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“フォックス家事件”に対する反対論者の捏造

反対派の圧力に屈して“ウソ”をついた本物の霊能者の話

過去から現在に至るまで世の中には数多くの自称霊能者が存在し、実際には霊能力がないのに、さも霊能力があるかのように振舞ってきました。“ニセ霊能者”は人々の霊的無知に付け込み、デタラメな作り話をして騙(だま)し、お金や人気・名声などを手に入れようとしてきました。その悪質なやり方は、ペテン師・詐欺師と何ら変りはありません。

残念ながら霊能者を名乗る者の大半はニセ霊能者であり、スピリチュアリズムは常に彼らと闘ってきました。圧倒的多数を占めるニセ霊能者のウソや不正を暴き、摘発(てきはつ)してきたのです。

さて、スピリチュアリズムの歴史の中には、そうしたニセ霊能者とは異なる特殊なケースがあります。本当の霊能力の持ち主が、真実の霊的現象を起こしてきたにもかかわらず、周りからの批判・圧力に負けて「自分は詐欺(さぎ)を働いてきた」とウソの告白をするという出来事があったのです。霊能力も心霊現象も本物でありながら、それをわざわざ“ニセモノ”であったと公言したのです。「自分はウソをついて人々を騙してきた」と打ち明けた言葉が、実は“ウソ”であったということです。

一般的に霊能者によるウソや詐欺といった不正は、霊能者自身の煩悩(ぼんのう)や世俗的欲望によってなされるものですが、ここで取り上げるケースはそれとは異なり反対者からの圧力・非難に負け、本心に反してウソをついたというものです。スピリチュアリズムに対する反対者の代表がキリスト教会ですが、キリスト教会はスピリチュアリズムの拡大を恐れて非難・迫害をしてきました。その矛先(ほこさき)がしばしば霊能者に向けられ、彼らにウソの告白を強いてきたのです。

そうした“ニセの告白事件”としてスピリチュアリズムの歴史の中で最もよく知られているのがフォックス姉妹による詐欺の告白です。“フォックス姉妹”といえば、スピリチュアリズムの出発点となった「ハイズビル心霊現象事件(フォックス家事件)」の当事者です。この2人の姉妹が引き起こした心霊現象から“スピリチュアリズム”は出発しました。その姉妹が揃って――「自分たちはウソをついていた。詐欺を行って人々を騙してきた」と告白したのです。2人の姉妹の告白は、まさにスピリチュアリズムそのものを否定し、その存在意義を失わせかねないほどのインパクトを持っていました。

これは反対者にとって、スピリチュアリズムに打撃を与える願ってもないチャンスでした。実際、現在に至るまでスピリチュアリズムに反対する人々は、フォックス姉妹の告白を事あるごとに引き合いに出し、“スピリチュアリズムは初めから詐欺であった”と主張します。そして鬼の首でも取ったかのように意気揚々とスピリチュアリズムを叩(たた)こうとします。

しかしフォックス姉妹の告白は、実は反対者からの買収によってなされたものでした。姉妹の複雑な家庭環境と人間関係、そして人間的な弱さや煩悩に付け込んで、反対派が画策(かくさく)したものだったのです。ニセの告白をした一年後、姉妹は前言を翻(ひるがえ)し――「反対派にそそのかされ、買収されてウソをついた」と再び告白することになりました。しかし、いったん公表してしまったウソの告白は、取り返しのつかないほどのダメージを与え、すべてが後(あと)の祭りとなってしまいました。その後、姉妹は再び霊媒としての仕事を始めますが、もはや誰からも信用されず、まもなく姉妹は孤独の中で他界することになりました。

反対派は、フォックス姉妹の最初の“ウソの告白”だけを大々的に取り上げますが、一年後にそれを撤回(てっかい)した事実――「反対派に買収されてウソの告白をした」という再告白の事実については一切取り上げようとしません。再告白のあとに霊媒としての仕事を再開したことは、姉妹が自分たちの霊能力とそれによって引き起こされる心霊現象を真実であると考えていたことを物語っています。単に生活の苦しさから霊媒の仕事を再開した、という理由だけでは説明がつきません。

以下では、フォックス姉妹がウソの告白をするに至った経緯と、その告白の内容を見ていくことにします。

フォックス姉妹が“ウソの告白”に至る経緯と、その後の状況

スピリチュアリズムの出発点となった“フォックス家事件”については、すでにこれまで何度も述べてきましたし、また外部の書籍などでもしばしば取り上げられていますので、ここでの説明は省略します。

当時、フォックス家事件を好意的に受け入れた人は、それほど多くいたわけではありません。批判者や懐疑論者の方がずっと多かったのです。そうした中で事件に疑問を抱いた人々によって調査委員会が発足し、徹底した調査が開始されるようになりました。検証のために泣く泣く裸にされた姉妹は、膝(ひざ)を使って音を出すことができないように足を紐(ひも)で縛られ、足の指の関節を用いたインチキを防ぐためにクッションの上に立たされました。こうした厳格な条件下で何度も調査が行われましたが、ペテンや詐欺の疑いは全く認められませんでした。それどころか姉妹の身体とは別の所(空中)で、相変わらずラップ音が発生し続けたのです。

姉妹の評判は高まり、やがて2人(マーガレットとケート)は長姉のリー23歳上の腹違いの姉)の指導で職業霊媒として独立し活動することになりました。2人はリーのもとで公開デモンストレーションを行い、ますます有名になっていきました。こうした動きと並行して、米国内では姉妹のような霊媒が数多く出現し、各地で交霊会が開かれるようになりました。

姉妹(マーガレットとケート)は、反対派の非難やひっきりなしのデモンストレーションによって疲弊(ひへい)状態に追い込まれていきました。そして3人の姉妹の仲もしだいに険悪になり、マーガレットとケートは、長姉のリーに対してひどい憎しみの感情を抱くようになっていきました。3人の姉妹はそれぞれに結婚しましたが、幸福な家庭生活に恵まれなかったこともあって、アルコールに溺(おぼ)れるようになり、特にマーガレットはアルコール中毒になってしまいました。

そうした中で1888年、フォックス家事件から30年後に、マーガレットはニューヨークの新聞に「交霊会はすべてインチキ・イカサマだった」との告白記事を公表しました。マーガレットは、この記事によって長姉のリーに対する復讐を目論(もくろ)んだのです同じくリーへの憎しみから、妹のケートもこの告白に同調しました)

しかしマーガレットは、その一年後に前言を翻(ひるがえ)し――「あの告白は反対派によって買収されてやってしまった」との再度の告白をします。そして姉妹は再び霊媒の仕事を開始しましたが、自分たちの口から霊媒を詐欺呼ばわりした失敗はもはや挽回(ばんかい)することはできず、それから数年を経て寂しさと孤独の中で2人とも他界することになりました3人の姉妹は、それぞれ3年も間をおかずに次々と亡くなっています)

フォックス姉妹の“ウソの告白”の内容

1888年10月21日に、マーガレットはニューヨークの新聞に署名入りで告白記事を公表しましたが、以下はその記事の内容です『だからあなたは騙される』安斎育郎著・角川テーマ21からの引用)

降神術交霊術)の真相を暴露することは、私マーガレット)の義務であり、神の教えに添うことであり、聖なる使命であると考えましたので、告白に踏み切った次第です。私は降神術がこの世から消える日の来ることを念願するものであります。私がこうした行動に出たことで、他の多くの職業的降神術者たちは大きな打撃を被(こうむ)るに違いありません。しかし、降神術の開祖は私ですから、それを暴露するのは私の自由であると思います。

この恐ろしいペテンが始まったとき、私は8歳で妹のケティケート)より1歳半年上でしたが、生来私たちは大変いたずらっ児でしたから、母をびっくりさせてやろうといろいろな方法を二人で考えていました。母は大変お人好しでしたので、ちょっとしたことにもびっくりするのです。そこで私たちは、夜ベッドに入ると、リンゴに紐(ひも)をつけて脇に垂らし、ベッドの中から紐を引いたのです。リンゴは床にあたって奇妙な音をたてました。母はしばらくの間は聞き耳をたてていましたが、私たちは幼かったので、そんなに悪いことをしているとは考えつきませんでした。

母はとうとう我慢ができなくなって村の人たちを呼んで、この奇怪な音を聞いてもらうようになったのです。そこで私たちは、あの闇(やみ)にひびく不気味な太鼓のような音を出す別の方法を考えなければならなくなったのです。というのは、私たちを見に来る人の数はだんだん多くなり、それらの人たちが目を皿のようにして見守る中で、リンゴのトリック程度では最早、通用しなくなったからです。

そこで私たちは、ベッドに入って部屋の明かりをすっかり消さなければ、音を出さないことにしました。それでも見破られる危険がせまってきたので、こんどは片手でベッドの枠を叩く方法に切り換えました。これらの演出は、全部、長姉のアンダーヒル夫人長姉のリー)が取りしきっていました。私はそうして次第に有名になってまいりましたので、この姉に連れられて、活動の舞台をロチェスター市に移しました。

そこにいる間に、ケティケート)が鼓音を出す新しい方法を発見したのです。それは、手を振っても足を振っても、指の関節が音を出す方法でした。けれども、それをたやすくしかも効果的にできるようになるまで、私たちは暗い部屋の中で猛練習を続けました。足を振って鼓音を出すには、膝(ひざ)から下の筋肉をコントロールすることができるようになれば簡単です。この場合、足の指の骨とくるぶしの骨が音を出すのですが、このことは誰にも知られませんでした。けれども、そのような筋肉のコントロールは、幼いときに始めて、長い訓練を継続して初めてできることです。筋肉は年とともに柔軟さを失うものです。私は当時12歳になっていたので、この練習には少し歳をとりすぎていたようです。

ロチェスター市で、アンダーヒル夫人は、エキジビションを催しました。遠い地方からも大勢の人々が群れをなすように集まりました。夫人の手には一晩で150ドルもの大金が入りました。集まった人たちの質問には、すべてに答えが出されました。それは『イエス』か『ノー』の二つだけですが、それは鼓音によって答えられたことは申すまでもありません。その答えはすべて夫人からの合図によって選ばれたのでした。

1848年のデビュー以来今日に至るまで、私たちのインチキ方法を臭(くさ)いと思った人はほとんどいませんでした。それでも中には、私たちが本当の霊媒なのか、それともインチキなのかと疑った人たちもいました。そのためにたびたび試験のようなことをされました。ペンシルバニア大学のセイバード委員会における実験、ハーバード大学の教授たちを前にした実験などはそれでしたが、私たちは最後まで尻尾(しっぽ)を出しませんでした。

マーガレット)も妹ケート)も、霊魂の働きなど考えたこともありません。霊魂が肉体から離れて、またこの世に戻るなどということは信じられません。しかし、それを真実できるものと信じきっている人は、世の中にたくさんいます。そこで私は、そういう実例をこの目で見たいと思って、他の霊媒たちを観察したり、私自身も霊魂の便りを聞きたいと思っていろいろやってみましたが、結局そんなことは不可能であると確信するに至りました。私がケイン博士と結婚してから、博士は降神術交霊術)を忘れるように求めました。けれども、博士の死後、私は暮らしのためにそれを続けました。私の不運の原因は、『私の姉にある』と断言することができます。

私がこの度の暴露に踏み切ったのは、カトリック教会の勧告によるものではありません。私自身の決断によるものです。降神術交霊術)は一種の手品です。ただし、上達するには並々ならぬ努力が必要です。私が多くの人たちに害悪を及ぼしたほどの腕をみがくためには、幼いときからの練習を続けることが必要だったのです。

このインチキを最初に考えだし、最も大きな成功をおさめた私の告白によって、これ以上、降神術者が増えることを食い止められることを確信します。私の告白文は、降神術交霊術)なるものはすべて詐欺であり、偽善であり、妄想以外の何物でもないことを証明するものと信ずるものであります。

署名 マーガレット・フォックス・ケイン

『だからあなたは騙される』安斎育郎著(角川テーマ21)

以上が1888年10月21日の新聞に掲載されたマーガレットの告白記事の内容です。このマーガレットの告白記事が掲載された日の夜、ニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックで、反対派主催のマーガレット自身による「タネ明かしの会」が開かれました。

マーガレットはその会場で、靴を脱ぎ、右足をテーブルの上に乗せ、聴衆がシーンと静まり返る中で、数回、鼓音を鳴らしました。聴衆の中から3人の医師が選ばれてステージに上り、マーガレットの足を調べ、音は足の指の第一関節の働きによって発生したと証言しました。

反対派からの、すさまじい工作と働きかけ

こうしたマーガレットの告白ならびにその夜の「タネ明かしの会」における結果を聞くと、そのあまりのリアルさに、これは本当のことではなかったのかと思う方もいらっしゃることでしょう。それほど告白内容は具体的で詳細で、真実性に満ちているように映ります。しかし実際にはこの告白は、肝心な点・最も本質的なところがすべてウソと作り話で塗り固められています。

ここまで詳細に経緯(けいい)を述べながら、その一年後にマーガレットはこの告白を翻します。反対派にそそのかされて“ウソの告白”をしたことを暴露したのです。ウソの告白の中で、彼女は交霊術を徹底してインチキ・手品・ペテン呼ばわりしていたにもかかわらず、その後、マーガレットは再び霊媒の仕事を始めるようになりました。こうした事実は、彼女が交霊術をペテンとは思っていなかったことを端的に示しています。

ニセの告白をするに至った背後には、反対派のすさまじい工作と働きかけがありました。この告白文の中には、長年にわたってつもり積もった長姉リーに対するマーガレットとケートの激しい憎しみがよく表れています。姉妹のリーに対する個人的復讐心に、反対派が付け入ったのです。この告白文が用意周到に準備されたものであることが、文面の至るところから滲(にじ)み出ています。おそらくマーガレットの話を題材にして、第三者(反対者や教会関係者)がつくり上げたものでしょう。

的外れな反対者の主張

スピリチュアリズムに対する批判者は、フォックス姉妹の“ウソの告白”を事あるごとに持ち出して、スピリチュアリズムはすべてニセモノであると主張します。しかしフォックス姉妹の告白は、2人の本心から出たものではなく、彼女たちの人間的な弱さや複雑な人間関係に付け込んで反対派が買収した結果、引き起こされたものだったのです。ウソの告白の一年後に前言を翻して――「自分たちは反対派から買収されてウソの告白をした」との再告白をしています。そしてその後、姉妹は再び霊媒としての仕事を再開しています。こうした肝心な点を取り上げずに、最初にでっち上げたウソの告白だけを持ち出して、スピリチュアリズムはニセモノ・インチキと決めつけることは、きわめて卑劣な行為です。

そもそも“フォックス家事件”がスピリチュアリズムの出発点とされる根拠は、“ラップ”という素朴な心霊現象を通して霊界にいる霊と地上人との間に通信が成立し、その通信の信憑性(しんぴょうせい)が物証(骨・毛髪・ブリキ箱など)によって明らかにされた点にあります。こうした事実は、フォックス姉妹が後になってどのようなウソの告白をしようが揺らぐものではありません。その時点における肝心な点について何ひとつ言及せずに“スピリチュアリズムはインチキである”と一方的に断じるのは、あまりにも幼稚なやり方です。反対者の中には、死者に関する情報が姉妹にこっそり伝わっていたとか、死者が壁に埋め込まれていたことを姉妹が推測していたといった、こじつけとしか言いようのない理由を挙げて、どこまでも霊からの通信の可能性を否定しようとする者もいます。

しかし誰が聞いてもその説明に説得力はなく、「霊のみが知る情報を、霊が心霊現象を通して伝えてきた」と考える方が論理的であることは言うまでもありません。何よりもそうした死者からの通信によって、地上人が全く知らない事実が明らかにされるといった話は数え切れないほど存在しているのです。フォックス家事件における霊からの通信の正当性の証明といったことは、何もこの一件だけの特殊ケースではなく、何千、何万という現実の出来事の中の一つにすぎないのです。何千、何万というケースをすべて否定したりインチキ扱いすることの方が、よほど論理的とは言えません。

では、マーガレットがフォックス家事件以来30年も経ってから「タネ明かしの会」で実演した指鳴らしの事実は、どのように考えるべきでしょうか。マーガレットが実際に指鳴らしをして見せたとしても、それが過去の事件(フォックス家事件)の交霊術がインチキであったことの証明にはならない、ということです。何よりも「タネ明かしの会」当日の指鳴らしの実態に関する情報には、全く信憑性がありません。その場で発生したとされる音が、果してどの程度のものであったのか、昔と同じような大きな音であったのかどうかが重要な点なのです。

本当のラップ音は、周りを巻き込むほどの振動をともなっていました。そのため当時の研究者は、これほど大きな音をもし姉妹が関節を用いて鳴らしたとするなら姉妹の関節は潰(つぶ)れてしまっている、との結論を出しているのです。当初からずっと“関節でインチキ音を出しているのかもしれない”という疑いが持たれていて、研究者は常にその点を徹底してチェックしてきたのです。しかもバッファロー大学の研究者が、叩音は関節を用いて鳴らしたものだとの一方的な見解を出したとき、姉妹はそれに対して反論をしているのです。そしてその後の厳格な公開実験においても、関節を用いることは完全にできない条件下で叩音が発生した事実が確認されています。こうした経緯を姉妹はよく知っていたため、“ウソの告白”の再告白の後に、再び霊媒を始めることになったのです。

反対派が自分たちに都合のいい条件下で行った実験結果だけを持ち出し、公的な機関によって出された結論を無視するのは、あまりにも独断的であり卑劣と言わざるをえません。マーガレットによるニセの告白の中の“当時の研究者にトリックは見破られなかった”という言葉も、反対者にそそのかされてついた“ウソ”だったのです。