デッサン #1 |
雨があがった。 よしっ。明日は晴れるみたい。 洗濯物が溜まってるのよね〜。 買い物袋をさげ、帰り道を歩いていく。 今日の終わりを告げ、夕日が空をピンクに染めてゆく。 屋根で猫が気持ち良さそうに欠伸をした。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 家のポスト。 ダイレクトメールの中に埋もれて、一通の琴子宛の手紙があった。 差出人、不明。 直樹はそれを夕陽に翳して見てみた。 だが封筒は厚いらしく、見えない。 ・・・・・・・琴子が開けたときに聞くことにするか。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ とある所の、とある部屋。 ここで光が生まれ、ここで光が消える。 照らし出された顔。 小さくため息。 時間も気にならない。 ただ孤立した空間が、広がるだけ。 空ももう暗く、月が顔を出す。 風が舞う。その髪をふわりと持ち上げる。 端正な顔の男であった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「いりえくんっ明日は晴れると思う?」 夜。 本を読む俺の傍で。 うざったいとは思いながらも気を許してしまう時間。 「雨、らしいぜ。」 そっけなく。 わざとだけど。 「え〜っっ!!じゃぁまた洗濯物がたまっちゃうぅ。。」 本気で困っている姿が微笑ましい。 かまって欲しいんだかそうじゃないんだか。 「ねぇ。入江君。」 やけに静かな声になった。 「あたしたち、ずっと一緒よね?」 「はぁ?いきなりなんだよ。」 琴子は顔を真っ赤にして、続けた。 「最近ね。夢を、見るの。」 俺の腕に納まる。少し震えているのが分かる。 「・・・・どした?」 「夢の中では。あたし、どこか知らない場所でいるの。」 「そこにね、入江君にそっくりな人がいるんだぁ」 「俺じゃないのか?」 「うん。分かるもん。」 「それで、その人、いつも泣いてて。 私を見て、何か違う名前で私を呼んでるの。」 「・・・・へぇ。」 「入江君は怖くないの?」 「何が怖いのかわかんないね。」 「あたしは・・・・。 」 唇から零れる、言葉にふたを閉めた。 今日届いた手紙。 琴子は中身を見せようとはしなかった。 夢。 架空であるはずのモノ。 なにか、関係があるのか。 少しざわつく心を、琴子諸共抱きしめ、 頬に軽くキスをした。 |
よーすけ
2004年02月22日(日) 09時48分39秒 公開 ■この作品の著作権はよーすけさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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続きが気になって仕方ありません・・・。首を長くして待ってます。 | しげたん | ■2008-06-07 12:11:25 | 203.168.76.66 | |
ぜひぜひ続きをお待ちしております!不思議な彼の正体が気になります・・・ | 未空 | ■2004-02-23 23:41:15 | nmzu017n028.ppp.infoweb.ne.jp |