あやちゃんのつぶやき

 

あたし、あやちゃん。

このあいだね、ほいくえんから かえるとき、おなかすいたから、かーちゃんに

「きょうの ゆうごはんは なあに?」

って こくびを かしげて、かーちゃんの かおを のぞきこむように

ごきげんを うかがってみたの。

そしたらね、かーちゃんが

「さんまと なっとうに しようかな」

って いうからね、

「さんまと なに?」

って きいてみたの。

だって、さんまっていったら やっぱり だいこんおろし でしょう?

だいこんの うえのほうの からくないところを やさしく おろしてくれるかしらって おもったの。

そしたらね、かーちゃんたらね、

「なっとう」

って いいきるのよ。

あたしは ふあんに なったわ。

ちゃんと だいこんおろし つくってくれるかしら って。

きを とりなおして きいたわ。

「なっとうと なに?」

だって、なっとうっていったら やっぱり もみのり でしょう?

ひゃっぽ ゆずっても やきのり よね。

でも、かーちゃんたら、なんにも かんがえて なかったのよ。

「さんまと なっとうっ」

なっとうっ って うっ って おこって いうのよ。

かーちゃん、さいきん ぎゅうにゅう のんでないから おこりっぽいのよ。

あたしは めの まえが まっくろに なったわ。

(かあちゃん、ぜんぜん わかってないわ。さんまには だいこんおろしなのよ。

 そいでもって、なっとうには もみのりなのに。)

あたしは しばらく くちが きけなかったわ。

 

でも、さすがは かーちゃんだったわ。

ちゃんと だいこんおろし つくってくれたのよ。

あたしも うれしくて おてつだい したんだけど かーちゃんは 

「あやちゃん、ぜんぜん すれてないよ」

なんて いっちゃって しつれいしちゃうわ。

だって しょーがないじゃない すっごく つかれるんだもの。

でも、くやしいけど だいこんおろしは おいしかったわ。

なっとうには もみのり なかったけど。

ごまと ねぎと もろへいやが はいってたから きょうの ところは ゆるしてあげるわ。

 

 

ばっく