魅力 (naoki 1)



「アタタ・・」
前から清水主任が胃をおさえながら歩いてきた。
俺はある予感を感じながら、声を掛けた。
「胃痛ですか?」
「あ、入江先生・・えぇ、まぁ・・」
言いにくそうにしているのを見て、俺は予感は的中していると確信する。
「琴子ですね」
「・・えぇ、でも、いつものことですから・・」
苦笑いしながら清水主任は歩いていった。
ったく、しょーがねーなぁ。
そう思う反面、落ち込んではいないかと心配する自分がいる。
俺はそのままナースステーションへとむかった。


ナースステーションをのぞくと、琴子と桔梗がいた。
桔梗がいるなら大丈夫か・・と通り過ぎようとした時だった。
「でも、あたし、一所懸命やってるんだよぉ」
「ふぅ〜。ま、1回でもミスしないように頑張んなさいよ」
琴子に泣きつかれた桔梗は琴子の頭をポンポンと叩きながら、慰めた。
それは、俺がいつもするしぐさだった。
もちろん、そのあと、俺がするように琴子を抱き寄せたりしないことを知っていながら
そうさせないとばかりに、声を掛ける。
「琴子」
「入江くぅ〜ん」
甘ったるい琴子の声が俺の耳に、心に、入ってくる。
その甘い声にこれ以上、反応しないように言う。
「またドジやらかしたんだって」
俺の鋭い声に琴子の顔がこわばる。
「あ、アハハ、何で知ってるの?」
「さっき、主任さんとすれ違ったんだよ」
「そ、そぉなんだ・・」
苦笑いしながら、俺と視線を合わせようとしない琴子。
そんな琴子を見つめる俺。
視線に耐えられないのか、琴子の顔がぱっと明るくなった。
「あ。ねぇ、入江くん。今日、一緒に帰れる?」
「話変えんなよ」
「んー。エヘヘ。ねぇ、ねぇ」
もうすっかりニヤニヤしてやがる。
「・・ったく。・・帰れるよ」
半ば呆れ気味に答える俺。
「本当ー?嬉しいな。じゃ、あと2時間頑張ってくるね!」
そんな俺の表情なんて見てない琴子は片手はガッツポーズ、片手で2時間のピースサインを出した。
「せいぜいあと2時間はミスしないように気をつけろよ」
俺はとどめに悪態づく。
「もぉー、入江くんてば!あたし、そんなにミスしてないよ?ね、モトちゃん」
「あと2時間、怖いわ」
「もー、モトちゃんまでヒドイ」
「ま。帰れるように、ちゃんとやれよ」
さてと、時間通りに上がれるようにしないとな。
俺は足早にナースステーションをあとにした。




ARK
2004年11月09日(火) 00時07分59秒 公開
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■作者からのメッセージ
ス、スミマセン。調子にのって直樹の気持ちを書いてしまいました。

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NXYK1c Click!! JimmiXS ■2016-08-12 09:46:04 188.143.232.41
続きを楽しみにしてます…。入江くんのやきもち?が私も大好きです。 しげたん ■2008-06-11 16:35:11 203.168.76.66
SSSさん、ありがとうございます。続き書きましたので、良かったら読んでやってください。 ARK ■2004-11-09 23:13:48 61-27-120-235.rev.home.ne.jp
うわーい!続き、楽しみにしてます SSS ■2004-11-09 10:46:38 p23056-adsau07doujib2-acca.osaka.ocn.ne.jp
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