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古いしがらみから抜け出せない“英国スピリチュアリズムの現状”

No.6/2013年4月10日

世界のスピリチュアリズム界をリードしてきた国といえば、誰もが英国を思い浮かべます。米国で起きたフォックス家事件に端を発するスピリチュアリズムですが、事件の数年後には、早くも展開の中心を英国に移しています。英国は卓越した霊能者や霊媒たちを数多く輩出し、スピリチュアリズムの初期から数々の交霊会グループが活発に活動してきました。そしてシルバーバーチに代表される高級霊界通信を地上にもたらし、世界に大きな影響を与えてきました。まさに英国は、スピリチュアリズムの最前線を切り開き、その歴史を築いてきた国と言えるのです。

しかしその英国スピリチュアリズムが危機的な状況に陥っていることが窺えるような記事が、心霊誌『ツーワールズ』(2013年1月号)に掲載されています。『ツーワールズ』は英国の代表的な心霊情報誌で、現在の編集長はトニー・オーツセンです。トニーは、シルバーバーチの霊媒であったバーバネルの部下でした。彼はバーバネルから厚い信頼を受け、シルバーバーチの交霊会にも参加しています。交霊会の参加者の多くが他界した今、彼は唯一の“生き証人”であり、現在の英国スピリチュアリズム界を代表する人物です。そのトニーが次のように書いています。

「2012年はスピリチュアリズムにとってよい年だったとはとても言えません。いくつかのスピリチュアリスト・チャーチが閉鎖され、メンバー間のトラブルも報告されています。チャーチに来る人たちはますます減少しており、テレビの人気番組が放送される時間には、誰も集会に来ようとしません。あるチャーチでは週末の集会に参加したのは、たった2人だったというのです。」

トニーの深いため息が聞こえてくるようなこの記事からは、英国スピリチュアリズムの衰退の様子がはっきりと感じられます。魅力を失ったチャーチと、テレビ番組を優先させるようなレベルの低いスピリチュアリストたち―世界で最もスピリチュアリズムが普及し、“スピリチュアリズムの本場”と言われる英国の現状は、あまりにもお粗末なものと言えます。

実は英国スピリチュアリズムの低迷は、今に始まったものではありません。英国での華々しい物理的心霊現象は、第一次世界大戦をピークに減少し、その動向を受けて1950年以降、次第に衰退の道をたどるようになりました。SNU(英国スピリチュアリスト同盟)の会長ヒギンソンが1971年に交霊会に参加したとき、シルバーバーチに「スピリチュアリスト・チャーチを訪ねて回ることがあるのですが、こんな程度のものなら閉鎖してしまった方がいいのではないかと思うことがあります」(『新たなる啓示』・ハート出版)と訴えています。スピリチュアリズム界の頂点に立っていたヒギンソンが自分たちのチャーチを見て「閉鎖してしまった方がいいのではないか」とまで述べていることから、すでに当時、かなりの低迷状態にあったことがよくわかります。

英国スピリチュアリズムの衰退の原因は、英国が霊界から大きな期待を寄せられていたにもかかわらず、霊界の意向にそった歩みをしてこなかった、というところにあります。霊界主導のスピリチュアリズム運動は着実に進展し、すでに新たな段階に入っているにもかかわらず、英国はこれまで築いてきた歴史と伝統が足かせとなって新しい霊界の動きに呼応できずにいるのです。

スピリチュアリズムの初期に英国で起こされた心霊現象の数々は、霊的真理を地上に降ろすための準備に過ぎませんでした。現象レベルを経た後、スピリチュアリズムはシルバーバーチ霊の登場によって霊的真理を中心とする実践レベルの段階に入っています。しかし英国は、相変わらず古い時代のスピリチュアリズムにしがみついています。シルバーバーチのような高級霊からの霊界通信を真っ先に受けていながら、現象レベル・知識レベルにとどまったまま、現在に至っているのです。

英国のチャーチでは、相変わらず交霊会や心霊現象を中心とした集まりが行われています。『ツーワールズ』には、多くのヒーラーや霊能者やチャーチの広告が掲載されていますが、それらは旧態から一歩も進んでいないスピリチュアリストたちの姿と、形骸化したチャーチの状況を端的に表しています。英国スピリチュアリズムの霊的生命はすでに枯れ果てて、人間中心の歩みにとどまっているのです。

現在でも世界各地から、多くの人々がスピリチュアリズムを学ぶために英国に足を運びます。スピリチュアリストにとって英国は“聖地”であり、一度は訪れてみたい国です。しかし率直に言って、現在の英国から得るものはほとんどないというのが実状です。英国スピリチュアリズムへの賞賛と憧れは、もはや時代遅れのものとなっているのです。

トニーは責任ある立場として、英国スピリチュアリズムの停滞をなんとか打破したいと願い、さまざまな提案をしています。彼は今年の1月に、私たちスピリチュアリズム普及会に次のようなメールを送ってくれました。

「私はスピリチュアリズム運動を回復させるために、来年ロンドンで各地のチャーチが一同に集ってミーティングを開くよう呼びかけています。私たちはこれから、熱意を持って献身的に英国スピリチュアリズムの再建に取り組まなければならいと考えています。」

幸いにも日本のスピリチュアリズムは、ここ十数年の間で『シルバーバーチの霊訓』を中心として急激に発展してきました。霊的真理に基づく“実践レベルの新しいスピリチュアリズム”の展開が、この日本で始まっています。私たち日本人スピリチュアリストは今後、英国がなしえなかった“ハイレベル・スピリチュアリズム”という新たな時代を切り開いていく立場に立っているのです。私たちは、英国スピリチュアリズムが一日も早く古いしがらみから脱し、ともに霊的真理普及のために働いていくことができるよう心から願っています。