魔法の手 4



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ファミレス

「やっぱり、お医者さんの仕事って大変なんだなぁ・・」
ファミレスに着いてから、1時間が経とうとしていた。
とりあえず、コーヒーを注文したんだけど、流石にもう3杯目・・。
あぁぁ、バレンタインを思い出すなぁ〜。
コーヒー飲み過ぎて、倒れちゃって、入江くんのアパートで一晩過ごしたっけ・・。
緊張しちゃったな、あの時。1つのベッドで寝ることになっちゃったし。
でも、入江くん、なんにもしなかったんだよねぇ、フフフ。

   『入江先生って・・』
!!!
後ろを振り向くと、若い女の子達が話をしていた。
耳をダンボにするあたし。

   『入江先生って、ほんまステキよねぇ』
   『そぉそぉ。この医大で1番のカッコよさやわ』
   『でもなぁ、奥さんおるなんて、信じられへんわ』
   『随分前に、病院に来とったみたいだけど、たいしたことあらへんみたいやで』
   『ほんまに〜?だって、あの入江先生の奥さんやのに?』
   『その場にいた先輩がビックリしたって言うとったよ』
   『へぇぇ〜、それなら、チャンスあるかな』

!!!
ヤバイなぁ。ここに入江くんが現れたら、また大変な事になりそぉ。
もう何度か繰り広げられてる光景があたしの頭をよぎる。
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ファミレスの前まで来ると、窓際の席に琴子をみつけた。
でも、様子が変だ。赤くなった顔が急に青ざめてきている。
琴子の周りをみると、見覚えのある顔がチラホラ。うちの看護婦達だ。
察しのいい俺は琴子を救うため?(もっと困らせるため?)にファミレスへと入った。
‘いらっしゃいませー。何名様・・あ、入江先生’
時々このファミレスを利用している俺はここのウェイトレスにも顔を覚えられていた。
ウェイトレスの声で、俺はさっきの看護婦達にみつかってしまった。
‘お一人ですか?’
ウェイトレスに聞かれたが「いや、待ち合わせだから」と答えて、俺は琴子の方へ歩いた。
『ほら、さっきの調子で声掛けなさいよぉ』
『え、でも、病院でだってほとんど喋ったことないし』
看護婦達に視線を送ることなく、まっすぐに俺は琴子のいるテーブルに向かった。
看護婦達は自分達のテーブルの横を見ることなく通り過ぎていた俺をただ見てるしかなかった。
琴子はまだ俺が来たことに気付いてないようだった。
背中越しに声をかける。
「よぉ、琴子」
その声に看護婦達も、俺がどのテーブルに行くのか様子をうかがっていたウェイトレスも驚いていた。
そして、何よりも驚いた顔で振り向いたのは、呼ばれた本人、琴子だった。
「い、いりえくん?」

『ウソやー、あの人が入江先生の奥さんなんてー』
『じゃ、さっきの話・・!もう、入江先生と話出来ひんわ』

「待たせたな」
「ううん、ううん」首をブルブル横に振る琴子。
「じゃ、いこうか」
俺はこの場から早く琴子を連れて帰りたかった。
「う、うん」
そう言って、立ち上がった琴子の身体がよろけた。
「琴子っ!」
床に倒れる前に琴子の肩を支えた。
「ん、あ、ごめん、入江くん。何か、クラッときちゃって・・」
「一応、病院行って診てみよう」
俺はそう言って、琴子を抱きかかえた。
「っ!入江くん、大丈夫だよ、あたし、歩けるよ」
「病院はすぐそこだから、黙ってろ」
その様子にさっきまで騒いでいた看護婦達も静かになった。
ウェイトレスに「ごめん、あの代金、あとでもいいかな?」と声を掛けて店を出た。





ARK
2004年10月29日(金) 22時56分56秒 公開
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彩佳さん、ありがとうございます。続き〜最後まで投稿しました。読んでみてください。 ARK ■2004-10-30 09:48:14 61-27-120-235.rev.home.ne.jp
続き、気になる…。どうなるの〜!?続きが早く読みたいです☆ 彩佳 ■2004-10-30 02:39:27 ZF080237.ppp.dion.ne.jp
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