どこかの国のあるお話。−こりない人たち2−


Episode 2

夕暮れ時。
結局王子は、いつものように城での仕事を済ませ、昼は厨房にあったサンドイッチを食べ(なぜか二人分用意されていた)
気づけば、すっかり日は暮れていた。
その間、コトリーナとは一度も顔をあわせることもなく、気にもしていなかったのだが…。

「あいつ、何してんだ?」

さすがに、日も暮れてきても姿をみせないコトリーナのことが気にかかった。

「まさか…、こんなときにまた、迷子になってるんじゃないだろうな」

そう呟くと、王子は手にランプを持ち、コトリーナの部屋まで向った。
いつもなら、他の人間が廊下に明かりを絶やさずにつけているのだが
今日は誰もいなく、王子の持つランプの光量しか周りを照らす物がなかった。
薄闇の廊下を歩いてコトリーナの部屋まで辿りついた王子。
コンコンッ…と、ノックをすると

ガタガタッ…ガシャーン!!

「コトリーナ!!?」

ものすごい破壊音がして、思わずドアを開こうとする

「だ、だめっ、入ってきちゃ駄目―っ!」

と、コトリーナの静止の声がかかったが、すでに遅かった。
完全に部屋のドアを開けてしまった王子。
開けた瞬間、後悔したがもう遅い。

「…なにやってるんだ、お前」

とりあえず、それだけを呟くことができた。
けれども、もう一度コトリーナを見ることはできそうになかった。

コトリーナは薄い下着一枚の姿を、今日着るためのドレスでそれを隠しながら地面にすわり(へたり?)こんでいた。

「きゃぁぁぁっ!お、王子さまっ!?な、何で入ってくるのーーっ」

そう言って、体を隠しながら叫ぶコトリーナに王子はむっとして

「ああ、悪かったな、お前のひんそーな体みて。じゃ、俺出て行くから」

おそらくコトリーナの怒声が聞こえてくるだろうと思い、とっとと王子が出て行こうとした瞬間、むんず、とコトリーナに服を捕まれた。

「…おい、今俺に出て行って欲しかったんじゃなかったのか」

一応、コトリーナの方をみないように文句を言う王子。

「………」ぼそりと、コトリーナが何かを呟くのが聞こえた。
いまいち聞き取れなかった王子は「聞こえねーよ」と言うと。

「ど、ドレス…が一人で着れないの…」
「……………」

それを聞いた瞬間、王子はため息と共に脱力したのだった。

soro
2003年10月25日(土) 21時28分39秒 公開
■この作品の著作権はsoroさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
まだ続くみたいです(とほほ)
一応、ナオキビッチを笑かす前=ラブレター出す前の琴子、婚約者=同居時代の琴子。
というリンクになっているつもり…です、ハイ。(^^;

この作品の感想をお寄せください。
w2ixDn Click!! JimmiXS ■2016-08-12 09:45:57 188.143.232.41
fO9Wvp Click!! Bradley ■2015-08-11 02:56:57 188.143.232.26
すっごくおもしろかったですvvsoroさん覚えてますかァ?sayaです♪ saya ■2004-08-07 22:02:43 asf-cable.c-able.ne.jp
コトリーナ...いい!続きがすっごく気になりますぅ。早く読みたいな。 利津佳 ■2003-10-26 12:19:17 YahooBB219027148129.bbtec.net
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ


<<戻る
感想記事削除PASSWORD
PASSWORD 編集 削除