Greeting 1
「うん、完璧v」
 琴子はそういうと、ドレッサーの前で1回転した。
 琴子の動きにあわせて、ワンピースのすそが軽やかに翻った。

 昨夜。
 直樹は寝る前に琴子の今日の仕事が休みなのを確認したうえでこう、話した。
 「それじゃぁ、明日、どこか行こう。俺も昼までだからさ。」
 「え??」
 「―――嫌なら別にいいんだぜ?」
 聞き返した琴子に直樹は満面の笑みで返事をする。
 「う・う・ううん、嫌じゃないよ。絶対行く!! だって入江くんが誘ってくれたのってはじめてだもん!!嬉しくってっ」
 そう返事をした琴子を直樹は優しい視線を向ける。
 「そうでもないだろ?」
 「ううんっ。そうじゃなかったとしても、私が入江くんを誘う回数の方が絶対多いもん。だから、すっごく嬉しいの。」
 そういつまでも感激をしている琴子にややあきれた様子で、直樹はため息をついた。
 「ホラ、もう寝るぞ?」
 そう言って、感動に浸っていた琴子を無視して、部屋の明かりを消したのだった。


 そして今日。
 待ちに待ったデートの日なのだ。
 (それも入江くんから誘ってくれた!!)
 そう思うと、琴子は朝から嬉しくって、昼になるのを待ちきれない様子で壁時計を睨んだ。
 (もう、入江くんの帰ってくる時間よね。まさか、忘れてたりしてないよね?)
 化粧も終わると、琴子はすることがなく、落ち着きがないように部屋の中をウロウロしていた。
 実は琴子はいつもよりも落ち着きがなく、早々に入江ママよりキッチンを追い出されたのだ。

 やがて時計は13時30分をさす。
 「―――ただいま。」
 そう言って直樹の帰ってきた声が階下からかすかに聞こえた。
LUM
2003年10月24日(金) 23時53分44秒 公開
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■作者からのメッセージ
はじめまして。というほうが正しいのではないかというほど久しぶりに投稿させていただきました。(2年ぶりですが・・・)
こりもせず連載物となります。少しでも皆様に楽しんでいただければと思います。

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