生きてく強さ1
今、あたしの中には5ヶ月になるBabyがいる。
先週から産休にはいったあたしは、それでも病院に入り浸っていた。
 なんでかって?そりゃぁ入江君がいるから///
それともうひとつ、気になる患者さんがいるんだ。


その患者さんは、美咲ちゃん(5歳)。入江君の担当の患者さんで、
最近、仙台の病院から転院してきたんだ。
美咲ちゃんは、完治しにくい病気で、その筋で有名な病院に入院してた。
お母さんと一緒に。
美咲ちゃんの体は、もう治療に耐えられるだけの体力がなくて、
お父さんや、おばあちゃんたち、家族のいる東京へ転院してきたんだ。
言い方は悪いんだけど、この病院に来たのは、家族と余命を過ごすためだ。
 でも、美咲ちゃんは、いつでも明るくて、本当に天使みたい。
入江君のこと、本当に信頼してくれて、入江君もかなりお気に入りみたい。
ちょっと焼けちゃう。 美咲ちゃんの命はあと3ヶ月だといわれている。


今日もお弁当持って病院へ。入江君はまだ手術中。みんなも忙しく働いてて、
あたしは患者さんの顔を見て回ることにした。

「こんにちわ〜」美咲ちゃん達のいる病室のドアを開ける。
「琴子だ!」「わぁ また来たよ〜」「琴子ちゃんだ〜」
みんな思い思いに叫んでる。
「みんな、元気にしてた?看護婦さんやお医者さん困らせてない?」
「お前が言うなよな〜」と雄太君。う…確かに…。

ひとりひとりに声をかけていく。
「美咲ちゃん。どう?元気だった?」
「うん。パパやおばあちゃんがお見舞いに来てくれるから、美咲それだけで
元気になるよ。琴子さん、赤ちゃん元気?」
「あ(赤面)  うん。元気だよ。ありがとう。」
 美咲ちゃんがじぃっとあたしを見つめた。
「ん?」「…あのね、琴子さん…お願いがあるの。」

「直樹先生とデートさせてほしい」
美咲ちゃんははっきりと、自分の気持ちを吐き出した。
「え…」思いもよらなかった言葉に絶句するあたし。

美咲ちゃんの想いを潰すようなまねしたくない。
 だって最初で最後の恋かもしれないんだもん。
でも、入江君を誰にもとられたくない。
あたしは「少し考えさせて…」としか言えなかった。


「どうした?元気ないな。体つらいのか?」
お弁当を黙々と食べるあたしの顔を入江君が覗き込んで聞いた。
「ううん…。なんでもない。」のどになんかが詰まってるみたい。
あたしどうしたらいいんだろう? 
 あたしは家に帰ることにした。
のどに引っかかったままの想いを抱えて。

 
アキ
2003年10月24日(金) 00時13分45秒 公開
■この作品の著作権はアキさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
調子に乗ってまた書いてしまいました。
しかも続き物。
もう行き詰ってる感もありますが…
がんばります…

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