したそうです。そして「シルバーバーチとの出会いは、私の思想と人生を方向づける決定的な意味を持つものであった」と記しています。その出会いから約半世紀、近藤氏は生涯をスピリチュアリズムの翻訳に捧げることになりました。

近藤氏は、スピリチュアリズムに関する多くの書籍を翻訳しましたが、特にスピリチュアリズムのバイブルと言うべき『シルバーバーチの霊訓』の全巻翻訳を成し遂げたことは、日本のスピリチュアリズム界にとって画期的なことでした。近藤氏は『シルバーバーチの霊訓』の重要性を直感し、人々の座右の書となることを願って全巻の翻訳・出版に尽力してくださいました。それによって、スピリチュアリズムが単なる心霊現象ではなく、霊的真理に基づくきわめて高次元の思想であることが明確な形で日本人に示されることになりました。浅野和三郎氏から始まった日本のスピリチュアリズムは、近藤氏の翻訳によって一気に飛躍することになったのです。

現在、英語圏以外の国で『シルバーバーチの霊訓』の全巻が翻訳・出版されているのは、日本だけです。この事実は、近藤氏が日本のスピリチュアリズムのために大きな貢献をなしたことを端的に示しています。人類にとって最高に価値ある霊界通信を日本語で読むことができるのは、近藤氏の翻訳があったからこそであり、それによって日本中にスピリチュアリズムを普及させ、正しい理解を促すうえでの礎(いしずえ)が築かれることになりました。

いかなる分野においても開拓者として道を切り開く使命を与えられた人間は、常に現実と理想との大きな隔たりの中で、自らの人生を歩むことになります。肉体を持つがゆえに生じる煩悩との絶え間ない葛藤の中に身を投じることになります。近藤氏もその例にもれず、スピリチュアリズムに関する翻訳の第一人者としての人生を送ると同時に、常に地上的な問題を抱え、煩悩(カルマ)に苦しむ道を歩むことを余儀なくされました。地上にありがちな人間的な問題やカルマから生じる試練に苦悩し、霊的真理とのギャップに葛藤してきました。

しかし、利己的な動機から宗教組織を立ち上げたり、自分の名声や地位を得るためにスピリチュアリズムを利用するといった誘惑に負けることなく、孤高の人生を貫かれました。生涯をスピリチュアリズムの翻訳に捧げ、霊界の道具としての使命を全うされました。

私たちサークルでも近藤氏に『シルバーバーチの霊訓』をはじめ、モーゼスの『霊訓』、アラン・カルデック編の『霊の書』『霊媒の書』、マイヤースからの霊界通信『永遠の大道』などの翻訳を依頼し、スピリチュアリズム思想の本質を理解するうえで必須の書物をすべて、自費出版することができました。

今日、日本人が他国の人々に先んじて、霊的真理を手にすることができたその背景には、霊界からの大きな導きがあったことは明らかです。近藤氏の翻訳家としての地上人生もまた、スピリチュアリズム普及のための大計画に組み込まれていたに違いありません。

私たちは今後、近藤氏の築き上げてきた功績をさらに高め、高級霊の願う信仰的スピリチュアリズム・実践的スピリチュアリズムの確立のために尽力していきたいと思っています。日本だけでなく、アジアや世界にスピリチュアリズムを普及するために、霊界の道具としてさらなる努力を続けていきたいと願っています。

『古代霊は語る』のあとがきで、近藤氏は次のようなことも書いています。「私もいずれそこ(霊界)へ行く日が来る。そしてたぶん、バーバネルに、そしてもしかしたらシルバーバーチにも出会えるかもしれない。そのときは、“よくぞやってくれた”と言われたい。そう言われるような仕事を残したい。」

近藤氏は霊界で、バーバネルや交霊会の参加者たちに出会っているかもしれません。そしてスピリチュアリズムが、地上で感じていた何十倍、何百倍もの価値がある壮大な計画であることをあらためて知り、自分が霊的真理の普及に携わってこられたことに大きな喜びと感謝の念を抱いていらっしゃることでしょう。これからはきっと、スピリチュアリズム運動を推進する霊界の大軍団の一員として、日本のスピリチュアリストたちの背後から全力で応援してくださることでしょう。